僕のカルデア日誌   作:kanaumi

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短いですが書けました。



地下農園での一幕① 稲刈りは腰が痛い 

 

 ジャンヌの騒動を片付けた後、僕はカルデア廊下を宛も無く歩いていた。次の特異点にはもう少しかかるらしく、突発的な特異点も発生していない。本当に今はやる事が無かった。リップやマシュはマリーに誘われてお茶会だって言っていたし、モードレッドやジークフリートはシミュレータールームだろう。うーん、話し相手もいないと、ロマニやダヴィンチちゃんは次の特異点に向けて忙しそうだしなー。暇……そういえば、いつぶりだろうか?こんなにも暇な事って?オケアノスでは毎日が忙しかった。帰ってきた時はそのままベッドにダイブしたし、リップが起こしてくれなかったら1日寝ていたのでは無いだろうか?兎も角、今は暇なのだ。

 そんな僕が歩いていると一人のサーヴァントが目をつむり、壁にもたれかかっていた。

 

「……」

 

 そのサーヴァントは長い刀を横に立て掛けていた。…少し前に召喚された佐々木小次郎だ。あの宮本武蔵と戦ったっていう侍だった、はず……自信はない。彼はカルデアではいつも食堂でお茶をしているか、キャットにパシられているかの2つをよく見る。召喚されたのが事故の様なものの上に、オケアノス特異点前だったからあまり話せていなかった。

 

 

「……」

「…うーん、眠ているかな?どうかな〜?」

「……」

「……」

「……どうかされたかな?」

 

 気になった僕は小次郎の顔をのぞき込む、目蓋は閉じていて寝息の様なのは見られなかった。観察の為に顔を近づけていた僕は、突然開いた目蓋に驚いた。

 

「わっ、え、あ、起きてたの!?」

「いいや、眠っていた。して、マスターよ、私になに用かな?私は見ての通りしがない農民である。過度な期待は身に余るので気をつけて貰いたい。とは言え、今は暇をしている。マスターの用件次第でお供する事も辞さないが、いかがかな?」

「え、ごめん、小次郎がいたから近づいただけなんだ」

「む、そうであったか。はは、私の感はあまり当てにならないな。…ならば、マスター、今から時間はあるかな?少し、暇を潰す手伝いをいたそう」

「……?…まあ、あるけどどうするの?」

「はは、ここで言ってしまうのはいささか、風情やお楽しみに欠けよう。危険は無い、そこは安心すると良い」

「そう?なら、行こうかな」

 そう言って、小次郎は歩き出した。それを見た僕も慌ててその後を追った。

 

 

 

 

 小次郎が足を止めたのはカルデアの地下に広がる地下農園だった。ここはカルデア内での自給自足の為に栽培されている農園だ。基本管理はロマニや職員さんがやっているけど、彼は忙しいので誰か代わりに見てもらう事を話していた。ただ、それが誰かは知らなかった。そもそも、農業が出来る人は何れ程だろうか?ちなみに僕は田植えを手伝ったくらいだ…。そんな僕の疑問を他所に小次郎は中に入って行った。それを見て、僕も中に入る。間の部屋を抜けた先には、区切られた区画にそれぞれ旬の異なる野菜が育っていた。トマトに大根に離れた所には田んぼもあった。

 

 

「凄い!来たこと無かったけどこうなっていたんだ!…小次郎が世話してるの?」

「ああ、ロマニ殿に私が何か手伝える事は無いかと尋ねたら此処を紹介された。農民であった私には畑違いではないし、剣を振る以外に出来る事もそう多くはないからな」

「そうだったんだ、あ、ここに来たのは収穫?」

「いや、近いがそれは必要になったら各自で行う仕組みとなっている。食堂のブーディカ殿やタマモキャット殿もそうしている」

「そうなんだ、あ、小次郎がキャットに頼まれたのってこれの事?」

「…いくつかある故、断言も出来なぬがそれも含まれると言っておこう」

 顎に手を当て、バツの悪そうに顔を背ける小次郎。

 

「いくつも有るんだ…。それなら何をするの?」

「その事に付いてだが、時にマスターは稲刈りは得意かな?」

「稲刈り?うん、得意ってほどじゃないけどやった事はあるよ」

「それは重畳、察しはついたと思うがこれから稲刈りを行う、いかがかな?」

「おー稲刈りね、うん、良いね」

「着物に付いては彼処が更衣室となっている。マスターに合うものもあったはず」

「OK、行ってくるよ」

 小次郎が指し示した方向にはそれらしい案内板が見えた。中に入ると幾つかのロッカーと畳まれた物が何着か置かれていた。几帳面な人がいたのか、畳まれた物はサイズ毎に重ねられていた。作業様のオーバーオールに長靴を装備した僕は、小次郎が待っている田んぼに向かった。

 

「小次郎ー、着替えたよー」

「おお、マスター、こっちだ」

「小次郎も着替えたね?」

「しかり、アレでは畑仕事は大変でござるからな」

 着物から着替えた小次郎は、僕と同じオーバーオールに長靴を履いていた。二本の鎌を持って来ていた小次郎は一本を此方に差し出した。受け取った僕は、腰を屈めて稲穂の束をザッと刈っていった。僕の所作を見ていた小次郎も頷き、稲穂を刈り出した。

 

「それにしてもこの時期に稲刈りって遅いよね?」

「…私は魔術や科学に関してはからっきしな上、詳しい事は聞いてはいない。だが、この農園にはそう言う野菜や植物は多い、何かしらを施しておるのだろうな」

「そっか、まあでもそうだよね。室内で田んぼは聞いた事がないや」

「…又聞きではあるが、どうも有るようだぞ?それでも物珍しさは否めないが。私も聞いた時は疑った」

「そうだね」

 雑談を挟みながら稲穂を刈っていった。

 

 

 1時間程経った頃、小型通信危機から着信があった。相手は食堂、食堂の備え付け通信機器からだ。映し出された画面にはキャットが映っていた。

「ご主人、稲刈り中に失礼だが、シミュレータールームに急ぐのだ!何やら騒がしくなっておるのでな!後片付けは佐々木に任せて良いのだ!」

「え、わかった!ごめん小次郎、後は任せた!」

「ふむ、任された」

 後の事を小次郎に任せて、僕はキャットの言う通りにシミュレータールームへ走った。

 

 

 たどり着いたシミュレータールームでは、大津波に槍にウィッカーマンにと形容しがたい光景が広がっていた。慌ててスピーカーから停戦を叫ぶ。此方に気が付いたスカサハやクー・フーリンに様子を聞くが、はしゃぎ過ぎな内容だったから罰則を与えた。ボロボロなシミュレータールームは、どうしよう、ダヴィンチちゃんに頼めば何とかならないかな?そんな悩んでいた所に、今度はロボにエリザベートとロビンが飛び込んで来た。詳しくはわかってないけど、エリザベートが何かやったのは感じ取れた。ロボを落ち着かせるのは急務だけど、原因らしい彼女にも何かしらの罰はいるかな。今日から1週間はトイレ掃除に困らないね。倒れたエリザベートは、メカエリチャンが何か言いたげな顔で引きずって行った。

 

 

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