転生にわかポケモントレーナーの冒険録   作:Sleipnir666

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めっちゃ長くなったんで、また、分けます。

感想や評価などいつでもお待ちしております。

では、どうぞ。

追記:
あと、ポケスペそこそこまで読み返したんですけど、最後に読んでから、10年以上経ってたこともあり、忘れてる部分多かったです。

その上での結論なんですけど、これ設定全部盛り込むのは、無理ですね。ところどころなら、行けそうなんですけど、主軸をアニポケとゲーム設定にしてるんで、これ以上混ぜると多分、崩壊します。なんで、性格とかに名残残す程度にしようかと思います。

追記:1/23
偶然、調べ物してたら、タケシの母親に触れてる明確なサイト出て来ました。
AG編のOVAかなんかに、『ミズホ』って名前で出て来てたんですね。

調べが足りず、申し訳ないです。

名前ぐらいは修正してもいいんですが、完全に別人で書いちゃいましたし、今更なので修正はせずに、参考にした初代アニポケの初期設定のままで行きます。


第30話 ニビシティのジムリーダー(前編) ▼

『おつきみやま』で無事にロケット団を捕縛した俺達は、ニビシティに向かうための道を進み、3番道路へとやって来た。

 

3番道路はトレーナーが多くおり、また自転車で進むのが億劫な微妙な段差などが沢山あったので、今度は徒歩で3番道路を抜けた。

 

トレーナーの数はこれまでの道のりの中でもトップクラスに多く、疑問に思ったので、そこでバトルをした少年に問うと、どうもここはその微妙な段差が多くある故か、自然のトレーニング場として、野生・飼育問わず、ポケモンたちの特訓場所に優れており、同時にそこで修行をすべく、ポケモンたちとやって来たトレーナーがそのままポケモンバトルなどを行うため、自然と人が多く集まるようになったのだと教えて貰った。

 

ならばと思い、俺も何度かトレーナーたちとポケモンバトルを行った。

 

ただ、俺の手持ちポケモンたちのレベルは、ここの平均レベル帯とはかけ離れていたので、ここに来る道中にあった草むらの直ぐ側で、歌っていたところを捕まえた、ふうせんポケモン、プリンを使って、バトルを行った。

 

なお、このプリンにはカスタードと名付けた。

プリンと聞くと、お菓子しか浮かばなかったからだ。

 

また、俺だけでなく、ニアもお月見山で仲間にした、ピッピと共にバトルをしていた。

 

そうして、夜になり普段なら夕食を食べている時間になった辺りで、ようやく俺達はニビシティへと到着するのだった。

 

==========

 

普段通りに、まずポケモンセンターへと向かい、宿泊の手続きをした俺達は、近くに美味しそうなレストランがあったので、そこで3人とエミリーで集まって夕食を取り、明日の予定について、話し合った。

 

「とりあえず、ニビシティまで来たけど、明日はどうしよっか?オーキド博士には、さっきポケモンセンターで軽く電話して、ニビまで来てることを伝えたら、急ぐ必要はないぞ、って言われたから、割とゆったりしても問題ないぞ?」

 

俺が、そう2人とエミリーに言うと、

 

「なら、ジムに行くのはどうだ?親友。ここにも、ハナダと同じで、ポケモンリーグの公認ジムがある。お前のことだし、すぐにバッジぐらい取れるだろうぜ。」

 

ジムかー。でも、ここって、タケシがいるジムだよな?カスミちゃんが6歳だったことを考えると、タケシも俺と1つしか変わらない年齢になることになるんだが、そんな年で、ジムリーダーになれるもんなのか?

 

とは言え、カイトのように公認ジムトレーナーなんていうジムリーダーと同じ権限を持っている存在がこの世界にはいるのだ。

 

ここも同じように、居ると考えるのが通りだ。

 

であれば、行くだけ行ってみるべきだろう。

 

そうして俺は、明日はニビジムに向かうことに決めた。

 

(じゃあ、僕はここの博物館が見たいかな?リュウキのポケモンバトルを見るのも勿論楽しいんだけど、ここでは復元された化石なんかの展示もされてるみたいだから、見てみたいんだ。ニア、君が良ければ付き合ってくれるかい?)

 

「はい〜、私で良ければ喜んで。」

 

エミリーは、ここの博物館が見たいらしい。

 

確かにゲームだと、カブトプスとかの復元された化石が展示されてて、カッコよかった。

 

ここはゲームの世界じゃないし、もしかしたら、コハクやホウエン・シンオウなどの別地方の化石なんかも展示されてるかも知れない。

 

シンオウ以外のポケモンには、あまり詳しくないエミリーやニアにとっては楽しめるものになるだろう。

 

「分かった。じゃあ、明日は2手に分かれよう。俺とカイトは、ジムへ向かう。エミリーとニアは、博物館に向かう。合流は、明日の内にトキワシティにも着いときたいから、お昼過ぎぐらいに、ポケモンセンター前でどうかな?」

 

そう俺が提案すると、みんな異論は無いようなので、明日の予定はこのようにすすめることが決まった。

 

その後は、みんなで食事を楽しみ、ポケモンセンターで一日を終えた。

 

==========

 

翌朝。

 

エミリーたちと別れた俺達2人は、ニビジムへと向かった。

 

道中、俺はそういやこのカントーに住んでいる、カイトなら詳しいのでは無いかと思い、ニビジムについて聞いてみた。

 

「なあ、カイト。ここのジムの人たちってのは、何人ぐらい居るんだ?」

 

そう聞くとカイトは、

 

「俺の知る限りは、2人だな。前ジムリーダーの元奥さんと、その奥さんの新しい旦那さんの2人で、ここの運営をしていた筈だ。一応、俺と同じ、公認ジムトレーナーになろうとしている少年がいた筈だが、まだ正式にはなってなかった筈だ。」

 

それを聞いた俺は、少しだけ驚いたが納得した。

 

前ジムリーダーというのは、原作アニメに出て来たタケシの親父のムノーだと思う。

 

そして、まだこの時点では、タケシのお母さんは出て行ってはいないんだ。

 

確か、アニポケの小説版に、タケシのお母さんはタケシ含めた子供たちの為に、再婚を何度か繰り返したっていう、そんな設定があった気がする。

 

もしこれで、その新しい旦那さんというのが、設定と同じく弱ければ、恐らくこの先は、原作アニメのように出て行ってしまうのだろう。

 

原作アニメは、好きではあるが、流石にそれは見過ごせない。

 

タケシやその弟妹たちが、あんまりではないか。

 

なら、俺のやることは決まった。

 

今の旦那さんが、強ければ杞憂に終わるが、もし弱かった場合は俺が鍛えて、タケシたちが幸せに暮らせるようにしてやらなければ!

 

やがて、アニメで見慣れた、バカでかい岩で出来たジムが見えてきた。

 

俺達は、扉を開けて、中へと進んでいった。

 

==========

 

中へ入ると、そこは朝であるにも関わらず、薄暗く、明かりは壁にかけられたランタンの炎ぐらいしか、点いていなかった。

 

「すみませーん、旅のものです。ジムチャレンジをお願いしたいのですが。」

 

俺が少し大きめの声で言うと、

 

奥から、1人の女性が出て来た。

 

その女性は、パッチリとした目と、濃いめ茶髪をおさげにしている、綺麗な人だった。

 

だが少しだけ、疲れているようにも見えた。

 

そして、女性は俺達の前に来ると、

 

「ようこそ、ニビジムへ。私は、ユウカ。ここ、ニビジムの受付とかを担当しているわ。ジム・チャレンジャーの子なのね?すぐに準備するから、付いて来てちょうだい。」

 

と言って、ユウカさんは俺達を案内してくれた。

 

俺達がユウカさんの後ろに付いて行くと、やがてアニメで見たような観客席と天井に照明が並んだ広めの空間へとやって来た。

 

そこの奥を見ると、1人の男性が座っている

 

恐らく、先ほど案内してくれたユウカさん、推定タケシのお母さんと再婚した旦那さんである、現ジムリーダーと思われるのだが、その男性は、背こそ高いが少し痩せており、あまりジムリーダーとしての威厳は感じられなかった。

 

やがて、その男性は立ち上がり、俺達に向かって言った。

 

「よく来たね、チャレンジャー。僕は、ここニビジムの現ジムリーダー、オド。よろしくね。それで、どっちが挑戦するんだい?」

 

そう聞いてきてくれたので、俺ですと、俺は一歩前に出た。

 

「はじめまして、オドさん。俺はフタバタウンから、来たリュウキです。ジムチャレンジはここで2箇所目になります。今日は、どうぞよろしくお願いします。」

 

そう言ってから俺は頭を下げる。

 

オドさんは、そんな俺の様子を見て、とても驚いたような表情をした。

 

ん?何か変なこと言ったか?

 

俺が不思議に思っていると、オドさんはすまないと言ってから、

 

「すまない、ここに来るチャレンジャーたちは、みな勝ち気というか、トレーナーになりたての子が多いせいか、あまり君のように礼儀正しい子は少なくてね。だから、驚いてしまったんだ。それにしても、立ち振舞もしっかりしてるし、敬語も問題なく使えてる。背丈が僕の息子の1人に近いから、同年代かと思ったけど、君はいったいいくつなんだい?」

 

俺は10歳で、ほんの数週間前に誕生日を迎えたばかりであることを伝えた。

 

すると、オドさんは更に驚いた顔になり、信じられないといった様子だった。

 

まあ、アニメのサトシもシゲルも、ゲームのグリーンとかなんかもめちゃくちゃお調子者だったり、バカだったり年相応だったからな。

 

なんだか、最近はこういった目で見られることがなかったから、この反応は新鮮だ。

 

やがて、ユウカさんが操作したのか、俺とオドさんの間に、岩で囲まれたバトルフィールドが展開された。

 

「じゃあ、リュウキくん。始めようか、試合内容は、シングルバトル、2vs2。ジムは、ここが2つ目と言っていたから、アイテムの使用はなし、僕の手持ちのレベル上限は、20レベル制限で闘わせてもらうよ。」

 

そう言って、オドさんはボールを構えた。

 

20レベルか。前回のハナダジムよりはマシとはいえ、俺の普段の仲間たちの相手には付則にしかならないだろう。

 

とは言え、今回は前回のジムバトルのようにガッツリやる気はない。

 

ガッツリやれるのなら、それに越したことは無いのだが、今回の目的はあくまでも、ここの実力、ひいてはこのオドさんの実力を知るというのがメインだ。

 

その後、カイトは俺と別れ、観客席へと向かった。

 

俺とオドさんも全ての準備を終えたので、それを見計らい、オドさんが、先にポケモンを出した。

 

「行け!イシツブテ!」

 

ポンッという破裂音と共に、お月見山でも見た、岩に手が生えたようなポケモン、がんせきポケモン、イシツブテが姿を表す。

 

続いて、俺もポケモンを繰り出す。

 

「行ってこい!カスタード!」

 

赤い光と共に現れるカスタード。

フィールドに降り立った、カスタードはなんかプリプリ言いながら、歌を歌っている。

 

う〜ん、後ろ姿だけで、もうかわいいなコイツ。

まあ、実力はここに来るまでの道中でだいたい分かったし、カスタードの目的も聞いたから、しっかりと闘ってくれるだろう。

 

オドさんは、俺がプリンを出したことで、意外そうな表情をした。

 

「プリンか、珍しいポケモンを使っているね。女の子が使っているのはよく見るけど、男の子が使って来たのは始めて見たよ。それにここに来るチャレンジャーたちのだいたいは、相性が有利になるように水タイプのポケモンを使うことが多い。もしかして、知らなかったかな?」

 

そう言って、少し心配そうにしてくれた。

 

「いえ、実はこちらの他の手持ちのポケモンたちは、今みんなレベル30ぐらいなんです。ですから、オドさんの提示してくれたレベル帯相手だと、誰も満足に闘えないんです。そのため、つい先日捕まえた子が、1番適していたので、選出させてもらいました。」

 

俺がそう言うと、オドさんは今までで1番驚いた顔をした後、一瞬だけとても悔しそうな顔を見せた。

 

だが、すぐにそんな様子は消し去って、言った。

 

「なるほど、じゃあ、なにも問題なさそうだね。でもその子1体しか居ないのなら、僕も2体目を出すのは辞めておくよ。1vs1のこのバトルで、君が勝てれば、ここのグレーバッジを進呈しよう。どうだい?」

 

今回は、俺も異存はなかったので、オドさんの提案に頷いた。

 

「よしっ、じゃあ始めようか。」

 

オドさんが言い終えると共に、試合開始を告げるブザーがなった。

 

「行くぞ、イシツブテ!『たいあたり』だ!」

 

イシツブテが、勢いよくカスタードに突っ込んで来る。

 

だが、見えている。

 

ならば、なにも問題無い。

 

俺もカスタードに指示を出す。

 

「右に避けろカスタード!そして、『あまえる』!」

 

カスタードは、俺の指示に従い、イシツブテの突進を回避する。

 

ここのバトルフィールドは、多くの岩に囲まれており、ただテキトウに回避の指示を出してしまえば、岩にぶつかって避けられない可能性がある。

 

なので、俺は明確に方向を示した。

 

そして、回避したカスタードは、イシツブテの背後に回って身体を擦り寄せる。

 

イシツブテは、そんなカスタードに驚いた様子を見せたが、すぐにデレデレした表情になった。

 

いくらかトレーナーと闘ったり、特訓をしたりもしたが、まだカスタードはタイプ一致物理攻撃を耐える力はそこまでないだろう。

 

だからこそ、火力は奪っておく。

 

オドさんは、そんなカスタードとイシツブテの様子を微笑ましそうに見ていた。

 

駄目だぜ、オドさん。

 

確かに可愛らしいけど、今はバトル中。さっきのは俺の指示した攻撃なんだぜ。

 

俺は、隙を活かすべく、カスタードへ次の指示を出した。

 

「カスタード、そのままお前の『うた』を聞かせてやれ!」

 

カスタードは、イシツブテの直ぐ側で歌い始める。

 

その声は、眠たくなるようなポワポワしたトーンで、イシツブテはそのまま眠ってしまう。

 

イシツブテのそんな様子を見た、オドさんは慌てて指示を出した。

 

「ッ、イシツブテ!起きろ!バトル中だぞ!」

 

だが、一度眠りに入ったイシツブテは全く起きない。

 

このまま決める!

 

「カスタード、『たくわえる』!限界まで続けるんだ!」

 

カスタードは、大きく息を吸って身体を膨らませる。

 

その身体はみるみる内に大きく、より大きく膨らんでいく。

 

オドさんは、イシツブテに起きるようにずっと声を掛けていたが、イシツブテは起きず、眠りこけたままだった。

 

やがて、カスタードのその身体が酸欠によってか、赤くなり始めたので、俺はイシツブテを倒すべく、最後の指示を出した。

 

「今だ、カスタード!『はきだす』!」

 

カスタードは、溜めていた空気をイシツブテに向けて、一気に吐き出した!

 

瞬間、大きな突風が吹いて、イシツブテを吹き飛ばした!

 

イシツブテは、その衝撃で目を覚ましたようだが、なにもすることは出来ず、フィールドの外まで吹っ飛んでいき、壁に激突した。

 

そして、床に落ちたイシツブテは目を回している。

 

こうして、俺とオドさんのバトルは終わった。

 

==========

 

「おめでとう、リュウキくん。これが、約束のグレーバッジだ。」

 

バトルが終わったあと、オドさんは俺にグレーバッジを手渡してくれた。

 

その後、別に技マシンと賞金を渡すので、付いて来て欲しいと言われたので、観客席で俺の闘いを見ていてくれたカイトに、先に外で待ってて欲しいと伝えて、別れた後、俺はオドさんに従い彼に付いて行った。

 

その途中オドさんとは、歩きながら話す中で、ポケモンバトルの話になったのだが、彼は自虐するかのように語った。

 

「君は、すごいな。僕よりも、ずっと年下なのに、そんなにも高いレベルでポケモンを育てられるだなんて。

 

さっきの、プリンも昨日捕まえたばかりだなんて、信じられないほど、よく指示が行き届いていた。

 

…僕は、駄目だな。君のように、ポケモンたちに上手く指示を出して上げることが出来ない。僕の本来の手持ちポケモンもそんなレベルには、育てられていないんだ。」

 

そう言って、俺から目を逸らして、

 

「ユウカさんに、ここを任されたんだ。だから、頑張らなきゃいけないのに。これじゃ、ジムリーダー失格だよ。僕がこんなのだから、タケシくんたちも、僕を父親だとは認めてくれないんだろうな。」

 

と、とても淋しそうに笑った。

 

ああ、この人はこのまま行けば、ここを去ってしまうんだろう。

 

俺はそう感じた。

 

だったら、俺はここで彼を引き止めなければいけない。

 

俺は、原作アニメのタケシを見て、最初に感じたのは、可哀想や頑張ってるなといった感情ではなく、何故という疑問だった。

 

アニメのタケシは、まだ子供なのに、両親がいない。なのに、文句の1つも上げない。

 

その上、何人もの兄弟たちに優しく接してあげていた。

 

当時、俺にも弟がいたが、弟はクソ生意気で嫌いだった。

 

そんなわがままでムカつく存在が無数もいれば、優しくすることはおろか、癇癪を起こして、当たり散らすのが普通だと思う。

 

だが、タケシはそんな姿を一切見せること無く、立ち振る舞っていた。

 

そして、これは俺が成長するにつれて理解したが、タケシは、ムノーや母親、両親に兄弟共々、捨てられたことによって、文字通り寄る辺がなく、自立を余儀なくされたのだ。

 

弟や妹を切ることは出来ただろうが、それをしてしまえばタケシは本当に1人になってしまう。

 

自分と血の繋がった兄弟たちを見捨ててしまえば、本当の意味で両親たちとの繋がりも完全に途絶えてしまうと思ったのでは、ないだろうか?

 

まあ、普通に生来の性格が優しかったのや、当時はサトシやカスミと同い年と思ってたけど、実際は15歳で、俺が思っていたよりも、大人に近かったってのもあるんだろうけども。

 

それでも俺は、やはりタケシには普通に暮らして欲しいと思ってしまう。

 

だから、ここでオドさんをここから離れさせるわけには行かない。

 

俺はオドさんに向けて、言った。

 

「失礼を承知で、申し上げますが、オドさんは、何故先ほどの試合で俺に負けたのか、理解されていますか?」

 

俺がそう言うと、オドさんは、

 

「?君が僕よりも強くて、センスがあった。そうなんじゃないのかい?」

 

そう聞き返して来た。

 

だからこそ、俺はあの時感じたことをそのまま伝えた。

 

「違います。それは俺にとって、後になって付いて来たものです。1番の原因は、どれだけ本気だったか。所謂、覚悟です。」

 

俺がそう言い切ると、オドさんは少し、ムッとした顔になって言い返してきた。

 

「それは、僕のやる気がなかったと言いたいのかい?それは違うよ。僕は、ジムリーダーとして、君に全力で当たったつもりさ。君のほうが、強かった、それだけの話だよ!」

 

「…じゃあなんで、俺のカスタードがイシツブテに擦り寄った時に、直ぐに離れるように指示を出さなかったんですか。」

 

俺が静かにそう言うと、オドさんは少し狼狽えたように答えた。

 

「そっ、それは、プリンとイシツブテが仲良さそうにして、その気が抜けてしまった…」

 

「…言いましたね、今。『気が抜けた』と。それっておかしくないですか?本気の試合の中で、気が抜ける?そんなわけないじゃないですか!」

 

俺が語尾を強めて、厳しめにオドさんに畳み掛ける。

 

「俺がカスタードに出した『あまえる』という指示は、れっきとした攻撃です!ポケモンに甘えて、気を抜けさせ、攻撃を躊躇わせる。そして、行動を抑止する。だからこそ、あの時のイシツブテは、その通りになって、続けて出された『うたう』によって眠ってしまった!」

 

「イシツブテの気が抜けるのは、いい!俺はそれを狙って、そう指示したのだから。だけど、トレーナーである貴方までもが、気を抜いてしまってどうするんですか!俺はここに挑戦するチャレンジャーで、貴方はそれを守護するジムリーダー!本気でやっているなら、ジムの権威や貴方自身の名声のため、片時も気なんて抜ける筈がないでしょう!だから、あれが本気だなんて、俺は認めない!」

 

そう言い切った。

 

オドさんも、何度も何か言おうとしていたが、その度、グッと飲み込んで、何も言わなかった。

 

その後、俺はオドさんに向けて頭を下げた。

 

「一方的に言ってしまって、すみません。…でも、オドさんは、さっき言ってましたよね。ユウカさんの為にも、ジムリーダーとして頑張らなきゃいけない、と。だったら、その通り、ジムリーダーとして、どんな相手だろうと気を抜かず、自分のポケモンたちの性格も傾向なんかも知っておいて、あらかじめ、連携なんかを強めておかないといけないと思います。」

 

俺はオドさんを見詰めた。

 

やがて、オドさんも真剣な表情で向き直り、俺に頭を下げた。

 

そして、頭を上げたオドさんは俺に言った。

 

「すまない。君の言う通りだ。僕に、本気が足りない。確かにその通りだったかも知れない。僕は、昔からどこか物事を軽く見てしまう癖があった。正直に言って、ここのジムリーダーをすることにしたのも、憧れていたユウカさんの話に軽く乗りすぎてしまったというのもある。だから、この環境自体が僕にとっては、ストレスにもなっていたんだ。」

 

そう言った後、オドさんは続ける

 

「僕はトレーナーの腕がなかった。だからこそ、ジムリーダーになるまでは、トレーナーという立場から身を引いて、ニビの博物館で研究者として働いていたんだ。研究者として働く日々は、それなりに楽しかったと思っていたけど、違うんだ。僕はただ、逃げていただけ。負けを重ねた記憶がある、トレーナーという立場を辞められたことに安心していただけだったんだ。でも、ユウカさんに誘われて、つい戻って来てしまった。嫌だったことは分かっていた筈なのに。」

 

そして、オドさんは俺に向けて聞いてきた。

 

「リュウキくん。君は何故、そこまでポケモンバトルに夢中になれる?僕たち、トレーナーはただ、ポケモンたちに指示を出すだけ。実際に闘うことは出来ない。ポケモンたちのコンディションや気分次第で、有利不利なんてのは簡単に変わり、負けてしまうことも多々あるだろう。君はそんなことが続いたとしても、ポケモンバトルを好きでいられるの?」

 

ポケモンバトルにおいて、トレーナーは指示を出すだけ。確かにその通りだ。

 

そして、オドさんの言った内容は正しい。

 

俺にも、コウハクの時のような経験がある。

そして、負けた時の悔しさもニアとのバトルで勿論知っている。

 

俺は、まだトレーナーになってから日が浅く、オドさんがしたであろう経験は無いので、分かるなんて、軽々しく言うことは出来ない。

 

だけど、俺がポケモンバトルを好きでいられる理由なんてのは、1つしか無い。

 

だったら、それを答えるだけだ。

 

「はい。俺は何があっても、ポケモンバトルを嫌いになったりすることはありません。」

 

「それは何故?」

 

「俺はポケモンバトル、ひいてはポケモン自体が大好きだから。

勝つも負けるも、ポケモンと一緒に闘える事自体が大好きだから。

勝ったときの快感、負けた時の悔しさ、それら引っくるめて俺は大好きなんです。あの時のこれが良かった。あの時、こうしていれば良かった。なんてのが、後になってから分かってくる。俺はそれを次に繋げて上手く行ったときには、本当に嬉しい気分になれる。

 

他にも沢山、好きな理由なんて浮かんできます。

これは俺が、まだトレーナーになりたてだから、こんなことが言えているのかもしれません。

 

それでも、努力が実った時、成功を感じられた時、ポケモンたちと分かち合った喜びは、一生忘れられない。

 

だから、それを何度も感じさせてくれた、ポケモンバトルから、俺が離れるなんてことはありません。」

 

俺はこの時、浮かんでいた事を全て言った。

 

勿論、俺が前世から憧れていた世界であり、それを現実として体験出来ているというのもある。

 

だけど、前世と今世で共通していることは、ポケモンバトルも含めて、ただただポケモンが好きだと言うこと。

 

だからこそ、俺は色々語ったが、そんな大好きな存在と一緒に強くなれる今が最高に楽しいのだ。

 

俺が語り終えると、オドさんはどこか遠い目をしていた。

 

「ポケモン自体が好き、そんなポケモンと一緒に闘えることが好き…か。その通りだね。僕もポケモンが大好きだった。今でも、そのつもりだ。何度も負けて、もう僕は折れてしまっていたんだろう。だけど、ポケモンが好きだという気持ちはずっと変わってない!じゃあ、やっぱり逃げちゃ駄目じゃないか、僕は!!」

 

オドさんは、俺に話しかけながらも、自分自身にも言い聞かせるように言っていた。

 

そして、どこか吹っ切れたようになり、

 

「ありがとう、リュウキくん。僕、やるよ。君の言う通り、これからは全部出し切る。誰にも負けない!」

 

そう力強く宣言した。

 

俺もオドさんの言葉を聞いて、大きく頷き、言った。

 

「その意気です。不躾な申し出かも知れませんが、俺にもそのお手伝いをさせてくれませんか?まずは、オドさんのポケモンたちとのコミュニケーションを完璧にしましょう!俺、宛があるんです!」

 

そう言って、不思議そうにしていたオドさんに、エミリーのことを話した。

 

そして、一度俺は、外にいたカイト、ポケモンセンターに戻って来ていた、エミリーやニアに事情を話して、ジムへと戻り、エミリーを筆頭に俺の他の手持ちの仲間たちや、カイトやニアたちの、他のみんなのポケモンたちの協力の元、オドさんとそのポケモンたちとの連携力を上げる特訓をした。

 

この時の、オドさんの真剣にポケモンバトルに取り組む様子を見たユウカさんは、驚いた様子を見せていたが、どこか安心したようなとても嬉しそうな表情で、オドさんを応援していた。

 

そして、その日の俺達は、今日中にトキワシティに向かう予定だったが、その予定を消して、夜遅くまで、オドさんとそのポケモンたちとの特訓に付き合ったのだった。

 

▶TO BE CONTINUED...




■ジョージ(モウカザル) ♂ Lv.33
性格:むじゃき

■エミリー(エムリット) Lv.50
性格:ひかえめ

■チュンチュン丸(ムクバード) ♂ Lv.31
性格:ゆうかん

■バービー(ビーダル) ♀ Lv.32
性格:のんき

■カーミラ(ゴルバット) ♀ Lv.30
性格:いじっぱり

■トトロ(カビゴン) ♂ Lv.33
性格:わんぱく

■コウハク(ビリリダマ) Lv.31
性格:ずぶとい

■カスタード(プリン) ♀ Lv.7→22
性格:ずぶとい

突然ですが、これまで主人公のリュウキくんの戦績はなんとなくで決めておりましたが、これもルーレットにしたほうがよろしいでしょうか?ご意見くれると嬉しいです。(現地民よりは理解してる設定で、負け過ぎるのはマズイので比率的には勝利7:敗北3ぐらいで設定したものを回すつもりです。)

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