ロビンやメカエリチャンを召喚した次の日、僕はハロウィン特異点を修復した事で休暇を貰っていた。とはいえ、カルデアには公園も無ければ、ショッピングモールも無いので休暇で楽しむ物は少ない。とはいえ、カルデア内の人数は増えているので寂しい雰囲気は無い。ただ、暇だなぁと思う位だ。でも、こんな状況で暇だと思えるのは幸せだろうしなぁ。そんなこんな考えながら通路を歩いていると、通路の真ん中に珍しい人物が佇んでいた。
「あれ?ヘシアンにロボ、こんな所でどうしたの?」
「───!(ビシッ)」
「ウウウ、ウォフ!」
「え、ちょっと、ロボ⁉僕の服咥えてどうしたの⁉」
「ウォォーン!」
「ちょと待って、咥えたまま⁉どこ行くのー⁉」
突然、ロボが僕の服の首元を咥えると、そのまま引きずって走り出した。引きずってと言っても、ロボのスピードが早いから地面について無いから痛くは無いけども。…いや、何で浮いてんの僕?
それでロボに咥えられて僕が来たのはいつもロボが寝ている厩舎だった。扉の前で降ろされた僕はロボへ振り向くと、ロボは僕に鼻先を押し付けて行く様に即して来る。全部は判らないけど、何かあってそれを見ろって事だと思い僕は扉を開けた。そこは、大きなハンガーとなっていた。思わず目を見開く僕にロボとヘシアンは有る所を指す。そこに目を向けると、何やら準備をしているメカエリチャンの姿があった。
「…メカエリチャン?何で厩舎に、てかこのでかい空間は何なの⁉」
「あら、来ていたのねパイロット候補。…此処?此処は私の整備ドックよ。ダヴィンチに要望したら空間と設備を融通してくれたわ」
「…ダヴィンチちゃん前言ってたの本気だったんだ」
「まあ、正式に整備士として雇うには少し足りないけれど、設備に関しては文句無いわね」
「ウォフ(ツン)」
「ああ、ごめん、…メカエリチャン、ロボ達の寝床は何処にやったの?」
大きなハンガーに押されて、状況を見失う所だった。こんなでかいハンガーが出来たと言う事は、ロボ達の寝床は何処に行ったのか。この部屋にそれらしい物は無いので気になった。
「………?そこの賢狼の事よね、ならばダヴィンチが新たに用意すると言っていたはずよ?」
「え、そうだったの?…まあ、ダヴィンチちゃんがそこの辺りを考えない事は無いか、万能の天才って言ってるし」
「ワフ(フン)」
確かに、杞憂ではあったか。あれでもしっかりとしているダヴィンチちゃんではあるし、後回しになっても投げる事はしないか。ロボも心無しか安心したように溜め息を吐く。
「……しかしまあ、いきなり場所を獲ったのには代わりないわね。申し訳ないわロボにヘシアン。ダヴィンチがいつ用意するか不透明であり、迷惑をかけている形ではあるので、ハンガーに部屋を造るわ。そこを臨時の部屋にしてくれないかしら」
「…すぐに出来るの?」
「問題無いわ、私は先の技術の結集よ?それに守護者として道具作成の要領で陣地作成も出来るの。ロボにヘシアン、要望はあるかしら?ある程度ならば答えられるわ」
そう言って、メカエリチャンは空中にウィンドウを出して、データを打ち込み設計図を作成し始めた。
「ウウウ……ウォフ」
「──?」
「そうね、ホログラムになりますが再現は可能です。良いでしょう、作成に移りましょう」
「え、メカエリチャン、ロボ達の言っている事が判るの?」
「…設計者が趣味で入れたと思われるフォルダーから低ランクの動物会話をラーニングしました。ですので坂田金時程ではないですが、簡易な会話は可能です」
それは驚いた。そのフォルダーに何が入っているかは判らないけど、大分汎用性の高い事が出来そうだ。また、何が出来るのかを聞きたいと思う。と、考えていると打ち込んでいた手が止まる。どうやら設計図が完成した様だ。
「今回は簡易な部屋と言う事で、私の記録回路と要らないフォルダーから良い形をダウンロードしました。後は、これを元に資材を加工するだけです」
「もう、出来るの⁉早いね!」
「是位、朝飯前と言う奴です。では、私は作業を行いますので暫しお待ちを、具体的に1時間程です」
「判った、ロボにヘシアン、食堂に行こうか?」
「ウォフ(コク)」
「──(グッ)」
後をメカエリチャンに任せて、僕達は食堂に遅めの昼食を取りに行った。そこで、エリザベートがライブを行おうとしていたのを清姫とジークフリートが止めようとしていた。その時、清姫がジークフリートに
「帰って来たのね、パイロット候補。ヘシアンにロボの要望に沿って、作成した部屋が完成したわ。さっそく見るかしら?」
「うん!」
「ウォフ!」
「──(コク)」
「なら、ついて来なさい」
そういって、メカエリチャンは例のブロックに向けて歩き出した。ブロックの前に来ると、メカエリチャンは何やらパネルに入力を始める。大きな扉の横に有るそのパネルに入力をしたメカエリチャンは此方に振り返り、ロボとヘシアンを呼ぶ。
「これから、2人の霊器反応を登録するわ。これによって、一々の扉の開閉は不要になるわ」
そして、2人が前に出たのを確認して、再びパネルに入力を行って行く。数秒の間パネルを打ち続けたメカエリチャンは、認証アナウンスと共に手を離した。
「……これで登録ね。…入りましょうか」
「うん」
中に入ると、鬱蒼とした森が広がっていた。光は木々から溢れる物のみで、それも微々たる物だった。音は木々が風に揺られるサワサワと言った物で、静寂な感じが出ていて、騒がしいのが嫌いそうなロボには良いかも知れない。
「…………(コク)」
「──(グッ)」
2人共、何だか嬉しそうに感じる。人を多分嫌いなロボがゆっくり出来る様に、でも、一人で無い様にロボットであるメカエリチャンを近くに置くのは良い考えかも知れない。幸いにロボもメカエリチャンにそこまで拒否反応を見せていない。ダヴィンチちゃんに相談して見るのも良いかも知れない。
「…そう言えば、何でメカエリチャンは厩舎に来たの?他でも良かったよね?」
「…理由は簡単です。今は小さいボディですが、本来は大きくお前が乗り込むのです。家畜等と一緒にされたく有りませんが、馬やバイクとはある意味同義となります。ですから、厩舎がハンガーとして最適だと考えました。ダヴィンチからは共感が得られなかったのが残念ですが」
「……そっか、それは残念だったね」
「ええ、非常に残念です」
ゆっくりと行きます