「で、誰が敵地エジプトでギャンブルなんかやったんだ」
全員が一斉にポルナレフを指さした。
「緊張感ってものを……」
「お前だって言わなかったじゃねえか、スタンド使いだって!」
「言わなくてもやるなよ! 仮にスタンド使いじゃなかったとしてもやるべきじゃないね、ダービーの顔見てないのか!? 胡散臭いだろ!」
うんうん、とアヴドゥルが頷いている。
アヴドゥルではないが、つい熱くなってしまった。大声を出すのをやめ、冷静になる。
「すまん、言ってなかった私も悪いよな」
「いや、ポルナレフが悪い」
花京院が真顔で言い切ったので、私は自信を持ってポルナレフを責めることにした。
「いろいろ見逃してしまったが、ジョースターさんも負けたのか? イカサマうまそうなのに」
「不名誉なこと言いおって。わしがうまいのはギャンブルであって……」
「イカサマはしてたじゃねえか」
孫に容赦なくつっこまれている。
ジョセフ・ジョースターといえばイカサマのイメージがある。やっぱりしてたんだな、一安心だ。
ポルナレフがギャンブルをするにあたってどんな経緯があったのか不明だが――いや、この花京院の真顔を見るに何の経緯もなかったのだろう。
「俺ばっか責めるなよ、お前だって肝心な時にいなかったじゃねえか」
「彼女はきちんと務めを果たしている。ポルナレフがギャンブルで遊んでいる間、DIOの館を特定したんだ」
アヴドゥルにかばわれた。
それでもやっぱり、ダービーについて事前に忠告できなかったというのは私の失態なので、申し訳ない気持ちが増す。
「ダービーのことは昔から知ってたんだが……なにしろそれなりに一般人を相手に魂を奪っているから、足がついている。ここで襲ってくるとは……というか、あー、DIOの仲間になってるの忘れてた……そうだろ弟が館にいるんだからそりゃ兄もいる……」
「弟?」
「彼の弟もスタンド使いだ。心を読む」
先ほど九栄神を数え直して、今度こそ漏れはないと思うが、情報は伝えられるときに伝えておくべきか。
「彼は館からそう動かないだろうが、先に言っておこう。ダービー弟はイエスかノーで答えられるような質問で心が読める。勝負を仕掛けてきて、負ければ魂を握られる。兄弟らしく、よく似たタイプのスタンドだ」
「兄を倒した仇を討ちにくるということか」
「いや、オインゴボインゴ兄弟と違って、そこの兄弟仲は悪かったはずだ」
「誰だよオインゴボインゴ」
「ポルナレフが知らないうちに撃退したスタンド使い兄弟だ。悪党には珍しく兄弟思いのやつらだよ。勝手にスピードワゴン財団に勧誘した」
「何の権限があってやっとんじゃ!?」
「でも入ってくれるって言ってたぜ。なんだ、ダメか? 味方にするのが難しそうなら、再戦を望まれる前に、やっぱり念入りに足の骨を砕いてくるしかないな……」
「待て待て待て」
そのあたりについては、後でジョースターさんとしっかり話をつけておこう。
DIOの館をひとまず特定したことで、私は前ほど急いでいない。
アヌビスのように、他のスタンド使いを事前に撃破できないかと、一行から離れることは今後もあるだろうが……そちらの話をつけておくのが先だな。
難しそうなら――私が一から企業でも立ち上げようかな。最初の資本金がないが、株にでも手を出せば何とかなるだろうか。
それより先に、ダービー兄弟について覚えている限りを話しておこう。
「ダービー兄弟は、イカサマを愛している兄と違って、弟はそういうのは邪道だと嫌っている。オールドタイプなギャンブルが好きな兄と違って、弟はデジタルゲームが好きだ……なんか私詳しすぎか? ちょっと気持ち悪い?」
「今更だ」
今更ってことはずっときもかった? やだぁ……。
スタンド名は思い出せないが――ダービー弟のスタンドは九栄神で間違いないはずだ。
九栄神から外れるのはヴァニラ・アイスだけのはず。違ってたら……違っていてもどうしようもない。思い出せないのだし。
私が言葉を区切ったので、ジョースターさんが確認してきた。
「他に伝えそびれていることはないかね」
「あ、忘れてた。アヌビス神というスタンドを
「そいつが気の毒だぜ……忘れられてんだからな」
これで残る九栄神は4人のはずだ。
DIOの館の位置が分かった以上、まっすぐ向かえばそう時間もかからない。
ダービー弟とペットショップが館から動かなかったとして、残り2人は道中襲ってくる可能性が高い。
早めに処理したいところだ――私が少しでも役に立てばよいが。