とある都市の音楽総祭(スウィートリザウンド)   作:はらさきりいあ

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 プロローグに当たります。
 副題の意味は、「楽しく、しだいに懐かしむように」です。


序曲 giubilante uno a uno impiangere

「かんぱーい!!」

 

 十数人の持つコップが交わされると、程よく乾杯の音が事務室に響いた。一斉に各々はオレンジジュースやらサイダーやらを飲み干した。その顔は皆一様に純粋な喜びで満たされていた。その中で僕は、横にいる先輩に話しかけられた。

 

「よかったね、笛塚君。君のおかげで今回は成功したと言っても過言じゃないよ。……ねぇ、皆今回は笛塚(ふえづか)君がMVPだよね?!」

 

 全員一斉に僕を見ながら頷く。肩を竦めて随分目を細めて僕は言った。

 

「や、そこまでじゃないですよ。どちらかっていうと、先輩の方がー!」

 

 総員が僕と先輩の会話を楽しんでいる。暫くどちらがMVPだろうと言い合っていたが、五分ばかり経った頃に

 

「結局皆MVPで良いよ!!」

 

 という先輩の一言によって場の雰囲気は緩やかになって行った。とりあえず一段落し、コップに残っていた温いオレンジジュースを一気に飲み干して、僕は先輩に話しかけた。

 

「でも本当に、こんな時が来るとは僕は考えてもみなかったですね、先輩」

「そうだね、笛塚君。『彼ら』には随分手こずったものねえ……」

 

 先輩はどこか遠くを見ていた。僕もそれに従って目を閉じた。走馬灯の如く僕の脳裏にここ一カ月の内容が鮮明に再生される。

 

 ちょこっとだけ、読者の方々に紹介しようと思う。これまでにも、これからもないくらいの濃厚な一ヶ月を。

 

 じゃあ始めよう。笛塚千里(ふえづかせんり)、一世一代のがんばり物語を……!!

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