人の体を乗っ取るスタンド使い   作:九条空

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今日は……風が騒がしいな……


ホル・ホース&Jガイルその1

 もうだめだ、と私は観念した。

 しばらく一行との接触を控えていた私だったが、ポルナレフがスタンドと接触してしまったので、さすがにここで引っ込んではいられない。

 遭遇したスタンドはハングドマン。

 一行はすでにシンガポールからインドに到達し、ここは首都カルカッタのレストランだ。

 ちなみに、他人のふりをしてポルナレフにトイレの豚をつつく用の棒を渡したのは私だ。

 

 ポルナレフは鏡の中のスタンドが、両手とも右腕だったのを見た。近くに妹の仇がいることを知ってしまった。

 一行から離脱し、復讐を果たそうとするつもりだろう。レストランを出たポルナレフを一行が追いかけた。

 私はウェイターの男の体を借り、なんでもない風で話しかけた。

 

「失礼。この間は悪かったね、承太郎。もう少し早く気づいていれば君を単独にはしなかったのだけれど」

「お前!」

「うわ」

 

 承太郎に話しかけたのだが、突然ポルナレフに掴みかかられたので驚いてしまった。

 

「両手とも右手の男を知っているのかッ」

「は、はあ? 何の話で……」

「とぼけんじゃねえぜ」

 

 ポルナレフが無辜の男性を恫喝しているところを、通行人の中年男性を借りて止めに入る。

 

「ごめん、ポルナレフ。それは私じゃない。あまりの剣幕だったので、うっかり別の体に入ってしまった」

「てめえ!」

「おいポルナレフ。繰り返す気か」

 

 制止したのはアヴドゥルだ。以前それで痛い目を見ているからだろう。

 

「ラバーソールが言っていた。両手とも右手の男を知っていると」

 

 なるほどそれか。承太郎が言ったので納得した。

 実物を目にする前から、ハングドマンについて、彼らは私以外から情報を仕入れているのだ。

 

「私も知っている。J・ガイルだろ」

「なんで言わなかった!?」

「聞かなかっただろう」

「だがてめーは知っていたはずだぜ。それほどスタンド使いに詳しいお前が、この旅に人知れずついてきているお前がッ。この俺が、妹の仇であるスタンド使いをずっと探してるってこと、知らなかったとは言わせねえ」

「……ああ。知ってた」

 

 言わなかったのは意図的だ。

 できるだけ順番通りにスタンド使いについて助言しているのもあるが、今回は抜かしてしまおうかと思っていたほどだ。

 

「君、それを知ったらひとりで行っちゃうだろ」

「てめえになんの関係がある」

「言っただろう。私の目的はDIOの打倒で、そのためには君たちに頑張ってもらうことしかできない。だから途中で人数が減ると困る、とね。君にいなくなられるととても困るんだ、ポルナレフ」

「遠い国の安全地帯でぬくぬくしてる野郎に言われたくないね。お前の目的がDIOの打倒でも、俺の目的は違う」

 

 それを言われると大変に耳が痛いのだ。

 安全地帯でぬくぬくしながら、危ないよ~とだけ言っているクソ野郎であることは間違いがないので。

 

「J・ガイルの能力を詳細に教えたら、他の仲間と協力して戦ってくれる、というなら教える」

「なんだとっ。おめえ、俺一人じゃ負けるとでも」

「そんなこと言ってないよ。だが自ら一人で戦う相手じゃない。相手もきっと一人じゃないだろう」

「何人いようが全員ぶち殺してやる」

 

 駄目だ、とても対話できる状態ではない。

 

「ポルナレフ。頭を冷やせ。彼の言っていることは正しい」

「アヴドゥル、てめえになにがわかる。DIOに会ったとき、恐れて逃げ出したお前に」

「なんだと!」

 

 うわめっちゃ喧嘩になりそう。どうだったっけここ、原作でもこのくらい険悪だったかな。

 私は仲間割れを見たくなくて、割って入った。

 

「J・ガイルは鏡を使う。鏡の中に入れるわけではない。反射を使って光速で移動する」

「おい、教えるのか」

 

 苦言を呈したのは承太郎だ。それもそうだろう。

 私が本当に情報で彼らをかく乱したいのなら、今が絶好の機会である。

 ポルナレフは頭に血がのぼっており、無条件に私の言うことを信じそうだし、なにより今まさに一人になろうとしている。

 けど私にどうしろというのだ。

 

「言っても言わなくてもひとりで突っ込むだろう。これで死んでも私のせいにしてくれるなよ」

「わかっているさ。じゃあな、俺はこれから単独行動させてもらうぜ」

「ああこら、ちょっと待ちなさい……駄目だなあ、聞いてないなあ」

 

 まったく頭が痛い。他人の体なので頭痛もわからないが。

 

「どうする。追うのか」

「いいや。放っておけ。確かにあやつの目的は妹の仇を討つこと、それはこちらも承知の上じゃ。あれほど頭に血がのぼっておれば、冷静に話すこともできまい。ホテルに戻ってくるのを待とう」

 

 いざとなれば、私が彼らを呼びに行くことは可能なので、それで構わないだろう。

 カルカッタは人が多く、私にとって有利な土地だ。次々に体を変えればポルナレフの後をつけるのは簡単だ。

 なによりホル・ホースは目立つ。ポルナレフよりも先に、私が見つけられるだろう。

 ポルナレフも目立つし、慌てて追いかけなくとも見失うことはない。私はしばし、この場に留まることにした。

 

「その前に追加情報だよ。まったく、こちらを先に言えばよかった。おそらくJ・ガイルと行動を共にしているスタンド使いについてだが」

「なに、そっちも知っておるのか」

「他のスタンド使いより余程知ってるさ。ポルナレフの仇にかかわることだしね」

 

 銃は剣よりも強し。そういうやり取りがあったのはよく覚えている。

 

「カウボーイ風の男には気を付けて。拳銃のスタンド使いホル・ホースは、銃弾を外さない」




おい、ヤベーって! ヴァニキのうろジョジョ更新だよ、行こーぜ!!
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