帝国1000年の歴史を閉じる   作:o-17

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12話 才能を開く

 

 

俺のマスターキーには、開けないものと閉じれないものは無い。開閉と言う概念がある物には、問答無用で利用することができる。

 

ナイトレイドの名前を騙って、今回の偽物討伐の任務は俺とタツミを急激に成長させた。

まずは、タツミ。ブラート兄貴の相棒とも言えるインクルシオを託されて、それを使いこなした。インクルシオは、装着するだけで相性が悪かったら、使用者に容赦無く牙を剥く。そんな帝具を無事に使いこなしたタツミは急激にパワーアップしたであろう。

 

そして、俺。開閉の概念。思考の柔軟さが試された。それによって何ができたか……

 

「マスターキー 仮死状態の心臓を解除しろ」

 

ナイトレイドアジトにて、仮死状態のブラート兄貴の解毒をし、たった今。帝具で閉じてた心臓を解除した。

 

「がはっ」

 

ブラート兄貴の生命力が高かったのか、解毒が上手くいったのか……いや、自惚れるなら俺の応急処置の早さが良かったのか。ナイトレイドみんなの前でブラート兄貴の蘇生に試みたら、喉に詰まっていたであろう血を吐き出し、息を吹き返すブラート兄貴。

 

「俺は、生き残ったのか」

「あぁ済まないブラート兄貴。いつ死んでもおかしくないって話だったが、まだ死んで欲しくなくて無理した」

「あぁ、不思議な感じだったぜ。竜戦での最後のタツミの戦いは見てなかったはずなのに、魂には残ってる気がした」

 

すぐさま状況を理解して話し出すブラート兄貴に、タツミが目をうるませながら抱きつく。

 

「兄貴ぃいいいい」

「おいおいタツミ……いきなり激しいじゃないか……な」

 

タツミに抱きつかれて頬を染めるブラート兄貴。なんだろういつもの光景だ。安心する。

他のナイトレイドメンバーも全員嬉しそうだ。ひとしきり、皆でブラート兄貴蘇生成功を喜んだ後、ボスが発す。

 

「ブラート。身体の調子はどうだ?」

「あぁボス。身体があんまし動かない。これから鍛練しても本調子になるかはわからない」

「正直死んでもおかしくない状態だった。後遺症が残っても生き残っただけで奇跡だ」

 

流石に仮死状態が長すぎたか、あんまし体調が優れて無さそうだ。

 

「毒の後遺症も残ってそうだ。今の俺には、インクルシオを纏うことは無理だ。タツミ、俺の相棒を頼んだぞ」

 

ブラート兄貴が正式にタツミにインクルシオを託す宣言をする。

 

「兄貴の魂は俺が引き継ぎぜ」

 

そんな感じで、タツミに無事インクルシオが継承された。

 

その後、ブラート兄貴はしばらく療養と言うことになった。言い方は悪いが、ブラート兄貴が現状の戦線離脱は、ナイトレイドでは痛手すぎる。

 

なお、ブラート兄貴はインクルシオを失ったが今回奪取した帝具、二挺大斧(にちょうたいふ)/ベルヴァーク を所持することになった。インクルシオ程の負担が無く。また、インクルシオの副武装のノインテーターと重心などが似てて、少し気に入ったみたいだ。帝具としては、斧の帝具で使用するには人並み外れた膂力を必要とするが、その分凄まじい攻撃力を持つ。中心から2挺の斧に分離させることも可能で、投擲すると勢いの続く限り敵を追跡し、打ち倒す。ブラート兄貴のインクルシオを扱いこなしてた膂力では、振り回すには問題無いみたい。少しだけ、槍と間合いが違うのが扱い難しそうだが、兄貴の戦闘力なら問題は無いだろう。

ただ、蘇生を試みて成功したが後遺症からか、やっぱ長時間の戦闘もナイトレイドの暗殺家業にもついて行くのは現状不可能とのことで、今はナイトレイドのアジトでメンバーの戦闘訓練をメインに担当してもらっている。もしかしたら、時を見て反乱軍の兵士の方に行ってしまうかもしれないが……

ただ、今回は革命軍本部にボスが行く時に、ブラート兄貴はついて行かなかった。ボスは、手に入れた帝具3つのうちの2つを革命軍本部に送るのと、人材補給できないかで旅立った。

 

ボスが留守の間は、しばらく仕事は打ち止めだ。ブラート兄貴も療養が必要だろうし、今回倒した帝具使い3人は、帝国最強を誇る将軍エスデスの三獣士と呼ばれる直属の部下で、帝国の戦力には大打撃を与えただろう。今は動くべきでは無いであろう。

 

そして、俺はマスターキーに関しての実験を行っていた。何度もこの帝具は開閉出来ないものは無いと念を押してきたが、笛の帝具で自己強化してたちびっ子……ミャウと言うやつらしいが、あれは考え方によってはドーピングだが。元々の才能を開いたとも考えられる気がする。

他にもブラート兄貴の仮死状態にするものもこじつけで成功させた感があった。

 

「マスターキー 俺の眠れる才能を開け!」

 

試しに、開く鍵で自分の利き腕じゃない左腕にマスターキーを挿し込んで見て解除行動してみる。最近鍛えて、だいぶ筋肉質になっていたがそれでもスマートな肉質だった腕が突然筋肉でパンパンに膨れ上がる。左腕だけだけど、突然に力が湧き出てくる。

 

「これが、俺の帝具の奥の手か……」

 

才能の開花。いや、どちらかというとこじ開け……試しに落ちてる石を握り潰してみたら粉々になった。なんて言う力だろうか、ただ無理やりだからか凄い身体に負荷がかかってるのがわかる。すぐに、左腕に閉じる鍵を挿し込んで閉じる。

ここで、更に閃く。負荷をかけての鍛練はより俺を強くするのでは?身体全身をマスターキーで身体能力を軽く閉じてみる。1回全力で閉じてみたら、完全に動かなくなってしまったが、閉める具合によっては凄い無気力感だ。

この状態で、ブラート兄貴とタツミの鍛練の元へ向かう。

 

「おぅ、シメディー来たか」

「シメディーさんおはようございます」

 

2人から迎え入れられる。そして、素振り。いつもと全然違う。無理やり力を抑え込んでるから、全然木刀が振れない。

 

「シメディー調子悪いのか?体力が落ちてる俺よりも弱くなってないか?」

「あぁ、兄貴。帝具の実験の効果だ。自分の筋力の才能を閉じてみた」

「本当にシメディー、お前の帝具は謎の多い帝具だな」

「あぁ、俺でもまだ把握しきれてない」

 

その後、ブラート兄貴からの指示で抑えてた筋力を開放する。そして、タツミにはインクルシオを装備させて、ブラート兄貴とよくやっていた組手亜種。インクルシオの攻撃を掻い潜りながら、インクルシオを強制解除させる戦い。

ブラート兄貴の手加減状態と違って本気でタツミと組手をする。それでも、俺は成長してるから余裕でいなして行って、タツミのインクルシオを解除させられる。

 

「ちくしょー」

 

悔しがるタツミ。まだ、タツミはインクルシオに適合しきれていないのだろう。ただ、そこをブラート兄貴が慰める。

 

「シメディーはこないだの戦いで一皮むけたな。そして、タツミぃ。俺の相棒だったインクルシオがタツミに合わせて進化してた。俺では成長は止まってしまったが、タツミはまだまだ伸びる。俺が保証するぜ」

「あぁ、タツミ。俺からもだ。タツミの才能の伸び代はデカすぎる。たぶん俺の帝具で無理やり才能をこじ開けたら、たぶん今のタツミは才能のデカさで即死すると思う」

「シメディーの感覚は間違ってないだろうな。正直どんだけ伸びるか俺にもゴールが見えん」

 

俺たち2人からの評価が嬉しいのか照れてるタツミ。やっぱ、タツミのゴールがわからん。成長期なのだろう。俺が帝具を理解すればするほどタツミの伸び代が正直怖い。

 

 

 

ブラート視点

 

俺はあの戦いで死んだと思った。それでも生き残ってしまった。

今の身体の状況は、インクルシオ無しで全力を出すと8割くらいの身体能力だろう。そして、持久戦だと常に6割くらいだ。ここからどこまで復帰できるだろうか?正直、戦闘技術力はもう伸び代は無いだろう……

 

俺はこれからの使命はシメディーとタツミの指導だろう。この使命を全うしよう。

 

タツミ……お前は俺を超える。これは確実だろう。そして、シメディー。お前の力はこの腐敗した帝都の未来を開いてくれるだろう。この1つしか無い命。この命でその未来を俺は見届けさせて貰おう。

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