チェイテピラミッド城の門番をしていたヴラド3世を倒した僕達は、そのままの足で城を駆け上がった。道中に以前茨木に吹き飛ばされた騎士2人と遭遇したが、構える気は無いようなので、案内に従い女王の元に辿り着いた。待っていたのは、身体に蛇を巻き付けた女性、美を視覚出来るレベルで光らせる人物だ。
「…妾に圧倒的な敗北をしたのに、よくも懲りずに此処に来れたものです。……おや?トカゲ女は2人では?」
「そう、そこに気がつく何て、やっぱり並外れた観察力ね!」
「いやいや、オタクの場合は観察力関係ねぇから」
「何でよ、アイドルである私とハロウィンと言う力を携えた私、その2人が合わさった勇者の称号の似合う私で、違う様で同じじゃない!」
「…何処をツッコませたいのか判ら無くなる問答は1次創作でなさい。…はぁ、話を戻しましょう。とは言え、良く此処に来れたものね。その健闘は素直に称賛いたします。特にそのおバカトカゲに自分の失策を理解させたのは、評価に値します。そうでしょう?」
エリザベートとロビンの言い合いに手を叩き中断させた女王は、咳払いを行い、話の軌道を修正させる為に話を進める。
「……ぐ、そうね。ハロウィンにかまけて執政を怠った。綺麗に忘れていたわ。…それは、人の上に立つ者として、失格だわ」
「ええ、責務を忘れる事に綺麗も何もありません。傅かれるにも傅かれるなりの理由或いは勢いが存在します。…妾の持つこの天上の美。又は醜くとも力があるか」
「……クッ、耳が痛いわね。アイドルであり勇者である私がさらなる美を求めたから」
「いえ、貴方は力、パワーよ。美とは妾の事を言うの。それに貴方のその格好は美と言うよりも戦士、ウォリアーです」
「何よ、天上の美って、言う割にこの勇者ファッションが解らないの?あんたの言う美ってのは遅れてるんじゃないの⁉」
「何を言うのですか⁉貴方には理解出来ませんか、この妾から溢れる美を」
「古臭い彫刻みたいなの事?それならわかるわよ!」
「ふ、古臭いじゃと⁉」
いつの間にか顔を突き合わせる2人、言い争いがそれ始めて来た。
「別にエリザベートの格好も美では無いような…いや、それよりも早く止めなきゃ」
『まあ、一種のコスプレでも肉体美で美しい人もいるしね。人それぞれだよ、美何て曖昧なのは濁すのが安全だよ』
『ロマニの価値観はどうでもいいが、美というのは時代の流れでも代わる物だ。が、語り始めれば長いというのは共通だ。彼女等のせいで茨木童子なんかは寝かけている。いい感じで終わらせるんだ』
『そうね、美しいは色々よね』
「でも、あの雰囲気難しいよ」
「そーだな、簡単なら殴り込めば一発だがな」
「トカゲの論争はどうでもいいので一緒に焼きましょうか?」
「いえ、それは最終手段といいますか…」
「そもそもの話は何なのですかね?」
「知らぬ、それよりも睡いぞ」
「……ふぁあ」
「ああ、ロボも眠そうですね。早くあのファラオ、といいますか、クレオパトラに問たださねば」
「そうだね、……真名はそうなの?」
『ああ!彼女の特徴からも恐らくはそうだろうね。数多の男性を虜にしかねない程の魔性の美貌に、ピラミッドでファラオ、…蛇というかコブラか、それは逸話にある自殺の毒と方法による物かも知れないね』
『…プトレマイオス朝エジプト最後の女王にして、実質の最後のファラオだね。…エリザベートと格が違い過ぎないかい?』
「…ええ、それに私よりもファラオとしては上でしょうね」
「そうなの⁉ニトクリスの方が先輩でしょう?」
「いえ、先立つ者が全てで優とは限りません。ファラオとして未熟で有る私よりも最後までファラオを全うした彼女の方が上で正しいでしょう」
「そんな事も無いと思うけど」
「……んん、私の事はもう良いのです!それよりもあちらです!」
少し目を離した隙に取っ組み合いを開始仕出した2人。聞いていなかった間に何があったんだ。
「ぐぎぎぃ!」
「グググゥ!」
そこに美は無かった。パワーオブパワーの取っ組み合いはクレオパトラの蛇によって中断された。
「は、いけません、妾とした事が美も何も無い取っ組み合いをしてしまった」
「あ、そうよ、こんな事をしている時じゃないわ」
「ええ、そこは同意です。…拗れて修復は効きませんね。ですが、行う事は一緒でしょう。現統治者たる妾の元に貴方が来たという事は、そういう事ですね?」
「ええ!私のチェイテ城を返して貰うわ!」
「そう、………(チラ)」
「…クレオパトラ、先立つファラオとして私は此処にいません。一介の魔術師なのですから」
「…わかりました。……エリザベート・バートリー、貴方にファラオたる妾の天上たる美を超える物はあるかしら?【美の審査】程、恐ろしい物は無いと骨身にしみているでしょうに」
「…いや、有るわ!確かに造形美的な美はあんたに敵わないかも知れない。でも、今は多様性に飛んでるの。そこに私の持つ属性である可愛いアイドルは、多様性の美とも言えるはずよ!」
己の美を堂々と言い返すエリザベートに思わずロマニに問てしまう。
「…そう?」
『マギ・マリは立派な美だ。間違いじゃないさ!』
『うーん、ま、何も言わないでおこうかな』
多様性の美、エリザベートの言い放つ美にクレオパトラは顔を歪ませる。
「多様性、いえ、それよりも、貴方はそれで妾に挑むと言うの?」
「ええ!歌って、踊って、笑顔を皆に与えられるアイドルは女王として上から観てるあんたには出来ない差別点よ!それにアイドルが統治をするのは常識でしょう?」
「…執政者としてではなく──」
「──アイドルとしてあんたに挑むわ!!」
エリザベートの宣言は室内に響いた。
「何と言う、何と言う、妾の怒髪天を刺激するのね貴方は。──統治とは美からなると妾は考えているわ。そして、統治に必要なのは知性よ。よって、美とは知性に宿る物。ただ、歌って、踊って、可愛い笑顔で人の上に、統治をしようだなんて、その能天気で空っぽな考えは女王である私が許しません!」
宣言を聞いたクレオパトラは、声を上げて反論する。
「(ロビンはどう思う?)」
「(何でオレに聞くんだよ、…まあ、頭能天気だろうが、あれくらい我が儘である方がらしいってもんだ。何しろ悪属性の反英雄、ヴラド3世の言う様に罪と間違いで生きてきた女だ。変に考えたらろくな事にならんだろうよ)」
「(そっか、そうだね)」
「それでも私は諦めない!確かに知性が足りないとは良く言われるし、間違いだって犯しちゃうけど、何度だって私は立ち上がるわ!それに、私は欲深で、傲慢で、我が儘なのだから、どっちも大事なの。片方何て選べないし選ばない!私はアイドルでチェイテ城の主!勇者でもあるけど、それは変わらないわ!」
「何方も諦めない…ですって?これだから地方領主の娘は…!良いでしょう、その意気軒昂に思い上がりが何処まで続くか、この妾が見定めましょう!──所詮は夢に溺れた者の戯言、そんな物でこのクレオパトラの絶対美は砕けぬとしれ!!」
それが開戦の合図だった。クレオパトラの放つ眩い美の光、それがビームの様に此方を襲う。初撃はマシュの盾に阻まれるも、二度三度と放たれる。そんな中、
「(…トリスタン卿、我らも出るべきだろうか?)」
「(…私の回避は彼女らにあまり効果ないので遠慮したいですね)」
「(だが、女王が許すだろうか)」
「(……仕方ありません、気が進みませんが行きましょう)」
円卓のバカ共は、クレオパトラに遅れて戦場に参加した。
騎士2人が参戦した事で、戦力差は五分位になっていた。騎士2人も茨木に飛ばされたとはいえ、実力者であり、近接の黒仮面に遠隔の赤毛のコンビネーションはクレオパトラの光と蹴りが交わり、強烈な物だった。だが、茨木、リップが2人で騎士2人とクレオパトラを剥がし、清姫が炎で壁を創り、即席のリングが完成した。そして、リングの中央にはクレオパトラとエリザベートの二人がいた。
「さあ、決着をつけましょう!」
「…良いでしょう、お仲間がいないこの場で妾に向かうその心意気は買いましょう。ですが、妾と貴方とでは埋まらぬ格の違いと言う物があります。それでも来ますか?」
「御託は良いのよ!さっきも言ったわ、私はアイドルでありチェイテ城の主、そして、勇者よ!勇者は勇気のある勇ましく諦めない者の事よ。なら、
「ならば、妾が諦める勇気を授けて挙げるわ!──ファラオ闘法、眩き光に焼かれるが良い!これが格の違いと言う物よ!」
クレオパトラの後光がエリザベートに降り注ぐ。
「グググッッッ!!負けない、負けないわよ!私は勇ましく、諦めず、可愛いのよ!──見えた!」
「──な!」
「喰らいなさい──LaLaLa〜♪、ゲット!──
鮮血竜巻魔嬢がクレオパトラを襲う。しかし、それはクレオパトラを倒す為だけで無く、笑顔を魅せる為でもある。…何故か?それはエリザベート・バートリーが何処までも
これでハロウィン編終了です。次回以降にまたその後を乗っけます