エリザベートによるハロウィン宣言を受け、墓場酒場広場が盛り上がり始め、僕達が先頭に立って準備を始めた。その中で、騎士団が禁止令に基づいて止めに来たが、ケーキの恨みと茨木が暴れ、ピラミッドに直帰させた。その時に、騎士団のボスらしき2人にマシュが違和感を持ち、管制室に来ていたモーさんが円卓のバカ共と愚痴っていたという。兎も角、ハロウィンの準備が進んでいた。ロビンが設営の準備をマシュとしたり、ヘシアンとロボがかぼちゃを刈って運んで来たり、清姫と僕で茨木や子供達にお菓子を配り、マタ・ハリとニトクリスとリップがその他母達とお菓子を作っていた。…エリザベートは剣を振って指揮を取っていた。
ハロウィンの盛り上がりは僕の想像よりも大きい物となった。皆が笑い、踊り、歌う。日本のハロウィンをテレビから見ていた僕には、少し眩しいし素敵に思う。これであのヴラド3世の言う罪を精算出来たのかはわからない。けど、此処での満たされた笑みは罪ではないと思う。だから、エリザベート、歌おうとしないで。余響が締めになっちゃう。ああ!ロビン、リップ、ちゃんと抑えて、歌っちゃう!マシュー!助けてー!耳が〜!ロマニ、笑ってるけど、君等も道連れだからね!ギャー!
……はぁ、漸く落ち着いた。必死にエリザベートのリサイタルを止めた僕達は、再びピラミッドチェイテ城を目指して歩き出した。道中に何でか忘れたけどかぼちゃを回収しながら進む。森、洞窟、雪原、溶岩…あいも変わらずだが、天変地異かとツッコミたくなる。海が無くて安心とも取れるか?
そして、城の前に辿り着いた。
「そ、その…トリック・オア・トリート…ね。……おじ樣」
「…祭りの音が此処まで届いておる。…貴様が気づいてやったのであれば、幾ばくかの成長と言える…。気付かされたのであらば、……巡り合せが良かったと見るべきであろうな。……裁決は結果のみを観る。民が満たされて入れば、先に進む資格が有る。…結果を観るに貴様には資格が有る、…と、王で在る吾であれば言うだろう」
「…おじ樣!(ぱわぁ)」
「だが、
「おじ樣!」
「来るぞ!お嬢も構えろ!」
「エリザベート、今は戦うのです。貴方の罪は邪悪で有るかもしれませんが、あの街の主は貴方なのでしょう⁉すぐに償えぬ罪の精算の前に今は状況の精算をすべきです!」
『…ヴラド3世の魔力が上昇、避けられないぞ!』
「マシュ、リップ、清姫、茨木、ヘシアンにロボ、みんな行くよ!!」
戦いは多対1の図に反して拮抗した。流石、串刺し公のヴラド3世と言うべきか、…別側面なら別の…いや、
良いや。とりあえず、槍での攻撃が痛い。どうも、ロマニの解析で反英霊に強い特攻を持っていると言う。要は茨木やエリザベートに清姫は危険って事みたいなので、2人ができるだけダメージを貰わない様に動きたい。森であったら、ロビンの破壊工作が活用出来ただろう。だから、マシュとリップにメジェド樣に頑張って貰う。攻撃のターゲットを出来るだけ引き付け貰って、その合間にロビンを仕込む。だが、悪を赦さぬヴラド3世は悪を見ている。それに、溢れる様に魔力を上昇させる。だから、
「…良し、茨木、頼む。宝具であの堅牢な牙城を崩して」
「……ふむ、マスターよ。お菓子の貯蔵は十分か?」
「…ますたぁ、私の竜も乗せましょう」
「うん、ロビンも行ける?」
「…へいへい、任せてくださいよ。…偶には活躍しないとね。奇襲ってのは変わりませんがね。……無貌の王、参る」
「エリザベート、最後は君だ」
そうして、戦闘開始から、いや、ヴラド3世が宣言してからか。俯く彼女にニトクリスが近づく。
「…………おじ樣」
「まだ、決断出来ませんか?」
「……」
「私はヴラド3世について良く知りません。ですが、とても厳しく、彼は武人と言いますが、彼も王で有ると思います。その彼の言う、罪の重さは計り知れないでしょうね。ですが、今回に限って言えば、あれは私情とも言えます」
「…私情?」
「ええ、貴方の言われる罪は生前、或いはこの特異点の前に犯した物とお見受けしました。そして、この特異点でも犯した罪は、民の満たされた笑みによって、精算されています」
「……」
「まあ、精算されたとはいえ、許されるかどうかは別ですが。…今、貴方がすべきは城主を乗っ取り、民を苦しめた者からの開放です!」
『…苦しめたかは』
『はいはい、空気を読もうね~』
「そして、彼は立ちはだかる壁です。ならば、今、貴方がすべきは壁を取り除く事です。歌いなさい、エリザベー・バートリー」
「……!!う、うん、歌う。そう、チェイテ城は私の御城で、魔王を倒す勇者のアタシ!ごめん、子イヌにニトクリス、私、歌うわ!」
立ち上げるエリザベートに答える様に、戦況は詰めに入っている。
「これより、立ちはだかる鬼を退治します!
「ハッ、竜炎を取り込み走れ、叢原火!!
「ムゥぅ⁉」
「………あんたは立派な武人だぜ。だが、此方も行かなきゃならねぇからな。…弔いの木よ、牙を研げ!
「ガァァッッッッ⁉」
清姫の竜の炎に茨木が叢原火を走らせる。その炎は合算に合算で巨大となり、ヴラド3世の堅牢な牙城を一撃で崩す。その隙に、廻り込んだロビンの宝具祈りの弓にて巨樹がヴラド3世を飲み込む。
「エリザベート、トドメ!」
「…ええ、リクエスト受けたわ!…すぅー、行くわ!───
「───」
真っ直ぐな彼女の
「……フッ、貴様の
「…おじ樣」
「……何て、顔をしている。貴様は罪人で在るが、此処では領主なのであろう。王でない吾だが、心得までは捨てておらぬ。…貴様は罪を犯した。されど、良き執政を行った。その者がその様な顔をしていて良いはずが無い。貴様の事だ、罪を犯すであろう。だが、それを正す巡り合わせも持ち合わせておる。ならば、堂々前を向け」
「おじ樣、私やるわ!」
「…ならば、やってみせろ……貴様の罪は一生消えぬし、吾も赦さぬ。それは努々忘れるな」
そう言って、ヴラド3世は光に包まれて退去した。
戦闘描写がサラッと終わるのは作者の力不足です