場所はマーグ高地。自然が牙を向く恐ろしい土地で、俺達は各自レベルアップのために新拠点ができるまで過ごすことになった。
「さて、では新メンバー紹介だ」
ボスは、改めて新メンバーをみんなに紹介するためにメンバーへ向き直る。
「まずは……」
紹介しようとした新メンバーの女、名前はチェルシーと言ってたが、再度紹介しようとしたらアカメに絡んでいた。
「アカメちゃんって近くで見るとほんとうに可愛いんだ」
アカメは突然のことに困惑しながらも照れていた。
「私はチェルシー。同じ殺し屋同士仲良くしましょ。これあげる」
飴を渡され速攻で餌付けされているアカメ。他のメンバーもやれやれって感じになっていた。タツミは、チェルシーが同じ殺し屋に見えないって、ボスに言っていたが。ボスは、アカメと同じくらい暗殺を成功させてるから見た目で判断するなとタツミに注意。俺も彼女には警戒しろと本能が伝えてくる。彼女は、俺と同じで侵入からの暗殺のプロだ。敵だったら、油断した隙を容赦無くついてくるであろう。蠱惑的な笑みを浮かべている。
「そして、こっちが革命軍本部から譲り受けてきた私の新しい帝具。電光石火スサノオだ」
使用する帝具と違って生物型だから負担が少なくボスでも使用出来る帝具らしい。寡黙でなんだか俺と近しいものを感じる。タツミが宜しくと手を伸ばす。そのタツミをじっと見て……
突然身をかがめ、ズボンから出てたシャツをしまって一言「よし!」との事。性格は几帳面らしい。一緒に生活してたら、俺は色々と正されてしまいそうだな。
レオーネが肝心の能力をボスに聞く。俺も気になる。アジト襲撃の時に見せた肉弾戦の強さ、驚きの力を持っているのであろう……
ボスは不敵な笑みを浮かべ、スサノオに命令をくだす。わかったと了承し、突然目まぐるしい程に働き出す。みんな凄いんだけど、これじゃない感の反応をする。
俺もそうだ。みるみるうちに、建築され料理を作り、その他の家事をこなして行く。
家事してるだけじゃんの言葉を聞き、ボスはスサノオを性能を話す。元々要人警護のために作られた帝具で、戦闘力はさながらつきっきりで守れるように家事スキルが完備されてるらしい。凄い便利だ。まぁ、ツッコミどころが多すぎて、ついには戦闘とは関係無いじゃんとマインが言ってしまった。だが、ボスは軽く戦闘方面での切り札もあると一言だけ言う。内容は教えてくれなかった。
目を離した隙に、チェルシーはマインを馬鹿にして遊んでいたし、ラバはスサノオをライバル視してた。と言うか、俺もスサノオからは目が離せない。なんであろう?キャラが被ってる。背丈も同じで寡黙。気配を殺すのが自然と得意になった俺が関係無く存在感薄れてしまった感がさいなめない。
そして、夕飯時。これからの作戦会議も含めて、皆での食卓。大世帯になったから賑やかだ。
「俺たちはしばらくここを動けない」とタツミが事実の再確認。
「イエーガーズの存在が犯罪を抑制しているようだ」アカメが返す。
そして、ボスが口を開く。
「その通り。今の内に鍛練しておこう。即戦力はもう挑めそうにない。これがナイトレイド最後の人材補強だと考えてくれ」
ー皆で任務を果たし、生きて革命の日を迎えようー
アカメ、レオーネ、ブラート兄貴、シェーレ、ラバ、マイン、タツミ。そして、新メンバーのスサノオとチェルシー。もちろん俺も無言で肯定する。
俺たちナイトレイドがマーグ高地と言う秘境にきて、はや1ヶ月。色々な事があった。
人の住めない秘境と言うだけあって、鍛錬の質がまず大幅に上がった。戦闘特化組の成長は物凄く著しい。日夜、危険種達を狩る食うか食われるかの弱肉強食の世界で、己の野生を開放させていく。ブラート兄貴がインクルシオ無しでもまだ成長するのかってぐらいどんどん強くなっていく。それに釣られて、俺とタツミも強くなる。アカメとレオーネは別方面でどんどん野生に適応していってた。シェーレはわからん。殺しの才能があったと言ったが、人と危険種は違いすぎるがシェーレの帝具は切れない物は無い帝具。ある意味危険種に囲まれても無双していた。
戦闘員じゃないメンバーは各々が帝具との親和性を高めることに時間を割いていた。
帝具は、トンデモ性能だがその性能を100%引き出すには、やはり理解が必要。俺が成長する毎に、マスターキーも応えてくれる。そんな感じで鍛錬が続く日々。
あるお方が、お怒りになった。
マインさんである。敬称つけるレベルでぶちギレである。日夜、チェルシーによってからかわれ弄ばれるマイン。しかも、ナイトレイドは甘すぎの仲良しこよしでそんなんだと死ぬよって態度。いかにも余裕な態度から、マインさんはギャフンと一泡ふかせてやりたいと、タツミとラバを連れて作戦会議を行っていた。俺は、面白そうだなと影から見ていた。
マインさんの指示は、単純明快。タツミとラバでなんとかチェルシーをビックリさせろとの事だ。そして、マインはそこを馬鹿にしてやるからと言って作戦をぶん投げる。
タツミとラバは2人でどうすればいいかを考えていたが、ラバが突然。風呂時にビックリさせようと提案。最もらしい事を言っているが、ラバも安全圏からどれくらいが許容範囲なのか調べようと魂胆だなこれは。
チェルシーの帝具。変身自在(へんしんじざい)/ガイアファンデーション。化粧の帝具。使用者をあらゆる姿に変身することが可能。任務だけなら俺と相性最強の帝具かもしれない。侵入の手引きを俺がして、標的の始末。そして、逃亡の手伝い。それだけで様々なターゲットが暗殺可能になるだろう。
タツミがチェルシーの入浴中にインクルシオの奥の手の透明化で侵入する。
俺は別の方面から気配を殺し侵入していた。だが、タツミはダメだな。気配がまるわかりだ。いくら透明になれると言っても、消えていなくなるわけでは無い。存在感が残っている。
逆に、チェルシーはガイアファンデーションで姿をスサノオに変えていた。チェルシーがタツミに気を取られてるうちに、俺は別の死角から、近づき。ここで第3勢力として、チェルシーに一泡ふかせて見せようじゃないか。
タツミが、透明化状態でチェルシーに近づき風呂桶を持つ。さて、イタズラ返ししようとして立ち上がりタツミの方を向いた瞬間に、マスターキーでチェルシーの変身を強制解除させる。
「きゃーーーーー」
2人の思惑が上手くいかなすぎて、少し笑えるな。
「ふっ、タツミ。インクルシオは姿を消せるが気配を消せる訳では無い。ブラート兄貴も言ってただろう。そして、チェルシーはタツミに気づいて余裕かましていたが、更にやり返された感覚はどうだ?」
イタズラが成功して、ちょっと調子に乗ってしまった。その瞬間、少し涙目で頬を赤らませチェルシーは俺の方を向いて、思いっきりビンタする。完全に調子に乗ってた俺はその一撃を避けることが出来ずに、お湯の上に浮く……
「シメディーまで参戦してくるとは思わなかったわ。しかも、私が言いたいことまで言って……私はイタズラするのは好きだけどされるのは嫌い」
だいぶ、怒である。
「タツミ、そこのアホが言ったように気配でまるわかりだったよ。アホはそれを利用して更に気配を殺してやり返されちゃったけど……透明になっても、気配や存在感は消せないから気をつけなさいねぇ。この事を忘れると簡単に死ぬから……」
「参りました」
タツミは降参する。
「私はさー、ついこの間……仕事から帰ってみたらチームが全滅なんて体験したからね。ここの連中にはそうなって欲しくない訳よ。仕事の報告書見た感じ、本当に誰かしら欠けてもおかしく無かった状況も多々あったし……」
チェルシーは、甘いところもあるみたいだ。そもそも入浴中に男が2人いるのに、普通にタツミに説教をしてくれて……タツミもそう思ったのか、笑顔で
「チェルシーも結構甘いじゃないか」
うーん、天然。とりあえず、俺もさりげなくタツミのとなりで正座の姿勢をして存在感を消していたが、そんなタツミに一言でチェルシーは恥ずかしくなったのか。お湯をぶっかけてきた、俺にもかかってしまった。しかも、ビンタされたところに染みる。
「違うわよ。私の精神衛生上の問題ね」
「あと、2人とも。今度入浴してる時に入ってきたら切り落とすから覚悟してね……いや、シメディーは今切り落として良い?」
ひぃっ!!悪ノリしすぎた。やっぱ女性は怒らせちゃダメだ。
夜更け、チェルシーから俺個人は呼び出される。開口最初に俺は土下座して、チェルシーに赦しをこう。
「先程は、誠に申し訳ございませんでした」
「もう許すよ……でも、本当に次は切り落とすからね……ってそんな話じゃなくて、貴方の事教えて欲しいな」
チェルシーとは、この秘境に来て1ヶ月近く経つがこうやって腰を据えて話すのは初めてだ。
ただ、さっきの隠密での事で興味を持たれたのか俺の昔話を聞いてくる。特に隠すことでも無いからつまらない過去の事を話す。プロのチェルシーからも、それで良くそこまでの技術を身につけたねと賞賛された。代わりにチェルシーの過去を教えてもらった。殺し屋になった経緯は、貴族の侍女になったら貴族が腐っててたまたまガイアファンデーションと適合したから、その貴族を暗殺してこっちの世界にやって来たらしい。俺や他のナイトレイドメンバーと一緒でこの世の中を変えたいって事らしい。理念の一致。それに帝具の相性も良い。これから、一緒に仕事よろしくと言われ、俺も「あぁ」と一言返す。この感じなら、チェルシーとも上手くやって行けそうだな。