夏の特殊訓練を終えたヒナたちは、仲良くバーベキューを楽しむのだった。
シャーレの先生が送ってくれた特性の焼肉を楽しむ一方、先生はヒナと友を守るために奔走していて…??
ヒナたちは無事にゲヘナに生還できるのか?
先生は、ヒナたちに気付かれずに事件を解決できるのか?
「委員長っ!早く早く!」
「走って転んだらどうするんですか?ついて来てください!」
「はぁ… 了解。今行く。」
質感の良い銀白色の髪が、夏風になびく。
「みんな、ちょっと急ぎすぎ。ちゃんと装備はもった?」
きゃしゃな体ながら、その後ろ姿は威厳があり、高貴ささえ感じさせる。
コンパクトな顔にはおよそはまらない麦わら帽子は、どこか古ぼけている。何年前のものだろう。
気だるそうな雰囲気を醸しながらも、少し頬を緩ませながら、仲間のもとへと足を進める彼女。
今日もまた、青春の一ページが幕を開けるようだ。
「じゃあ…訓練開始」
冷たいようで、どこか品のある声が浜辺に響く。
「はいっ」
彼女の一声で他の面々が一斉に動き出す。
各々が身軽に動き、敵に見立てたマネキンに切り込んだ。
「そこ。もうちょっと姿勢をひくくして。」
「イオリ。いつも言ってるけど、あなたは突っ込みすぎ。」
隊員の動きはみな機敏に見えるが、彼女は的確な指示を出し、その精度をさらに上げていく。
その姿はさながら、戦場の総指揮官であり、参謀であり、頼れるリーダーでもある。
生徒たちが憧れと尊敬のまなざしを彼女に向けているのは、誰から見ても明らかだ。
「みんな。お疲れ様」
すっかり昇り切った太陽。
暑さからの疲れか、きれいに組まれていた隊列も崩れ、笑い声がこだまし始めた。
「ヒナ委員長!今日もお疲れさまでした。いつお帰りになるのですか?熱中症にはなっていませんか?水分をしっかりとってくださいね?委員長の本日の運動量からして…」
「はいはい。ちゃんとお水のむから。アコ。心配してくれてありがとう。」
少し遮るように返した彼女。
大きすぎる帽子に隠れてよく見えないが、口元は笑っているように見える。
ゲヘナ学園。彼女らが通う学校は、荒れに荒れていた。
美味な食事にありつくためなら手段を選ばず、どんなことにも手を伸ばす美食家、
地下から湧き出る湯を愛し、無限に掘削し続ける武装集団、、
毎日毎日爆破爆破の学園生活は、決して平和と呼べるものではない。
そんな学園の平和を守るための組織である、風紀委員会。
その委員長、空崎ヒナ。
彼女の圧倒的な実力は、学園都市全体に名が轟くほどであり、彼女を恐れて事を成せない勢力も数知れず。
そんな彼女は今日、委員会のメンバーと共に、海に訓練に来ていたのだった。
涼しいうちにと朝早くから始まった訓練も終わり、風紀委員会は休憩モード。
普段はとうに解散しているところだが、今日は違うようだ。
訓練の後、いつもなら面倒そうにシャワーを浴びに行く彼女。
今回は、風紀委員会の面々が気づけないくらい小さい鼻歌を歌いながら、軽い足取りでシャワーへと向かう。
「委員長?どこ行ってたんですか?」
「もう食材の準備は終わりましたよ!」
しっかり者を想像させる、柔らかで、少し張りのある声が響く。
「ありがとうチナツ。ほら。みんなに差し入れ。」
「べ、別にいるとか言ってないじゃないか。買わなくていいから早く戻ってきてよ…」
「一生の宝ものにします。うぅ…」
気持ちの伝え方はそれぞれだが、皆委員長のことが大好き。
普段忙しく、遊ぶ時間などあまりない風紀委員会だが、今日は水入らずでバーベキューだ。
パチッパチッ
程よく燃える炎の上で、ポップコーンが躍る。
隣の網にはカボチャやピーマン、タマネギなどの野菜が並んでいた。
おや?皆おいしそうに楽しんでいるのだが、何やら人だかりができている場所があるようだ。
「うわぁ~」
ジュ~っといういかにもおいしそうな音を立てて焼きあがる肉に、みな目を奪われずにはいられなかった。
まるで戦いのときのように、手早いながらも焦りを感じさせない手つきで肉を焼き上げるヒナ。
憧れのヒナ委員長と、最高級のBBQ肉。その2つが近くにあるという情景を見ただけで、皆満足してしまうのだ。
「ヒナ先輩!私にも焼かせてくださいよ…」
「うーん、今回は私がやろうかな…」
「ヒナ委員長、珍しいですね。いつもは『後輩に慣れてもらわなきゃ』なんて言ってご自分ではやらないのに」
「今回は私がやる」
ソフトで熱のこもった声には、どことなく重みがあるのだった。
「今日のヒナ、ちょっとはりきってるな笑」
「元気な委員長も可愛いです…よだれが止まりません…!!」
ヒナと仲の良い生徒たちも、久しぶりに元気な友を見て、嬉しいようだ。
興奮している行政官を除いてだが。
「ヒナ委員長が焼いたお肉…私が仕上げを担当します♡」
「アコ…今回は焼肉奉行しないでちょうだい。」
「え~~ずるいじゃないですか。まあ、今日はご満悦そうなのでいいですけど。」
(今日のお肉、届いたときにアコがいなくてよかった。じゃなきゃバレちゃうよね。送り主の'S'の文字が)
ヒナは頬をほころばせ、優しさに溢れたまなざしで楽しんだ。
この笑みは決して、夏の海と太陽、そして友のせいだけではないのだろう。
ビリリリリリリリリ…
「ん…うーん、、なんふぁ??」
ゆっくり体を起こし、ピンク色の画面に目をやる。
カイザーグループの…襲、撃?
どうやらいつもの揉め事のようだ。
だが今回は一味違うらしい。
男はゆっくりと伸びをして、動き出す。生徒の友愛を守るために
ヒナの落ち着いた雰囲気と、楽しさとを同時に醸し出すのが難しかったです。
ヒナ!幸せになって!