「占いが好きというのは本当か?」
「ああ、父さんが言っていたことか? うーん、好きというよりは、言い訳にしているだけだな」
公園で休憩していると、アヴドゥルが散歩でもしていたのか合流してきたので、今は一緒にベンチに座って談笑しているところである。
「私はスタンド能力を使ってこの町で起きる多くを知ることができる。たとえば犯罪者の居場所だとか、今まさに犯罪が起きようとしている場所だとか。そういうことを警察官である父に伝えるときに、占いという言い訳は非常に役に立つ」
適当な雑誌だとかテレビ番組で見た占いではどうのこうの、という適当な嘘である。
最近は結構面倒くさくなって「いやな予感がするから」とか「勘」とか言っているが、実績があるのでそれでも父は動いてくれるようになった。
毎回、私が誰かの体を借りてその場に駆けつけるわけにもいかない。
「なるほど。君はいつでもそうやって人を守っているのだな」
おい。私が大層な聖人みたいな言い方をするな。
「アヴドゥル、君は変わらず私を過大評価しているな? そんなに善人ではないと言っているだろう。自分の住んでいる街だから、自分と家族のために、それなりの治安を維持したいというだけの話だ」
「ハハ。だが見たぞ、ついさっき」
……私は頭を抱えた。ついさっきに己がやったことを思い出したからだ。
「やはり君も占い師じゃあないか」
「からかうのはよしてくれ……」
ついさっきのことだ。
私がベンチに座っていると、先日体を借りた男が目の前を通りがかった。
私がその男をよく覚えていたのは、彼の体に病巣があるのを知っていたからだ。
人の体を借りると、私はその人の体をその人以上に隅々まで認識することができる。
だから私は男に「あなた、最近めまいが続いていませんか」と話しかけた。
図星だった男は驚き、どうしてわかったのかと私に尋ね――私は「そういう星が出ています」とか適当なことを言った。
普通、見ただけで
最終的には病院に行くことをすすめるのでどっちでも構わないのだけれどね。
今回は話術がうまくハマったので、私の「悪い星が見える……今すぐ病院に行って健康を確認するべきです」という脅しを真に受けて、そのまま病院に行った。きっと命は助かるだろう。
「ああいうことはよくするのかね」
「たまにね。人の体を無断で借りているのだから、無料で健康診断するくらいの恩返しはしているさ。今日は少し立て込んでいてね、あそこまで面倒な方法をとることはあまりない。よくやるのは体を借りて、強引に病院に行くことだ。診察の受付までやってしまえば、自分がどうしてここにいるのかわからずとも、病院にいるということは診てもらったほうが良いのだろうと思うものだ」
今回も、あるいは前回男の体を借りた時に、そうしてしまえれば楽だったのだが。
今回私は自分の体を公園まで持ってきてしまっているため、ここで男の体に入っては自分の体をからっぽにしたまま外で放置してしまうことになる。さすがにダメだろう。
前回はすぐにそうできる時間がなかった。だから今回は私が占い師になるしかなかったのである。
「健康は尊いものだからね。君も診ようか? アヴドゥル」
「私は定期検診を受けているさ」
「さすがだ。そういうところを信頼している」
「だが、君に一度診てもらうのも悪くないかもな。現代医療より細かなことがわかるんじゃあないか?」
「どうかね。怖いのは私が見つけられても、現代医療では治療法がないことだが……」
だが、確かに現代医療では未だ発見できないような病気の兆候を見つけることはできるかもしれないな。
やる価値はありそうだ。スピードワゴン財団職員の体全員に入って定期検診を秒で終わらせてやるというのもいいのかもしれない。
「ともかく長生きしてくれよ。そのために骨を折ったんだからな」
「……ああ。肝に銘じておくとも」
今のは冗談のつもりだったが、我ながら笑えなかったな。
私が折った骨の数は多すぎるので。