人の体を乗っ取るスタンド使い   作:九条空

51 / 83
※主人公の名前出てきます(今更)(50話を越えてようやく)


【4部】東方仗助の護衛

「少し散歩に行ってくる」

「あらそう。今日はいい天気だしね。仗助ー! 素子が散歩行くって!」

 

 なんで仗助に報告するんだろう。

 そう思っていれば、仗助の部屋から「ちょっと待て!」という声が返ってきた。

 

「ちょっと、父さんがいないんだからアンタしかいないでしょうが! さっさとしなさい!」

「だぁあ、キリがいいとこまでもうちょっとなんだって!」

 

 ともすれば、姉は仗助がやっているゲームの電源から引っこ抜きそうな勢いだったので、私は慌てて止めに入った。

 

「こら、姉さん。ゲームは急にやめられないんだ。少し待ってやれ」

「そうだよなあ!? やっぱねーちゃんは俺の味方だぜ!」

「あんまり甘やかすんじゃないの」

 

 姉さんが叱る役を完璧にこなしてしまうので、私はついつい仗助を甘やかしてしまう。

 それで結局、私はなぜ仗助を待つのか理由がわからないままに彼を待った。

 区切りがいいところでテレビゲームを中断すると、仗助は立ち上がる。

 

「よし、いいぜ。散歩だよな」

 

 私は瞬きを繰り返した。

 

「仗助も来るのか? 私一人で問題ないよ」

「「いや。ダメ」」

 

 流石親子、完全なハモりだった。

 

「私だって一昨日ナンパされたばっかよ。外は危ないんだから」

「それは姉さんが美人なだけだろ」

「アンタにも同じ血が流れてるでしょ!」

「暴論だなぁ」

 

 姉の欲目だ。そう思うだろう、と仗助に尋ねれば、真顔で首を横に振られた。

 

「ねーちゃんはモテる」

「どうしてそう言い切れるんだ?」

「なんで自覚がないのかわっかんねーとこが恐ろしいぜ」

 

 心当たりがまったくない。

 首を傾げながらも、杜王町がそれなりに危ない街であることは確かにそうなので、仗助の随伴は拒否しなかった。

 

 散歩の目的地は特にない。

 体力の続く限り歩くだけで、体力が無くなる前に帰ってくるだけだ。

 自分の体のメンテナンスのひとつである。

 虚弱故に、トレーニングには耐えられないので、歩くことで体力増強を狙っている。

 幼少期虚弱体質であった、あの童話作家・アンデルセンもそうしていた。私もそれに倣っている。

 

「あっ、仗助くん!」

「……おう」

 

 歩いていると、仗助のクラスメイトに声をかけられた。

 仗助はかろうじて返事をしたが、それ以降ムスッとして黙っている。

 こういうとこ私に似てシャイなんだよな、仗助も。

 このくらいの歳の男の子は、女の子と素直におしゃべりできなくなるものか。

 叔母として、仗助のクラスメイトにはきちんと挨拶しておく。

 

「こんにちは、愛ちゃん、裕子ちゃん、麻衣ちゃん、恵ちゃん」

「きゃあ! 覚えていてくれたんですか、素子さん!」

「無論覚えているさ。前回も元気に挨拶してくれただろう? むしろ、よく私の名前を覚えていたね」

「覚えてますよ、当たり前じゃないの! 仗助くんのお姉さんの、東方素子さん。みんなの憧れなんだから!」

 

 お姉さんではなく叔母なんだけどなぁ。

 そうツッコミを入れるか迷っていると、ふと麻衣ちゃんの制服に気になるところがあった。

 

「タイが曲がっているよ。失礼」

 

 胸元のリボンを軽く引っ張って、平行に直してやる。

 問題がないか少し離れて確認すると、なにやら麻衣ちゃんが私の顔を見つめていたので、よくわからないがにこりと微笑んでおいた。

 

「はい、これでかわいいね」

「きゃあーっ!」

「ずるいわよ!」

「アンタ直してもらおうってわざとリボン曲げたわね! 抜けがけよ!」

「そうよそうよ!」

「うるさいわね、やったもん勝ちよ!」

 

 なるほど、仗助にリボンを直してほしかったのか。

 だとすれば、私が直してしまって申し訳ない。

 だが仗助は女子生徒のリボンを直すようなことはしないだろう、ガールフレンドでもない限り。

 青少年たちの恋愛は眩しいなあ。私には間違いなくあんな時代はなかった。そもそも必要を感じられなくて、病弱を言い訳にほとんど学校に行っていないからな……。

 フレッシュな女子4人に手を振って別れ、仗助と散歩を続ける。

 

「で、モテるって自覚はできたのか、ねーちゃん」

「うん? そうだね、仗助はよくモテるね」

「ダメだこりゃ……」




百合最強のセリフ「タイが曲がっていてよ」
塩対応の仗助の隣にファンサしまくるお姉さんがいるため、女生徒の目的が徐々に変わっていった
最初に主人公の名前を呼ぶのは家族であるべきかと思い、投稿順を変更。明日4部の1話相当の話をあげます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。