帝国1000年の歴史を閉じる   作:o-17

2 / 26
2話 悪徳貴族家を閉じる

 

 

何もかもから解き放たれた俺は根無し草の犯罪者になった。

 

生きるのには金がいる。特にこの帝都の『人の形をした魑魅魍魎が我が者顔で跋扈する』……いくら貴族達が圧政をし民が苦しむ世の中とは言え、自分も人の道を踏み外した自覚はある。

 

そんな俺が始めたのは、悪徳な官僚を狙った殺人強盗だ。噂なんてものは、どこにでも転がっている。その噂を頼りに、貴族の屋敷へ俺の鍵を使い侵入。証拠を見つけ次第、天が裁けぬ悪を闇の中で始末する……

正義の味方になったつもりは無いが、父と同じように人の皮を被った化け物を処理しては、生きるために盗みを行う。

 

今、この帝都では『ナイトレイド』と呼ばれる殺し屋集団もいるらしい。俺がヤってる事は、運が良くなのかナイトレイドのせいになっているらしい。まぁ、自分も生きるのに必死だし。何処かネジが外れてしまったのだろうから、罪悪感なんてものは無い。

 

今日は、地方から出稼ぎにやってきたものを言葉巧みに攫っては、様々な方法で拷問や薬の実験をし楽しんでると噂のある貴族の家にと侵入していた。

 

闇に紛れるのが上手くなったのか、気配を殺し貴族家の敷地に侵入する。開かない扉は、自分の鍵を使い開けて、侵入の痕跡を隠すために普通に施錠する。帝具、始皇帝が作ったするこの世の摂理すら無視するイカれた道具。これのおかげで俺は飢えを凌げてる。

 

それは、置いておいて。火のないところに煙はたたない。噂の拷問現場を抑えるために、敷地内にある明らかに何かを隠しているであろう倉庫へ侵入を試みる。闇の静寂の中、怪しき倉庫からは特に音は聞こえていない。

 

「マスターキー 解除」

 

倉庫の中に入ると、血と死の匂い。この感じ何度味わっても慣れない。吐き気を催す……クロ確定。歳若い、女性が宙吊りになり身体には鞭の跡で、痛みによってか死んでいる。

 

檻の中には、何かの実験にされたか病毒で生きているのかわからない若い男。必死に檻から手を伸ばしているが、俺の侵入には気づいてない。絶望に支配された空間。

 

積み上げられた死体の中に身を潜み。ターゲットが侵入してくるのを待つ。

本当にこの国は腐敗しきっている。何件も襲ったが、こんなのばっかだ。

 

気配を殺し、時が来るのを待っていると微かに金属がぶつかり合う音が聞こえた。外で戦闘でも起こっているのか?感覚を研ぎ澄まして行くと強い殺気を感じる。自分の中で強い警鐘が鳴り響く。夜襲……これは、ナイトレイドの本物様とブッキングしてしまったか?殺し屋集団『ナイトレイド』、今の自分が見つかったら罪の擦り付けで、殺されてしまうかもしれない。早まる鼓動を必死に止めて、静寂を待つ。

 

 

ガゴォ!!!!

 

 

この倉庫の扉が吹っ飛ぶ。なんてパワーだ……より見つからないように様子を窺いながら気配を殺し死体の中に紛れる。

 

「見てみろ… これが帝都の闇だ」

 

金髪の女が言葉を発す。俺が持っている鍵と近しいものを感じる。帝具か……しかも、力を強化するようなインチキ道具か。見つかったら瞬殺だな……

 

若い男女が倉庫内に入ってくる。そして、茶髪の男は発する。

 

「な なんだよ… コレ……」

 

この惨い光景を見るのは初めてみたいだ。この腐敗しきった帝都では当たり前の事だ。地方から上京を憧れて出てきた田舎者かな?俺は慣れてしまったが、これが帝都だ。

 

「地方から来た身元不明の者達を甘い言葉で誘い込み己の趣味である拷問にかけて死ぬまで弄ぶ」

 

少年に説明しながら、俺が隠れている死体の山をチラリと視線を向ける。やばい、バレたか……心臓の音よ。止まれ。絶対絶命のピンチにマスターキーが使えと問いかけてくる。自然と左胸の心臓部分に鍵を差し込み閉じる。鼓動が止まった。やべ、死ぬ。

 

「む?気のせいか?いや、少年……それがこの家の人間の本性だ……」

 

間一髪セーフか、無理やり止めたせいで身体が動かない。意識も飛かけるが茶髪の少年と金髪の女が話を続けるのを聴覚が拾い続ける。

 

「サヨ……おい、サヨ」

「知り合いもいたのか?」

 

この家のお嬢様らしき人がこっそりと逃走を始める。気がそっちに向いた。マスターキー、心臓よ開け!!

取り囲んでる人たちの意識が完全にそっち行ってくれたおかげでそのまま死体の山の1部になるとこだった……

 

「この家の人間がやったのか?」

 

茶髪の少年が声を震わせながら尋ねる。

 

「そうだ。護衛達も黙っていたので同罪だ」

「ウソよ、私こんな場所があるなんて知らなかった」

 

嘘だな。このお嬢様も同罪だろう。

 

「タツミは助けた私とコイツらどっちを信じるのよ!!」

 

「タツミ……タツミだろ?」

 

俺の侵入に気づかなかった意識が朦朧としてた男が話し出す。死の匂い的に、こいつもう死んでると思ったのだが……

檻の中の男が経緯を説明しだした。聴くだけで虫酸が走る。

そしたら、お嬢様が開き直って怒号で叫び始める。本当に貴族は腐ってやがるな。今すぐ飛び出て殺してやりたい……

 

「俺が斬る!!」

 

少年の叫び声と共に人肉が斬れる音が聞こえた。少年がやったみたいだ。何も知らない少年が私怨とは言え、思い切りが良いな。

 

その後もナイトレイドと少年はやり取りをし、ナイトレイドは少年を連れて去って行った。

 

 

 

「ふぅ、死ぬかと思った」

 

 

ナイトレイドの詳細が、俺と同じ悪徳貴族等専門の殺し屋とわかったが、俺はこれからどうしようかな?と死の匂いのキツイ倉庫から出て。闇夜に紛れていくのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。