中二病は魔王様   作:夜紫希

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オリジナル作品を書き始めて見ました。
暇つぶしで書いているので更新はかなり遅いです。ご了承ください。


序章
中二病は異世界に


「あなたは死にました」

 

あなたは神にこのような言葉を投げられた場合、どういう反応で返しますか?

 

「ぼ、僕が死んだ!?嘘だ……嘘だあああああ!!」

 

このように現実を受け入れないのタイプが大体多い。

 

「……あぁ……死んだのか……」

 

ですが、落ち着いて現実を受け入れる者もいます。

 

「ちくしょう……!まだやり残したことがあるのに……!」

 

涙を流しながら後悔する者も当然いる。

だが、

 

「俺が死んだ?違うな。それはお前らが仕組んだ陰謀だろ!まさか、この俺を闇に葬るチャンスかと思ったか!?だが、甘い……この俺を騙したければ、神を、仏を、悪魔と手を組んで全力で騙しに来るがいい!!」

 

中二病を拗らせた人は前代未聞だった。

 

中二病患者がここに来るのは少なくはない。しかし、5分も掛からず現実を見て冷静になり、素に戻るのがオチだった。

だが、この青年は一味違った。現在死んでから5時間ずっとこの状態である。

 

「ねぇ……あなたは死んだ時のこと覚えてるでしょ?あの時、あなたは死んだのよ」

「ハッ、お前らの幻覚に俺は騙されているっとでも思っているなら諦めろ。俺の右目の邪眼には効かない」

 

美人な女の神様、撃沈。

 

「痛みを感じただろぉ?つらかっただろぉ?お前さんは死んだ痛みを知っているだろぉ?」

「俺は常に死よりも苦しい地獄を見てきた。あんな痛み、俺には効かん」

 

悟りを開かせる神、失敗。

 

「君は死んだんだ!現実を受け止めてよ!」

「俺はお前たちに屈しないぞ」

 

そして、すべての神が納得させることが出来なかった。

中二病の青年はポーズを決めて一言。

 

「それより、ここはどこだ?」

「「「「「死後の世界って言ってるだろ!」」」」」

「それはお前らの設定だろ」

「「「「「「お前だけにはそんなこと言われたくなかった!」」」」」

 

神たちは頭を抱える。この中二病の青年は神を弄んでいるようだった。だが、青年にそんな趣味はない。あるのは純粋な心。

 

(僕死んじゃったのおおおおお!?)

 

青年の内心では動揺していた。今のは青年の素である。彼は中二病を発動していても、心や頭では死んだことを納得していた。だが、表に出さないよう仮面を被る。

 

「はやく俺を元の世界に返したほうがいいぞ?」

「それは出来ない話だ」

 

後ろから一人の神が青年に向かって歩いてきた。

 

「ここにいる我々神はお前らを新しい命に生まれ変わらせるのが目的だ。生き返ることは許されん」

「な、なんだと……!?」

 

青年が初めて顔に驚いた表情になる。

 

「い、いや!この俺ならそんな規律は通用しない!」

「神を越える存在に喧嘩を売っているのか?」

 

神の目つきが変わった。突然声が低くなった神に青年は怖じけつき、後ろに下がる。

「おおおおおおお俺に勝てる奴はこの世にはいないにゃ!」

 

青年は動揺しまくり、噛んだ。神は気にせず続ける。

 

「……ここまで強気でいられるとは……『アレ』をやらせても良いかもしれんな」

「「「「「『アレ』……ですか……」」」」」

(え、何?嫌な予感しかしないんだけど?)

 

神たちの真剣な表情に青年の足は震えた。この後、もしかしたら殺されるのではないかと。

 

「少年よ。名前は何だ?」

「うぇ!?えっと、あ、あ………黒白院(こくびゃくいん) 真也(しんや)だ!」

「……本当の名は?」

「……籠姫(かごひめ) 雪也(ゆきや)です」

(((((え?もしかして、素出てる?)))))

 

神の冷徹な瞳を見た青年。雪也は正直に自分の名前を明かした。

 

「籠姫 雪也よ。お前には特別に命ずる」

 

神は雪也に指差す。

 

 

「世界を救え」

「…………………………………え?」

 

 

雪也は耳を疑った。そして、仮面が剥がれ落ちた。

 

「僕が世界を救ううううう!?」

「「「「「僕っ子!?」」」」」

 

次は冷静な神を除いた神たちが驚いた。

 

「無理ですよ!僕は喧嘩は弱いし、こんな変な事してるんですよ!?」

「「「「「敬語を使ってる!?」」」」」

 

雪也は別人のようだった。いや、別人と言っても過言ではなかった。

冷静な神は雪也の本当の姿を見ても眉ひとつ動かさなかった。

 

「お前なら必ず成功することができるだろう」

「いや、僕はm

 

無理です。っと断ろうとしたが、青年の視界は暗くなり、気を失ってしまった。

 

 

________________________

 

 

ここは何処だろうか。

 

気が付くと、僕は床に寝ていることが分かった。目を閉じた状態でも分かる。

頬で感じ取れる感触はゴツゴツとしており、冷たい。

 

(……人の気配がする)

 

大方また僕を虐めてきた奴らが俺をここに閉じ込めたのだろう。あいつらは手加減というもの知らない。これで何回気絶したのだろうか。

 

まぁ原因は分かっているけどね。

 

「ハッハッハッ!この俺がその程度でやられると思ったか下等生物が!俺に邪眼(ダークネス・アイ)が有る限り、何度でも甦ることができる!」

 

この中二病のせいだと。

 

僕は勢いよく立ち上がった。そして、部屋全体を見渡す。

部屋はとても大きな空間だった。天井まで高さは30メートル弱。上から大きなシャンデリアがぶら下がっていた。壁は赤いカーテンがいくつか垂れており、窓の外は真っ暗だった。

 

そして、この部屋で一番異様な空気を放っているのが奥にある玉座だった。

 

玉座には黒髪のロングヘアーの美少女が足を組んで座っていた。その回りには悪魔みたいな翼の生えた人や天井まで頭がギリギリつきそうなくらい大きなドラゴン。頭の無いボロボロの甲冑を着た騎士がいた。

 

 

……………………………………………え?

 

 

RPGにでも出てきそうなモンスターが俺を囲んでいた。

そもそもここの部屋の雰囲気がアレに似ていた。

 

ラスボスがいる部屋。魔王の部屋に。

 

「何だお前は?お前も魔王を希望しているのか?」

 

玉座に座った黒髪の女性が話しかけてきた。

 

「魔王……だと?」

 

僕は辛うじて中二病を発動させる。

思い出した。僕は死んで、神に……えっと、生き返らされてしまったんだ。

しかも、世界を救えだの言い出したんだ。正気の沙汰か、神よ。

 

「何も知らないのか?」

(……ここで『帰ります』とか言えないよね)

 

さっきから僕の隣では犬の頭が3つあるモンスターがずっと見てるんだが。下手したら食われるぞ、僕。

 

「ああ、すまない。俺も魔王になりに来たんだ。いや、俺が魔王になる運命(デステニー)だがな!」

「「「「「あぁ?」」」」」

「ひぃぃいいいいいやッはああああああ!!」

「「「「「!?」」」」」

 

僕はモンスターの睨みに悲鳴をあげそうになるが誤魔化した。むしろ周りの奴らを脅かすことに成功。

 

「僕……じゃなくて俺はどうすれば魔王になれる?」

「簡単よ」

 

玉座に座った美少女は笑みを浮かべて告げる。

 

「ここにいる全員で戦争して最後まで残った者が魔王だ」

(はい、再び人生終了のお知らせです)

 

ヤバい。足が震えてきた。

 

(いや!まだだ!)

 

「提案がありゅ!」

 

ヤッベ。噛んじった。

美少女は何も気にせず僕に聞く。

 

「何だ?」

「武力だけでは魔王にはなれない……と俺は思うぞ」

「ほう……」

 

美少女は目を細めて僕を見る。その紅い瞳には僕を興味深く見ていた。

僕は声を振り絞って言う。

 

「戦略なら俺の十八番だ。チェスなら神にも負けん」

「チェスか……久しぶりに聞いたな。人間のやっている遊びで戦うのは確かに悪くない」

 

よし。チェスなら僕でも戦える。

美少女は玉座から立ち上がり、部屋全体に聞こえるような声で言う。

 

「ではこうしよう。武力で戦いたいものは外に出て一位を決めろ。チェスで戦いたいならこの場に残れ」

 

その瞬間、ほとんどのモンスターが部屋を出て行く……いや、

 

誰も出て行かなかった。

 

(おかしい……!?ここで野蛮なモンスター全員が全て出て行く計算が!?)

 

「誰も出て行かないのか?」

「我には最高の頭脳を持った参謀がいるからのう」

「私としてはこちらのほうが得意ですからね」

(僕の策略を潰していくな)

 

美少女の言葉にモンスターたちは不気味な声で笑い合う。やめて。トラウマになっちゃう。

 

「では、始めるとするか」

 

パチンッ

美少女は指を鳴らす。

その瞬間、部屋の真ん中にチェス盤が乗ったテーブルが出現した。もう僕はツッコまないぞ。

 

「最初は提案者……そうだ、名前は何だ?」

「籠……黒白院 真也だ」

 

僕は嘘を吐いた。こっちの名前の方がかっこいい。

 

「ではシンヤと戦うのは……」

「俺がやろう」

 

美少女が対戦相手を決める前に、甲冑を着た頭の無い騎士が名乗り出た。

 

「こう見えても頭だけはいいんだ」

(脳どころか頭すらないじゃん)

 

僕は心の中でツッコんだ。もうツッコミはしないと思っていたのに。

 

「よろしくな、真也」

「あ、ああ……よろしく」

 

フレンドリー過ぎるだろこの人。握手までしちゃったよ。

 

「ちなみに魔王の側近さんよぉ……負けた相手には好きなようにしてもいいって条件をつけていいか?」

 

訂正。バイオレンスな人キタ。

 

「そうだな。負けたら相手に絶対服従をルールに追加しよう」

(いやあああああ!!)

 

人の人権を粗末にしないで!あと、あの女の子魔王の側近だったの!?玉座座っちゃアカンでしょ!?

そんなことより、助けて!未来のネコ型ロボット!

 

「それじゃあ……やろうか」

(絶対に負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな負けるな!!)

 

こうして、人生を賭けたゲームが始まった。

 

追記 お家に帰りたい。

 

 

________________________

 

 

「「「「「……………」」」」」」

 

モンスター達は絶句していた。

 

 

現在。僕の戦績は62勝0敗。

 

 

「お前の負けだ……チェックメイト」

「なん……だと……!?」

 

僕の目の前に座っていた黒服を着たモンスターが膝から崩れ落ちた。これで63連勝だ。

 

「これで全員か?他愛もない連中だな。まぁ俺の頭脳(ブレイン)にはIQが1億を超えているらしいからな」

 

僕は中二病を発動させ、溜め息を吐いて呆れる。いや、IQ1億とかありえねぇよ、馬鹿。

チェスは僕からみたら床に落ちてる鉛筆を拾うことより簡単だ。このゲームで負けるなんて僕の人生では一生ない。

 

「これで俺が魔王だと証明したことでいいのか?」

「ああ、問題ない。他の者もそれでいいな」

 

だが、誰も魔王の側近の声に反応しなかった。

 

「沈黙は肯定とみなすぞ?」

「……納得いかぬな」

 

一匹のモンスターが口を開いた。

 

「その者は知恵はある。だが、力が無いと魔王とは言い切れない。ここにいるもの全員がそう思っているだろう」

「今頃文句を言うのか、ドラゴ?」

 

ドラゴと魔王に呼ばれたモンスターはまるでドラゴンのような姿をしていた。赤く厚い皮膚を持ち、全てを破壊する牙が僕を圧倒させていた。こんなにでかいのに存在なのに今まで全く気付かなかった。

チェスでは勝てたが、戦闘になったら瞬殺されるだろう。

 

「だがなドラゴ。それなら問題ない。すでに解決済みだ」

「何だと?」

 

魔王の側近は立ち上がり、僕の目の前まで歩いてきた。

顔をよく見ると、人間と変わらない姿をしていた。綺麗な黒い髪に、柔らかそうな唇。目はパッチリとして、吸い込まれてしまいそうな紅い瞳。彼女はとても魅力的だった。

 

魔王の側近は息を吸い込み、呼吸を整える。そして、

 

「私とシンヤが魔王になるからな」

 

あれ?僕だけじゃないのか?まぁ、僕としては生きていられるなら何でもいいけどね。

 

「じょ、冗談ですよね?」

 

ドラゴの口調が急変した。いや、敬語を使い出した。

 

「本気だ」

「勘弁してください!こんな弱そうな男を魔王ってどういうことですか!?」

「何を言っている。お前の言う通りに勝った者を魔王にするのだろう?シンヤがいいではないか」

「そこじゃないです!問題は……!」

 

もう会話についていけなくなったんだけど、僕。

 

 

「魔王の娘が魔王をやることですよ!」

 

 

「「「「「な、何だって!?」」」」」

「娘だと!?側近じゃねぇのか!?」

 

モンスター一同が驚愕した。もちろん、僕も驚愕した。

 

「いや、でもそんなに驚く事でもないのか?」

 

側近じゃなくて魔王の娘でした☆

あれ?別に驚く事じゃねぇじゃん。

 

「シンヤ。お前の頭では理解できていないから説明するぜ」

 

お前には言われたくなかったよ、Mr.首無し騎士。チェスで瞬殺したのを忘れたのか?

 

「歴史史上最強の魔王。その隠し子があの娘だったとはな……」

「俺に説明するんじゃなかったのかよ」

「世界が……滅ぶぞ」

「だから、説明しろってえええええ!?」

 

滅ぶ!?何で!?

 

「何故だ!?」

「魔王の母君を知っているよな。この世界を血と炎の地獄に変えた魔女のことを」

 

母親こえええええ!!やっぱり女はこえええええ!!

 

「母と魔王には子が生まれなかったのに……もし他の女と出来たとバレたら……魔王ごと、この世界は血と炎と絶望と最悪の地獄に再び変えられる……!」

 

魔王浮気したの!?最低だなオイ!みなさん!浮気は絶対にしないでくださいね!

ていうか、浮気だけでこの世界滅んじゃうのかよ!

 

「ドラゴ。他の者の対応を任せたぞ。私はシンヤと話をする」

「待ってくださいお嬢様!」

 

魔王の娘は僕の手を掴み、一緒に部屋を出て行った。

 

「お嬢様!お嬢様!!」

 

ドラゴの必死の呼び声が廊下に出ても聞こえてきていた。

 

________________________

 

 

「おい!状況を説明しろ!」

 

僕は彼女の手を振り払う。

 

「お前が魔王隠し子なのは分かった!でも、何でお前が魔王になることが反対されているんだ!」

「私が有名になると、必ず父上の本物の母上。その母上の耳に聞かれたらこの世界が滅びるからだ」

「……何で魔王になる?」

「父上を探すためよ」

 

魔王の娘は廊下の窓を見る。外は真っ暗で大きな月が見える。……何故か赤いけど気にしないでおこう。僕、疲れているんだよ、きっと。

 

「魔王になれば父上が私の前に必ず現れる」

 

もしかして、彼女は自分の父親に会いたくて……それで魔王になって、

 

「そして、母上に差し出す。そうすれば母上のお怒りが父上だけになり、世界は滅ばなくなる」

 

そのかわり魔王が滅びるな。魔王さん。母と娘があなたの命を狙っていますよ。

 

「だから、その手助けをしてほしい」

「……それだけじゃないだろ?」

「鋭いな」

 

黒髪を大きくなびかせる。

 

「魔王の娘。レナ=フランベール二世よ。レナと呼んで」

 

レナは僕の手を掴む。

 

僕は神が言っていたことを思い出す。

世界を救え。

それは魔王を探し出して、魔女の怒りを対象を魔王だけにすることだろうか?

 

それなら協力してもいい。だが、レナはまだ何か隠している。

僕にはそれが分かった。

 

でも、内容までは分からない。だから、

 

 

「シンヤ。私と一緒に魔王になって、この世界を征服をしましょう」

 

 

世界征服。

 

そのことに俺は。僕は目を見開いて驚いた。

 

僕はとんでもないことに巻き込まれたみたいだ。

 




アドバイスなどをたくさん受け付けています。感想等など気楽に些細なことでも構わないのでお願いします。

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