「失礼、ジョースターさん。この船長は偽物で、スタンド使いですよ」
「なにィ!?」
相変わらず百点満点の驚き方をしてくれるジョセフ・ジョースターだった。好きになってしまいそうだ。
「待て、まずどうしておぬし、スタンドについて知っておる!?」
「それは私がスタンドユーザーだから。でも敵ではないし、この体は借り物なので殴らないでね」
初めて飛行機で話しかけた時のように、両手を上げて無抵抗をアピールする。すると先日の私との会話を思い出したのか、「あっ、おぬし、あのときの!?」と指をさされた。
そう、そのときの、無断で人間の体を借りるクソ野郎です。両手をあげるポーズでおなじみになってきている気もするな。
「船長が偽物だと?」
「なにを言っとるかわかりませんなあ」
睨むアヴドゥルを、船長は白々しく誤魔化している。
私はわずかばかりの期待をこめて、承太郎に話を振った。
「承太郎も、もう気づいているだろう?」
「ああ。スタンド使いの見分け方がわかった」
「な!」
期待通りの言葉に、私はニッコリした。
「スタンド使いに共通する見分け方を発見した。スタンド使いはタバコの煙を少しでも吸うとだな……鼻の頭に血管が浮きでる」
「えっ」
「うそだろ承太郎!」
「ああ、うそだぜ。だがマヌケは見つかったようだな」
「ハッ」
大変に満足です。私もしれっと鼻の頭を押さえさせてもらった。
満足したので、空気を読まずに話し出させてもらう。
「あー、悪いね。彼の能力の詳細は知らないんだよ。海に関する能力で、泳ぎが得意で、えっと、フジツボかなんか使ったっけな」
「十分すぎるほど知っているように感じるが……」
あっれぇ。知らないことを申し訳なく思ったが、花京院に怪しい目を向けられてしまった。
私のうろ覚え原作知識でも、現実を生きる彼らにしてみれば怪しいほどに詳しいようだった。
まあ確かにそうかもしれない。これでも原作知識だけでは思い出せないところは、彼らへの言い訳通りに足で稼いでいるのだが。実際何度か敵のスタンド使いに殺されている。もちろん私が勝手に借りた無垢な人が、だが。
「知りすぎているようだなア……まずはてめぇから始末してやる!」
「うわ、困る」
私が操ったことが原因でヘイトを集めて死んでしまう人間がまた増えるじゃないか。
そういう場合、私が殺したことになるのかで日々悩んで眠れなくなっているんだぞ私は。
「マジシャンズレッド!」
「わー、助かる」
目の前に荘厳なスタンドが現れ、私を守ってくれた。思わず感動して小さく拍手をしてしまう。
緊張感のないことだ。少し反省。
「この場でこれ以上助言できることはない。失礼するね、がんばって」
無責任な応援の言葉だけかけて、私は借りていた船員の体から抜け出した。
毎年この時期になると、承太郎たちが頑張ってるな~と旅路を思い出します。