転生にわかポケモントレーナーの冒険録 作:Sleipnir666
この辺で、リュウキくんをわからせとかないと
いけないと思ったので。
また、感想や評価などいつでもお待ちしております。
お手すきであれば、今後の展開の為、アンケートにもご協力いただけると嬉しいです。
では、どうぞ。
コトブキシティを出立して、218番道路へと辿り着いた俺は、塩の香りが漂う海の前に立っていた。
「あー、潮風が気持ちいいぜ。ココを抜ければ、ミオシティは、もう目の前だし、一気に行くぞ!」
そして、俺はさっそく服を脱いで下着姿になって海に飛び込もうとしたところ、着水する前にボールから飛び出したエミリーによって止められた。
(本当にバカ!!なんで、海を泳いで渡ろうとしてるのさ。そのための準備とかしたんじゃないの?!)
エミリーによって、そう怒られてしまった。
そういえば、ナナカマド博士や母さんにミオまでは泳いで行く!って話した時も、カンカンに怒られたっけ。
一応、ここの海もシンジ湖とほとんど変わりない面積しかないから、何度か往復して問題ないことは分かってるし、ちゃんと伝えたんだけどな。
なお、その時、いざ見せて伝えたものの、海の中には危険なポケモンも沢山いるので、誰かに頼むなり、最低限自分でボートに乗って向かえと再度怒られた。
さっきは気持ちが、先を急ぎ過ぎて忘れてしまっていたが、2人からゴムボートを貰っていた事を思い出したので、リュックからゴムボートを取り出して、膨らませることにした。
俺は、ボールに戻ったエミリーに呆れられた視線を受けながら、しゃがみ込んでゴムボートをプウプウ膨らませていると、誰かが近付いてくる気配がして、チラリと横目に見ると釣り竿を肩に掛けた、おじさんがこちらを見ていた。
俺がゴムボートから、口を離すとおじさんは声をかけてきて、
「どうした?坊主、ゴムボートなんか、膨らませて、まさかこの先までそれで行くつもりなのか?」
「はい、そうです。何度か行っているので、問題ありません。」
そう伝えると、おじさんは心底呆れたような表情になり、
「行けるからって、お前みたいなガキが1人でボートなんかで向かうもんでもないだろ。」
そう言ってため息を着いた後、付いて来いと俺を呼んだ。
「しょうがないから、俺の船で乗せてってやる。だからさっさとそのボートをしまえ。」
俺はその好意に甘えることにして、お礼を言って、おじさんの後に付いて行った。
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おじさんに着いて行くと、小さな波止場に辿り着き、そこに接岸されたいくつかの小さなモーターボートたちがあった。
その内の1つの前に辿り着くと、おじさんは手慣れた様子で、係留柱に巻かれた紐を解いて、出航の準備を始めた。
おじさんは紐を解いた後、エンジンに灯を入れると、モーターはけたたましい音ともに、大きな音をあげた。
その後、おじさんは釣り竿の先端に付いていたボールを海へ放り投げた。
水に着水した瞬間、聞き慣れた破裂音とともにオレンジ色のイタチのようなポケモンが海上に表れた。
ここシンオウでは、ペットとしても、メジャーなポケモン、うみイタチポケモン、ブイゼルだ。
そして、更におじさんはライフジャケットの胸ポケットから別のボールを取り出して、宙へと投げた。
すると、空中に赤い光と共に、1体のポケモンが表れた。
白い身体に水色のラインが入った、オレンジと黒の嘴が特徴的な、うみねこポケモン、キャモメだった。
「よし、お前ら周辺警戒頼むぞ。おい、坊主受け取れ」
そう言っておじさんは、自分の身に纏っているものと同じライフジャケットを投げ渡してくれた。
俺がそれを着て、言われた通りに、ボートに乗り込んだのを確認すると、おじさんじゃあ行くぞと声をかけてくれてから、ボートを出向させた。
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雲1つない、青い空の下、俺はおじさんのボートを揺られ対岸のミオシティを目指していた。
航海は順調で、ボートはなんの淀みもなく、軽快に突っ走っている。
そんな中、おじさんは目線をこちらには向けないが、俺に声をかけてきた。
「そんで?なにしにミオになんか向かおうとしてるんだ?ジムバトルか?ジムバトルなら、地続きだし道も整備されてるクロガネに向かった方が楽だし、安全だろ?なんだって、ミオになんか向かおうとしたんだ?」
確かに普通のポケモントレーナーになりたての人間ならそれが真っ当だし、普通だろう。
特に秘密にする内容でもないので、俺はカントーに行くためだと、話した。
「いえ、実は俺は、ポケモントレーナーにこそ、先日なりましたが、旅に出て、各地を巡るなら、ここシンオウではなく、どうしてもカントーが良かったので、ミオの定期便に乗って、カントーに向かうつもりなんです。」
そう言うと、おじさんは意外そうな調子で、
「ほーん?カントーねぇ、それなら、理解したが、なんだってカントーなんだ?何か明確な目的でもあるのか?」
「いえ、絶対そうでなきゃいけないと呼べるほどの明確な目的があるわけでは無いのですが、昔見ていたTVでカントーを旅して回る1人のトレーナーを知りまして、その人が本当に楽しそうで、見ていてとてもワクワクしたので、俺もここを回ってみたいという気持ちが強くなり、母に頼み込んで許可をいただきました。」
TVで見たのは、あくまでも前世のことがメインだが、今世においても、チャンピオン特集などで、初代のチャンピオンワタルさんなんかのこれまでの軌跡という名目で、特集なんかもよくやっているのを見ていたし、同様に似た感じのカントーの人たちも見ていたので、実際のところは、本当に語った通りの気持ちでいる。
「なるほどなぁ。それなら、納得だ。まあ、ボートで渡ろうとしていたのは、無謀にしか映らなかったし、危なっかしい奴だと思ったが、今話した感じ、本当に同一人物かと思うほどに受け答えがしっかりしているから、案外問題ないのかもな。」
そう言って、おじさんは腑に落ちたという抑揚の口調で返事を返した。
「とはいえ、あの行動は普通にやるもんじゃないぞ。基本的には、お前はまだガキなんだから、周りの大人を頼れ。ああいうことをするのは、本当に最後の手段にしておけ。要らん心配をかけることになる」
「はい、ご心配いただき、ありがとうございます。以後、気をつけることにします。」
俺はおじさんの忠告を素直に受け取るのだった。
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しばらく、進むと対岸がハッキリ見えてきて、ミオシティまで本当に目の前という距離まで来た。
俺もおじさんも少し安心した様子になり、速度を落として接岸の準備をしようとしたところ、異変はおきた。
それを最初に感じ取ったのは、おじさんのブイゼルで、ブイブィッと警戒心を顕にした、ブイゼルが大きく叫んだ。
「なんだ?!ブイゼルどうした、何か来たか?」
おじさんもボートを止めて、ボートの先頭に立ち、ブイゼルの向く方向を見やる。
しばらくすると対岸とボートの間の水面が、ユラユラと揺れて、やがて激しく泡立ち、一際大きな水しぶきをあげて、それは俺達の前に姿を表した。
それは、龍に似た姿を持つ巨大なポケモン。
木の幹のような太く、長い肢体を持ち、こちらに威嚇する声と共に強烈なプレッシャーを放っている。
間違いない、コイツはきょうあくポケモン、ギャラドスだ!
シンジ湖での往復の際も、幾度となく俺の道を邪魔して来たクソ野郎と同一種の奴だ。
おじさんは驚愕に目を開いたが、すぐに冷静になると、俺に声をかけてきた。
「くそっ、ギャラドスだと!!しかも、コイツはこの辺でも有名な釣り人泣かせで有名な野郎じゃねえか?いつもいつも意味不明に怒り狂って、誰彼構わず、喧嘩を売ってきやがって!もう岸は目と鼻だってのに、面倒くさいったら、ありゃしねぇ。おい、坊主、お前水上でも闘えるポケモンは持っているか?」
俺は、腰からチュンチュン丸の入ったボールを構えるとおじさんはヨシと頷いて、再びギャラドスを見据えた。
「アイツが俺の予想した通りの個体なら、奴は相当強い。例え、俺がここで引き返してもアイツは延々と追ってくるだろう。そうしたら、このボートでキチンと岸まで逃げ切れるかも怪しい。悪いが坊主、アイツを黙らせるのを手伝ってくれ」
おじさんはそう言って、俺に共闘するように頼み込んできた。
俺だって、こんな目的地を目の前にして引き返すことなどしたくはない。
何よりも、俺は個人的にコイツという種族には散々手を焼かされてきた。
ああ、なんだか、見ていたらドンドン怒りが湧いてくる。
俺は、空中に向かって、ボールを投げてチュンチュン丸を呼び出した。
「行って来い、チュンチュン丸!コイツを刺し身にしてやれ!」
明らかに、今の俺のポケモンたちよりもレベルが高いと感じるポケモンとの戦いが始まった!
さあ、ジャイアントキリングの時間だ!
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ムックルを出す前に、エミリーが心配して、俺にテレパシーで声をかけてきてくれた。
(大丈夫なのかい?リュウキ。君自身が奴と闘うならともかく、あの子たちで戦うのは些かどころか、どう考えても無謀だろう。僕が出たほうがいいんじゃないか?)
「心配してくれてありがとう。けど、大丈夫。こういうこともあるだろうと思ってみんなにはしっかり心構えも伝えたつもりだ。問題は、俺のトレーナーとしての技量だけど、コイツらにはずっと鬱憤を溜めさせられてんだ。絶対に、指示を間違えたりしない。それにおじさんも居るんだ。なんとかなる…いや、絶対になんとかしてみせるよ。」
そう断言すると、エミリーは険しい雰囲気を残しながらも、戦う許可をくれた。
(でも、危ないと思ったら、僕は君の指示に従うことはなく、独断で君たちを助けるよ。そのことは、あらかじめ覚えておいて。)
俺達が話を終えた、ちょうど次の瞬間、ギャラドスは一際大きな大声を上げたかと思うと、おじさんのブイゼルに向かって口から『りゅうのいぶき』かと見間違うほどの、咆哮による突風を浴びせた。
しかし、おじさんもギャラドスから一切目線を話すことはしていなかったため、即座にブイゼルに指示を出した。
「ブイゼル、海に潜って回避しろ!坊主も独り言を言っている暇なんてないぞ、アイツから目を離すな」
ブイゼルは、ザブンと海に潜って、その突風を避けた。
突風が当たった水面は勢いよく、舞い上がりその威力の高さを思い知らされる。
こんなものが、チュンチュン丸やボートに当たってしまったら、ひとたまりもない。
俺は、まだおじさんのブイゼルを、ギャラドスが警戒しているうちに、チュンチュン丸へと指示をだした。
「チュンチュン丸、『つばさで風を打ち』付けてやれ!」
チュンチュン丸は、その場で大きく羽ばたいかと思うと、やがてその羽根を大きく前方に突き出し、それによって発生した小さな竜巻をギャラドスへと命中させた。
しかし、ギャラドスは特に怯んだ様子も見せることはなかった。
やはり、レベルが違うのか、直撃だったというのにあまりダメージが見られない。厳しい戦いになるだろう。
俺はギャラドスがこちらを向いたことを確認すると、続けてチュンチュン丸に新たな指示を出した。
「チュンチュン丸、『フェザーダンス』で翻弄してやれ!」
チュンチュン丸は、飛びながらその場でメビウスの輪を描くように飛び回ると、ギャラドスは心底苛ついた様子で、チュンチュン丸に飛び掛かり、『かみくだ』こうとしてきた。
しかし、怒りによるものか、先程の咆哮による突風ほどの精確性はない。
何より、飛び回るとチュンチュン丸に、物理的に身体を当てに行こうとして、当たる確率は低いだろう。
「チュンチュン丸、更に上に舞いあがれ!」
チュンチュン丸は、軽く一回転した後、大きく上方向に向かって、羽ばたいた。
当然重力の関係で、最初に飛びかかろうとした位置以上の場所には届かず、ギャラドスはチュンチュンに接触することなく、再び海の上へと落ちて行った。
俺は落ちていくギャラドスを目で追うとそこで驚くべき光景を見にした。
なんと、ギャラドスの落下地点におじさんのブイゼルがいるではないか。
このままでは、ブイゼルが落ちてくるギャラドスによって潰されてしまう。
「おじさん!ブイゼルが!」
俺は焦った声で、おじさんに呼び掛ける。
しかし、おじさんは焦った様子もなく、一瞬俺を横目に見て、再びブイゼルに向き直って、俺に返事をした。
「問題ねぇ、1対1ならアイツに有効打を与えることは出来なかったのが、お前が時間を稼いでくれた。やるじゃねぇか、感謝するぜ坊主」
おじさんはそこで、一言区切ると落ちてくるギャラドスと接触直前になっているブイゼルに向かって、叫んだ。
「ぶちかませ!『きあいパンチ』!!」
ドゴンッ!!と大きな轟音を立ててブイゼルの光輝く拳が、ギャラドスの顔面に突き刺さり、その巨体を更に上へと舞い上がらせた。
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ザッバーンと大きな音を立てて、ギャラドスは海の中へと落ちていった。
俺は思わず、
「やった!!ギャラドスを倒した」
とおじさんに声をかけてしまったが、おじさんの表情を見てふと気付いた。
おじさんは、未だにギャラドスを落ちていった場所を警戒を解くことなく、鋭い目で見つめている。
「坊主、確かに俺のブイゼルの一撃が決まったが、まだ終わりじゃねぇ、あの野郎はまだ、終わらねえぞ」
おじさんが、そう告げたので俺はハッとして、おじさんに習い、ギャラドスの落下地点を見据えると、再び水面が大きく揺れた!
「ギャオオオオオオオンッッッ!!!!」
初めて姿を表した時以上に、強烈な怒りの叫びを上げ、こちらを睨みつけてくる。
するとそれを確認したおじさんは俺にこう切り出した。
「まだ、アイツの体力はあるようだが、もう2.3発『きあいパンチ』をぶち込んでやればアイツも動けなくなるはずだ。悪いが、さっきと同じように、奴の注意を引いてくれ」
そう言うと、おじさんはブイゼルに機を持つように伝えた。
それと同時に俺はすぐさま、チュンチュン丸に指示を出した。
「チュンチュン丸、もう1度、『つばさで風を打ち』つけてやれ!徹底追尾、距離を取って戦うんだ。」
チュンチュン丸は即座に羽根を羽ばたかせ先と同じように、竜巻をぶつけようとした。
しかし、こちらを見ていた、ギャラドスはこれを避けて、チュンチュン丸へと向かってきた。
だが、向かって来るなら好都合だ!
おじさんに頼まれた通り、先ほどと同じように飛び回って避けてやればいい。
「いいぞ、チュンチュン丸!そのまま、『フェザーダンス』で釘付けにしろ!」
チュンチュン丸は、俺の指示通りに身体を動かし、ギャラドスを煽る。
そして、ギャラドスは先と同じように飛び掛かろうとしたので俺は上空に飛び上がって避けるように指示を出した。
…しかし、俺は間違えた。
アイツは怒りで我を失っていたわけでも、チュンチュン丸に煽られて、注意を引かれていたわけではなかった。
アイツは、自分が一撃を貰う要因となった羽虫を先に潰すことにしただけだったのだと。
俺は、それを目にしてから理解した。
ギャラドスが飛び上がる。
先程の『かみくだ』こうとした時と同じように。
だが、少し違う。
今度は、まるで『たきにのぼる』ように自身が起こした水流と共に直上に駆け上った。
あっ、これ駄目だ。
上空へと舞い上がった、チュンチュン丸へそれを優に超す、水流の流れと共に、ギャラドスの頭がぶち当てられた。
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チュンチュン丸は、水流と共にギャラドスの突進を受けて、大きく吹き飛んだ。
チュンチュン丸は意識を失っているのか、一切の動きをすることなく、衝突による慣性の動きを保ったまま、重力に引かれ、海の上へと落ちて行く。
俺はどこか慢心していたのだろう、前世を持っているという圧倒的知識のアドバンテージや、トレーナーになるために追加で行った勉強、更にはすべてを踏破するために鍛え上げたこの肉体。
何1つ足りないものなど無いと思い込んでいた。
だが、違う。
俺は1つだけ、持ち経ていなかったことがある。
それは、大きな失敗の経験だ。
故に、ポケモンたちに偉そうに諭しておきながら、俺自身の心構えが出来ていなかった。
トレーナーとして、戦うということ。
確かに、指示を出したり、状況を把握、先読みをするという点では間違いなく俺自身が戦っている。
だけど、実際にその場で動き、闘うのはポケモンたちだ。
俺がポケモンとの戦い・闘いにおいて、受ける傷や怪我は大したことにはならないだろう。
だが、俺のポケモンたちもそうかと言えば、そんな訳は無い。
俺と同じ程度の強靭さを得るまでの時間も経験も足りていない。
だからこそ、俺の指示が意識が最重要事項だったのだ。
俺は、吹き飛ぶチュンチュン丸を見て、とてつもない痛みを感じた。
俺がこれまで1度たりとも感じることがなかった、
心の痛みを感じ取った。
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「クソッ、マズイ!来るぞ、ブイゼル!『かげぶんしん』で奴の目を惑わせ!時間を稼ぐんだ。」
おじさんが、ブイゼルに指示を出している。
俺はチュンチュン丸が吹き飛んだショックから、立ち直れずにいた。
「おい、坊主!しっかりしろ!このままじゃ、お前のムックルが死んじまうぞ!!」
俺は、1度も戦場から目を離すことのなかったおじさんに目を向けられ、肩を揺らされたことで意識を取り戻した。
俺はすぐさま、ムックルを探そうと海に飛び込もうとしたが、すぐにその動きを止められた。
(大丈夫だよ、リュウキ。チュンチュン丸は、生きてる。僕が無事に回収したよ。)
俺の最初の相棒が、チュンチュン丸と一緒にボートの上に姿を現した。
「チュンチュン丸ッ!ごめん、ごめんよ」
俺は数分前の自分をぶん殴ってやりたい気分になりながら、チュンチュン丸に駆け寄り、抱きしめた。
チュンチュン丸は、ほんの少しだけ翼を動かし、俺の頬を擦ってくれた。
後々、知ったが2回のフェザーダンスにより、ギャラドスの攻撃力は下がっていたようで、即死するようなダメージにはならなかったとのことだった。
俺は急いで、キズぐすりを取り出し、チュンチュン丸の手当てをした。
すると、こちらがガサゴソと動いていたことに気付いたのか、俺を揺すり起こしてくれた後、今までギャラドスを見据えていたおじさんが再度こちらへ向き直った。
「なっ?!見つけたのか?どうやってここに、いやそれ以前に、そのポケモンはなんだ?お前の手持ちか」
エミリーが、おじさんにその姿を見せるのは初めてであり、また、俺が海の中に吹き飛んだ筈のチュンチュン丸を抱えていたため、酷く混乱しているようだった。
(ああ、その認識で間違いないよ。君もありがとう。この子が立ち直れたのも、ここまで戦えたのも、貴方をおかげだよ。本当に感謝する。)
「なっ?!なんだぁッ?!なんか声が聞こえる!」
(説明は後で、後は私がやるよ。)
そう言うと、エミリーはギャラドスへと視線を向け、凄まじいプレッシャーを放った。
ブイゼルに翻弄されていたギャラドスも、かげぶんしんを使い紙一重でギャラドスを躱していたブイゼルも、一斉にエミリーの方へと顔を向けた。
(この世界は、弱肉強食だ。君の行いが間違っているわけじゃあない。)
エミリーは、ギャラドスへ向けてそう言って1度言葉を区切った。
(とはいえね僕は、大切な相棒、大切な後輩、僕にとってなによりも大事な仲間たちが傷つけられて、何も思わない訳はない。)
(つまりね、怒っているんだ僕は。)
(だから、君は1度…痛い目を見るべきだ)
(…くたばれ、『サイコキネシス』!)
瞬間あたり凄まじい重圧が包み、海が大きく荒れた。
ギャラドスの周囲を、荒れ狂う水の渦巻きが包み込み、それが一斉にギャラドス叩きつけられた。
巨大な水柱と共に、ギャラドスは上空高くへと、吹き飛ばされ、大きな水しぶきと共に、海の中へと沈んでいった。
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サイコキネシスによる荒れ狂う水の奔流も収まり、海は再び静けさを取り戻した。
おじさんは、目と口をあんぐり空けて、どこから見てもとんでもなく驚愕していることが見て取れる。
俺は、チュンチュン丸が酷く傷つけられたとはいえ、あのギャラドス自体は、本能に従い、襲ってきただけであり、先の一撃で死んでしまったのではないかと不安になったため、エミリーに確認を取った。
「エミリー、もしかして、あのギャラドス殺しちゃったの?」
そう聞くと、エミリーはキョトンした顔を見せた後、手を横に振った。
(いや、確かにとても頭に来ていたけど、僕もいった通り、野生の生き物として、酷く当たり前のことをしていただけだからね。命までは、取っていないさ。でもまあ、しばらく人前に出てくることはないんじゃあないかな。割と本気でぶっ飛ばしたからね。)
そう言って、エミリーは少し得意げに微笑んだ。
何はともあれ、これでミオに行く障害も無くなった。
俺は急ぎ、チュンチュン丸をポケモンセンターに連れて行きたかったため、先の表情のまま、フリーズして固まっているおじさんを呼び掛け、岸に接岸してもらった。
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その後、急いでひた走りチュンチュン丸をポケモンセンターに預けた後に、ミオまで送ってくれたお礼をおじさんに言うべく、来た道を引き返していた。
おじさんは、釣りをしながら待っていてくれたようで、俺が声をかけるとこちらを向いて話しかけてくれた。
「おう、戻ったか。どうだった、お前さんのムックルは大丈夫そうか?」
「はい、おかげさまで。おじさんが、ギャラドスの気を引いておいてくれた内に施した処置のおかげで、命の別状はないそうです。こちらに送ってくれただけでなく、沢山お世話をかけてしまって、すみませんでした。」
そう言うと、おじさんは笑って、
「気にするな、ムックルが問題なさそうで安心したぜ。それにこう言っちゃ悪いが、坊主にとってもいい経験になっただろう。最初あった時に、感じた危険性が先の戦闘で分かったんだ。今回は、なんとか上手く行ったが、今後気をつけるための、戒めにはなったろうよ」
おじさんはそう言って締めた。
しかし、少しソワソワしながら、俺にエミリーのことを聞いてきた。
「そんで、あのちいさくてヤベェ奴は、なんだ?俺もなんだかんだで坊主よりも長く生きて来たが、あんなにヤベェ光景は初めて見たぞ。ありゃ、本当にポケモンなのか?」
「はい、俺の相棒のエミリー、エムリットっていうポケモンです。俺やおじさんよりも年上の凄いポケモンなんですよ。」
おじさんよりも、長く生きている存在であると伝えると、おじさんは目を丸くして、
「もしかして、神さまみたいなポケモンなのか?そんなやつを手持ちに加えてるなんて、はーっ、お前さん、本当は凄え奴なんだな。もしかして、バカやってるようなのは間違いで本当はとんでもない大物かなにかなのか?」
そう言って、おじさんは訝しんだ。
その後、おじさんにお礼として、フレンドリィショップで買ってきたルアーや釣具などを渡すと、喜んで受け取ってくれた。
また、その際に同時におじさんはちょうど最近買い替えたとのことで、以前は使っていたという、釣り竿をくれた。
俺はそのことも、含めてあらためてお礼を言って、そこでおじさんと別れた。
なお、別れる直前になって、それまで完全に機会を逃して、聞いていなかったおじさんの名前を教えて貰った。
(ツルベエと言うそうだ、名前を聞いたら、なんだか無性に麦茶が恋しくなった。)
今日のことを俺は一生涯忘れることは無いだろう、気持ちを新たにして、ミオのポケモンセンターへと戻った。
▶TO BE CONTINUED...
■ジョージ(ヒコザル) ♂ Lv.9
性格:むじゃき
■エミリー(エムリット) Lv.50
性格:ひかえめ
■チュンチュン丸(ムックル) ♂ Lv.9→15
性格:ゆうかん
■バービー(ビッパ) ♀ Lv.6
性格:のんき
おまけ
■ギャラドス ♂ Lv.25想定
突然ですが、これまで主人公のリュウキくんの戦績はなんとなくで決めておりましたが、これもルーレットにしたほうがよろしいでしょうか?ご意見くれると嬉しいです。(現地民よりは理解してる設定で、負け過ぎるのはマズイので比率的には勝利7:敗北3ぐらいで設定したものを回すつもりです。)
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ルーレット推奨派
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ルーレット非推奨派