基本、自分もプレイ状況を元にストーリーを書きます。連れるサーヴァントもそれに影響しますので、一部変更なんかもあります。あらかじめご了承ください。
2026/4/26 修正
食堂での一幕① キャットワンオペ食堂
少し前まで高校生だった僕は、気づいたら白い施設にいた。後輩ができて、ドクターに出会って、大火事の中を走り回って特異点まで行った。リップと後輩と一緒に黒い騎士も倒した。我ながら濃い数週間だったと思う。所長がいなくなったのはまだ実感が薄いけど、とりあえずここから書いていこうと思う。
「…良し、日誌はこんなものかな?ドクターはどんな形でも良いって言っていたから大丈夫だと思うけど」
ダヴィンチちゃんにもらった手帳を閉じる。ロマニから「特異点での活動報告レポートを提出してね」なんてお堅い言葉を言われて、慌てて「中学校で書いていたような日誌でも良い?」と提案したおかげでこの形になった。レポートなんて、できれば書きたくない。
「…マスターさん、終わりました?」
「ああ、うん、終わったよ。待たせる形になってごめんね、リップ」
「ううん、私から待つと言いましたから問題無いです」
ここはカルデアで貰った僕の自室だ。白い壁と机にベッド。小物棚が有る程度の部屋だが、実家では兄妹と同じ部屋だったから一人部屋は初めてでワクワクした。ダヴィンチちゃんに言えば、何か家具を作ってくれるかもしれない。できればカッコいいフィギュアを飾りたい。
で、今僕の部屋にいる彼女はパッションリップと言って、特異点Fにて僕が召喚したサーヴァントだ。クラスはアルターエゴという良くはわからないクラスだが、本人がすごいと言っているからすごいのだろう。
「それでも待たせたことには変わりないからね。お詫びに何か僕にできる事をしたいな、何か無いかな?」
「お、お詫び!?」
「うん、何かある?」
「え、えーと、…じゃ、じゃあ、手を、私と手を繋いでください!!」
「…?うん、良いけど、はい」
お詫びと聞いて慌て出した彼女は、言葉を詰まらせながらその大きな右手をビシッと此方に差し出した。それを見た僕も彼女の要求の意味はわからないけども、差し出された右手の中指を握り返した。手を繋ぐには少し違う気がしたが、彼女はうれしそうなので良いのだろう。その証拠に、ブンブンと振っているから。
「それで、他に何かある?」
「え、今ので終わりでは?」
そう聞き返すと彼女は呆けたように返す。
「リップがそれで良いならそれで良いけど、手を繋ぐ位はいつでもするよ?だから、他に無いかなって思ったけど」
「……ごめんなさい、これ以上求めちゃうと抑えられそうにないです。だから、保留にさせてください」
大きな両手を胸の前に組みながら、リップは保留を求めてくる。何についてなのかはよくわからなかったけど、リップが決めたことなら良いかと思った。可愛いし。
「…?うん、良いよ。じゃあ、良い時間だし、食堂に行こうか」
「はい!」
頷くリップと一緒にカルデア食堂に向かう。ガシャンガシャンと音をたてて歩く彼女は、まるでロボット戦士のようで本人には言わないがカッコいい。あと、ロケットパンチは少しズルいと思う。小さい頃、真似したんだぞ。
リップと共に食堂へ入ると、少ない職員とサーヴァントが各々食事を楽しんでいた。職員、サーヴァント共に異なる生活圏を持っている人達ばかりだ。それなのに楽しそうに麺をすすれているのは、僕達の頑張りが報われているからでもあるって聞いている。だから、次も頑張ろうって思えるんだ。でも、やっぱり問題もあって、あの爆破事故で多くの職員が亡くなってしまった。事故の対応に追われるロマニが悲鳴を上げていたのを覚えている。その亡くなった職員の中には当然、食事を作る人も含まれていた。そのため、ケガして作れない人も除くと、料理を作れる人がいなくなってしまった。だから、寂しい缶詰生活になると皆が予想していた。だけども、人生悪い事の後には良いこともあるものだ。特異点Fにて手に入ったリソースで、カルデア待望の料理人はやってきた。
「おお、ご主人今からご飯にするか?それともキャットを愛でるか?キャットの蹄は輝いているぞ!おやおや、リップも一緒か、ご主人も中々にすみに置けないな。今日の献立はカレーだワン!アタシが昔習った秘伝のスープで作ったラーメンも良いぞ!だが、オススメはうどんだな!」
「あ、じゃあ焼きそばで」
そうだね、カレーもいいけど、なんとなく焼きそばだね。
「キャット、私も手伝うよ?」
そう言って、リップはキッチンの中に入って行った。
「よろしい、少し待たれよご主人!!秘伝のスープを応用して、ホルモン焼きそばを揚げてやるぞ!ならば、リップはこの人参をキューブするのだワン。そして、ホルモンをIN!更にin!」
「うん、ぎゅ~、ぎゅ~と!!」
リップのスキル、トラッシュ&クラッシュを限定的に調整して、キャットの用意した人参を圧縮させていく。
「さすればたちまち漂う薫製に、ご主人の腹もぎゅ~と歌うだろう。そして、リップのキューブを混ぜ合わせれば、凝縮ホルモン焼きそばの完成だな!おあがりよ、ご主人!!必要なら冷ますのだぞ」
そう言って差し出された皿には、出来立ての焼きそばがあった。リップが圧縮した人参キューブが、混ざりあう美味しそうなホルモン焼きそば。匂いだけで腹が鳴る。さっそく食べようと、リップと席に向かう。リップは献立のカレーだった。リップ用に大きいお皿とスプーンで安心だね。カレーもカレーで美味しそうな匂いを出している。次の機会ではカレーにしようと一人心に決める。
見つけた席に座ると、対面にはジークフリートが一人でラーメンを啜っていた。ジークフリートはキャットと一緒にカルデアに来てくれた。戦闘じゃ頼りになるのに、何故かことあるごとに謝ってくる。英雄だし、頼りにしているのだから、もう少し自信を持って欲しいものである。いい所でもあるけどね。
「おや、マスターか。すまない、ラーメンを啜る音が大きかったか?」
「いや、それくらいなら気にしないよ。むしろ、美味しそうに見えたから」
そう言って、僕は机のピッチャーでリップと僕の水を汲む。
「…そうか、ならば良かったが」
「ジークフリートさんは、神経質な位に気にし過ぎです。その頑丈な身体なんだから、もっと貧弱な精神を鍛えるべきです」
「…そうだったのか」
リップは僕が差し出したコップを「ありがとうございます」と受け取った。
「まあ、貧弱かはともかく謝る必要の無い事かどうかの線引は、したほうが良いよ。今のジークフリートには、それができて無いように感じるから。って、僕もこれって断言出来ないけどね」
「…そうだな、ありがとうマスター。俺なりに考えよう」
そう言って、頭を下げたジークフリートは再び、ラーメンを啜り始めた。先程よりも少し抑えめで。ジークフリートの事は、まだまだかかりそうである。いや、僕も言える程できてないけども。
それはそれとして、僕も焼きそばを啜る。リップも柄の大きいスプーンで器用にカレーを掬っていた。キャットの焼きそばは秘伝のスープが効いているのか、塩が少なめなのにホルモンに良くあっていた。リップが圧縮した人参も、小粒からは考えられない食感をしていて美味しい。キャットが来るまで、缶詰とドライフルーツだったから今が幸せである。
美味しく焼きそばを食べ進めていると、こっちに近づく足音が一つ。
「先輩にリップさんにジークフリートさん、私も御一緒させて貰ってもよろしいでしょうか」
「ああ、マシュ、良いよ座っちゃって」
そう言って、僕は返事をする。
「マシュか、此方に座ると良い」
ジークフリードは隣の椅子を引く。
「マシュさんもカレーですか」
リップはマシュの持つお盆に目をやっている。
「はい、失礼します」
やって来たのは、此処カルデアで出来た後輩のマシュだった。デミサーヴァントってよくわからないけど、特異点Fではずっと隣で守ってくれてた。そんな彼女はリップと同じカレーの器を机に置いて、ジークフリートの隣に腰を下ろした。
「先輩は、焼きそばですか?…メニューにございましたか?」
「うんん、キャットに頼んだら作ってくれた」
焼きそばをすすりながら応える。やっぱり美味しい。
「そうだったんですか、そちらも美味しそうですね」
「ん?よかったら一口食べる?」
マシュへ一口分を挟み差し出す。
「うう////、良いんですか?」
「うん、別に一口問題ないよ。ほら、あ~ん」
「…う、で、では、あ~ん」
可愛く開かれた、マシュの口元に運ぶ。それをマシュは少し赤らめ頬張る。ジークフリートは目を閉じて、リップも赤らめつつ見守った。
「美味しい?」
「は、はい!!」
思わず上擦った声が出てしまうマシュ。あ、耳も赤い。
「…スス、うん、美味しいな」
目の前では、我関せずとばかりにジークフリートが淡々とラーメンを啜っている。
「はわわぁ///」
そして隣を見ると、あーんと食べさせてもらうマシュを見て、なぜかリップまで顔を真っ赤にして両手で顔を覆っていた。
今日も平和な食堂での一幕。そんな一幕を過ごしながら、僕達は次の特異点に向かうのだった。キャットに次の献立で蕎麦をリクエストしようかな。