森に詳しいロビンを先頭に森を進む僕達は、木々を避けながら最速で最短で、この先に在る洞窟を目指して進んでいた。
「おい、緑の人、この道で合っているのか?」
先頭ロビンに駆け寄った茨木が呼びかける。
「………悪い、それはオレの事で良いか?」
「ああ、他に誰がおろうか」
「…まあ、良いが。…道は合ってるぜ、この先の洞窟を抜けないと陸路で城には行けないからな」
「…そうか、短縮は難しいか」
「何だ、そんな事を考えてたのか、まあ、気長に行くしかねえな。それこそ、二回目とかなら飛ばせそうだがな」
「…仕方なしか、ブーディカの菓子はお預けか…」
「…オレので良けりゃやろうか?」
「なぬ、寄こせ!」
「へいへい、ほれ、これだ」
「──うむ、うまい(ボリボリ)」
「それはようござんした」
「先輩、そう言えばあの城はチェイテ城、何ですよね?」
「うん、そうみたいだね。それがどうかしたの?」
「いえ、それでいると思われていた、エリザベートさんの姿が見られないのが不思議で」
『ああ、そう言えばそんな話をしたね。…でも、姿は見えなかったけど、それらしい反応はあったよ』
「え、そうだったの⁉言ってくれたら良かったのに」
『あー、その時に騒ぎが起きたから伝えるタイミングが無かったんだよね』
『それって、あのお店の時よね?マスターの後ろにあった物ねぇ』
「え、酒場にいたの?ヘシアンとロボは見た?」
「ウォフ?」
「──!(ブンブン)」
「あ、ヘシアンさんが縦に振ってます。見たという事でしょうか」
「そうかぁ、気づかなかったなぁ。また、エリザベートは出番なしかぁ」
『ローマに続いてかぁ、彼女も可哀想だね』
『いや、フランスはまるまるカットだったせいで、ろくに喋ってすら無いんじゃないか?』
「いや、それだったらジークフリートやキャットもあんまり喋ってないよ」
『それならクー・フーリンも最近は少ないかな』
『おや、それなら私ももう少し出番が欲しいなぁ』
「先輩達、さっきから発言がメタいです!」
後輩に注意される3人であった。
森を抜けた僕達は、ロビンの言っていた洞窟を見つけた。
「此処だね、ロビンの言ってた洞窟って?」
「ああ、城に行くのに此処を通り抜けるんだ。まあ、ちょっと変わり者の魔術師がいるが、マスターなら何とかなるだろうよ」
「…変わり者の魔術師?」
「…それは、どういった方なのでしょうか?」
人物像を尋ねるマシュに、ロビンは少し表現言葉を探す。その際に、似た性質のやかましいドラゴンが浮かんだが、此処にいないので除外するのだった。
「……そうだな、インテリジェンス振る、まあ、頭の出来は良いんだが、どうも視野が狭くてな。あと、偉そうで、横暴なとこも有る。でも、生真面目さも持っている。けど、瞬間湯沸かし器並に短気。」
「……何か、面倒くさい人ですね」
「あの時のリップも大概、いや、それは良い。で、そんなんだから、早とちりで暴走したあげく、目も当てられない惨状を巻き起こす。」
「…あー、いわゆる、トラブルメーカーだね」
「…なんとも言えませんね」
「…そのうえ、自称天空の神で冥界の神でファラオで女王様だぞ?」
『うわぁ、すっごい属性過多だ。今どきのアイドルだってもう少し少ないぞ!』
『…私ももう少し属性を増やすか?…ロリとか』
『天才でモナリザで元男性で今女性で発明家な君にこれ以上の属性はいらないよ!』
『あら、水着を着れば喜ぶ人もいるって、キャットさんが言っていたわ!』
「…カルデアは、お気楽集団ですかい?」
「……時と場合によります…はい」
通信から垂れ流れる緊張感の無い会話にロビンは一抹の不安を浮べ、マシュはフォローの難しさに頭を悩ませる。
「うーん、まあ、英霊って基本的に属性過多だよね」
「…身も蓋もない事で」
「……おい、汝ら、何か来るぞ」
「グルルルゥ」
「ますたぁ、お気を付けてください!」
『──本当だ、強力な反応だ!』
皆の警告に身構えると、突然、眼の前に巨人が現れた!
[こんな夜更けに約束も無しに何事ですか!立ち去るが良い、不敬者共!]
「───」
「─先輩!判りますが、放心しないでください!」
「──はっ!そうだ、これよりひどい物を何処かで見た!だから、怖くない!」
「いえ、これも中々…。い、いえ、この際は置いて置きましょう!」
『何事なんだい⁉巨人、でも、質量が可笑しいぞ!』
「いやいや、落ち着けって、あれは幻影、イリュージョンだから!…おーい、女王さんよ!」
[ム、貴方は
「いや、な。少しこの先に行きたくてな。しかし、何なのオタク、いきなり幻影でご挨拶とは。以前はして無かったでしょ」
[ムム、これはファラオとしての威厳を魅せる為の幻影であって、……あら?先程、悪辣な雰囲気が漂って来たのですが、可笑しいですね。貴方達からはその様な雰囲気が感じられませんね]
「…オタクの早とちりって、事で良いか?」
[…………………仕方ありません。この先の洞窟を進みなさい。ファラオとして、アポ無しの訪問を赦しましょう]
そう言って、幻影は消え、代わりに洞窟の入口をさす無駄にピラミッドな矢印が残った。
「へいへい、って、事だマスター、先に進もうぜ」
「…良いんですか?」
「…良いんじゃない?うん、悪い人じゃあ無さそうだし」
「…そうですね、ポンコツ臭というか、似てるのに覚えが有りますね」
「…ああ、あいつな。此処のどっかに居るんだろうが、あの女王さんと似てるんだ」
「へー、ならその人と案外気が合うかもね、彼女」
「…マスター、濁してごめんなさい。エリザベートの事です」
「エ、エリザベートさんの事でしたか。…確かに、何処と無く似ている?」
「うーん、エリザベートかぁ。描写が無くて、あんまり知らないんだよね」
『エリザベート・バートリー、彼女も属性の多いサーヴァントだね』
『うん、アイドルとしては埋もれないだろう。まあ、プロデュースするなら埋めたい系だけど』
『私は、彼女の歌は好きよ。何と言うか、身体が痺れる感じが良いわ』
『それは、ハウリングなんじゃ』
「あのトカゲの歌は、それだけで兵器ですものね」
「アヤツの歌は、耳に響くから好かぬな」
「…まあ、いない奴の話は、そろそろ終いにしましょうや。多分、中で女王さんも待っている事だろうしな」
「ウォフ!!」
「ああ、ごめんね。行こうか」
彼女の赦しを得てから30分、僕等はようやく洞窟に足を進めるのだった。
〜???〜
「ギョエェぇ!!ブッッ!!」
「も〜!!何なのよあの大砲は!飛んでも無く飛ばされて、顔も服もボロボロよ!私、勇者何だけど!配管工みたいにショートカットさせなくても良くない⁉そりゃぁ、かっこいい魔法で飛べないけど、もっと勇者らしい事をさせて貰えないの⁉てか、小イヌ何処いるのよ〜!!勇者には頼りになる従者がいるものよね!いないじゃないのよ~!」
勇者エリザベート・バートリーは己の処遇を愚痴るも、耳を傾ける者はおらず、タダ、虚しく漂うのみであった。少し前であったら、ワンチャン、カルデアのレーダーに引っかかったであろうに、ファラオの幻影に意識を持って行かれてしまい、気づいて貰えなかった。
「はっ、てか此処ってあいつがいる場所よね⁉あいつなら、仲間に入れられるじゃない!早速、探しましょう!」
彼女はロビンが最近、金欠で森にいない事も、既にカルデアに合流している事も知らず、いたとしても具体的な場所を知らない。無自覚の宛のない歩みを彼女は謎の自信によって進む。彼女が出会えるかは、ランサーより高い幸運値が働くかによる。しかし、彼女は自称勇者!勇者とは幸運に巡り合う物。勇者であれば巡り合うであろう、勇者であれば…。頑張れ、勇者エリザベート・バートリー!君の
(エリザベートの冒険は)続きます。