「ま、まどかちゃん……?どうかしたの……?」
「ん〜?僕の朱莉ちゃんが悲しそうな表情をしたから怒ってるだけだよ?」
「い、いやでも……」
「朱莉ちゃん?携帯貸して?」
「いいけど……何かあるの?」
「ありがとう……」
そうして僕は今からいくという旨のメールをゆうこさんに送り携帯を朱莉ちゃんに返す。
「よし、今から行くよ。はいこれ羽織って?」
「あ、ありがとう……じゃなくってどういうこと……?」
「このままだと朱莉ちゃんが死んじゃうから朱莉ちゃんは僕のだって言いに行くだけ」
あれ?僕もしかしてすごいこと言ってない?
まぁどうでもいいけど。
「ぼ、僕のって……ていうか死んじゃうって私たちは吸血鬼だよ?簡単には死なないよ?」
「朱莉ちゃんの意思はどうなるのってことだよ……ほら、行くよ?」
そう言って僕は手を差し出す。
その手を朱莉ちゃんは説得を諦めたかのように手を握った。
「じゃあちょっと行ってくる……」
「車に気をつけなさいよ〜?」
「大丈夫飛んでくから……」
「でもまどかちゃんって飛べなかったよね……?」
「なんか力入れたら生えてくるようになったから大丈夫……ほらね?」
「す、すごく綺麗……」
現在僕の背中からはカラスのような翼が生えて動いている。
どうやって出したのかもわからないけどできた。
ていうか頭がぽわぽわするなぁ……うみゅぅ……
「今度こそ行ってくる……」
「殺さないでよ〜?」
「大丈夫だ!殺したら私が事実を作ってやるからな〜!」
「もしかしたらお願いするかも……じゃあ行ってきます」
「え?ちょっといきなりぃいいいいいい!?」
朱莉ちゃんをお姫様抱っこし窓から飛び出した。
途中で思ったけど朱莉ちゃんも飛べない?
* * *
<朱莉視点>
あれから数分後自宅に到着した。
いろんな意味で心臓がドキドキしている。
「朱莉ちゃんは先に入ってて?僕は後から行くから」
「それってどうやって……」
「えっと、ちょっと強引だけど許してね?じゃあまたあとで」
そう言ってまどかちゃんはどこかへ飛んでいってしまった。
どうするつもりなんだろう……?
「朱莉ちゃん?きたなら早く入って?叔父様も来てるのよ?」
「は、はい……」
急だけど言わせて欲しい。私は叔父さんが嫌いだ。
舐めるような視線で毎回見てくるからとても嫌いだ。
だけど学校の学費を出してるのは叔父さんだから口答えができない……
(助けて欲しいなぁ……)
* * *
「おぉ朱莉!ほんと……大きくなったなぁ!」
「ありがとうございます……」
「久しぶりで緊張してるか!仕方ないわ!」
少し息苦しくなってきた……
ていうか大きくなったって絶対背だけ見て言ってないよね!?
「あの話はもうしたのか?」
「まだですね……ちょうどいい機会だからしちゃいましょうか!」
「え、なんの話……?」
「叔父様のところの養子に出すことに決めたのよ〜!叔父様はご結婚なされてるのに子供に恵まれなかったのよ……そこで頭のいい叔父様のもとで勉強を教えてもらうためにもどうかしら?」
「……え?」
養子……?私捨てられるの……?
しかも叔父さんのところ……?
「そ、それじゃあ夜さんのところはどうなるの?いまあそこに住まわせてもらってるけど……」
「明後日までに荷物をまとめてちょうだい?」
「夜さんには何て言うの……?」
「あの人には私から連絡しておくから大丈夫よ?」
「い、いやでも夜さんにはお世話になってるしいきなりそれって失礼なんじゃ?」
「……私の判断に何か文句あるの?
私は“家族”と離れたくない一心でお母さんと舌戦を繰り広げる。
うんやっぱり血の繋がりよりも心の繋がりの方が大事なんだなぁ……
もう私はこの人たちのことを家族とは思えなくなってきていた。
ていうか他の親戚に娘を売る母親を家族と思えるだろうか?
答えは否、無理である。
ならば最初で最後の反抗をしても許されるのではないだろうか?
「お母さん……私はね?愛されたかったよ……?」
「何を言ってるの?十分愛してるじゃない!習い事をさせてあげたり良い塾にも行かせてあげてるじゃない!」
「愛はっ……お金じゃないっ!私はお母さんと一緒に居るだけでも嬉しいんだよ!?なのにお母さんは私を見てないんでしょ!?」
「今まであなたにお金をかけてあげたのに何なのその良い草……?」
「それに私はお母さんの自己顕示欲を満たす道具じゃない!!お母さんは私をブランド物のバッグにしか見えてないんでしょ!?そんな人っ……お母さんって呼びたくないっ!」
『遅くなってごめん。でも気持ちが知りたかったからね……今行く』
「え?」
耳元からまどかちゃんの声が聞こえた。
辺りを見渡すがどこにもいない。
……あ、イヤリング!?
体育祭からつけっぱなしだった……
というかというかどういうことだろう……?
「……何よこの音?」
「確かに何の音だ……?ガスでも漏れたのか?」
耳を澄ますと外から何かが風を切って飛んでくる音が聞こえてきた。
今のまどかちゃんは酔ってて……っ!?じゃあもしかしてやらかしかねないのでは!?
……だが思った時にはすでに遅かった。
「うわぁあああ!?何だこれはっ……!?」
「きゃぁああああ!?」
家の壁が爆ぜた。
轟音があたりに響いた。
耳が痛いっ……!
「ご機嫌よう……諸君?」
空いた穴を見ていると空から翼を生やしたまどかちゃんが演技をしながら降りてきた。
だが正体がバレないように黒いマントに喪服。黒いシルクハットという紳士みたいな出立だった。
あ、みんなは怪我ないのかな?
辺りを見渡しお母さんや叔父さん、親戚のみんなを確認すると怪我は一切なかった。
……もしかしてこれ狙ってやったの?
「な、何者だ貴様!?」
「通りすがりの吸血鬼だが何か?少し腹が減ってな……」
「RPG7を投げすてる吸血鬼があるか!?」
叔父さんそれはごもっとも……
「吸血鬼なんているわけないじゃ無い!!大人を揶揄うのも良い加減にしなさい!!」
「そうかそうか……これでも信じられないか?」
そう言ってナイフを作り指を切り落とした。
辺り一面血の海となった。
あ、お母さんの服についてる……お腹すいたなぁ……
ん?何で美味しそうってなったの……?
吸血鬼の血には魔素なんてほとんどないらしいのに……
「あなた何やってるの!?気持ち悪いっ……!?」
「ほら治ったぞ?」
「は……?」
「はぁ……これで吸血鬼だってわかったか?」
「ひ、ひぃっ!?」
「さて……どれにしようか?」
そこでようやくまどかちゃんの狙いがわかった。
お母さんに私を差し出させる気なんだ。
まどかちゃんは相手に制裁を与える時に社会的な死を与えるという癖がある。
だから……
「そ、それならこの子はどう!?一番若いし一番美人だからお気に召すんじゃ無いかしら!?」
「はっ!自分の娘を差し出すのか!人間としてどうなんだ?ん?」
「そ、それは……」
やはり母は私を差し出した。
それにしても威厳のある喋り方……もしかしてローズちゃんを真似てるのかな?
ていうか普通に身代わりにされた……まぁ狙い通りだからいいけど。
「まぁいい、この娘を貰っていくことにしよう……ごめんね?」
まどかちゃんが耳もっとに小声で話しかけてきた。
前にまどかちゃんがいい反応した気持ちがわかった気がする……
「え?」
「ちょっとこれやらないとリアリティがなくって……許して!」
「え、ちょっと」
次の瞬間まどかちゃんの牙が首筋に立てられた。
なんか……力が抜けていって……
それでいて少し気持ちがいい……
全身にとても強い快感が襲ってきた。
多分吸血の副作用的な物だと思う。
「……ありがと、これでみんな信じてくれると思うよ?」
「あっ……うんありがと」
ちょっと寂しい……って違う違うっ!?
いまはそんなことしてる場合じゃないっ!
「ば、化け物っ!?早く出ていけっ!?」
「娘の身を案じるより保身か!本格的に終わってるなぁ?まぁ食事もできたし……お暇するとしようか?あ、あと二つ言い忘れてた!」
「な、なによ?」
「おまえの娘美味かったぞ?まだ使えるから体は貰っていく。あとこのことは口外するなよ?私はいつでもおまえらを殺せるからな?」
「わかったから早く出ていってぇっ!」
「……人間の方が恐ろしい」
多分最後の言葉はまどかちゃんの本音だろう。
あと少し寂しそうな顔をしている。
多分化け物と言われたことを気にしているんだろうなぁ……
UA6000ありがとうございます!
ホントは5000でやりたかったんですがどのタイミングで感謝を述べればいいかわからず……
みなさまありがとうございます!
最近自分で気がついたんですけどキスとか吸血とかしか書いてませんね?
まぁそれが書きたいから書き始めたんですけども……
さて朱莉ちゃんを奪還するのが思いのほか早めの終わっちゃいました……どうしよう!?
感想とお気に入り登録が増えるたびにニマニマしながら確認させてもらってます。
それくらい心の励みでして……ですのでどうか高評価とお気に入り登録をば……!