IS学園のひねくれ少女   作:ひきがやもとまち

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第21話

 チュンチュン・・・・・・。

 窓の外から、早く入れろとばかりに朝日が差し込んできていた。目覚めを促すかのようにスズメも鳴いている。

 

 そんな穏やかなる朝のまどろみタイムを一秒でも長く愉しむため、俺は爽やかなる朝の風景には背を向けて、至福の時を延長させるため部屋の扉側へと寝返りをうつ。

 

(もうすこし・・・もう少しだけ・・・・・・)

 

 朝日と共に、早起きは三文の得とかの普段言ってる道徳論にも背を向けて、おそらくこの時間を愉しまない人間はいないだろう間違いないとか、心の中で理屈ごねて寝ぼけ頭で理論武装して自己正当化しつつ、IS学園で唯一の男子学生でもある俺、織斑一夏は久々に訪れた穏やかな朝のまどろみタイムを満喫し続ける道を選択していた。

 

 思えば、先月は色々なことがあった。

 シャルロットとラウラがいきなり転校してくるところから始まって・・・・・・その後もなんか色々とあった。ありまくってた。

 

 ――だから疲れてるんだよ、寝させてくれよ・・・。もうすぐ夏休みが始まる時期だからって、夏休み始まるまで待てとか言うのは学生にはチト辛い。

 学生は夏休みこそ忙しくなるもの、だから今の内から休んどくもの。基本です。

 

「ん・・・・・・」

 

 俺はそう思いながら、寝返りを打った拍子に身体ごと向きを変えてた右手を、反覚醒状態の脳ミソらしい行動として意味もなく僅かに「ピクピクッ」と痙攣するように動かして――

 

 

「――んっ! ・・・あっ♡ ・・・・・・です・・・」

 

 と言うような声を間近で聞かされて―――待てい、と一気に脳を完全覚醒させられるに至るのであった。

 

 がばっ!と布団から起き上がり、本能的なナニカを感じさせられて脳裏にキュピーンと光が走ったような気がして、空飛ぶ白鳥とか女の人の全裸とか変なものが色々と見えちまったような幻覚を見せられながら、ガバッ!と勢いよく残っていた布団の半分もめくり上げると、そこにいたのは―――っ!!

 

「ら、ら、ラウラ!?」

「・・・・・・ん・・・にゅう~・・・・・・?」

 

 驚いたことにドイツの代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒだったのである! 先月転校してきた色々あったヤツの片割れであるコイツが、なぜ朝から俺の部屋に!?

 いやしかし、今の問題はそこではない。そんな些細な問題はどうでもいいのだ。

 今、問題にすべきなのはただ一つだけ。

 

 ・・・・・・なんでコイツ、服着てないわけ・・・・・・?

 

「ん・・・・・・ふぁ~あ・・・あ、ヘンタイお父さんです・・・おはようございますです・・・・・・んにゅぅ・・・」

「ば、バカ! 隠せ!!」

「・・・んにゅぅ~~~・・・・・・」

 

 ――ダメだ。完全に寝ぼけていやがる・・・。俺も混乱の極地だってのに、自分でこうなった原因考えるしかないらしい・・・。軍人モードで覚醒してくれたら一発そうだと思ってたのにクソゥ・・・。

 

 というのも現在、ラウラは何も着ていなかった。全裸なのである。

 衣服は何一つとして纏っておらず、身につけてるのは左目の眼帯と待機形態のISである太股のレッグバンドのみ。

 そんな姿で、見た目だけは抜群にかわいらしい少女が両目をグシグシこすりながら、長い銀髪が腰のラインを撫でている光景を、朝っぱらから間近で見せつけられてみろ。

 ・・・男として色々とヤバくなるぞ。特に朝は、男として色々な場所が。口には出来ない理由と生理現象として色々と・・・っ。

 どうしてこうなったか理屈でも考えなきゃやってられん!

 

「・・・ん~~・・・・・・あれ? です・・・。ココどこです・・・? お母様いないです・・・」

 

 ――そしていきなり結論が出たって言うか、相手からもたらされた。

 ・・・単に寝惚けて部屋間違えただけだコイツ・・・・・・。

 

「はぁ・・・なんだ。朝から驚いて損した・・・・・・って、それとこれとは違うわ! 服着ろ服!!」

「んにゅぅ~~~・・・・・・あれ? なんでラウラお洋服着てないです? ヘンタイさん、脱ぎ脱ぎさせてくれたですか?」

「するか!?」

 

 してたら死ぬわ! 主に俺が社会的に抹殺させちまう!! 女尊男卑関係なく、現在この光景の俺たちを見て俺がラウラの服脱がしてたと知ったら確実に俺が消されるわ! 俺だけが消されちまうわ! 色々な場所から非難受けまくって全ての場所から抹消されちまうだろうが絶対に!?

 

「・・・・・・ん~~~・・・えっと、たしかラウラ、お外が暗いときにオシッコいきたくなって、おトイレいって・・・・・・えっとえっと・・・・・・あ! そうでした! おトイレでオシッコするときお洋服ぜんぶ脱ぎ脱ぎしちゃったんでした! 忘れてました!!」

「なんでだよ!? なんでトイレで全部脱いでんだよ!? 外国人かッ!?」

 

 いや、ラウラは外国人なんだけれども! あと外国だとトイレでも全部脱ぐってのは都市伝説だってことぐらい知ってんだけども!

 それやっちゃってるヤツが目の前に今いるからな!? 俺は悪くねぇぞ! 全部今回だけはコイツが悪い! 絶対にだ!断固!!

 

「お母様に買ってもらったパジャマ置いてきちゃダメですーっ!? 取りにいくです! 急ぐです急ぐです! キィーンですゥゥッ!!」

 

 そして我を取り戻して(最近はお子様モードが長くなって、軍人モードには戻ってくれなかったが・・・)大慌てで自分が服を脱いだまま置いてきたらしいトイレへと戻っていこうと布団を飛び出すラウラ。

 まぁ、よく考えてみたら女子トイレの個室に女の子用のパジャマだけ置いてあって、着ていた本人は自分の部屋にも他の女子部屋にも姿が見えなくてって、それホラーかなにかだもんな。早めに自体終息するのに越したことはないわ本当に。

 

「え。あ、いや待てラウラ。流石にその格好で外出ていくのは問題ありそうだから何か羽織るものでも貸してや――」

 

 そして俺が気を利かせて、自分の部屋にあるタンスの引き出しを開けてやって適当なTシャツを取り出してやった、丁度その時のこと。

 

 

 かちゃり。

 

 

「い、一夏。入るぞ。先日の一件への謝罪も含めて、朝食を一緒にしようと思ったのだが――」

 

 

 タイミング悪く、箒が部屋に入ってきちまって。

 

 

「はじめて~のチュウ~♪ キミとチュウ~♪ アビふんふんふ~んふ~んです~♪」

 

 

 ・・・・・・トドメとしてラウラが、どっかで聞いたことある古い子供向けアニメのエンディングテーマを日本語の部分だけうろ覚え丸出しで歌いながら、箒の横を走って出て行っちまいやがったのだった。

 満面の笑顔で楽しそうに、嬉しそうに。――そして見た目は美少女が、全裸で。

 

「・・・・・・・・・」

「OH・・・・・・」

 

 思わず日本人であることに誇りを持つ俺が、英語で絶望の呻きを上げちまうほど、絶望的すぎる危機的な状況・・・。

 流石の俺でも、この状況で誤解するなと言うのは無理なのが解っちまうほどのレベルだったが、それでも誤解だ。誤解は誤解なのである。事実無根だ、それでも俺はやってない。

 

「・・・・・・一夏」

「お、おう。なんだ箒?」

 

 若干以上腰が引けながら、それでも俺はそれ以上は退かない覚悟を決めて――どのような言い分だったら箒の怒りを少しでも減らすことが出来るだろうかと真剣に本気出して考える方向にシフトしていた。

 なぜ相手が怒っているのかは正直言って解らない。それでも今の状況は謝るべきであり、理由説明によって情状酌量の余地を認めてもらう以上のことは不可能なのだと俺の本能が告げてきていた。

 無罪判決は不可能。なら後は罰を如何にして軽減するかだけ・・・っ。

 旧友が見ている横で一緒に見ていただけの古い刑事ドラマが、こんなところで役に立つとは思わなかったぜ・・・セレニア、狙ってないとは思うけどグッジョブ!!

 

 

「一夏・・・・・・私から貴様に聞きたいことは一つだけ。――神への祈りは済ませたか・・・?」

「いきなり有罪判決からかよ!? 裁判の体すら取り繕う気ゼロですか!?」

 

 ヒデェ! 被告の弁護も犯行動機の説明とかもなしなんて横暴裁判にも程がある!

 あと、最後に聞いてる質問は聞いてねぇよ!質問じゃねぇよそれ!? 単なる死の宣告だよその言葉は!

 ラウラが飛び出していくのを見た瞬間から固まっちまって、動かないままになってる箒の顔が今の俺には死神かなにかに思えてならない!!

 

「貴様の事情がどう変わろうと、助平男に下される判決は何一つ変わることはない・・・・・・。

 即ち、『色・即・斬』浮気者は全て殺す。それが私の武士道だ!!!」

「それ武士道じゃねぇよ絶対に!? なんかヤバい人斬り集団三番隊組長だけの正義だよ! あと篠ノ之流の活人剣どこ行った!?」

 

 理由は謎だが怒りと憎しみに目と心が曇りまくって、完全に我を忘れているらしい目が血走ってる箒に言葉での説得試みてみるけど、通じない。もはや俺の部屋が血風と白刃の飛び交う魔の部屋と化すことは避けようがなくなっちまっていた!!

 

「チェストォォォォ!!!! 一夏! 死ね! 大人しく死ね! 許しを求めて希え!

 そして首を刎ねられろォォォォォォッッ!!!!!」

「何を言ってるのか分かってるのかお前は!? 結局殺されることに変わりねぇだろ! その理屈だと――って、うぉわぁぁああぁぁッ!?」

 

 ズガバキドカボカすぱん! スパン! スパパパパンッ!!!

 

 

 

 ・・・・・・こうして朝っぱらから俺の部屋は、狭いながらも鈍い光を放つ冷たい刃が振り回されてベッドとか色々なものが切り壊されまくる中を俺が悲鳴上げながら逃げ回る大逃走劇の場所と化し、隣の部屋とか上の部屋とか下の部屋の人とかに騒音被害をかけまくる戦場へと久々に舞い戻ってきてしまったのであった・・・・・・。

 

 そんな感じで、俺にとってIS学園最初の夏休みは近づいており、新しい季節が俺たち全員にも訪れようとしていた。

 それが新しい戦いのステージの始まりを意味するものでもあること、この時の俺たちはまだ知らない―――。

 

 

 

 

 

 ―――が、それは未来の話として今の俺たちのその後はどうなったかと言うならば。

 

 

 

「・・・で? 今度はいったい何があったんです? 毎度のことなんで、どうでもいいっちゃいいんですけれども・・・」

 

 朝のトラブル騒ぎがあってから時間が過ぎ、事件現場から場所も変わって一年生寮の食堂にて、私こと異住セレニアと友人知人旧友の皆さん方は同じテーブルで朝食を共にしながら今朝の事件の概要・・・は今更どうにもならないので良いとして、今起こっている結果についての説明を織斑さんに求めながら食パンにバターを塗っておりましたとさ。

 

 ちなみに席順は、私の正面に織斑さん。織斑さんの右隣に凰さんが座って、私の左右にオルコットさんとボーデヴィッヒさんです。

 ・・・なんか、学園ラブコメ世界の割には男女の人口比率がビミョーな気がしなくもないですけど、今気にしてもどうにもならないのでスルーしときましょう。面倒くさいですし。

 

「――チッ。なんであたしが一夏の隣で、セレニアの隣がセシリアになってんのよ・・・。コレって絶対おかしいわ、世の中間違っている。こんな世界しか作れなかった神なんてポイズン」

「・・・そんな恨み言を横から聞かされながら朝飯食わなきゃいけない俺よりかは、まだマシな世界を与えられてると思うのは俺だけか・・・? 鈴・・・」

 

 織斑さんが自分の隣の席から凰さんが、私の横に座ってエッグサンドを食べているオルコットさんに恨みがましい視線を向けながら言ってきてる恨み言を流れ弾のように聞かされながら愚痴を言いつつ納豆をかき混ぜています。

 競い合った末にジャンケンの結果とは言え・・・織斑さんには申し訳ないことをしましたよね本当に・・・。後で謝っておきましょう。

 あと、できればボーデヴィッヒさんにもたまにでいいので別の位置で朝ご飯食べれるようになって欲しいんですけど・・・・・・子供には勝てないんですよなぁー。基本的に私全員が一人残らず絶対に・・・。

 

 まっ、それはそれとして置いとくとして。

 

「“アレ”。一体何がどうなってああなったんです・・・?」

「・・・・・・俺に聞くなよ・・・。俺には決定権がない問題だったんだよ本当に・・・」

「いやまぁ・・・分かりますけどね・・・たしかに」

 

 はぁ、と思わず吐息してしまいながら分かっていても聞かずにはいられなかった自分の未熟さを自嘲しつつ。

 食堂の一角に目を向けて、また溜息を吐かざるを得なくなってしまうしかない今の私。

 

 ・・・・・・ザワザワザワ・・・ヒソヒソヒソ・・・・・・。

 

 周囲の席に座る女子生徒たちがヒソヒソ声で話してチラチラ視線を向けてる方向に、“彼女”はいました。

 生まれ変わるときに少しは与えられてた原作知識によるところだと、この世界《インフィニット・ストラトス》のメインヒロインに当たる人だとかで、私はあんまし今のとこ面識は多くないのですけど織斑さん繋がりで顔と名前は知ってて会話したことぐらいはある相手。

 

 篠ノ之箒さん。

 彼女は今、生徒たちでゴッタ返す朝の学生食堂の一角で“正座”させられて、皆の注目を集めさせられておりました・・・・・・。

 

 そんな彼女の頭上には、張り紙でこう書かれてあります。

 

 

『以下の者、先月の不祥事に続いて今月も騒動を起こした罪により観察処分とする。

 一年一組、篠ノ之箒。・・・以上、一名』

 

 

「く、屈辱だ・・・っ! なぜ私がこのような生き恥をさらす羽目に・・・・・・ッ!!!

 お、おのれ一夏・・・っ。これも全て貴様のせいで招いてしまったもの・・・この恨み晴らせでおくものか一夏ァァァ・・・・・・ッッッ」

 

 

 ――と、なんか武士からジョブチェンジして映画『陰陽師』で退治される側の人みたいになっちゃっている姿を遠目に見ながら溜息を吐き、私は織斑さんの説明を受け入れて納得して・・・この件はどうしようもなかったこととして見て見ぬフリをしようと心に決めたのでありましたとさ。だって本気でどうしようもないですし・・・。

 さすがに国立学校が税金で賄ってるタンスとかベッドとか机とかの家具を総取っ替えする自体を免罪してもらえるだけのコネとか権力なんて私にゃありません。

 

 怒りに駆られて自分が壊しちまったものに対する責任は自分が取らされるのが当然のこと。『余計なこと言われなければ怒ることもなかった』とか『そもそもアイツがやったことが悪いのではないか』とかいう気持ちの問題ではなくて、『物を壊してしまった』それ自体の罪だけを問うて罰するのが、この手の罰則の基本的あり方ですからねぇ。

 

 ケスラー憲兵総監が言ってたセリフにある通り、『あなたのご主人が摘発されているのは、よき夫で優しい父親だからではありません。私事で非があったが故に獄に下された訳でもありません。誤解なさらぬように』

 ・・・アレが一番正しい罪と罰へのスタンスだったなぁーと子供心に思ったのを覚えていますので、私も斯くありたいと誓っている次第であります。だから無視。

 

 

『私は男の部屋に勝手に入り込んで暴れたメスブタです』

 

 

 ・・・・・・などと書かれたプラカード下げさせられてる姿は、目に入りませんよ無視してますからね・・・。

 なんか似たような景色を、『相州戦神館学園』で見たことあるような気がしましたし、同じ目に遭わされてたキャラクターも人切りに罪悪感感じないシリアルキラーだったなぁとかも思い出さないわけでもありませんでしたが、ぜんぶ無視です無視。

 

「まぁ、とりあえず夜に勝手に出歩くのは辞めましょうね? ボーデヴィッヒさん。

 起こしてくれたら夜でもついて行ってあげますから、次からそうして下さい。分かりましたか?」

「ふぁいですお母様! ハグハグ」

 

 元気よく返事をしながら、パンを頬張り続ける手は離そうとしないボーデヴィッヒさん。

 うんまぁ、子供なんてそんなものです。道理を説いても始まりません。責任者である織斑先生が処罰なしと決定されてるんですから、生徒の私としては従っとくのが筋というもの。

 

「ヒイキだ・・・・・・差別だ・・・・・・。日本の子供に対する処罰は甘すぎる!」

「身内贔屓されまくりのアンタが言うと全然説得力ないんだけど・・・まぁでもセレニアがときどき子供相手にだけはヒイキしやすくなるのは同感よね。

 ・・・あたしだってチッコイのにチクショウ・・・」

「わたくしも鈴さんに同感ですわ。機会均等法の適用を求めますわ。ただしセレニアさん限定で、他は差別ありありで貴族特権による優遇もセットにして」

「え~と・・・・・・これ僕まずいタイミングで到着しちゃったのかな? なんか話題的に僕が入り込まない方が良さそうな気がして仕方ないんだけど・・・」

 

 そ、そうこうしている内にデュノアさんもやってきて空いていた織斑さんの隣の席に座って朝食を食べ始めておりました。

 先日の一件で一応の解決は見て、学園に居続けられることが正式に許可され、本当の性別も明かして制服もスカート姿に変わりましたけど、今まで気にし続けてきた過去をスッパリサッパリ忘れ去って気にせず生きていくことはまだ難しいようです。

 

 もっとも私個人の意見としては、バレて起訴されて刑事事件と認められない限りは犯罪ではないので別に良いとは思っているのですけれども。

 犯罪者が求めているのは、被害者からの許しではなく、自らの犯した罪の意識からの救済でもなく、ノットギルティー・・・・・・『無罪判決だけ』です。それ以外は必要としません。

 それが法に基づく裁きというものですから。イヤなら主観的正義で犯罪者殺しまくる新世界の神様にでもなるこってす。

 

 ま、それもそれとして置いといて。

 

 

「今日は通常授業の日だが、来週からは校外特別実習がはじまる。全員忘れ物などするなよ。三日間だけだが学園を離れることになるのだ、自由時間だからと羽目を外しすぎないように。――ではSHRを終わる」

 

 無事に朝食も終わって、またしても場所が変わって教室に移動してSHRが始まって終わりました。

 きちんと時間は経過してるはずなのに、何も異常事態が起きなければ言葉で説明するだけだと、ワープしたようにしか見えようがないのが日常の欠点ですよね・・・。名探偵や熱血刑事とかが毎度のように変な事件に遭遇して解決に時間かけまくってる理由が分かった気がいたします。確かにこれは間が保たん・・・。

 ちなみに実際に日本で起きてる殺人事件の大半は、起きたその日に容疑者絞れて数日中には事件解決。犯人は身内で、動機は色恋沙汰の怨恨とお金絡みのトラブルがほぼ全てだから目星もつけやすくて、感情的になった発作的犯行だから証拠もありまくりでアッサリ逮捕が定番パターン。捜査本部が設置されることさえ希なのが現実社会。・・・劇的にでっち上げないとフィクションは成り立たんと言いたい気持ちも分からなくはないですよねぇー、本当に・・・。

 

 

 まぁ、それもそれとしてコレも置いとくとしまして。

 

 

「校外実習・・・臨海学校ですか。たしか正式名称は『ISの非限定空間における稼働試験』だかなんだかいう、口実くさいメインテーマが掲げられてた学校行事のために、国民の血税使って購入して維持している国保有のプライベートビーチと別荘を使用する、汚職と横流しと上流国民のみに許されてそうな特権的イベントごとの」

「そういう穿った見方をわざわざ意図的にしたがる上に口にも出したがるから、お前は先生方から臨海学校の間中監視される羽目になって、今こうして俺と二人で罰掃除をやらされてる羽目になってんだからな? いい加減、柔らかくなれよ本当に・・・」

 

 織斑さんから言わずもがなのことを言われて、そっぽを向く私ッス。

 ひねくれ者は素直な受け取り方をしたくないから、ひねくれ者と呼ばれてるんだい。好きでやってることなんですから別に良いんですよ。あくまで私にとってはの話ですけれども。

 

 今の時間帯は放課後。暮れなずむ町の景色は見えない距離にあるIS学園の教室内で、私と織斑さんは今朝方の一件で織斑先生をお冠にさせてしまった罰として、教室内の清掃を課せられておりました。

 尚、特に何も悪くなかったはずの織斑さんまで罰を受けているのは、ボーデヴィッヒさんの代理だそうです。

 

 ・・・おのれ織斑先生め・・・。直接本人ではなく周囲にいる隣人を巻き込ませることで罪悪感を煽ろうとは卑劣な手を講じてこられる・・・。

 効果あると自覚させられている分だけ、余計に恨みが積み重なるじゃないですか全くもう・・・。

 

「・・・まぁ、今回の件は完全に私のせいです。織斑さんには巻き込んでしまって申し訳なく思ってますよ・・・」

「ん? ああまぁ、反省してくれてるならいいさ別に。掃除は好きだしな。普段使ってる教室の掃除だと特に」

「そう思ってくれること自体は、ありがたいんですけどねぇ・・・」

 

 はぁ、と溜息を吐かざるを得ない私。こういう時に自分の未熟非才さはやたらと腹が立ちますよねぇ本当に。

 なんにせよ、相手の好意に甘え切って『相手が良いって言ってんだからそれでいいじゃん』的な考え方に基づく意見と、自分が迷惑かけた相手になんの賠償もしないのとでは話は別物。きちんと迷惑かけた分はナニカの形で補填してお返しするのが私流のやり方ですし。

 

「私の方が、それだと気が収まりませんよ。今後の関係で気まずくなるのもイヤですし・・・・・・なので織斑さん」

「ん? なんだセレニア?」

 

 

 

 

「私と付き合って頂けませんか?」

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

 

 

 

 

 セレニア、慣れない自体で珍しくお約束展開をするの段。

 

 

 つづく

 

 

 そんな訳で次回は、セレニアと一夏のお買い物イベントです。

 ぶっちゃけ、書いたことない原作シーンなので書きたくなった作者思考♪

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