ローマでの一幕① ローマにたどり着け
第1特異点からずいぶんと時間は経った気もするが、ついにやって来た第2特異点だったけど、僕達はまた目的地とは違う場所にいた。事前に聞いていた話では首都ローマのはずが、丘陵地に僕等はいた。ドクター…と思うが、まあ、それはいつもの事だ。
「さて、みんな大丈夫?」
「はい、マシュ・キリエライト無事です!」
「おい、リップ、重いから腕をどけろ!」
「お、重くないです。モードレッドさん、失礼です!」
「マスター、クー・フーリンの奴が見えんが」
「え、クー・フーリンは今回休みだよ!?」
「大将、モードレッドとスカサハの姉御に、何か着せねぇか?…なんつうか目のやり場に困んだが」
「スカサハ、何かルーンで羽織れ無いの?」
「可能だが、この姿でも風邪等引かんぞ?」
「いや、そうだとしてもねぇ」
「クー・フーリンの兄貴、何で今回は一緒じゃ無いんだ。いや、この際は小次郎でも良かったぜ」
「あれ、茨木は?」
「マスター、あそこだ。てか、リップ早くどけろ!」
「重いとか言うモードレッドには罰です!」
リップに潰されているモーさんが震えながら指した先では茨木が座っていた。
「……いとお菓子」
「あいつ、何やってんだ?」
「いえ、私にはちょっと」
《あー、あー、聞こえるかい?そっちはどうなっているかな?》
ようやく通信が出来るようになったのか、ドクターからの通信が入った。
「ねえドクター、周りに都市が見えないよ」
《ぇ゙、またなのかい⁉クソ〜また調整し直しか〜》
「…おい、汝いつまで遊んでおる。戦いの音だぞ」
「茨木、儂は気づいていたからの」
「動いとらんから変わらんだろ」
「フ、そうさな」
《茨木童子の言う通りだ!近くで大規模人数の反応だ、確認してくれ!》
「茨木、何処?」
「あれだ」
茨木が指したのは離れた平地だった。そこには鎧を着込んだ兵士達が向かいあっていた。片方は真紅と黄金を掲げた大部隊であり、もう片方も真紅と黄金を掲げているが、極めて少数だった。
「ドクター、画像を送ります!」
《――確認したよ!でも、可笑しいなぁ。この時代にローマ近郊でそんな戦闘があったなんて記録はないぞ!》
「大将、混ざるか、避けるか?オレっちとしては混ざった方が良いと思うが」
「吾は混ざる方を押すぞ」
「私も此処で起こっている戦闘が、この特異点の原因解明に役に立つと思います」
「だが、何方に組する」
「うん、特異点の情報が欲しいからね!――勘だけど数が少ない方!」
「うむ、勝馬に乗るよりも、負けている馬の方が鍛えられよう」
「やーと、リップが退いたぜ、マスター、突っ込むなら行くぜ!」
「モードレッド、全然反省しないんだもん」
「うん、みんな行こう!」
急いで移動して負けている方に加勢しに行った。先頭をきっていた赤い服の女性に加勢を伝えると驚かれたが、相手にサーヴァントを倒す程の猛者はいないようで、怪我無く退けられた。その戦果は赤い服の女性、ネロに感謝されて、首都ローマに招待された。リップは彼女を知っている様で、ローマ帝国第5代皇帝―ネロ・クラウディウス本人だと言う。ただ、リップの知っている彼女はサーヴァントだと言う。ドクターもこれには驚いていた。僕も驚いたが、思い出せばアーサー王も女性だった。モーさんは、カルデアの記録で見て、複雑そうだったけど。
大群を退けた僕達は、彼女、リップの言う通りであった皇帝ネロは、首都ローマへ向かう為に共をせいと僕達に言った。どうも異常な状況であるのが感じられたので、その話を飲み、彼女の案内で首都ローマを目指した。その道中にて、何度か襲撃され、それを退けた。その中にはカリギュラと言われたサーヴァントの姿もあった。戦闘後、消滅はせず霊体化で消えていった。まるでバーサーカーであった彼に霊体化する正気があったか不明で有るが、マスターがいるのではと結論となった。
そして、僕達は首都ローマに招かれた。童女でさえ讃える花の帝政、その語りの通り皆が笑っていた。それは、モーさんや金時も認める程だった。ネロの館に招かれた僕達は此処の情勢を教えて貰った。栄光の大帝国ローマは今、2つに別れているのだとか。ネロの統制する此処ローマ帝国と複数の皇帝率いる連合ローマ帝国の2つだ。連合ローマ帝国の皇帝達は、先のカリギュラを見るにサーヴァントだろうと話がついた。
「ふう、今日も疲れた」
「先輩、お疲れ様でした。サーヴァントの相手ではなかったとはいえ、数が多いと厳しいですね」
《二人共、お疲れ様。ご馳走も豪華だししっかりと食べて休んでね》
「はい、そうですね」
「お主達、情けない事を言うでない、カルデアに帰ったら鍛え直してやろう」
「姉御、ほどほどにな」
「おい、金時、その皿を寄越せ」
「茨木は食い過ぎだ。モードレッドもだぞ」
「うっせ、食える時に食っとくのが定積だろ」
「…これ以上はまた……」
「リップ、食べないの?」
「マスター、いえ、これ以上食べるとまた…」
「そう?リップが食べてる所好きだけどな」
「――!……いえ、無理です」
「そっかあ」
「おい、大将、茨木とモードレッドを止めてくれ!」
「あーうん、二人共、そろそろ抑えて」
「良いじゃねぇか、カルデアから送られて来る保存食なんて食ってるかんねーし」
《モードレッド卿、一応、タマモキャット君に頼んで改善してるから…》
「うむ、ドライフルーツだったか、あれもいまいちだしなぁ。あの猫には吾も期待せなならんか」
「あー、キャットも良いけどよぉ、もう一人位料理出来る奴が来ねえかなぁ」
「そうだな、ルーンで弄ってしまっても良いが、それでは周りの反感も儂も納得せんしな」
「………やめてくれ、そのうちゲイザーの目玉で目玉焼きを作り出しそうだぜ」
「なんだ、ギャグか?」
「…モードレッド、想像さすな、バカモノ」
《……最終手段で》
「やったら、貴様の隠したお菓子は没収だ」
《茨木童子、何で君がそれを!》
「ん?ドクターのはみんな知ってるよ。キャットが公表してたしね」
《タマモキャット君ー!》
特異点では考えられない豪華な食事を楽しんだ僕達は、明日に備えて眠りについた。
初めは短編集で行くつもりでした。無理でしたが