特異点を修復した僕等に一時の休日が与えられた。しかし、南の孤島の様なカルデアでは休日にできる事も少ないので僕はベッドに寝転がるのだ。…寂しいなぁ。
「──と、思っているご主人に朗報である!」
「──うわぁっ゙!キャ、キャット!?」
「うむ、谷間の休日を寝て過ごすご主人の為にとっておきを持って来たのだな!」
「…びっくりした…。…で、とっておき?」
「王女様が食堂でお茶会を開くそうだぞ!後でリップが向かいに来るのでな、ご主人もハーリーアップなのだぞ!」
「うわっ、引っ張らないで、立てるから」
「ハッハッハ、ご主人は初速が遅いのでな。案ずるな、ご主人亡き部屋はあたしが掃除する故な。何、ベッドの下と机の引き出しは見て見ぬ振りをして置くからご主人は安心して行くが良い!」
「え、ここの机引き出し──」
「ハッハッハ」
とまあ、キャットに追い出された僕だが、*1どうしたものか。キャットの話だと食堂だっけ?*2それにリップも来るみたいだね。*3……待ってようか。
「…マスター、迎えに来ました〜」
「あ、リップ、キャットに聞いたよ。お茶会だって?」
「はい!マリーさんからお誘いを受けました!」
「そっか、なら急いで行こうか?」
「です!」
食堂に着いた僕達は、食堂内にいるサーヴァント達の中で一際輝く席に目がいった。
「ふふっ、……あら?まあ、ヴィヴィラ・フランス、マスターやっと来たのね。こっちよ!リップさんも来たのね?これは楽しい事になりそうね!」
「先輩、それにリップさんもどうぞこちらにお座り下さい」
「マリー、お誘いありがとう。あ、マシュも誘われたんだね?」
「はい、楽しみです!」
「よいしょ、ふふっ、マスターとお茶をする事はありましたけど、お茶会は初めてですね?」
「……ああ、そうだね」
「あらぁ?そうだったのね、てっきりいつもしているのかと思っていたわ!」
「はい、私もそう思っていました」
「うんまあ、あの部屋で二人でお茶会って、あんまり似合わないしね」
「ですね」
「ふふっ、確かにそうね。…なら、今日は存分に楽しみましょう?ね、マシュ?」
「はい!楽しみマシュ!」
そうして、僕等のお茶会は始まった。席に座ると何故かタキシードに身を包んだロビンが押しているティートローリーから香る甘い、渋い?香りが鼻腔擽る。…渋い香りとは?
「ふふっ、ロビンさんお疲れ様ね!」
「ハハ、同じ食堂なのに輝いてやんの。…どーなってんの?」
「お疲れ様です、ロビンさん!」
「…何やっているんですか、ロビンさん?」
「それにその格好は?」
「…俺だって好きでこんな格好してないですよ。…タマモキャットの奴に着せられたんですよ…マジで奴に借り何て造るんじゃ無かったぜ…」
「ん?このお茶会はキャットも関わってるの?」
「はい、発端はマリーさんですが、その他の準備はキャットさんとブーディカさんが行いました。…ロビンさんとあちらにいるクー・フーリンさんにジークフリートさんもキャットさんが連れて来られました」
「…ああ、そういえば御二人もいましたね」
「ええ、キャットさんに頼んだら全部してくれたの」
「そっかー、…じゃあ、何でキャットは掃除しに来てたんだろ?」
「…さあ?」
「気にしても疲れるだけですよ、キャットの行動はキャットも解らない事もありますから」
「えーと、流石にそこまででは無いかと…」
「ふふっ、面白い子よね!…さて、ロビンさんお願いしますわ」
「ヘイヘイ、……マスターもごゆっくりと」
「ありがとう、ロビン」
「そんじゃ、近くにいますんで何かあったら呼んで下さいや」
「…おかわりです」
「おい、リップ、飲んでから呼びやがれ!」
「フッ」
「……なんだ」
「…いや、若いなと思ってな」
綺羅びやかなあちらの席とは違い、此方は茨木の食い気が大いに反映されたお菓子まみれのテーブルとなっている。付き合うスカサハは偶々居合わせ、流れに身を任すのも一興と、お菓子を摘んでいた。
「…実際に若いのはマスターとマシュ、リップもか*4」
「…英霊故な、それは仕方ないな」
「なんだ、師匠にしてはふけてるじゃねーか」
「ん、青い人、おかわり」
「へいへい、ほれ」
クー・フーリンは最初こそ厨房にいたが、スカサハが座った段階で呼び出しをくらい、こうして給付をしていた。
「このすこーんも上手いな」
「……セタンタ、後でどうだ?」
「…この場の雰囲気わかって言ってんのか?どうもしねーよ、俺だって場の雰囲気を壊しに行かねーよ」
「……そうか」
「おい、青い人、おかわり」
「あ?さっき──もうねーし、ブーディカの姐さんまだあるか?」
「うん、有るよー!」
「フン、はようせい」
「わーたよ、ちょっと待ってろ」
「…儂も貰おうか」
「あ?師匠はそんくらいにしといた方がいいんじゃねぇか?…太るぞ?」
「──ほう、死にたいか。そうかそうか、それならば話も早いな?セタンタ、給付が済んだら顔を出すがいい。偶には弟子にもプレゼントとやらをやらねばな」
「はっ、そんくれーで怒るなよ、きれーな顔にシワが寄ってんぞ」
「それな事より、汝、はようおかわりを持ってこんか!」
「マスターの机は賑やかそうですわね」
「あー、まあ、あの王女様もいるしな」
「仔イヌもデレデレしてるじゃない」
「…まあ、私は後方で見守ると決めたので良いのですが……」
「ハッ、その割に落ち着いてねぇじゃねーか?」
「…気の所為では?モードレッドはこの様な機敏な感情に疎いのでわ?」
「…あ、茶会って
「そんなお茶会、初めて聴いたわ!お前は大人しくスコーンでも食っとけ!」
「トカゲ、私も西洋文化に詳しくありませんが、貴方の歌は風情を壊します。お黙り下さい。もしくはジークフリート様に
「…おかわりを持って来たが、…すまない。話が見えないのだが」
そして、エリザベートは清姫とモードレッドに口一杯にスコーンを入れられ、茶会終了までモガモガと唸っていた。
食堂の端に2つの影、佐々木小次郎と金時である。
「おっ、珍しいな、小次郎が顔を出すなんて」
「…坂田殿か、何、某も賑やかな物も好む故な。この様な茶の席に呼ばれたならば出向く事も又、礼儀なり」
「ほー、格好はいっちょまえにつけちゃあいるが、その両手の饅頭で台無しだぜ?」
「フッ、私もタマモキャット殿に引きずられて来た者だ。これくらいは駄賃だとも」
「あー、まあ、俺っちもその口だがその図々しさは無いぜ」
「貴殿も腕を磨くと良い」
「それを磨いてもって思うぜ?」
そして、食堂外にも人影が。
「……ダヴィンチ、右のフレアスカートの数値を視て下さい」
「……ハイハイ、…OKだね。ドリルの方はどうだい?」
「…良きですね。魔神柱を貫いた時に少しばかりヒビの音が聴こえましたが、気の所為でしたか」
「……うーん、外観は問題ない。さっき打診検査もしたが異常は無かった。超音波は行っていないがやるかい?」
「…いえ、こちらが使用に注意すれば次の特異点は大丈夫でしょう。それよりも良いのですか?貴方はメカニック、メンテナンスも重要ですが、今日は食堂でお茶会が開かれる。参加しないのですね」
「…いや、行きたいよ?でも、君のメンテナンスは重要でもあるからさー。特異点でマスター君の最終防衛機構が整備不慮はだめだろ?」
「…そうですか、では、ドリルの超音波検査の実施を要請します」
「アレ?やらないんじゃないのかい?」
「たった今、貴方が言ったではありませんか、整備不慮はダメと、それに従ったまでです」
「あ、うん、そっかー」
ダヴィンチのデスマーチは夜遅くまで続いた。
「ドリルだけでも大きいなぁ」
そして、此処にも二人と一匹がいた。
「えーと、ヘシアン君とロボ君?管制室に何のようだい?」
「ウォフ!」
「──(カチカチ)」
「ヘシアン君!?何でそんな剣をカチカチ言わせてるの!?僕、何かやっちゃいましたかな!?」
「──(クンクン)!ウォフ」
「──(ピッ)!」
「…そこ?管制室の給湯室だけど???」
「ウォォォン!!」
「ハハハ、汝の呼び声はキャットの耳によーく届いたぞ!隈を隠すのが下手くそな野郎に休息を。あたしにかかれば2日で仕上げたる!タマモに伝わる秘伝の技、もったいないから使わんが、潤いは注ごうか!」
「キャット君!?君も来たのかい!?」
「うむ、仲間からのSOSいや、貴様からのSOSを受け、キャットは此処にお茶会を開く!心してゆっくりしていくがいいのだ!」
「……ヘ?お茶会?」
「オフコース!マスターがやっているお茶会である!…まあ、此処の設備ではこじんまりが限度だな!ハハハ、ロボ殿、疾く準備だ!」
「…フッ」
こうして突発的に始まったお茶会with管制室。手際良く茶菓子と緑茶を用意するキャット。ロボから降りて机を持ってくるヘシアン。横になるロボ。スタッフを集めるロマニ。それぞれがそれぞれの事をして、お茶会は始まり、ひっそりと終わった。
「さて、お茶会は終わってしまったけれど、マスターは楽しめたかしら?」
「え?うん、美味しいお菓子にいい香りのを飲めたから満足だし、楽しかったよ?」
「ふふっ、それなら開催したかいがあったわ。……マスター、貴方はこれから辛い事があっても笑顔を忘れてはだめよ?」
「……?」
「ふふっ、今は気にしないで、私達サーヴァントが貴方を守るのだからね!」