人の体を乗っ取るスタンド使い   作:九条空

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リハビリに書きました


グレーフライ

「失礼、この飛行機にはスタンド使いが乗っていますよ」

 

 隣の席に座った空条承太郎にそう声をかけると、私はスタープラチナのこぶしで殴られ再起不能になった。

 

「なっ、なあにをしとるんじゃあ!?」

 

 隣にだけ聞こえる音量で言ったため、承太郎がいきなり人をぶん殴ったように見えたのだろう。

 オーマイガッ、とジョセフ・ジョースターが頭を抱えた。一方、暴力事件を引き起こした張本人は素知らぬ顔である。

 私は反対側の通路から()()()()()の顔をのぞき込み、どんどんと青紫に腫れ上がっていくのを確認して、大変に申し訳ない気持ちになった。

 

「うわ、ひどいな。問答無用でぶん殴ることないだろ」

「わしもそう思う!」

 

 たっぷりと同情をこめて呟くと、ジョースターさんからは同意を得られた。

 だが、その孫からは再び敵意たっぷりの目で見つめられ、スタンドで臨戦態勢を取られてしまうのだった。

 

「だからなにをしとるんじゃ承太郎!」

「こいつ、見えてるぜ」

「ハッ!」

 

 ジョースターさん、花京院、アヴドゥルの三名は、スタープラチナに向け両手を上げ降参を示す私が、ようやくスタンドユーザーだと気が付いたようであった。

 警戒心をあらわに、ハイエロファントグリーンとマジシャンズレッドが飛び出してくる。

 本物のスタンドを目の当たりにし、私は少々感動を覚えていた。思っていたよりも、彼らのスタンドはずっと美しい。

 感動をこらえながらも、極めて冷静に見えるよう、彼らに忠告した。

 

「もう一度言うけれど、この飛行機にはスタンド使いが乗ってるよ」

「そうかい。わざわざ自首する意味はなんだ?」

「あ、そうか。私もスタンドユーザーだから語弊があったね。私の他に、乗っているよという意味さ」

「なにィ!?」

 

 ジョースターさんのお手本のような驚愕を尻目に、私は変わらず両手を上げたまま話し続ける。

 

「一応宣言だけはさせておくれ。私は君たちに敵意がない。あるのはもう一人の方」

「なんだと」

「タワーオブグレー。昆虫型のスタンドでスピードが速い。本体は老――」

 

 けふ、と途中でせき込んだ。いや、違う、これはただの咳ではない。

 咳き込む際思わず口を押えた手に、鉄臭い液体がついたと気づいたときにはもう遅かった。

 たとえ襲撃に気づいていても何もできなかっただろう。私のスタンドに、タワーオブグレーに対抗できるほどのスピードはない。

 

「なんだ、一体どうしたというのだ」

 

 話の途中で黙ったことを不審に思ったアヴドゥルが顔をのぞき込んでくる。

 私はせき込んだ際、口元に持ってきていた手を目の前に移す。やはり血まみれであった。

 

「し――舌を! 舌を食いちぎられているぞ!」

 

 その通りで、口から滂沱の血が流れていく。この男はもう助かるまい。

 私は再び大変申し訳なく思いながら、スタンドを使った。

 

 それからは原作通りであった。

 タワーオブグレーは意味もなく飛行機の乗客数名の舌を食いちぎったし、承太郎はそのスピードに対応しきれなかった。

 しかし花京院がなんとかした。これで問題なく解決、と思いきやすでにパイロットが殺されていたので、やっぱりこの飛行機は墜落する。

 

 墜落事故のバタバタで、以降声をかけられなかった。

 次の襲撃は香港で、対する相手はシルバーチャリオッツ――J.P.ポルナレフだ。

 どうするべきか。原作の記憶がさほど正確にあるわけではないが、一般人に死傷者が出た記憶はない。

 放置しても良いものだろうか。いやしかし、先日のあの()()()()を考えるに、介入する方法を変えなければならないだろう。

 私はそもそも戦闘直前に顔を出そうとするのをやめたほうが良いだろうか。

 

 私はジョジョの奇妙な冒険の世界にいる。

 こういう体験は初めてではないので、いわゆる転生者としては、やや玄人に当たるだろう。

 ジョジョは好きだったのでそれなりに原作を記憶しているが、それなりはそれなりなので、セリフのすべてを暗唱することはできないし、登場人物のすべてを覚えられてはいないだろう。

 だが、覚えている限りのことであれば、この第三部と呼ばれるDIOを倒す旅を手助けすることができる。

 知っているのだから、できるのだから、やらねばなるまい。私の行動原理はそういった、単純な義務感であった。

 

 結局ポルナレフ戦はずっと眺めているだけになってしまった。

 落ち着いたタイミングで声をかけようかと思ったのだが、戦闘中に落ち着くタイミングなどあるわけがないし、戦闘終了後は治療でせわしなくしていたので、すっかり声をかける機会を失ってしまったのだった。

 

 やはり戦闘直前・直後はよくない。私は反省した。

 そんなわけで、彼らが香港に到着し――その宿の部屋にたどり着いたところで声をかけることにする。私はこの宿の受付をしている()()()()()()()()

 

「失礼。まず、私はあなたに敵意がないことを示すよ、いいね」

「? ああ」

 

 声をかけたのはアヴドゥルだ。承太郎には即座に殴られたというトラウマがあるため避けてしまった。花京院にも、承太郎よろしく即殺されそうな気配がする。ジョースターさんとは会話が出来そうだったが、彼はアメリカ人らしく、オーバーなリアクションで注目を集めてしまいそうだったので、妥協案である。

 

「そのうえで開示するが、私はスタンド使いだ」

「なにっ」

 

 臨戦態勢をとられても、私は困った顔で両手をあげるしかない。

 なにしろ私のスタンドには攻撃手段がない。反撃も自衛もできないのだ。

 一向に攻撃に移らない私を見て、最初に「敵意はない」と伝えられたことを思い出したのであろう。アヴドゥルは構えをとき、謝ってくれた。

 

「いや、すまない。取り乱してしまった」

「構わないよ。問答無用で焼かれずに済んで良かったさ」

「私のスタンドについて知っているのか」

「有名だろう、モハメド・アヴドゥルは?」

「そんなつもりはなかったが……」

「君だって裏社会で活躍するスタンド使いの幾人かは噂を知っているだろう。それと同じことさ」

「ウム、確かに……」

 

 いくらか柔らかくなった彼の表情に安堵する。

 前回のように、私のことをなにも開示できないまま退場する羽目にはならなさそうだ。

 

「それで、君は私が同類だと知って話しかけてきてくれたのかな」

 

 つまり、世界に数少ないスタンドユーザーのよしみで話しかけたのか、ということだ。私は首を振る。

 

「いいや、そういうわけでもない。君たちの旅の目的のことで話があってね。つまりDIOのことだが」

「なに!? DIOを知っているのか!?」

 

 突然のDIOというワードに興奮したのか、アヴドゥルは私の手首を掴んだ。

 しかし考えてもみてほしい。アヴドゥルはかなり大柄な男性で、それも私とはほとんど会話をしたことないスタンド使いである。急に手を掴まれては、ちょっとビビるというものだ。

 

「は? なんですか? 手を掴んだりなんかして」

「な、なに? 急に様子が変だぞ」

「離してください、痛いです……!」

「待て、話は終わっていないぞ!」

「話なんかないですよ! やめてください!」

 

 なんだか面倒なことになってしまった。

 私は防衛本能で、ちょっと驚くだけでついスタンドを発動してしまうのだった。

 受付の女性の体をうっかり飛び出してしまったので別のホテルマンの体を借りて、アヴドゥルの部屋に赴く。部屋の外からでも言い争う声が聞こえたので、ノックをしないで開けてしまう。

 

「失礼」

「助けてください、この人がしつこいんです!」

 

 私が先程まで借りていた女性がヘルプを求めるが、私は無視をしてアヴドゥルに話しかけた。

 

「急に手を掴まれたのでうっかりスタンドを解除してしまった。話の続きをしよう、DIOについて」

「な! なぜその話を知っている!? 盗み聞きしていたのか!?」

「まず私のスタンドについて話しておく方が早いね。私は人の体を借りることができる。だからさっきまで私はこの女性の体を借りてあなたと話していた。今はこちらの体を借りているので、今この人は私ではない」

 

 すぐには飲み込めない顔をしていたアヴドゥルだったが、手を掴んでいた女にピシャッと手を跳ね除けられた上に「しつこいのよ!」とビンタされた。そのまま女性は、私とアヴドゥルを無視して部屋から去った。

 女にビンタされた頬を押さえながら呆然としているアヴドゥルを前に、私としては大変気まずい。

 

「あー、その、大変申し訳ない。私のせいだね」

「い、いや、おおよそわかった、君のスタンド能力については……」

 

 つまり、今私はラジコンを操るがごとく、無断で他人の体を我が物顔で操作している。

 我ながらなんと卑怯なスタンド能力だ、とも思うが、せっかく持っているのなら善いことに使いたいと思う気持ちもある。だから遥々スターダストクルセイダースの旅路に介入しようとしているわけだ。

 

「飛行機の中でも君たちに話しかけたんだが、タイミングが悪くてきちんと話ができなかった。今回はタイミングを見計らえたと思ったのだが、ううん、やっぱりうまくいかないね」

「飛行機……?」

「タワーオブグレーについて助言しようと思ったのだが、そもそもいらなかったのかな。君たちでなんとかしたものね」

「! ま、まさか、あのとき舌を食いちぎられて死んだあの男か!?」

「そうさ。彼には悪かったと思っているよ。私が彼を借りて喋らなければ、死ななくて済んだかもしれない」

 

 しばらく考え込むようにしていたアヴドゥルだったが、突然部屋から出ていこうとする。

 

「この話は私だけで聞くべきものではない。皆を呼んでくるが構わないだろうか」

「ううん、まあいいんだけれどね、私は君たちを助けたいだけだから。ただ、前みたいに話も聞かずに殴らないでくれよ」

「わかったとも」

 

 わかってほしいのはあなたではなく承太郎なのだが、アヴドゥルにスタープラチナが止められるだろうか。私のせいで何人もが殴られてしまっては、無い心が痛むというものだ。

 

「人の体を奪うスタンド使いじゃとぉ?」

「人聞きが悪いが、おおよそ間違ってはいないね」

 

 一行が集合した。

 香港で仲間になったポルナレフもいる。私が見ていた香港のレストランでの態度と異なるのは当然、ポルナレフから肉の芽が抜かれているからだ。今の方が私がイメージするポルナレフに近い。

 

「フン。性格の悪そうな能力だ」

「それも否定しないさ」

 

 承太郎といえば、飛行機でのことのように即座に私を殴りはしなかったが、敵意は相変わらずだ。当然私は見知らぬスタンド使いではあるからして、その態度もうなずける。

 

「じゃあよお、おれたちの体も操り放題ってわけか!?」

「それは無理だね。スタンド使いの精神は普通より強いから、こんな風に易々と乗っ取れないよ」

 

 ヒラヒラと、ホテルマンの男の手を振ってみせる。

 私が人を操っている間、その人に、私に操られていた間の記憶はない。

 いうなれば、この男は今無抵抗で私に好き勝手にされているわけだ。同じことがスタンド使いにもできたのなら、私はDIOの体を乗っ取って自害するだけでこの物語を終了させることができる。それは不可能なので、こうして人の力を借りようとしているのだ。

 

「スタンド使いでなければ、操り放題ということですか?」

「操りやすさに程度はあるが、そういう認識で構わないよ」

 

 精神の強さが影響するため、強い意志を持って行動している人間ほど操りにくい。スタンドユーザーであれば素の状態でも意思が強く、体の支配権を完全に奪うことは、少なくとも現時点では不可能だ。

 一般人でも、眠そうにしている、あるいは眠っている人や、暇そうにぼーっとしている人間の方が体を乗っ取りやすい。

 

「ひえーっ。十分脅威だぜ。普通の人間だと思ってたやつが、突然背後から刺してくるかもしれねえってことだろ」

「できなくはないね。それでも一般人にできる範囲の攻撃に過ぎないから、君たちにはぜひともスタンドで防いでほしいところだけど」

「四六時中気を抜かないってのはケッコー難しいぜ」

「それもそうか。やろうと思えば、それこそ乗ってる飛行機のパイロットを操って墜落させられるしね」

「そんなんやられたらみんな死んじまうぜ」

「あっはっは。だってさ」

 

 つい先日、パイロットの不在で飛行機が墜落した面々に話を振ると、全員が複雑な顔をした。

 

「何の用だ」

「DIOを倒すのにぜひとも協力したい」

 

 承太郎の尋問じみた質問に、私は本心で答えた。嘘偽りなく、DIO打倒は目下私の目的である。

 出来る限りの真面目な顔をしてみたが、承太郎には何の意味もなかったようだ。借りた顔だというのが悪いのかもしれない。

 

「その能力でなにができる? DIOに奇襲でもしかけるのか?」

「あー、1回やったんだけど、結果は言わずもがなかな?」

「やったのか!?」

 

 驚くポルナレフに、私は肩をすくめた。

 DIOが食料にしようとした女の1人の体を乗っ取って、首元の接合部分にナイフを突き立てようとしたことがある。

 当然駄目だったが。無論ダメもとでやっているので納得だ。

 女は放っておいても食われて死ぬだけなので、私が勝手に特攻に使っても大して心は痛まなかった。

 

「私のスタンド能力は、スタンド自体に攻撃力がない。とかく戦いには向かないのさ。だから君たちを応援することぐらいでしか、貢献できないんだよ。ごめんね」

「応援じゃと?」

「私は君たちを襲うであろうスタンド使いについて、情報を持っている」

 

 全員が息を飲んだ。ジョースターさんは険しい顔で顎を撫でる。

 

「信じられん」

「信頼については追々得ていくしかないな。最初は私を信じないことを前提に、聞くだけ聞いてはくれないか?」

「とか言って、俺たちが完全に信じたころに裏切るパターンもあるよなぁ?」

「あるけど、そこは君たちに頑張ってもらうしかない。私が信頼に足る人物か、どうか長い時間をかけて見極めてくれ。DIOと対峙するまでには、ぜひとも信じてもらいたいけれどね」

「それはつまり、DIOのスタンドについても知っておる、ということかの」

「そう思ってもらって構わないよ」

 

 彼らは今度こそ絶句した。

 目の前に喉から手が出るほど欲しい、ラスボスの情報があるのだ。誰でも緊張状態になるだろう。

 承太郎は不満そうに、帽子の下から私を睨んでいる。

 

「俺たちの前に直接出てこねえ臆病者は信じられねえな」

「それを言われると弱いね。安全圏からいろいろ言ってるだけの卑怯者、という誹りは免れられない」

「ふーむ、たしかに能力の都合上、本体を押さえてしまえば、どんな体に入っておろうと倒せるからのう」

 

 私を倒す前提で話進めるのやめてほしい。こんなにも友好を示しているというのに。

 会ったばかりのスタンド使いとして、スタンドの能力を開示するのは勇気のいる行為だ。それこそこうして簡単に、私のスタンドの弱点も把握されてしまった。

 

「スタンドの基本として、力が強いスタンドほど本体から離れられない。力の弱いスタンドは射程範囲が広い。私のスタンドは攻撃能力が()()()()()()ことを代償として、射程が()()()()()()

「するってーと、まさかだが、町の外からその体を操ってんのか?」

 

 ポルナレフの推測に、私は肩をすくめた。侮ってもらっては困る。

 

()()()()()()()、だよ」

「マジかよ!」

 

 驚いてもらえて満足だ。私の本体は大変遠いところにいるため、彼らと合流するのも難しいだろう。エジプトへの強行軍についていけるほど体力もない。

 

「私が君たちの前に姿を現せない理由のひとつだ」

「他の理由は?」

「私の個人的な理由がひとつ、君たちを思っての理由がひとつ」

 

 指を順番に、2本立てる。しかしその理由について詳しく言うことができない。

 

「スピードワゴン財団にでも身柄を拘束された状態で君たちのサポートができれば私も気楽なんだけどね。そうもできない事情があるんだ。本体を動かせない」

「その事情というのも話せないんですか?」

「うーん、それに関しては言ってもいいんだけれど、でもなあ」

「もったいぶんなよ」

「……これは誓って、同情を求めているんではないからね。私の本体は病弱で、ベッドの上から動けないんだ。これが私の個人的な理由の方さ」

 

 スターダストクルセイダースに直接ついて行くことができない理由はそれだ。

 無論、わざわざ本体がついて行って無駄にリスクをあげることはない、というのが大きな理由だが、いざ着いていこうとしても無理だ、と断言できるほどに、私は虚弱である。

 私が病弱だというのになるほどと一旦理解を示したのはジョースターさんとアヴドゥルである。

 一方、花京院は一切の同情なく質問をつづけた。

 

「それだけでは正体を明かせない理由にはなりませんよね」

「ならないとも。それ以外に理由があるんだ。もし無事にDIOを倒せて……あー、しばらくしたら、言ってもいいんだけどね。ウン、およそ10年くらいたったら」

「なっげえな」

「どうかな。もっと短いか、長いかもしれない。話せる状況になるかどうかは、私がどうにかできることじゃないからね。だが正体が割れて困るのは私だけではない、ということは念を押させてほしい。人を巻き込む話なんだ」

 

 主に私の家族の関係する話なのだが、やはり三部の時間軸である今にできる話ではない。

 

「ともかく、次、君たちがスタンド使いに襲われそうになっていたら、また現れるよ。そのときは私でなく、そっちのスタンド使いの方を殴ってほしいね」

 

 話は終わりだとして、私は部屋の外に出ようとドアに近づいた。

 いい加減、大男が5人も詰め込まれたこの部屋が窮屈になったというのもある。

 ちなみに今私が借りているこのホテルマンもそれなりに大柄であるので、大きな男は実質6人おり、1人部屋に対してはキャパオーバーだと断言できる。

 しかし私が外に出る前に、ポルナレフに腕を掴まれて阻止されてしまった。

 無論、私のスタンド能力に物理的な制止は無効だが、私とまだ話したいという意思表示と捉え無視はしなかった。

 

「待て。どうしてスタンド使いについてそれほど知っている?」

「能力の都合上、諜報に大変向いてるからさ。DIOの館にだってもぐりこめる。暗殺はできないけど」

 

 DIOの館、という言葉を聞いて、一行はさらに身を強ばらせた。当然、その場所も知らないが、そこに向かっている彼らである。その館の場所は、知りたくてたまらないだろう。

 

「どういう風に殺すか、この身をもって体験させられたスタンド使いも幾人かいるさ」

「胸糞悪い能力だ」

「私もそう思う。気が合うね」

 

 承太郎から返ってきたのは舌うちだった。

 結構ショックだったので、私はポルナレフに掴まれた腕をそのままに、スタンドを解除してその場から逃げた。

 

 そりゃあ私だって、罪のない一般人の命が失われたら心を痛める。

 だが敵である彼らは誰であろうと無慈悲に殺すし、私に戦闘能力はないから、それを止めることはできないのだ。

 人の体を借りている状態ではなるべく危ないことに首を突っ込まないようにしているが、欲しい情報を得るためにはやむを得ない場合もある。

 

 まったく、今日は罪悪感で眠れなさそうだ。

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