朝になり、僕が目覚めると、マシュとリップが出迎えてくれた。他のみんなはローマ周囲の哨戒や食堂にいるのだとか。サーヴァントは睡眠がいらないとはいえ、寝ないと不調にもなる事があるそうなので、夜も交代でと言ったが、みんなは守っただろうか。
「二人共、おはよう」
「はい、先輩おはようございます!」
「マスター、おはようございます」
「どう、しっかりと休めた?」
「はい、ネロさんが良いベットを用意してくださったので、バッチリです」
「私も交代で休みましたから大丈夫です」
「そっか、なら安心だね」
うん、提案したことは守ってくれてたみたいだね。その後、準備していたらドアをノックする音が聞こえた。
「はーい」
「お、大将、起きてたか。ネロの皇帝さんが朝餉を用意してくれたってよ。準備出来たら行こうぜ」
「うん、わかったよ」
尋ねてきたのは金時だった。
「リップさん、私達も部屋から出ましょうか」
「そうですね、マスター、また後で」
「うん、直に済ませちゃうね」
リップ達が部屋を出た後、急いで着替え装備を確認して部屋から出た。待っていた3人とネロが用意したと言う朝食を食べに食堂に向かう。途中で哨戒帰りと言う、スカサハとも合流した。スカサハはローマ近郊を哨戒していた様で、今の所は異常は無かったようだ。
食堂には、茨木とモーさんが先に食べていた。ネロは、所要で遅れるとの事で先に戴く事にした。ドクター達も交代で休息を取っているらしく。今は「よ、関わりは少ないがバッチリ見ているからな」と、ムニエルと名乗る職員だった。いつもは僕が眠っている時間担当だから合わなかったようだ。
ムニエルにカルデアの状況を聞くと、ドクターやダビンチちゃんは変わらずで、ジークフリートやマリー達も各々過ごしているみたいだった。そんな報告を聞きながら朝食を食べていると、ネロが部屋に入って来た。「ウム、息災ないな、カルデアよ」朝食を戴きながら、ネロからこれからの行動について説明された。僕達は、遠方からの客将として扱われる事になった。此方もある程度、動きやすい方が良いので喜んで頂戴した。
そして、ネロのガリア遠征に同行することになった。馬での移動と言う事だったが、リップが馬に乗れないので、金時に頼み2人で別ルートから来てもらう事にした。その他はマシュと僕、スカサハと茨木、モーさんでそれぞれ乗り、ガリアを目指した。道中、スカサハと茨木の馬が段々と元気が無くなっていたのは何故だろうか?後、モーさんは馬の操縦が荒かった。
道中に何度かの襲撃を避けながら進軍し、夕方頃、僕達はガリア近くの野営地に辿り着いた。そこには兵士の他に、サーヴァントの姿もあった。元ブリタニア女王―ブーディカ。「うん、ブーディカさんだよ。よろしくね」そして、モーさんから伝えられた、トラキアの剣闘士―スパルタクスだった。「バーサーカー、スパルタクス。さっそくで悪いが、君は圧制者かな?」「多分、違います」「…そうか」ネロに味方する2人、何やら事情もあるみたいだが、これから宜しくやって行く為にも仲良くしておきたい。スパルタクスの事を知っていたモーさんに頼んで、スパルタクスも混じえて食事をする事になった。
「さ、ローマの豪華な食事じゃないが、これでも料理は得意だからね、味は保証するよ。沢山有るからターンとお食べ」
「……ブーディカ、あんた本当にブリタニアの女王か?あり得ないだろ、マッシュマッシュの国だぞ⁉」
「…え、マッシュマッシュって何⁉」
「マシュ、モーさんは何に不満があるの?」
「えーと、ブリタニア今で言うイギリスも食文化は日本やアメリカ等と比べて独特な文化してまして…」
「マシュ、今やブーディカのを見るに違ったのかも知れねぇが、オレの時代は酷かった。ほぼ素材の味だ!あれを料理としては認めねぇ」
そう言って、ブーディカのご飯をかき込むモードレッド。
「えーと、モードレッド君は頑張ったね、ほら、沢山お食べ」
見かねたブーディカは、モードレッドのご飯を更によそう。
「マ゙ズダー、ブーディカをカルデアに連れて行きてぇよ」
「落ち着いて、モーさん。君、今大分危ないよ」
モードレッドが落ち着いたのは、食事が終わった後だった。
「にしても、スパルタクスだったか、汝は何の為に此方についた?圧制者にはネロも含まれておろう?」
「然り、ローマ皇帝は圧制者である、圧制者がいる限り私は止まらぬ。しかし、より強大な圧制敷く者がいる。その者を倒さぬ限り、多くの人が悲しむ、それだけだ」
スパルタクスは語る。叛逆センサーが捉える強大な圧制者が現れたと。そして、それに比べれば弱者の味方であるだけが、協力する理由だった。。
「そうか、お主なりの考え方で動くのだな。やれやれ、厄介と言うべきか、損な性分なのだな。その鍛えられた肉体で何れ程の傷を受けたのやら」
「否だ。私は弱者の味方で有りたい。たとえそれで命を落とそうと私は後悔も躊躇もしない」
「いや、それが……何でも無い。戦士に失礼だった。スパルタクス、貴殿は誇り高き戦士だ。…まあ、吾から見れば命あればと思うがな」
そうして、食事会は閉幕した。そして、みんなで風呂に入った。僕はスパルタクスと一緒だったが、風呂ではとてもおとなしかった。背中を洗い合い、何だか交友を深めれたかも知れない。
翌日、ガリア奪還の為に、野営地から僕等は連合ローマ帝国の部隊の展開する荒野に赴いた。打ち合わせの通り、ブーディカとスパルタクスの部隊とスカサハと茨木の部隊が露払いを行い、ネロと僕等で本陣を叩きに行く。
迫る敵軍を退けながら、ふくよかな皇帝(仮)の元に辿り着いた。
「む、もう来たか。やれやれ、この私に先陣を切れとはな。軍師殿は無茶を言う」
「アレが敵か!?」
「何を戸惑っている。私が皇帝、ガイウス・ユリウス・カエサルである。体形を気にする隙は与えんつもりだぞ」
「お前達、構えろ!」
「フ、さすがに正面では分が悪いか。しかし──!」
ふくよかながら携えた黄金の剣が、こちらを攻め立てに来る。今は剣を持たないモーさんは、少し悔しそうに盾を使う。正面から打ち合うネロを見て、マシュはその体躯からは考えられない、動きに翻弄されながらも前に出た。僕は、応援しか出来ない。
そして、ネロの一撃が膝を着かせた。しかし、先程は手を抜いたとでも言うように、大きく黄金剣を振るう。
「…油断をしていたつもりはないのだがね」
「まだ、やるつもりか?」
「無論、弁論はまだ終わっていない。そう、私は来た!私は見た!ならば次は勝つだけのこと!」
先程とは違う雰囲気に思わず息を飲む。
「アレは宝具!?先輩、下がってください!!」
「しゃらくせー!!」
「ならば、受けよ!
放たれるは至高の連撃。その迫力に思わず後ずさる。そんな中、先に動いたのはモードレッドだった。サーフボードを盾にカエサルへ突っ込む。カエサルは先程とはまるで違う鋭さで、黄金の剣を連続でサーフボードに当てる。流石のプリドゥエン、簡単に壊れる物じゃない。が、そのたびに威力が上昇し、モードレッドを大きく後退させる。
「余も負けんぞ!」
入れ替わるようにネロが真紅の剣をカエサルに振るう。モードレッドとの擬似的な時間差でネロの剣が迫る。それをカエサルは身体を捻って躱し、距離を取る。そこに、金時と練習した盾を前にしたチャージ攻撃をマシュが仕掛ける。
「ハアぁぁ!!」
「ム、間に合わん、かっ!」
カエサルはそれを躱さず正面に剣を構え、迎え打った。カエサルの剣とマシュの盾、盾の大きさや体勢はマシュに軍配が挙がるが、体格で優るカエサルは互角に鍔迫り合う。
「まだだ、余は負けんぞ!!」
「──」
「え、急に!」
「な、マシュ!!」
そこに、ネロが再び、剣を振るう。しかし、カエサルはマシュとの打ち合いでわざと力を抜き、マシュの態勢を崩した。崩れたマシュはネロの射線上に倒れ、ネロは慌てて剣を引き、マシュを掴んだ。
「──皇帝ネロ、これで幕引きだ!」
「させねぇーよ!!」
そこに、カエサルは黄金剣を振り下ろす、だが、それはモードレッドのサーフボードからの射撃で防いだ。
再び、距離を取る。なかなか均衡状態から抜け出せないでいた。攻める手は此方が上なのに、搦手によって、均衡状態に持ち込まれる。互いに打つ手が無い状態。他のみんなが負けるとは思えないので、時間をかければ此方が有利のはず。それは相手も解るはずだ。しかし、ここに来て相手は攻撃を捌くばかりで、時間を稼いでいるようにも見える。援軍が来る⁉……解らないな。何か意表をつける手があれば。
――!あった、それに来た!
「──マシュ、相手の隙を作ってくれない!」
「…はい!マシュ・キリエライト、突貫します!!」
マシュに再びのチャージ攻撃を頼む。カエサルはそれを同じく正面で受け止めた。
「モーさん、目隠しを」
「おう、任せろ!」
そして、モードレッドにカエサルの周りに砂煙を巻かせた。カエサルの視界を狭めた。それを見て、僕は合図を出す。後方から唸りの良いバイクが突っ込んできた!更に、大きな両手でカエサルを挟む。そう、別行動のリップと金時だ。
「悪い、マスター!遅くなっちまった!」
「マスター、大丈夫ですか!!」
「ナイスタイミングだよ!そのまま、あいつを抑えて!?」
「「おう(はい)!!」」
合流した2人にカエサルを抑えるように頼む。金時のパワーとリップの腕で挟み込むように抑えた。そして、皇帝は余であるとネロがトドメを指した。今度こそ、両膝をついた。勝ったのだ。消えゆくカエサルはそれでもネロは美しいと言い、彼の裏には大きな存在がいる事を伝え消えていった。将が倒れた事で、ガリアを取り戻せたが謎の残る形となった。だが、勝利に違い無いとネロは勝鬨を上げるのだった。
まだ、終わりません。やっぱり特異点は長くなりやすいです。