薄幸の堕天使   作:怒雲

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五区の店にて。アメリオンとアクル

 

 

 

 

 

「はふぅ……。」

 

 なんやかんやでいろいろ食べて、お腹一杯のアクルは歩きながら満足げに息を吐く。

 

「美味しかったねぇ。」

 

 

 リュエンは軽く頷きながら、さて、とラビィの方を向き顔を見上げる。

 

 

「次は何処に行くの? ソープ?」

 

「そんな訳ないでしょっ……。」

 

 

 そういう事しか頭に無いリュエンをよそに、そうねっ、とラビィは呟く。

 

 

「服の前に、術具を買いにいくわよっ! そろそろ買い足しときたいしっ。」

 

 

「ああ、火の術がもう切れそうだしね。」

 

 

 術具という単語に、アクルは少し反応をする。魔王から、以前聞いた事があった。

 

 

 今現在、羽織っているこの黒い外套も術具というものらしい。

 

 

「……高かったりするんですか?」

 

 

 なんとなく高そうな気がして、アクルがラビィに尋ねると。

 

 

「高いのもあるしっ、安いのもあるわよっ!

 今から買いに行くのは、そんな高いやつじゃあないわよっ!」

 

 

 と、答えた。そういえば、この外套はかなり高いらしいという事を、アクルはなんとなく思い出した。

 

 

 

 ラビィに促されるがままに歩きながら、街並みの景色をアクルはその大きな目に映す。

 

 ここいらは活気があると言っていただけあって、人が多いい。五区の人々は、どうやら黒髪率が高いらしい。たまに灰色も見掛けた。

 

 

 木で出来た建物達は、アクルでも一目でなんの店か解るものもあれば、ちんぷんかんぷんなものまで様々である。

 

 

「着いたわよっ!」

 

 

 ラビィに言われて、ハッと見てみると、なんとなくお洒落な配色の二階建ての建物。民家くらいの大きさだ。

 

 

 彼女が嬉々として扉を開いて入って行き、アクルもそれに倣った。

 

 

 入って目に着くのは、カードである。丁度、トランプに使えそうなサイズのカード達が、木の壁に大量に張り付けてあった。

 

 

 カードには、火や水っぽい物が描かれているものや、アクルには何が何だかな物まで様々である。

 

 

 特に、所謂ショーケースに入っているカードは、文字ばかりだったり、よく解らない絵だったりで、アクルには判別がつかない。

 

魔王が、青眼の白龍とかないかなとか言っているが、なんのことやらである。

 

 

 

 

 店の中から、なんとなく窓の外の景色をアクルはその大きな目に映す。

 

見える人達は、やはり黒髪率が高くてちょっぴり親近感。

 

 

 

 

 この世界の人々の髪は、赤かったり青かったり緑だったりと、なんというか忙しないというか、やりたい放題というか。

 

 

 魔王によると、魔力の質的なのが関係しているとかしていないとかだそうだ。どっちだ。

 

 

 一応、髪の色は区によって少し違うらしい。八区は基本的に、金か白、灰色が多かった。赤髪のプリキュオンお嬢様は珍しいそうだ。

 

 十二区は金か青が多かったと思う。

 

 チラッとアクルはラビィの銀髪を見る。一区人は、金か白か銀なのかなとなんとなく思った。

 

 

 ……自分は、行く事があるだろうか。

 

 

「……おう。いらっしゃい。」

 

 長い髪の青年が奥の部屋から現れた。

 

 髪の色はオレンジである。なんとなく、五区の生まれの人間では無い気がした。

 

「やほーアメリオン店主。相変わらずイケメンだね!」

 

「リュエンにラビィ……。それと、新入りか?」

 

 

 アクルの方に切れ長な目を向けて、少し訝しげな顔をするアメリオンと呼ばれた青年。

 

「あ、アクルです……えと、よろしくお願いします」

 

 ちょっとビビり気味にペコペコするアクルに対し、アメリオンだと短く名を告げて、彼は灰色のローブのポケットに手を突っ込む。

 

 

「術具師アメリオンよっ! 基本的には術紙のエキスパートなのよっ!」

 

 ショーケースのカードや、壁に張り付けてある綺麗なカードを見せながらラビィが説明をする。

 

「いい人だよー。ルックスもイケメンだ。」

 

 

「その情報はどうでもいいだろ。」

 

 

 魔王がぼやく。アクルは、チラリとアメリオンを見る。確かに、かっこいい顔をしている。と、アクルは思う。

 

 

「イケメン……ね。まぁ、よく言われるからそうなんだろうな。

 だがな……人間は顔じゃあねぇよ。顔が良くてもてんでダメな奴だっている。

 

 ……この俺が……そうであるようにな……。」

 

 

 いきなり自虐な発言をするアメリオン。

 

「こ、こいつ……!」

 

 魔王が驚きながら、声をあげた。

 

「し、死んでる……!(目が。)」

 

 アメリオンは、死んだ魚の様な目をしながら、そう言ったのだった。

 

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