ハロウィンでの微小特異点を解決した僕等はカルデアに帰還するための転送の光に包まれた。…それが僕の記憶の最後であり、現状の状態にとても戸惑っていた。いつもであればコフィンで目覚めるはずが、僕が目覚めたのはアニメで観るようなコックピットだった。困惑している僕に少女の聞き覚えの有りそうな声が僕に呼びかける。
『聞こえているのですか?不法侵入者よ』
「……えーと、うん、聞こえてる」
『ふむ、いつの間にか私のコックピットに居座っていると言うのに、とても曖昧な回答ですね。…いえ、お前も状況が判っていないとも取れますね。…不法侵入者、貴方の名を聞かせなさい?』
「カルデアのマスターをしている者です」
『そう、カルデア、…何かしら、聞いた事がある様な引っ掛かりを感じます。お前、私にあった事があるかしら?』
「…ごめん、君にあった事は無いかな」
『…いえ、確認ですので謝罪は不要です。…ですが、何故でしょう、私の思考回路がお前に信頼を寄せています。…やはり、不完全な状態で飛ばされた影響でしょうか』
「えーと、ごめん、君の事はなんて呼んだら良いかな?」
『…そうですね、私とした事が忘れていました。いくら不法侵入者であっても、名を名乗らせたのに私が名乗らないのは失礼にあたりますね。良いでしょう、私の機体名は、メイガス・エイジス・エリザベート・チャンネル、その試作1号機です。そうですね長いでしょうから、メカエリチャンと呼称しなさい』
「…エリチャン?…ねぇ、えーと、メカエリチャン?失礼かもだけど、エリザベート・バートリーって知ってる?」
『………そうですね、記録回路に該当の名は明記されています。そして、領主として何も期待の出来ない娘である事が書かれています』
「あー、関係者かぁ」
『…ふむ、その反応を観るに彼女と関わりがあると、ですが、私をあの娘と同義に考えるのはやめなさい。私はチェイテを守る守護者であり、あの娘は何も出来ない領主です。そこを間違えぬ様に気をつける事です』
「そっか、まあ、判ったよ。それで、此処は、何処なの?」
『…難しい質問ですね。お前も、目の前のモニターから視えている筈ですが、此処は一面の空です。陸地はおろか海や宇宙すらありません』
「…えぇー。確かに空しか見えないけど、海も宇宙も無いの⁉」
モニターから覗く景色は雲一つ無い空一色であった。下に海も陸地も無く、上に宇宙も無い。まるで空色の空間に迷い込んだようだった。かすかに流れる風が空だなと思わせるのみだった。
『ええ、それに加えて、空を飛ぶ私以外に飛行物もありません。現状、此処にいるのは私と貴方のみです』
「そんな、…あ、カルデアに通信を……繋がらない」
『…そうでしょう、御前が目覚める前に私も通信機器を使用し、試みましたが何処にも繋がりませんでした。…まさか、アマゾネスドット・コムにも繋がらないとは思いもしなかった』
「…じゃあ、僕達は此処に閉じ込められた?」
『そうですね、概ねその通りです。このまま飛び続ければ端に辿り着く可能性もありますが』
「…どれ位飛んでるの?」
『……地球から土星に届く程と言えば良いでしょうか、正確な距離は計器がいかれてしまい不明です』
「……え、そんなに飛んでるの?えっと、燃料は?」
『…はい、飛んでいます。燃料に関しては、お前が搭乗した際に勝手にパスを繋がせて頂きました』
よく見ると手の令呪が一角無くなっている。それに何か微かに喪失感がある。
「え、じゃあ、君は」
『肯定よ、不法侵入者改めてパイロット候補。お前の魔力で飛行しています』
「君はサーヴァントなの?」
『……私はチェイテ城の守護者、それ以外何者でも有りません。ですが、お前ならそれでも良いと思えています。幸いにもお前の魔力は私の炉心と相性が良いようです。最小の魔力で十全に動けます』
「何か評価が高いね?」
『私は正当な評価を好みます。お前に対してもその通りです』
「何か照れるなぁ」
『何を言っているのです。お前は私のパイロット候補でしょう。背筋を伸ばし、シャキッとなさい』
「う、判ったよ」
『それで良いです。では、目の前の問題を解決しましょう』
「問題って?」
その時、コックピット内にサイレンが鳴り響く。
「な、何これ⁉」
『敵襲の合図よ、センサーに引っかったわ!前方を良く視なさい』
言われるままに、モニターを確認する。すると、今まで姿形も無かったワイバーンの群れがいた。
「いつの間に⁉」
『此処は想像よりもずっと不可思議な場所だったと言う事ね』
「…何か、冷静だね」
『当然です、チェイテの守護者たるこの私が、あの程度のトカゲを倒せないはずが有りません。パイロット候補も良く覚えて置きなさい、私の機体性能の高さを!』
と、メカエリチャンが言い放つと同時に、ワイバーンが火球を放つ、数にして6つ、メカエリチャンを包囲するように放った。
『無駄よ!』
「シールド?」
『そう、私に流れるエリザ粒子を展開する事でシールドとなるのよ』
「エリザ粒子って何これソレ」
火球を防がれたのを確認したワイバーンは接近戦に切り替えた様で、翼をはためかせ、突撃してきた。
『あら、少しは知恵の廻るトカゲ燃料は?』
「どうするの⁉」
『もちろん、迎撃よ!パイロット候補、手前の右レバーを掴みなさい!』
「これ⁉」
『そのレバーを前に倒しなさい!それで私は攻撃するわ!』
「えーと、行け!」
『チャージイン完了、アームチェンジ、ドリルアァーム!!──貫きなさい!!』
突撃してくるワイバーンに向け、姿を変えたメカエリチャンの右腕がドリルアームがワイバーンの顔を抉り、絶命させた。メカエリチャンが腕を払うと、そこからワイバーンの赤い血が跳ねた。しかし、ワイバーンはまだまだいた。
『次は左のレバーよ!思いっきり後ろに倒しなさい!』
「判った!」
メカエリチャンの指示に従い、レバーを後ろに倒す。すると、突撃してくるワイバーンにメカエリチャンは左右の腕をかざす。
『──アームチェンジ、腕部バルカン!!』
また、姿を変える腕、次は6門の砲塔、左右で12門に姿を変えた。
『喰らいなさい、──バァァルカン!!』
放たれる銃弾は接近するワイバーンを蜂の巣にして墜落させた。それでもワイバーンの群れは来る。
『いい感じに温まって来たわ!パイロット候補、上のレバーを握りなさい!』
「上?…これだね!」
『それを引っ張りなさい!次は大技よ!』
「えいっ!」
『粒子シールド解除、──モード、
今まで、火球を防いでいた粒子シールドを解除し、必殺の戦争モードにチェンジしたメカエリチャン、見た目は変わらないが出力はとても上がっている。
『さあ、両手でレバーを構えなさい!そして、叫びなさい!』
「何を⁉」
パイロット候補の声を聞かずにメカエリチャンは飛び上がる。しかし、狙いは正確だ、固まっているワイバーン目掛けてメカエリチャンの必殺技を今放つ!
『全兵装、ロック解除。パイロット候補、しっかりと捕まりなさい!テイク・オフ!──スカートフレア!チャームサイト!──ソニックシャワー!そして、これでラストよ、叫びなさいパイロット候補!──ラング展開』
メカエリチャンのスカートから放たれるミサイルと目から放たれるビームで敵を中央に固定、更にバルカン、火炎放射に電撃で円を描く様に火力を集中、最後の締めに彼女のドラゴンラングが展開される。
「『必殺、
ドラゴンラングから放たれる強烈な騒音攻撃に堪らずワイバーンは消滅した。ファイナルエリチャンからの一連の攻撃は、メカエリチャンの記録回路に刻まれた太古から伝わる戦術で、彼女を設計した賢者でさえ呆れる程有効な戦術と言わしめた戦術だ。
『ナイスシャウトでした、パイロット候補よ。あれが私の必殺技鋼鉄天空魔嬢です』
「凄い、けど、叫ぶ必要あった?」
『何を言っているのですか、必殺技は音声認証に決まっているではありませんか』
「何でそんな昭和ロボットのルールみたいなのを搭載してるのさ」
『知りません、設計図にそう記載されていたのでしょう。………さて、静かになりましたね』
「うん、そうだね」
『…パイロット候補、どうやら、此処でお別れのようです』
「え?な、何で⁉」
『どうやら、この空間はいえ、夢はエリザベートとお前にパスが通じた事で発生した様ですね』
「エリザベートと、…ハロウィンでか」
『ええ、そうでしょう。そこで繋がれたパスに流れていた私が繋がったと言う事でしょう。その際に、未完成である私では完璧な空間を構築出来無かったのでしょうね。だから、こんなにも不可思議な空間だったのです』
「じゃあ、お別れってのは?」
『お前との直接のパスが繋がり、安定した事でこの空間が必要無くなった為ですね。お前はカルデアに戻り、私は元の場所み戻るでしょう』
「…何だか寂しいね」
『フフ、そう思うのであれば私を呼ぶ事です。お前とのパスは繋がっています。機会があればカルデアに行くでしょう』
「そっか、じゃあ、またねだね」
『……ええ、またです。
そして、目の前が光に覆われた。
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マスターの名前ってどうしましょう、今は出来るだけつけない方針でつけた場合は無難に藤丸ですけどどうしましょう?