トレセン奇譚   作:ライト鯖

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Aブロック第一回戦

シード枠

ミスターシービー

第一試合

カレンチャンVSアドマイヤベガ

第二試合

スマートファルコンVSエイシンフラッシュ

第三試合

スペシャルウィークVSサイレンススズカ

第四試合

カツラギエースVSキングヘイロー 

 

Bブロック第一回戦第一試合

シリウスシンボリVSナリタトップロード

第二試合

トウカイテイオーVSメジロマックイーン

第三試合

タマモクロスVSオグリキャップ

第四試合

ヤエノムテキVSサクラバクシンオー

シード枠

メジロラモーヌ




第四試合 カツラギエースvsキングヘイロー

 

『さてさて、ついにAブロック一回戦の最終戦です。ここまで凄まじい戦いばかりでしたからねえ。会場の期待も高まっていますね』

 

相変わらず興奮した様子のアグネスデジタル。

 

『そうだね。次はエースとキングヘイローか..此方も見応えがありそうだ』

 

シンボリルドルフも然と頷く。

 

『さあ!では選手の入場です!』

 

「よろしくな!キング」

「胸を借りるつもりで挑ませて頂きます。エース先輩」

「よせやい。ブランク一年なんだ。むしろアタシが借りる側さ」

 

Aブロック一回戦、最後の戦いが始まる。

 

『では...第四試合..開始!』

 

アグネスデジタルの合図と共に、舞台の中央付近で睨み合っていた二人が同時に動き出す。

 

練炎操火(れんえんそうか)

 

カツラギエースはマッチの炎を増幅させた火柱を放ち、キングヘイローは右前方へ飛び、炎を躱すと共にそこからカツラギエースとの距離を縮めに行く。

 

鐡火(てっか)!」

 

当然カツラギエースは迎撃に動く。

炎を拳に纏わせ、キングヘイローを狙った。

 

シン・陰流 簡易領域

 

キングヘイローはカツラギエースの動きに合わせ、足を止め、簡易領域を発動させる。

 

「はあっ!」

 

抜刀。

 

「おっと?!」

 

模造刀に拳を跳ね返されるようにして斬られる。

だが、カツラギエースは、即座に反対の拳で、隙を狙った。

 

「しまっ!」

 

刀で拳を受けこそしたが、簡易領域が間に合わず、キングヘイローは数メートル程後退る。

 

(一撃が重いわね..)

(簡易領域、厄介だな)

 

二人は、互いに攻めあぐねることとなる。

キングヘイローは簡易領域の度に構え直す必要があるためで、いくら素早く構えられるようになったといっても、隙は必ず生まれるからだ。

カツラギエースは、簡易領域を撃ち破る必要があるのだが、当然、殆どオートでの反撃を突き抜けることは難しい。

 

「なら..こいつはどうだ?!」

 

炎鎖。

 

炎を鎖状にし、キングヘイローの拘束を試みる。

 

「抜刀!」

 

だが、刀で粉砕される。

 

「炎柱」

 

ならばとキングヘイローを取り囲むようにして火柱を立ち上らせる。

 

「...」

 

そして、背後へ回り、拳を叩き込もうとするが、当然、抜刀の反応速度によって、相殺される。

そこからは、暫く、カツラギエースはキングヘイローに簡易領域を出させない為に、キングヘイローは隙を作らないように、刀と炎の拳をぶつけ合う形となった。

 

「シン・陰の使い手で中々のがいるとは聞いてたが、思った以上だな」

 

観客席にいる日下部は、キングヘイローの戦いを見、感心していた。

 

「彼女、準一級術師なんですよ」

 

エアグルーヴの紹介に、日下部は「マジか」と目を見開いた。

 

「抜刀だけで準一級にまで登り詰めたってのか」

「ええ。凄まじい努力をしたのでしょうね」

「なるほどな。こりゃあ目をかけるわ」

 

溜め息を付きながら日下部はそう独り言るのだった。

 

「さすがだな。キング」

「エースさんも、ブランクがあったとは思えませんね」

「ははっ!ありがとよ」

 

二人とも不敵に笑い、ぶつかり合う。

キングヘイローの振るった刀を躱し、カツラギエースは、そのまま回し蹴りへと繋げる。

 

「っ!」

 

だが、身体を捻らせたキングヘイローの服を掠めるだけだった。

 

「火刃薙」

 

しかし、キングヘイローが身体を捻り、躱したことによって生まれた隙を利用し、カツラギエースは炎の刀を練り上げた。

 

「はっ!」

 

炎の刃がキングヘイローの模造刀とぶつかり合う。

 

「もういっちょ!」

 

カツラギエースはもう片手にも炎の刃を、マッチの炎から増幅、錬成し、二刀流とした。

 

「行くぜ!」

 

両手に小刀を持つ形となったカツラギエースは、キングヘイローの刀に間断なく斬撃を打ち付けていく。

 

「くっ..!」

 

徐々に後退させられていき、場外近くへと追い詰められていくキングヘイロー。

 

(多少攻撃を受けるのを覚悟で..!)

 

キングヘイローは、カツラギエースの刃を、呪力で最大まで強化した身体で受けながらも、構えを取った。

 

「抜刀!」

 

模造刀の斬撃が腹に思い切り浴びせられ、カツラギエースは体勢を崩す。

 

「...がっ!」

「今!」

 

キングヘイローはカツラギエースの背後へと飛ぶように移動し、彼女を場外へ押し出そうとする。

 

 

だが、カツラギエースが握っていたマッチが、刃から形を変え、鎖のようになってキングヘイローへ向いた。

 

「しまっ!」

 

炎鎖。

今度は、簡易領域が間に合わず、腕を拘束されてしまう。

 

「せいやあっ!」

 

カツラギエースは、そのままキングヘイローの腕を掴み、回転するようにして、遠心力でキングヘイローを投げ飛ばす。

 

「きゃっ」

 

『ここでキングヘイロー選手が場外!カツラギエース選手、勝利です!』

 

キングヘイローは、自分が尻餅を付いている地面を見、ふう、と力を抜いた。

 

「ありがとな」

 

カツラギエースが舞台から降り、差しのべる手を取り、立ち上がると、キングヘイローも、カツラギエースの礼に応える。

 

「ありがとうございました。やっぱり強いですね。エース先輩は」

「キングもすっげえ強くなってたな!驚いたよ。やっぱ一年ってのは長いなあ」

「私は一流ですもの。次は、負けないですわ

 

こうして、Aブロックの一回戦は全てが終了したのだった。

 

15分の休息が取られることとなり、敗者となったキングヘイローは、一人、観客席へと向かう通路で立ちすくんでいた。

 

「もっと、積極的に攻めるべきだったかしら..それとも...」

 

観客らの前ではおくびにも出さなかった彼女であるが、爆発しそうな程の悔しさを抱えていたのだ。

それ故、一人、心を落ち着けつつ、反省点を洗い出していた。

 

「勝って、あの人に見せつけてやりたかったのに..」

 

ギリ、と拳を握りしめ、うつむく。

そこに。

 

「お。いたいた」

 

聞き覚えのない男の声に、バッと彼女は顔を上げた。

 

「貴方は..?」

「そう警戒しなさんな。俺は日下部っちゅーもんだ」

「日下部...日下部篤也一級術師?!」

「ああ。そうだ」

 

キングヘイローは居ずまいを正し、日下部と向き合った。

 

「失礼しました。何かご用件が..?」

「うちの師匠から頼まれたことがあってなあ」

「シン・陰の..?」

「ああ。見所のある使い手がいるらしいから、トレセン行くならついでにアドバイスでもしてきてやれ、とさ」

 

日下部は言いながら頭をかいた。

 

「まあ、君さえ良ければ、だがな」

「それは..是非!」

 

願ってもない申し出に、キングヘイローは前のめりに返答する。

 

「本当真面目な娘らだねえ。なら、この後、少しだが実践的な稽古をしようか。そっちのが話だけよりも早い」

「良いんですか?見学に来られたんじゃ..」

「一応伝えてあるし、本来の目的は大会が終わるまでは果たせそうにない。丁度良いさ。ただ、決勝までには終わるからな。

さすがに客として来ていて最後までいないのは不味い」

「はい!では、よろしくお願いします!」

 

キングヘイローはそう深々と頭を下げるのだった。

 

「良いよ。そんな固くならんくて。

ああ、そうだ。移動しながら、少し良いか?」

「勿論です」

「抜刀に拘り過ぎない方が良いぞ。君らウマ娘の膂力はそれだけで充分な力だ。

隙がない時に、無理に簡易領域を出そうとしなくて良い。

攻撃を受けながら抜刀まで持ち込んだのは見事だったが、恐らく剣術で凌ぎきった方が良かった」

「なるほど..」

 

そうこうアドバイスを受けながら、近くの開けた芝生へと移動し、キングヘイローは術式を持たない術師の極致足る日下部篤也からの指導を受けることとなったのだった。

 

『さあ、Bブロックも楽しみですね~』

『ああ、此方も実力者が揃っている。竜騰虎闘。見ている我々も手に汗握る激闘となるだろうね』

 

15分の休息の後、Bブロック一回戦へと舞台は移る。

 

Bブロック一回戦はナリタトップロードvsシリウスシンボリだ。

 

『呪言師であるトップロードしゃ..選手をどう攻略するか、が焦点になりそうですね』

『シリウスの術式でどう攻略するのか、がポイントとなるだろうね』

 

シンボリルドルフも、そう頷く。

 

舞台に繋がる通路にて。

次なる対戦者二人が舞台へ向かって歩いていく。

ナリタトップロードが、笑顔で、シリウスシンボリに挨拶をした。

 

「よろしくお願いします!シリウスさん」

「ああ。よろしくな。委員長さん?」

 

シリウスシンボリも、不敵に笑いながら、そう応えるのだった。

 

 

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