僕のカルデア日誌   作:kanaumi

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これは追記修正をしていく内に書きたくなったので書いたものです。あんまり話数を使いたくなかったので、結構詰めました。すみません。


第2頁(追記) フランスでの一幕① きっといつかのドラゴンスレイヤー

 

 これは過ぎ去った1ページを思い起こす幕間。それは第1特異点フランス。後に邪竜百年戦争と呼ばれる記録。

 

 

「……ん、ここは、風?」

「先輩、目が覚めたのですね!」

「あ、マスターさん、お目覚めですね!」

 風を感じていた僕に、駆け寄って来る後輩である、マシュとファーストサーヴァントのパッションリップ。2人がそのままの勢いで、ぶつかったら高校生の僕ではとても危ない。そんな脳内の信号とは裏腹に、2人は僕の前で止まってくれた。

「うん、おはよう。…カルデアじゃないってことは…」

「おはようございます、先輩!そして、レイシフト成功です!」

「おお、最初の時は、あんまり実感無かったけどこんな感じか」

 手や足を触って確認する。うん、カルデアの時と変わらない。

「マスター、不調な所はないですか?」

「うん、ないと思うよリップ」

 そう言って、彼女の差し出した指を、掴んで立ち上がる。

「おーおー、レイシフトそうそうに楽しそうだな、マスター?」

「あ、クー・フーリンにジークフリート!」

「ああ、周囲を見ていたが、ロマニ殿の観測ではフランス、ドンレミ村の近くだそうだ」

 リップの後ろから前の特異点からお世話になっているクー・フーリンとジークフリートが歩いて来ていた。

「フォウ!」

「あ、フォウさんもついて来ていたんですか?」

 後、謎の白い犬もついて来ていた。可愛い。

 

 

『あーあー、君の通信機でも音は拾えてるかい?』

「うん、大丈夫だよロマニ」

『うんうん、それは良かったよ。…さて、さっきジークフリート君達にあらかた調べて貰ったけど、やはりここは歴史とは違う事が起きているようだ』

「…ドクター、こちらからはあまり実感ができません」

「うん、わからないや、違うこと?ここって1431年何だよね?」

『ああ、1431年のフランス。そこは君も聞いた百年戦争の最中だ。まあ、休戦時期何だけど。そして、ジャンヌ・ダルクが処刑された年だ』

 フランスへのレイシフト前、短いミーティングの時に1431年について簡単に説明を受けた。百年戦争の事、休戦時期である事、そして、ジャンヌ・ダルクの処刑された年である事。中学生の僕は思いもしなかった。それは数少ない僕の知識にもあった、歴史の知識。年までは知らなかった。ただ、女性が戦争で活躍したこと。そして、処刑されたこと。それに直面する事になることなんて。

 

 

『ひとまず、ドンレミから道沿いに行ったヴォークルールに行こう!そこでなら、さらに情報が得られるはずだ』

「わかった、みんなも良いかな?」

「はい、私は異論ないです!」

「あ、マシュさんに私も同意です」

「俺もだな、ジークフリートはどうだ?」

「ああ、俺もこの時代のフランスは知らないからな。少し楽しみもある」

 そうして、僕達はヴォークルールに向かった。けど、そこはさっきまでの、のどかさとは全然違っていた。

「何があったの!?」

「マスター、あれだ!」

 倒れている兵士に崩れた砦。のどかな風景は一気に崩れ去った。そして、ジークフリートの指さした方向には─。

「えー!!ドラゴーン!!?」

「は、はい、正確にはワイバーン等に分類されるのでしょうか!?」

「気をつけろマスター!打ってくるぞ!」

 そう、ドラゴン、ワイバーンがそこにいた。ゲームで散々見てきた翼にアギト、そのフォルムはまさしくワイバーンだった。そんな驚いている僕等に、クー・フーリンは叫ぶ。

「わわ、リップ、前みたいに薙ぎ払って!マシュは兵士さんを守って!」

「えーと、はい、わかりました!飛んでる敵には拳です!」

「え、わ、わかりました!」

 慌てて2人にお願いする。リップはその巨大な拳で、ワイバーンを撃ち落としていく。そして、ワイバーンの火球が兵士に届く前にマシュが盾で防いでくれていた。

「ならば、マスターは俺の後ろへ」

「ごめん、よろしくジークフリート!」

 飛び付くように、ジークフリートの背に回る。その大きい背が僕を安心させる。

「みんな、大丈夫かな?」

「…ああ、マスター、君のサーヴァントはきちんと強い。クー・フーリン殿のは兎も角、マシュやリップ君もきちんと戦えている」

 そう言うジークフリートの後ろから僕は、戦場をじっくりと見た。そこにはかっこいいロケットパンチで、ワイバーンを落としていくリップ。迫る火球から一歩も引かず盾で守るマシュ。そして、杖でワイバーンを叩きまくる、クー・フーリンが見えた。

「凄い…」

「ああ、俺も後にはドラゴンスレイヤーなどと言われるが、この光景をみたら彼等もドラゴンスレイヤーだろう」

「うん、そうだね」

 カルデア・ドラゴンスレイヤーズの結成の瞬間であった。

 

 

 みんなでワイバーンを倒した後、ヴォークルールの兵士から情報を貰った。どうも、ジャンヌ・ダルクの処刑は史実通り行われたようだ。しかし、突然現れたのもジャンヌ・ダルクだったという。そんな歴史はないし、意味も分からない。でも、兵士から助けてくれてありがとうと言ってもらえた。ひとまず、それで良かった。

 

 

 

 ヴォークルールを後にした僕達は、ロマニとジークフリートも案内で、ラ・シャリテに向かうのだった。道中、またワイバーンに襲われたけど、本家ドラゴンスレイヤーが本領発揮で倒してくれた。本人もさっきのに触発されたと言う。後、ロマニからワイバーンのような幻想種が、この時代のフランスにいるのはおかしいと教わる。幻想種と聞き慣れない単語だったけど、結局理由が分からないからと保留となった。

 

「……」

「クー・フーリン、急に止まってどうしたの?」

「いや、なんか嫌な予感がしてな。…マスター、この先は気をつけた方がいいかも知れねぇ」

「ラ・シャリテになにかあるんだね?」

 クー・フーリンの虫の知らせを受けて、僕達は慎重にラ・シャリテへ足を進めた。そして、それは正解だった。

 

「キャァァァ!」

「た、助けてくれぇえ!」

 そこは地獄だった。いや、光景だけなら冬木でも見た。けど、そこに悲鳴は多くなかった。逃げまどう民。伸びる火の手。崩れる建物。もう、街ではなくなっていた。

 

「ひ、酷い、うう」

「うう、先輩、大丈夫、ですか?」

「おいおい、無理すんな。嬢ちゃんもマスターも、ちょっと目をつむって深呼吸しろ」

『そうだ、無理しちゃいけないよ2人とも』

「…いっそのこと、纏めてしまうのも」

「リップ君、止めておけ、それは後のマスターが悲しむ」

 酷い光景に、喉奥が焼ける感覚がした。すぐにクー・フーリンの手が、僕の視界を塞いだからなんとか落ち着けた。深呼吸の後、改めて見渡す。いたるところに火の手が上がって、焼けた匂いもする。これが戦争なんだ。画面の向こうの景色だったのが、急に現実になった。それが、帰還後に振り返った感想だった。

 

 

 僕は気休めかもしれないと、もう、救えないかもと脳内では考えるも無事だった人を探し歩く。みんなもそれに同意してくれた。しかし、その願望は儚く散った。見えるのは人の跡、潰れたもの、炭の形。後に、途中から僕とマシュの口数が明確に減ったと、ロマニやクー・フーリンは語っていた。そんな中、僕は見た。白い光をいや、ドレスを。

「……」

「き、君は?」

「…はい?え、私ですか?……フランス兵士の方では、無い、ですね?」

「…うん、僕達はカルデア、フランスの外から来た」

「…サーヴァントの方もいる。では、この聖杯戦争の参加者ですか?」

「聖杯戦争?」

「あれ、ち、違うんですか?詳しい記憶はありませんが、ルーラーとして呼ばれたようだから、聖杯戦争かと思ったのですが…?」

 おかしい、さっきの神秘的な流れは何処に行ったんだ。聖杯戦争…どっかで聞いたような?

「先輩、聖杯戦争はサーヴァント同士で行う代理戦争のことです」

『もっと、言えば勝者には願いがかなうとも言われているよ』

「そうなんだ、で、君はその参加者なの?」

「…いえ、私は審判のような感じでしょうか?この場ではどうも記憶にズレがあるように感じます」

 うーんと悩む彼女。なんか、さっきまで苦しかったのにどこか行ってしまった。それが良かったような悲しいようなである。

「…マスター、言うべきか悩んだが。彼女がその、ジャンヌ・ダルクだ」

「え?さっきの話に出てた!?」

「ああ、いや、サーヴァントとしての、ジャンヌ・ダルクは彼女が、正しい。以前の聖杯戦争の時にルーラーだったのが彼女だ」

 ジークフリートが爆弾情報を投下したので、さらにさっきの感情が吹き飛んだ。マシュも驚きすぎて、メカクレが解けてるよ。

 

「…ジークフリートさんって、たまにタイミングがおかしいですよね?」

「今回は俺もちょっと否定できねぇな」

「…そうだったのか。俺なりに考えたのだが」

 リップとクー・フーリンに言われて、落ち込んでいるジークフリートだけど、それよりもさっきの情報である。

「ジャンヌ・ダルクって本当!?」

「ああ、直接あってはいないが、確かだ」

『…確かに、ジャンヌ・ダルクならルーラー適正があっても不思議じゃない。でも、ジャンヌ・ダルクの召喚された記録なんて、カルデアにあったかな?』

『おーい、ロマニ、交代の時間だよ』

『あ、レオナルド、ごめん、みんな交代だ』

「あ、ロマニお疲れ様。ダヴィンチちゃんよろしくね!」

『ああ、任せたまえ』

 人は少ないが交代はする。それが運営だって、キャットが口酸っぱく言っていた。だから、管制室も交代制だった。話を戻そう。

 

「えーと、貴方はジークフリート、ジークフリートですか!?」

「ああ、君はジャンヌ・ダルクだろう?以前は、世話になった」

「えーと、別の聖杯戦争の記憶は持ってないので、すみません」

「ああ、礼を言いたかっただけだ。今回は話せるからな」

「…?ええ、とりあえず、ここから離れても良いですか?ちょっと、私の姿を見られるのは困ると言いますか…」

「…うん、良いよ。ダヴィンチちゃん、ナビできる?」

『ああ、万能の天才に不可能はないさ。街を出て、森に入ろう』

 ダヴィンチちゃんの案内も元、僕達は移動を始めた。街を出る時、みんなで静かに黙祷を捧げた。

 

 

 ダヴィンチちゃんの案内の元、辿り着いた森の中。

「では、改めて自己紹介を私はジャンヌ、ジャンヌ・ダルクです。ルーラークラスで現界しています。状況の把握はおそらく皆さんとあまり変わりないと思います」

「そっか、じゃあ、新たに現れたジャンヌ・ダルクは君なの?」

「…いえ、正しいのですが、その噂されているジャンヌ・ダルクは別にいると思います」

「…?別のジャンヌ・ダルクさん、ですか?」

 ジャンヌ・ダルクの説明では、彼女はここに気がついたら召喚されていた。ルーラークラスと言うことは分かるものの、その他の情報はなく、砦の兵士からやっと情報を得たようだ。その時、処刑されたジャンヌ・ダルクと新たに現れたジャンヌ・ダルクの事を聞いたそうだ。そして、「竜の魔女」と新たなジャンヌ・ダルクは呼ばれている事を知った。故に、自分とは別にいるとも考えたようだ。

 

『竜の魔女、ねぇ?ジャンヌ・ダルクの逸話にそんなものはない。そして、ここが特異点だということ。と言うことは、原因はそのジャンヌ・ダルク周辺で良いだろうね』

「そうだね、明らかに怪しい」

「…ジークフリートさん、以前の聖杯戦争のジャンヌ・ダルクどうだったんですか?」

「……すまない、詳しくは分からない。だが、竜と言うことであれば、前のマスターは俺をジャンヌ・ダルクの捕獲に向かわせただろう」

 リップからの質問に、ジークフリートは長考の末にそういった。その情報は、どこまで今回に関わってくるかは分からない。でも、確かなものは目の前のジャンヌ・ダルクは、そうではないだろう。それだった。

 

 

 

 それから僕達は、ジャンヌ・ダルク─ジャンヌと一緒にリヨンに来ていた。ここは、比較的被害が少ない様子だった。でも─

 

「ひっ!?りゅ、竜の魔女!?ジャンヌ・ダルクだー!!」

「あ、ちょっと待って、違うんだって!」

「ち、違う!?でも、そいつはジャンヌ・ダルクじゃないか!?俺は戦場で見たぞ!そいつが旗を片手にいたのを!!」

「!!戦場で…」

「しかし…」

『あーっと、マシュにマスター君、それにジャンヌ・ダルク君、話の途中でワイバーンだ!!急いで!』

 なんて空気の読めないワイバーンだ。リップやクー・フーリン、ジークフリートがやっつける傍らで僕は思っていた。でも、ある意味タイミングが良かったと今では思う。

 

 

「これで、最後!!」

「ああ、終了だ」

「うし、マスター、そっちに被害は行ったか?」

「大丈夫ー、ありがとークー・フーリン。リップとジークフリートもねー」

 無事に戦闘終了。さっきの兵士に無事か尋ねると、気まずそうにお礼を言われた。ジャンヌにも謝罪をしていた。その後、情報として、竜の魔女について教えてくれた。始まりはやはり、ルーアンで執り行われた、ジャンヌ・ダルクの処刑からだった。処刑後、セーヌ川に流された遺灰。誰もがそれを見送った。しかし、ジャンヌ・ダルクは復活した。国民からそれを喜ぶ声もあったが、ジャンヌ・ダルクが司教を殺したと広まった。そして、ワイバーンが現れた。これもジャンヌ・ダルクだ。復讐なんだ。そう言って、その兵士は気を失った。疲労から来るものだったが。

 

 

「……竜の魔女、いえ、ジャンヌ・ダルクは復讐を望んでいるのですね」

「ジャンヌ、君はどうなの?」

「……分かりません、いえ、分からなくなりそうです。私が復讐望んでいるか、望んでいないのか…」

「ジャンヌさん…」

 この道中、ここまで悲しそうに悩む彼女を見ていない。答えの出ない空の問答は、突然の轟竜によって遮られた。

 

 

「マスター、大変です!」

『マスター君、すぐにクー・フーリン君達と合流してくれ!!』

 大声でこちらを呼ぶリップとダ・ヴィンチちゃん。マシュとジャンヌと共に急いで合流した。

「何があったの?」

『とてつもない反応がここに向かっているんだよ!』

「ああ、俺は少しだが…」

「俺はこれを知っている」

 そう言って、ジークフリートはバルムンクを地面に突き刺す。

「そう、これは──」

 

「ギャオォォォオッォオ!!!」

 

「──ファヴニール、それがあの竜の名だ」

 凄まじい風圧と咆哮を轟かす邪竜ここに降り立つ。

 

 




次に続きます
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