転生にわかポケモントレーナーの冒険録   作:Sleipnir666

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今日の分です。

レッドの時と同じように、出会い方をどうするか悩んでいたのですが、特に深く考えずに出力したら、こうなりました。

アンケートで、メンバーに加えることが確定しているので、この先も頑張って書いていきたいです。

感想や評価などいつでもお待ちしております。

では、どうぞ。


第38話 青の名を持つ襲撃者 ▼

ポケモンキャンプ1日目の教習内容を全て終え、子どもたち全員がポケモンを捕まえ終えた頃には、もう暗くなりつつあったので、俺たちは、テントを張って夜を過ごす準備を始めていた。

 

結局、俺は旅に出てから、1度も野宿をすることなく、ポケモンセンターで寝泊まりしているので、こんなふうに外で一日を過ごすというのは始めてだ。

 

俺はワクワクした気持ちで、テントをカイトやレッドたちと共に組み立てていった。

 

途中までは、順調に組み立てていったのだが、いざ俺達講師組が寝る予定のテントを組み立てていた時、テントを張るために必要なペグが足りなくなってしまった。

 

俺たちがどうしようかと悩んでいると、グリーンが思い出したかのように言った。

 

「待てよ…そうだ。キャンプ用品なら、このポケモンキャンプを管理してるおじいちゃんの研究所の中にあると思う。単純に入れ忘れただけだろうから、探せば見つかる筈だ。」

 

グリーンがそう教えてくれたので、俺は、

 

「おっ、じゃあ、俺が早いとこ取ってくるよ。みんなは、先に夕食とか作ってくれておいてくれると嬉しいな。夕食以外にも、お風呂の準備とかもあるだろうし、それまでには戻って来るから。」

 

そう提案すると、グリーンは俺に鍵を渡してくれた。

 

「了解。なら頼んだ。おじいちゃんは、今日は学会に行くみたいな話をしてたから、多分研究所にはいないと思う。でも、ペグ自体は多分、外の倉庫の中にでもあると思うから、すぐに見つけられる筈だ。まあ、どうしても見つからなかったら、オレの家に、ナナミ姉さんもいるから、姉さんに頼めば大丈夫だと思う。」

 

俺はグリーンの話を聞いて、鍵を受け取ってから、博士の研究所に向かった。

 

==========

 

博士の研究所に着くと、研究所に明かりは着いておらず、真っ暗だった。

グリーンの行っていた通り、オーキド博士は研究所に今日はいないらしい。

 

まあ、さっき聞いていた通りなので、俺は特に疑問に思うことなく、研究所の横にある倉庫まで足を運んだ。

 

だが、倉庫の前に来ると、不意に中に誰かがいるような気配を感じた。

 

ナナミさんか?

でも、それならなんで、電気を点けてないんだ?

 

俺は少し警戒して、倉庫の扉に近づき、手を掛ける。

 

手を掛けて、ゆっくりと少しだけ扉を引くと、扉には鍵がかかっていなかった。

 

いる。間違いなく、誰かが中にいる。グリーンから、わざわざ鍵を受け取っているし、鍵がかかっていないなんて、不自然だ。

 

それに扉に近づいて分かったが、中からは、何かを物色するような音が聞こえる。

 

ナナミさんなら、物色なんてすることなく、目的のものをすぐに見つけられているはずだ。

 

俺は、覚悟を決めて、扉を思い切り引いた。

 

「誰だ?ここで何をしている!」

 

俺が扉を開けると、そこには誰もいなかった。

だが、確かに中は散乱しており、何かが漁られていたのは間違いなかった。

 

誰もいない?そんなはずは無いと思うが。

 

俺が警戒心を緩めぬまま、一歩進んで、中に入った次の瞬間、頭の上から何かが降ってきた。

 

俺は腕を振り上げて、それを防ぐ。

 

しかし、腕を振り上げて防いで、ガラ空きになった俺の身体に向かって、何者かの蹴りが飛んできた。

 

思い切り、蹴り飛ばされたが、俺は即座に受け身をとって、跳ね上がり、そのままの勢いで襲撃者に接近し、ソイツを掴んで床に押し倒した。

 

だが、その襲撃者は、瞬時に俺の身体から片足を抜くと、その勢いのまま、俺の足を腕で掴んで力任せに引っ張り体制を入れ替えて来た。

 

そして、逆に俺を押し倒して、俺の顔に向けて拳を振り上げた。

 

俺は、その拳に合わせて上半身を起こして頭突きを行う。

 

割と本気で頭突きを決めたのだが、襲撃者は少しよろめいただけですぐに後ろに飛んで俺から、距離を取る。

 

そこでようやく俺は、襲撃者の全容を見た。

 

ソイツは全身真っ黒の服装で、口元にはガスマスクのようなゴテゴテした機械的なマスクを着けており、目元はゴーグルのようなもので覆われていた。

 

そのせいで、人相なんかは全く分からなかった。

だが、背丈は俺とそう変わらないので、俺と近い年頃の人間だと言うことは分かった。

 

さっきのやり取りで、だいたい分かったが、同年代でこんなに強い奴がいるとはな。

 

つか、誰なんだよコイツは。どう見ても、ポケモン世界の住人じゃないだろ。こんなんが、マサラタウンにいるなんて聞いたことないぞ?この世界独自の特殊部隊の人間かなんかか?にしたって、なんでこんなとこで鉢合わせるんだよ。

 

俺は割とパニックになりかけていたが、ソイツは警棒のようなものを取り出して、殴りかかってきた。

 

俺は、手加減なんぞ考えない方がいいと思い、その警棒を掴んで、本気で握りしめる。

 

警棒はメキャリッと音をたてて、掴んだところが俺の指の形に変形し、陥没した。

 

襲撃者は、とても驚いたような気配を出して慌てて、警棒を手から放して、俺から距離を取ろうとする。

 

逃がすかよ。

 

俺は警棒を掴んだ手とは、反対の手を伸ばして、襲撃者の首元を掴む。

 

襲撃者は、俺の腕を掴んで、自身の首から離させようと藻掻いたが、俺は軽く力を込めて襲撃者の首を締める。

 

すると、グッとくぐもった声を上げて、腕だけでなく、足もバタつかせて俺に蹴りを入れてくる。

 

だが、俺は力を抜くことなく、襲撃者の抵抗を全て受け入れた上で、そのままにしていると、やがて襲撃者の抵抗が弱くなってきた。

 

殺す気はなかったので、俺は腕に込めていた力を抜き、手を放す。

 

床に落ちた襲撃者は、大きく咳き込んで、俺を睨みつけた。

 

ゴーグルから覗く瞳は、俺を忌々しげに見つめている。

 

そんな襲撃者に対して、またいつでも動けるように警戒心を解くことなく、見下ろしながら、俺は考えた。

 

うーん、もう俺に勝てないことは理解しただろうし、下手に襲ってくることは無いだろうけど、どうするかな?

 

警察に突き出すべきなんだろうけど、まだ子どもっぽいし、あんまりそれもやりたくないな。

 

ひとしきり考えた俺は、ひとまず、なんでコイツが俺を襲ってきたのか、なぜここに居たのか、そして、コイツはいったいどこの誰なのかを聞き出すことにした。

 

俺はしゃがみ込んで、ソイツと目を合わせて聞いた。

 

「お前誰だ?ここが、オーキド博士の研究所だって分かって忍び込んだのか?目的はなんだ?」

 

ソイツは応えない。

俺を睨み続けているだけだ。

 

まあ、そりゃそうだ。

 

コイツの方から、襲ってきたとは言え、俺はコイツを返り討ちにして殺しかけたのだ。

 

そんな相手の質問に、素直に答えるやつなんて、いるわけがない。

 

とは言え、答えて貰わないと話も進まないので、俺はソイツに再度問い掛けた。

 

「別に黙っててもいいんだけど、そのままなら、俺はお前をジュンサーさんのところに連れてくぞ?お前は、勝手に博士の研究所に忍び込んだ侵入者、いわゆる泥棒とか強盗の類で、俺はただそれを捕まえただけなんだからよ。」

 

俺が警察の下へ連れて行くと脅して、しばらく待つと、ソイツは俺への憎しみを隠さないまでも、観念したかのように答えた。

 

「アンタの問いに答えりゃ、見逃してくれるってぇの?」

 

ソイツの声は、かなり若い女の声だった。

 

マージー?

俺、女の子をあんなボコボコにしたのか?

 

マズい。これじゃあ、下手すりゃ、俺の方が捕まるじゃねぇか。やっぱ、警察はアカンかもしれん。

 

俺の背中を嫌な汗がダラダラと流れ始めたが、俺は動揺を一切の出さぬよう努めて慎重に、ソイツへ返答を返した。

 

「女だったのか、それは、少し悪いことをしたよ。だけど、関係はない。お前の返答しだいだ。お前が酌量の余地も無いような奴なら、俺はお前を連れて行く。」

 

沈黙があたりを支配する。

 

俺はソイツの返答を待った。

 

やがて、ソイツは口を開いた。

 

「…アタシは、ブルー。ここへは、ポケモンで有名なジジイの研究所だって聞いたから、金目のものを探して、入った。アンタを襲ったのは、アンタがここにやって来たから。見られたのなら、気絶させて黙らせる。当然のことでしょ?どう?これで満足?」

 

==========

 

ソイツの返答を聞いた俺は、正直隠せているのか、分からない程に動揺した。

 

ふぁっ?!ブルー???ブルーだと?!

嘘やん!ブルーって、あのブルーか?漫画と全然雰囲気が違うやんけ!

だってこの子、目付きとかもそうだけど、全体的な雰囲気が全然違うぞ!なんか、あのブルーのハツラツとした感じが全く無い、なんというか全体的に凄い暗くて、澱んだ雰囲気を纏ってるもん。

 

俺は叫び声を上げたくなったが、必死に押し殺してブルーに聞き直す。

 

「…なぜ、金目のものが必要だったんだ?お前は、まだ俺と同じで子どもだろう?何に使う予定だったんだ?」

 

「なんで、そこまで話す必要が?アンタに関係ないでしょ。」

 

「確かに関係はない。だけど、今答えのままなら、お前に酌量の余地なんてのは感じられない。だったら、さっき言ったように警察に突き出すだけだ。」

 

ブルーは、しばらく黙っていたが、やがてポツリと呟いた。

 

「…パパとママに会いたかったから。アタシがここに帰ってきた時、家には2人とも居なかった。書き置きとかもなんにもない。どこにいったのかも分からない。だから、パパとママを探すためにお金が必要だった。それだけよ。」

 

ブルーは哀愁を漂わせる雰囲気で、そう静かに語った。

 

これ、ブルーの両親もブルーを探しているだけなんじゃないのか?

 

なんか、漫画でもそう言う展開があった気がする。

あれ?でも、あのブルーは両親の顔を覚えてないんじゃなかったっけ?

やべぇな、曖昧すぎて、彼女の性格や背景ぐらいしかあんまり覚えてない。

 

だけど、いまので分かった。

 

このブルーも詳しくは分からないが、漫画と同じように両親とは離れ離れで今日まで生きてきたんだろう。

 

俺は途端に彼女への同情心が強くなった。

 

ぶっちゃけ、彼女が誰であろうが、警察に突き出す気はあんまり無かった。

 

どうしようもない屑ならば、絶対的な恐怖を与えて再起不能ぐらいにはしようと考えていたが、そのよっぽどでも無い限り、誰であっても、注意と説教で済ませようと思っていたのだ。

 

正直、俺の先程の行動で灸は据えたと思ってるし、子どもの内から、警察にしょ引かれるなんてのは、あまりに酷だ。

 

この世界の基準は分からないが、アニポケのサトシも割としょっちゅう逮捕されかけてたし、この世界だと子どもでも刑務所にぶち込まれる可能性がある。

 

それは、あまりにもかわいそうだ。

 

だから、警察に引き渡す気は初めから無かったのだが、彼女の話を聞いて、その気持ちがより強くなった。

 

とは言え、彼女がやったことは間違いなく犯罪だ。

 

普通に捕まってしまうような内容だろう。

 

それにオーキド博士や、その家族の人たちには、俺はとてもお世話になっている。

 

だからこそ、このまま彼女を見逃して、ハイおしまいというわけにはいかない。

 

故に、俺は彼女にある提案をした。

 

「お前、いや、君の環境や状況なんかは、俺にはまだ良くわからない。でも、家族に会いたいという気持ちは俺にだって理解できる。それが探さなければならない程とあれば、尚更だ。…分かった、君を警察に突き出すことはしない。だけど、ここの持ち主のオーキド博士やその家族の人たちには、俺もとてもお世話になっているから、このまま何もせずに君を開放するわけには行かない。だから、あったことを、理由を全て話して謝ろう?俺も一緒に謝るから。」

 

俺がそう言うと、ブルーは

 

「なんで、アンタが謝るの?アンタには、何も関係ないでしょ?」

 

そう聞き返して来たので、

 

「確かに、俺は直接君と関係はない。だけど、俺も大切な家族がいる身だ。だから、そんな話を聞いてしまったら、今更君のことを放って置くわけには行かない。あと、ここで暴れ回ったことに関しては、俺も同罪だから、その分はシッカリと謝らなきゃいけない。」

 

俺はそのまま思っていたことを、答えた。

 

「それに謝るだけじゃなくて、君の両親のことなんかも聞けばいいはずだ。オーキド博士は、昔からここマサラタウンに拠を構えているし、君の両親がどこに行ったのかを知っているかもしれない。君にとって、悪いことはそう多く無いと思う。」

 

俺はそう言って、彼女の返答を待った。

やがて、彼女は、

 

「わかった。アンタのその提案に従う。だけど、アタシはまだ捕まる訳には行かない。ジジイたちが、もしも警察を呼ぶような素振りを見せたら、アタシは何をしてでも、そこから逃げだすから。例え、アンタがいたとしても、絶対に。」

 

そう言って、了承の意をくれた。

 

そんなに心配することないよ。

あの人たちは、とても優しい人たちだから、キチンと話をすれさえすれば、絶対に許してくれる。

 

俺もそれでいい、と返事をして、ブルーが物色した倉庫の片付けを2人で始めた。

 

散乱こそしていたが、ブルーは記憶力がいいのか、どこに何があったのかを全て覚えていたので、盗んだものを含めて、全て元の場所に返した。

 

また、俺も片付けを進める中、本来の目的である、ペグを見つけたので、足りなかった本数分を取り出して、ポケットの中にしまった。

 

その後、倉庫の状態は元の綺麗に整頓された状態となった。

 

まだ、俺達が暴れた事による、汚れやキズなんかは残っているが、また明日以降にでも直せばいいだろう、グリーンたちにすぐ戻ると行った手前、これ以上戻るのが遅くなっても心配させてしまうだろう。

 

俺は、ブルーに今日はまだ、オーキド博士がここにはいないから、明日の戻ってきたタイミングで話をしようと言うことを伝えて、彼女を連れてキャンプ場へ戻ることにした。

 

ブルーは、キャンプ場に連れて行かれる事に難色を示していたが、そこでもマサラタウン出身の子どもたちが多くいるのだから、聞いてみたらいい、と言うと彼女はまだ少し嫌そうだったが、頷いて、俺の後に着いてきた。

 

==========

 

キャンプ場に戻ると、既に夕飯の支度は完了しており、カイトやグリーン、レッドなんかの男子たちは、お風呂の準備を進めていた。

 

俺が戻って来たことに、ニアが気付いて近づいて来る。

 

「あっ、リューくん。遅かったんですね、少し心配してました。でも、なにもなかったみたいで良かったです。」

 

そう言って、俺を出迎えてくれた。

そして、俺の後ろにいたブルーに気付く。

 

「あれ?リューくん、その子は誰ですか?なにか面白い格好をしてますけど、レッドくんと同じで新しい参加者の子ですか?」

 

やっべー、ブルーの格好のことを忘れてた。

全身黒ずくめで、訳わからんマスクとゴーグルしてるとかどう考えても不審者だろうが。

 

だが、ニアはそこまでブルーの格好に疑問を感じでいないようだった。

 

「あ、ああ。彼女は、ブルー。諸事情で、このキャンプに参加することになった。にしても、ニア、ブルーの格好に驚かないんだな。」

 

俺がニアへそう返事をすると、ニアは、

 

「ああ、やっぱりそうなんですね。わかりました。ブルーさん、私はニアです。よろしくお願いしますね。格好については、カロスにも似たような感じの個性的な見た目をした人たちが多いので、そこまでの驚きはなかったんですけど、こっちの方だと、なにかおかしかったりするんでしょうか?」

 

そう俺に驚かなかった理由を教えてくれた。

 

はぇー、進んでるんだなあカロス。

なんだか、時代を感じる。

 

俺、カロス地方ってのを、本当に詳しく知らないから、知識としてはほとんど無い。

 

せいぜいフェアリータイプがいるってのと、ゲームだとメガ進化が始めて出てきた地方ということぐらいしか分からない。

 

その後は、ニアと簡単に話をして、ニアから、

 

「じゃあ、ブルーさん詳しくは後ほど、お話しましょう。とりあえず、お二人は食事をとってきて下さい。もうほとんどの子たちは食べ終わってますけど、そこそこの量を作ったのでまだ余ってるはずです。他の人たちには、リューくんがブルーさんを連れて戻ってきたことを私から伝えておきますから。」

 

と言って、走って行ってしまった。

 

まあ、彼女から伝えてくれるなら、問題ないだろう。

 

俺は、ブルーと一緒に空いているテーブルに座って、ニアたちが作ってくれた夕飯のカレーをよそった。

 

やっぱり、キャンプと言ったらカレーだよな。

簡単だし、量作れるし、嫌いな人間ほぼ居ないし。

 

俺は、ブルーの分もよそって、彼女の前にも置いた。

 

ブルーは、先程ニアに普通に接されてから、少しソワソワし始めていたが、カレーを出されると少し不安そうな様子を見せた。

 

なんだ?もしかして、好きじゃなかったか?

 

俺は食べれないものでも、入ってた?と聞いたのだが、どうも違うらしく、彼女は、

 

「その、いいの?これ、元々アタシの分は無かったのに、いきなり来て、こんな普通に食事まで出されて。さっきの子も、アタシの格好見ても、全く驚かなかったし、なんか落ち着かない。」

 

と言ってきた。

 

別に問題ないだろう。事実、カレーは余っているのだし、途中参加という点では既にレッドが存在してる。

 

別に増えようが、問題ない筈だ。

 

「大丈夫だよ。実際、ブルーの他にも途中参加の子はいるし、それにこのキャンプでそのへんの決定権は、進行役の俺にあるしね。なにも心配するようなことはないよ。」

 

俺は彼女の不安を晴らすべく、そう答えた。

 

ブルーは、まだ少し不安そうにしていたが、やがて着けていたマスクを外して、スプーンを手にとり、カレーを食べ始めた。

 

最初は恐る恐るだったが、次第にカレーを口に運ぶ速度が早くなって行く。

 

もう大丈夫かと思い、俺もカレーを口に運んだ。

 

しばらく、無言で食べ進めて、ふと彼女の方を見ると彼女はゴーグルを外して、泣いていた。

 

俺はギョッとして、スプーンを置いて、彼女になにかあったのかを聞いた。

 

だが、彼女は首を振って、

 

「違う、なんでもない。なんでもないの。ただ、久しぶりだったから。誰かが、作ったものを食べるというのが、本当に久しぶりだったから。だから、そう思ったら、涙が止まらない。止まらなくなってしまったのよ。」

 

そう言って、彼女は泣きながら食事を進めた。

 

そうか。それは、辛かったのだろう。

 

俺にとって、食事と言うのは、自分で作ることもあるが、基本は誰かと作ったり、誰かが作ってくれたものを食べることがほとんどだ。

 

ここに生まれ直してからも、母さんの食事を食べて育ったし、旅に出てからも、ポケモンセンターの食堂で、料理人の人が作ってくれたご飯を食べている。

 

俺は、彼女の人生とは、全く違う人生を歩んでいるから、推し量ることしか出来ない。

 

だからこそ、俺は

 

「なら、これからは誰かが作る食事をもっと食べて行けばいいさ。これまではどうだったのかは、分からないけど、少なくともこれからは大丈夫だよ。もし、俺でよければ、俺も作って上げるよ。友だちや家族からは、美味しいって評判なんだ。」

 

そう彼女に答えた。

 

「男のアンタが?なにそれ、その人たちのお世辞じゃないの。」

 

「失敬な、俺は1人で旅に出るために、料理もしっかり鍛えましたから。間違いなく美味しいですぅ!」

 

そうやって、軽く話していると、ようやく彼女は、少しだけ笑ってくれた。

 

その顔は、俺もよく知るブルーという女の子の笑顔だった。

 

俺はそれを見て、嬉しく思いながら、俺とブルーは、俺が彼女と始めて出会った時の険悪な雰囲気とは、全くの逆の朗らかな雰囲気で食事を食べ進めるのだった。

 

▶TO BE CONTINUED...

突然ですが、これまで主人公のリュウキくんの戦績はなんとなくで決めておりましたが、これもルーレットにしたほうがよろしいでしょうか?ご意見くれると嬉しいです。(現地民よりは理解してる設定で、負け過ぎるのはマズイので比率的には勝利7:敗北3ぐらいで設定したものを回すつもりです。)

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