リザドと別れたアクルはは、街道をゆっくりふらふらと歩く。
「……そう言えば。さっきのも、召喚術ってやつですか?」
アクルは魔王に尋ねる。先程出会った青年、リザドの手のひらから……なにもない所から髪飾りが現れた。
「おう、そだぜー。んー、そうさなぁ、説明しとくか。」
お勉強たーいむ! と言って、魔王は説明を始める。
「この世界には、アクルたんが考えるであろう魔法と呼べるものが、全部で四つくらいあるのだ!」
「な、なんだってー!?」
ちなみに上記の二つの台詞はどっちも魔王が言っている。茶番である。
魔王の存在そのものが茶番なのだが。
「地の文にスゲー失礼な事言われた気がするが続けるぜー!
『魔術』『魔具術』『召喚術』『異能力』の四つだ。ちなみに、我の。そしてアクルたんの力は異能力にあたるんだぜーっ!」
テンション高い魔王に対し、テンション低いアクルは、そうなんですかー、と呟いた。
「……さて、うん! 説明すんの難しいなこれ!」
そして、説明を開始してすぐにこれである。
「まぁなんっつーか……人や生き物ってのはみんな自分の世界ってのを持ってるものなんよー。
で、魔法を放つ際には自分の世界を広げて、魔力って力を使ってその世界内で奇跡を起こすとか、なんかそんなん」
はぁ、とアクルは呟く。よく解らない。
「魔力っていうのは、どうやって使うんですか?」
「頑張って使うんだよ」
「は、はぁ……」
「……いやだって仕方ないじゃん!?どうやって息してんの?って言われたら困るじゃん!?
ついでに、魔術はよくわかんねーんだよ!魔族で使うやつ全然いねーし、我も習った事ねーんだもん!」
お勉強会はのっけからぐだぐだであった。
とりあえず!と魔王は気を取り直す。
「次は魔具術だな。これは自分の世界を、道具に閉じ込めて奇跡を起こすって奴だ。
ちなみにこれで作られた道具を『術具』ってよぶぞ。
アクルたんが今、身に付けてる外套もその一種だぜーっ」
思わずアクルは自分の黒い外套に視線を向ける。
「そうなんですか?」
「おう。ソレ、やたら頑丈な上に濡れてもすぐ乾くだろ?
しかも、汚れても川の水にでもつけてりゃあすぐに綺麗になるしよ」
アクルは感心したように自分の外套を見回して。
「……高いんですよね、これ」
そう尋ねて見た。
「高いだろうな、ソレ。」
あの女は太っ腹だったなぁ。 しみじみと魔王は思った。お金も結構入ってるっぽかったし。人間の通貨よく解らんけど。
「次は召喚術だな。これはあれだ、自分の世界に物を入れたり出したり出来るんだ。
許容量とかは個人差があるらしいけどな」
はぁ、とアクルは呟く。なんとなく、かなり便利そうだと思った。
「つまり四次元ポケットみたいな感じですか?」
「おう? うん、まぁそんな認識でもおけおけかな?」
さて最後だな、と魔王は笑う。
「異能力だな。これは生まれつきだったり、成長すると身に付く妙な力だ。超能力って言ったら解りやすいかな?
人間には少ないな。魔族は大体これだ。
ちなみに、異能力持ちの奴は不思議と他の魔術関係はほとんど使えない事が多いんだぜ」
成る程と呟き、なんとなくアクルは銀の大剣を取り出す。
「……これは召喚術とは違うんですか?」
「違うなー。それは異能力で構築した武器だからなー」
「なる……ほど?」
結局、解ったような解らないようなである。
「まぁ、こんなもんでええやろ!読者も多分、興味ないしな!!」
そして、よく分からない発言で魔法の話は終わった。
まぁ、アクル的には自分で使う分には感覚で掴むしかなさそうだというのと、基本なんでもありという事だけ解ればいいかとそれ以上は聞かない事に。
そうこうしているうちに、街が見えた。遠目に見て凄く大きな街。
「……」
この街で、どんな出来事があるだろうか。
良いことがあればいいなと、アクルは街に向けて歩くのであった。