転生にわかポケモントレーナーの冒険録   作:Sleipnir666

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とりあえず、SSやりながら書き上げました。

おかしい、何故だか暗めな感じの話になってしまった。
こんなはずじゃなかったんです。

まあ、ちゃんとどこかで軌道を修正するんで大丈夫です。

感想や評価などいつでもお待ちしております。

では、どうぞ。


本編 〜第3章〜 “ジョウト地方”
第47話 ライバルとの再会 ▼


船に揺られること、2時間程。

俺達は、ワカバタウンの港へとやって来た。

 

やはり、間を遮るシロガネ山さえなければ、本当に陸路でも割とすぐ行けるような立地なので、そこまで時間は掛からなかった。

 

ワカバタウンなあ…

思い入れがないから、わからん。

 

ここに、金・銀の主人公たちの家があって、同じくここに住むウツギ博士が、ゲームでもポケスペでもポケモンをシルバーに盗まれるってことしか知らない。

 

まあ、でもその程度の認識で十分なんだろうか?

 

港から出た俺達は、ブルーの案内に従い、ワカバタウンの街道を進んでいく。

 

途中、『こちら、ウツギ研究所』という看板が立っており、看板が示す方向を見ると少し大きめの住宅が見えた。

 

アレがウツギ博士の研究所なのだろう。

どうやら今の時点でもウツギ博士は、ここに居を構えているようだった。

 

とは言え、今回ウツギ博士に用は全くない。

 

原作のジョウト地方の博士枠ということを、俺が一方的に知っているだけで、オーキド博士やナナカマド博士と違い、実際に知り合いというわけでもない。

またオーキド博士から、お使いを頼まれている訳でもないのだ。

 

なので、俺は少し立ち止まって見ただけだったのだが、

 

「コラー、リュウキ!アンタ、何立ち止まってんのッ!さっさと行くわよー!」

 

ブルーに、少し怒られてしまった。

 

ブルーは、船に乗る前に一瞬見せたような様子はまるでなく、マサラタウンで過ごしていた時のような様子だったが、やはり早くこの地を通り抜けたいのだろう。

 

俺はすまんすまん、と謝って合流した。

ブルーは、プリプリ怒りながら、先を進んでいく。

 

その足取りは、早い。

旅に慣れていない人間であれば、少しキツいかもしれないが、俺とニアはハナダに着くまでは、徒歩でカントーを巡ったのもあって、何も問題ない。

カイトも同様で、普段から鍛えており、沖まで遠泳なんかも出来るほど体力に溢れているので、問題なかった。

 

まあ、自転車を持っているので、それに乗って行きたい気持ちもあるのだが、ブルーは持っていないので、彼女に合わせるため、俺達は転送システムで自転車を預けており、今は手元になく、不可能だ。

 

そんな感じで歩きながら、皆で喋りつつ進んでいたのだが、途中、あるタイミングで俺達は足を止めることになった。

 

==========

 

それは、ワカバタウンを出て、29番道路の道の上をしばらく歩いた時だった。

 

「リュッ、リュウキッ!お前リュウキじゃねぇか!なんで、こんなとこに!」

 

草むらの中から、俺を呼ぶ声がしたのでそちらを向くと、1ヶ月程前に別れたばかりだが、どこか懐かしさを感じされる顔が、驚愕に染まりながら俺を指差していた。

 

「コウタ?コウタじゃないか?!そりゃこっちのセリフだ。なんでまたお前は、こんなところに?お前、まさか勝手に飛び出して来たんじゃないだろうな?」

 

そこにいたのは、自称俺のライバル、幼馴染の親友・コウタだった。

 

アイツの旅立ちは、まだユキさんやナナカマド博士から止められていた筈なだぞ?

 

俺は訝しげな視線をコウタに向けた。

 

「んなわけあるかバカッ!ちゃんと、母ちゃんからも許可貰ったわい!ほら、これ見ろ!」

 

そう言って、コウタが見せて来たのは、俺にとっては、見慣れた赤と黒の折りたたみ式のPSPみたいな電子機器、ナナカマド博士から貰えるポケモン図鑑だった。

 

これを持ってると言うことは、少なくとも博士から、許可を貰ってるということなので、実際にコウタの言う通り、ユキさんからも許可は貰えているのだろう。

 

俺は感心した目で、ほぇ~と間の抜けた返事をする。

 

そんな中、俺達2人の様子を見ていたニアが俺に声を掛けてくる。

 

「リューくん、ジョウトにお知り合いの方がいたんですか?」

 

そう言って、首を傾げている。

 

「ああ、違う違う。コイツも、俺と同じシンオウの出身で俺の幼馴染なんだ。名前はコウタ。少し抜けてるけど、いい奴だよ。」

 

俺はニアに、コウタについて説明する。

 

俺がニアと話していると、草むらから出て来て近付いて来たコウタが、俺にちょいちょいと手招きして、呼び寄せる。

 

俺がそれに従って、近付いて行くと小声で話しかけて来た。

 

「お前、誰だよあの子!俺知らないぞ!てか、他にもいっぱいいるじゃん!」

 

そりゃ知らんわな。みんな、コウタと別れた後を知り合ったメンバーだし。

 

俺はコウタに、旅をする中で得た仲間たちだと説明すると、

 

「旅の仲間だと!そんなもん途中で出来るもんなのか?!しかも、女が2人もいるし!クッソー、お前に内緒で強くなるべく、1人でジョウトに来たのに、こんなとこで再会して、リア充見せつけられるなんて!別に悔しくなんてないんだからな!」

 

そう言って、コウタは地団駄を踏んだ。

 

相変わらず、リアクションが面白いなお前。

つかここにいる理由を、秘密に出来てないし。

 

昔から、接してる幼馴染の悪ガキだから、年下への反応というより、どうしても前世の弟や前世の同年代などと近しい感覚を覚えて、接してしまう。

 

そんな感じで、しばらく2人でくっちゃべっていると、ブルーが不機嫌そうに言ってきた。

 

「ちょっと、リュウキ!再会を喜ぶのはいいけど、アタシたちは急いでんのよ!とっとと、バトルしてボコすなりして、別れなさい!」

 

彼女の表情には、焦りが見える。

 

理由は、なんとなく分かっている。

両親のことではなく、ブルーを拉致した組織がこの地方を拠点としていると思われるので、見つかったり、襲われたりすることを、彼女は危惧しているのだろう。

 

しかし、それを知っている、予測できているのは俺だけだ。

 

ニアとカイトは、久しぶりの幼馴染の再会なんだから別によくない?みたいな顔をしており、これまでより少し態度がキツい、ブルーの様子に疑問符を浮かべていた。

 

すると、コウタがブルーにキレた。

 

「なんだお前!関係ない女の癖に、邪魔すんな!これは、俺とリュウキとの話なんだ!しかも、ボコすだあ?舐めたこと言ってんじゃねぇ!バトルもよくわからなそうな顔してるくせに!」

 

そう言って、喧嘩腰でブルーを睨んでいる。

 

睨まれたブルーはボールを取り出し、コウタに向けた。

 

「バトルもよくわからない顔ですって、上等よ!リュウキ!アンタがやらないなら、アタシがコイツをボコすわ!アタシを舐めたこと、後悔させてやる。」

 

えっ、俺も久しぶりだから、コウタとバトルしたかったんですけど。

 

とは言え、2人は既にバチバチに睨み合っており、そんなこと言い出せそうな気配はない。

 

まあ、このままじゃ、ブルーがただのワガママな女の子って印象で終わっちゃいそうだし、1度バトルなりで、スッキリさせて落ち着かせた方がいいか。

 

俺はそう思い、ごめんな、1回闘ってやってくれ、と小声で伝えてから、コウタの側を離れた。

 

そうして、ブルーとコウタのバトルが始まった。

 

==========

 

【Side:ブルー】

 

アタシは、アタシを睨み付ける男の子、バトルをすることになったコウタという少年を睨み返す。

 

ハッキリ言って、今回悪いのはどう考えてもアタシだ。

 

リュウキは、アタシのためにリーフやレッドたちと過ごす時間をくれたし、ここまでずっとお世話になりっぱなしでいる。

 

アタシ自身は幼馴染と過ごさせてもらったのに、リュウキを急かすような真似をして、リュウキだけでなく、ニアやカイトたちからも、どの面下げて言っているんだと不思議、いや自分勝手で不愉快な奴だという印象を受けているだろう。

 

アタシだって、出来ることなら、リュウキにとって幼馴染だという彼と過ごす時間は上げたいし、ここでなければ、別に1.2日ぐらいは一緒に過ごしてもらっても、構わない。

 

だけど、ここは、この地方だけは駄目なのだ。

 

ここを通って行かなければならないと聞かされた時、顔にも言葉にも出さなかったが、正直、恐怖とストレスしかなかった。

 

パパとママに合う為とは言え、ようやくここから逃げてカントーに辿り着いたというのに、また戻って来ることになったということが、アタシの精神状態をおかしくさせており、色々とキツい。

 

出来ることなら今すぐにでも、逃げ出したい。

1人でフィオレ地方に向かって、別ルートで行きたかった。

 

でも、アタシの願いを叶えてくれるという、ジラーチというポケモンの詳細を知っているのは、リュウキだけだし、アタシの手伝いを申し出てくれているみんなに、リュウキたちと居ることで、信じて送り出してくれたリーフたちに、そんなこと申し訳がなくて、言い出せないし、出来なかった。

 

アタシがあらかじめ、この場所が危険だと言うことを伝えていればよかったのだが、なぜ危険なのかを説明するということは、アタシの過去を、背景を全て伝えなければいけない。

 

そんなことをすれば、せっかく出来た友達と別れてしまう、そんな未来が心の底から浮かび上がる。

 

リーフたちは勿論、今いるリュウキたちとでも、そんなことにはならないと、頭では分かっているが、心のどこかがそれを否定する。

 

アタシは、繋がりが全て無くなりそうで、怖かった。

 

アタシは弱い。

普段は、虚勢を張っているだけ。

本当は、今すぐみっともなく縋り付いてでも、誰かに助けて欲しい。

 

でも、この世界にヒーローはいないと、アタシはこの世界で過ごす中で、理解した。

 

だからこそ、アタシ自身の手でなんとかするしかない。

 

みんなを巻き込まないように早く、ここを抜けてフィオレ地方へと辿り着く。

 

ようやく見つけた、昔のアタシの、アタシの本来の日常へと戻る為の道筋をここで手放す訳には行かないのだから。

 

「悪いけど、邪魔はさせない。アンタには退いてもらう」

 

アタシは、小声で一人呟いた後、ボールを投げた。

 

【Side:End】

==========

 

ブルーがボール投げたのと同時に、コウタも投げて、2人のバトルが始まった。

 

「行くのよ、プリン!実力の違いを、教えてあげなさい!」

 

ブルーの投げたボールからは、彼女の相棒のプリンが飛び出す。

 

勝ちと早さを求めるのであれば、彼女の手持ちの中で頭1つ抜けて強い、ミュウを出すのがいいと思うが、そんな幻のポケモンを見せてしまえば、コウタが噂を流してしまうかもしれない。

 

しかも、そうしなかったとしてもここは外、誰に見られるか全くわからない。

 

故の判断だろう。

恐らく、最後の一匹となったとしても、彼女はミュウは出さないそんな確信がある。

 

「行けぇ、ポッタイシ!ぶっ飛ばせ!」

 

コウタからは、俺とバトルした時は持っていなかったポケモン、ペンギンポケモン・ポッタイシが繰り出された。

 

ポケモンたちも、主人たちの激情を感じ取ったのか、厳しい目で互いを睨んでいる。

 

今回は、試合公式形式というバトルではなく、ほとんど喧嘩のような、技制限以外は何もない野良バトル。

 

大丈夫かなぁ、2人共。

 

俺は、少し不安そうに2人を見る。

 

そんな時、ニアとカイトがブルーを見て、呟いた。

 

「ブルーさん、どうしたんでしょうか。なぜだか、凄く焦っているように見えます。マサラタウンにいた時は、あんな態度はとっていなかったのに。」

 

「確かに、今のブルーは少しおかしい。船に乗る前は、そんな素振りは見せていなかったが、船に乗ってから、なにやら様子が少し変だ。親友、お前も感じ取っているのだろう?何か知ってないか?」

 

この世界においても俺の認識が正しいのであれば、知っている。だが、彼女が俺達に何も話さないということは、秘密にしておきたいのだろう。

 

その気持ちも分かる分、ここで俺から答えるつもりはない。

 

だが、このままじゃ、2人から彼女へ不信感や悪感情を抱かれてしまいかねない。

 

だから俺は、彼女のためのヘイト役を引き受けるべく、言葉を発した。

 

「いや、知らない。あれじゃね?単純に生理でも来て、イライラしてるんじゃねぇの?ガハハw」

 

俺の答えに、ニアはギョッとした様子を浮かべて、言ってくる。

 

「ちょっと、リューくん?!なんで、そんな知識持ってるんですか?!知ってて思い付いたとしても、口に出すもんじゃないですよ!デリカシーを考えてください!」

 

ニアは、赤い顔で怒ってくる。

 

俺はとりあえず、すまんすまんと軽めに謝る。

 

カイトは少し気まずそうな顔をして、俺を見る。

 

とりあえず、これで完璧だろう。

 

俺の積み重ねた2人からの評価は、下がったと思うが、これもブルーとの関係を悪くさせないための必要経費だ。

 

俺の評価など、また戻せばいいだけなのだから。

 

俺が2人から視線を外して、ブルーとコウタを見やった、丁度その瞬間、バトルが始まった。

 

「ポッタイシ!『メタルクロー』!」

 

コウタの指示を受けた、ポッタイシが両方のヒレをピンと伸ばして、鈍い光を瞬かせながら、プリンへと突進する。

 

プリンがフェアリータイプだと言うことは、俺とコウタが貰ったナナカマド博士が作った図鑑は勿論、俺達の奮闘によってアップデートとされた、この時代においては最新のオーキド博士の全国図鑑にも載っていない。

 

なので、たまたまだとは思うが、コウタは弱点技を打っていた。

 

これがプリンに当たれば、元のダメージが低いとは言え抜群技、ブルーは痛手を負うだろう。

 

俺はブルーがどうするのかと思ったが、ブルーはただの回避ではなく、技による確実な回避を選択した。

 

「プリン、『みきり』!」

 

プリンが完全な紙一重で、ポッタイシの両ヒレによる叩きつけを避ける。

 

そして、ブルーはそのまま続けざまに指示を出した。

 

「そのまま、『てんしのキッス』!」

 

プリンが避けたことにより、ポッタイシと一瞬すれ違うそのタイミングで、プリンは身体を捻って、その小さな口をポッタイシにくっつけた。

 

そして回避されたとは言え、発動自体はしていたメタルクローの勢いに従って、ポッタイシが離れた直後に、ポッタイシは、今の一瞬で何をされたのか理解出来ず、頭を回していた。

 

明らかに狼狽というより、混乱している。

ポッタイシが混乱した、今がチャンスだ。

 

ブルーも勿論、同じように考えている。

 

「今よ!『メガトンキック』!」

 

プリンは、フワフワとした様子で飛び上がるのではなく、その場で弾むように勢いよくジャンプすると、空中でライダーキックのような姿勢をとって、ポッタイシに突っ込んで行った。

 

これが決まれば、ポッタイシは大ダメージを受けるはずだ。

 

だが、コウタはここで思わぬ行動に出た。

 

「ポッタイシ、こっちを見ろッ!」

 

コウタがポッタイシに大声で呼び掛けると共に、何かを勢いよくポッタイシに向かって投げる。

 

ポッタイシがコウタの声に従い、一瞬コウタの方を見た

その瞬間、ポッタイシの口の中にコウタの投げた何かが突っ込まれた。

 

ポッタイシが勢いよく飛んできたそれを、口に含んだ瞬間、ポッタイシのその表情が一転して、真面目な表情になった。

 

今ので、混乱状態が解けた?!

 

俺やブルーが驚いている中、コウタはポッタイシの混乱が回復するのを確信していたのか、一切確認することなく、指示を出した。

 

「迎撃しろ!『メタルクロー』!」

 

ポッタイシは、即座に振り向き、突っ込んで来たプリンの飛び蹴りを正面から受けつつも、そのヒレを横合いから思い切り叩きつけた。

 

互いに吹き飛ぶ、プリンとポッタイシ。

 

ポッタイシは、高威力技を正面から受けたとは言え、キチンと防いでいたため、勢いよく後方にズリ下がるだけで済んでおり、その顔に大きく堪えた様子は見られなかった。

 

対して、完全な意識外から攻撃を受けたプリンは、勢いよくぶっ飛んで、何度か跳ねてから起き上がった。

 

しかし、起き上がったプリンの表情は、口を固く食いしばっており、かなりダメージを受けているのがわかった。

 

あれは、急所に入ったな。

 

ブルーは、何が起きたのか分からず、動揺していた。

 

「ア、アンタ今何したのよ!プリンのキスで、そのポケモンは『こんらん』した筈!それがなんで、いきなり落ち着いたのよ!」

 

コウタが一瞬、俺の方を見る。

 

コウタは、俺と動揺するブルーにネタバラシをするように語り始めた。

 

「本当は、リュウキと闘う時にやりたかったんだが、あのままじゃヤバかったからな。対応させてもらったぜ。俺がさっき投げたのは、これだ。」

 

そう言って、コウタは胸に掛けたボディバックから、小さな果物のような物を取り出した。

 

それは、ピンク色の少しシワが入ったきのみだった。

 

「コイツの名前は、『キーのみ』。辛さと酸っぱさと渋みが混じった刺激的な味でな、ポケモンに食べさせれば『こんらん』の状態異常を回復させてくれるんだ!」

 

ブルーは、驚いたように目を見開く。

きのみに関する知識はなかったらしい。

 

まあ、しばらく歩いてみたけど、カントーにもこっちにも自生してるの見たことないしな。

 

流通してないのだから、知らなくて当然だ。

 

だが、ブルー以上に俺のほうが驚いていた。

 

初めてコウタと闘って、オタチの『まるくなる』をタイミングよく使われた時以上の衝撃だった。

 

俺は震える声でコウタを指差して、言う。

 

「コウタ…お前、本当にコウタか?きのみの効果を知ってるなんて、賢すぎる。実はお前、どっかで俺の話を聞いただけの別人のそっくりさんだったりしないか?」

 

コウタは、そんな俺を見て、

 

「ちゃんと、本人だボケ!馬鹿にすんな!お前に負けない為に、必死になって覚えたんだよ!このポッタイシだって、お前のヒコザルぶっ飛ばすに、博士から貰って、育てたポケモンなんだぞ!!」

 

そう言って、ムキーッと怒っている。

 

「マジか、お前。いや、素直にすげぇわ。タイミングも完璧じゃん。えっ、やば。」

 

思わず俺は、そんなコウタを純粋に称賛していた。

 

コウタは、そんな俺の様子に一応満足したようで、フフンと鼻を鳴らしていた。

 

そして、再度ブルーを見据えて言う。

 

「女、お前思ったよりはやるようだけど、まだまだだぜ。俺はリュウキを越えるトレーナーになるんだ。お前程度に負けてられねぇよ。」

 

そう言って、コウタはポッタイシに再度指示を出した。

 

「ポッタイシ!お寝んねさせてやりな!『アクアジェット』!」

 

ポッタイシは、口から吐いた水を纏って、瀕死のプリンに突っ込む。

 

だが、ブルーも解説の間に少しは落ち着いたのか、プリンへとシッカリ指示を出していた。

 

「プリン!『みきり』!」

 

ブルーの指示に従い、飛んできたポッタイシを避けるプリン。

 

そして、避けたプリンに向かって、ブルーはモンスターボールを向け、プリンをボールの中へと戻した。

 

「チッ、避けられたか。だが、戻したところで、対して動けないだろう。次は何を出すんだ?降参してもいいんだぜ。」

 

コウタが、プリンを戻したブルーを挑発する。

 

俺はブルーの手持ちに関しては、プリンとゼニガメ、それとミュウしか知らないのだが、まだ何かいるのだろうか。

 

ブルーは、コウタの挑発に何か返すことはなく、新たなボールを投げた。

 

それはやはり、ミュウの入ったスーパーボールではなく、普通のモンスターボールだった。

 

ゼニガメか?だが、レベル差が違い過ぎるぞ。どうするつもりなんだブルーは?

 

ポンッという破裂音と共に、ポケモンが姿を表す。

 

現れたポケモンは、俺がシンジ湖でエミリーを連れて行く前に出会った、エムリットさんの片割れであったポケモンだった。

 

ピンク色の見た目に、つぶらな瞳と〜のような口を持つ不定形のポケモン、メタモンだ。

 

あー、いたなぁ。メタモン。

ポケスペだと、めっちゃ仲良さそうだし、この世界でもそうなのだろう。

 

ブルーは、コウタに告げる。

 

「アタシも訂正する。アンタは、強い。プリンが追い込まれるとは、思ってなかった。センスだけじゃなくて、知識もある。侮ったことは、謝罪するわ。」

 

そう言って、彼女は頭を下げた。

 

「なっ、なんだよ!いきなり謝っても、手は抜いてやらねぇぞ!」

 

そんなブルーの先程までとは、違う様子にコウタはたじろいでいた。

 

ポッタイシも、そんな主人の姿に困惑したような様子を見せる。

 

やがて、顔を上げたブルーは、真剣な顔つきでコウタに向かって言った。

 

「だけど、アタシは負けない。降参なんてするわけがない。アンタが、アタシの前に立ち塞がる壁だって言うなら、壊すまでよ!」

 

ブルーは、その強い気概を感じさせる雰囲気のまま、メタモンに指示を出した。

 

「メタモン!『へんしん』!」

 

メタモンがその身体をウネウネと、揺らして姿を変えていく。

 

やがて、顔だけがヌボーっとしたポッタイシが現れた。

 

ブルーは鞄から、図鑑を即座に取り出し、横目で中身を確認している。

 

恐らく、ポッタイシの覚える技を確認しているのだろう。

 

ブルーが図鑑を見ている間にも、コウタはポッタイシに指示を出していた。

 

「その感じ、俺結構好きだぜ!やれるってんなら、やってみろ!ポッタイシ、『かげぶんしん』!」

 

ポッタイシは、俺のサブレやグリーンのストライクのように高速で動くのではなく、ヒレをクロスさせて目をつむり瞑想すると、目をカッと開いた瞬間、その姿を5体に分裂させた。

 

えっ?どうやってんのそれ?

 

俺は、思わず腰のケースからサブレの入ったボールを取り出して、今の出来るか?と聞いて見たが、ボールの中から、それを見ていたサブレは、フルフルと横に首を振った。

 

後で、コウタに絶対聞こ。

普通に聞いたら教えてくれないかも知れんけど、おだてりゃ教えてくれるやろ。

 

俺が、そんなことを考えている間にもバトルは進む。

 

技の確認を終えたブルーが、図鑑を確認している間に顔を整えて、ポッタイシの顔に完全に変化したメタモンに指示を出す。

 

「メタモン!『いばる』!」

 

ポッタイシとなったメタモンが、胸を踏ん反り返らせて、その場で威張った。

 

それをみたコウタのポッタイシは、煽られたと受けたようで、分身含めて皆が怒っていた。

 

見たところ、頭に血が登っているようで、ゲームと同じようにちゃんと『こんらん』しているように見える。

 

「ポッタイシ、落ち着け!これ食え!」

 

コウタは先程と同じように、キーのみをポッタイシに向かって投げて落ち着かせる。

 

キーのみを食べた5体のポッタイシは、先程同様、真面目な表情へと変化し、『こんらん』は解けたように見える。

 

どうするブルー?これじゃあ、恐らくポッタイシの攻撃力を上げちまっただけだぞ。

 

そう思い、俺はブルーの方を見る。

 

しかし、ブルーの側にメタモンはいなかった。

 

コウタもポッタイシにきのみを与えることに、意識を割いてしまったようで俺と同様にメタモンを見失っていた。

 

「どこだ?!どこに行った?」

 

ポッタイシも、主人と同じようにキョロキョロとメタモンの姿を探している。

 

だが、突如として、5体いるポッタイシの中で、唯一影がなかった、ポッタイシの足下に大きくヒビが入った!

 

「メタモン、『あなをほる』!」

 

ブルーの宣言と共に、ポッタイシ扮するメタモンが地面から勢いよく飛び出て、コウタのポッタイシを空中にかち上げた。

 

同時に、他の4体のポッタイシの姿が消える。

 

空中に舞い上げられ、痛そうにするポッタイシ。

 

コウタがポッタイシに指示を出して、体制を立て直させる前に、ブルーは指示を続けた。

 

「メタモン、『みだれづき』!」

 

メタモンは飛び上がり、空中のポッタイシに向かって、ヒレを使い、何度も突き攻撃を行う。

 

そうして、追撃を受けて落下してきたポッタイシは、満身創痍の状態になっていた。

 

だがコウタは、ポッタイシをボールに戻すことはせずにポッタイシに最後の指示を伝えた。

 

「ポッタイシ!『じたばた』!」

 

ポッタイシは、最後の力を振り絞って、ヒレをグルグル回しながら、自身への攻撃を終え、空中から降りてくるメタモンへ突進していった。

 

これに驚いたのは、ブルーとメタモンだ。

 

自分と同じように戻すなり、瀕死になる前に状態異常にさせるなりすると考えていたらしく、もろポッタイシの攻撃を受けそうになっていた。

 

ブルーは慌てて、指示を出した。

 

「メタモン、『アクアジェット』!」

 

メタモンが、コウタのポッタイシと同じように口から水を出して、コウタのポッタイシに突っ込んだ。

 

正面からぶつかる2体。

 

メタモンのアクアジェットが命中すると、ポッタイシは吹き飛んで倒れた。

 

その目は、グルグルと回って気絶している。

 

しかし、メタモンもポッタイシの攻撃を食らったのか、変身を解いて、その場で荒く息を吐いている。

 

瀕死間際のポケモンの『じたばた』攻撃を食らったんだ。

ゲームと同じなら、相当のダメージを受けた筈だ。

 

コウタは、ポッタイシをボールに戻す。

 

「確かに、お前の覚悟は伝わったぜ女。だけど、手は抜かねぇって言っただろ。」

 

そうして、バックから新しいボールを取り出す。

 

「リュウキも見てるんだ!絶対に負けるわけにはいかねぇ!行くぜ、相棒!」

 

気合の入った掛け声と共に投げられたボールから、しましまの細長い身体をした、可愛らしい顔をしたポケモンが現れる。

 

そのポケモンは、俺が始めて見たときよりも圧倒的に鍛えられているのが分かる。

恐らく、俺のジョージよりもレベルだけなら高いかもしれない。

 

コウタの相棒、オタチの進化系、どうながポケモン・オオタチだ。

 

「オオタチ!『ふいうち』!」

 

オオタチは、一瞬にしてメタモンへ距離を詰めると、変身すらさせることなく、メタモンをその尻尾で殴りつけた。

 

殴られたメタモンは、目を回して倒れるのだった。

 

==========

 

その後、ブルーは手持ちが瀕死のプリン、育っていないゼニガメ、おいそれと見せられないミュウと言うこともあり、その上で相手が無傷のオオタチということもあって、彼女は降参する選択をした。

 

降参した時のブルーは、とても悔しそうにしており、涙も零しそうになっていた。

 

そんなブルーに対して、オオタチをボールに戻したコウタが言う。

 

「女、お前、何て名前なんだ?」

 

「…ブルー。マサラタウンのブルー。」

 

ブルーがそう答えると、コウタはブルーに向かって右手を差し出した。

 

「いいバトルだったぜブルー。こんな熱い闘いが出来るとは思ってなかった。俺もお前を、バトルもよくわからなさそうな女だと言ったことは謝罪する。相手になってくれて、ありがとよ。」

 

ブルーは、差し出された右手をしばらく見ていたが、やがて目元を拭ってから、それをガッチリ掴んで言った。

 

「アタシもいいバトルだった。次は負けない、アンタの名前覚えたから。」

 

そう言うブルーの顔は、様々な感情がないまぜにこそなっていたが悪いものではなかった。

 

バトルを始めるまでは、不穏な感じがしたが、やっぱり、バトルを通して生まれる友情もある。

 

俺は、2人の様子を見てウンウンと頷いた。

 

だが、そう頷いていると、コウタが俺の方に向き、指を指してきた。

 

「どうだ!リュウキ!お前見てたか、俺様の実力を!俺様は、お前を優に凌駕してんだ!もう負けねぇからな!」

 

確かにコウタ、めっちゃ強かったな。

俺もコイツとやりたくなった。

 

「ああ、見てたぜ。強いなコウタ。あの頃と段違いだ。やろう、コウタ!お前が強くなったのと同じように、俺も強くなってるんだ!」

 

俺は手持ちの仲間たちを全て出して、コウタにアピールする。

 

さあ、全力バトルと行こうぜ!

 

だが、コウタは俺のポケモンたちを見ると何故か、愕然としたような表情をした。

 

どうも様子がおかしい。どうしたんだ?

 

俺はコウタに問いかける。

 

「どうした?何か問題あるのか?ポッタイシのことなら、心配しなくても『げんきのかけら』があるから、すぐに回復してやれるぞ?」

 

もしかすると、先程のバトルで倒れたポッタイシのことがあるのかも知れないと思い、聞くとコウタは何かを呟いた。

 

「…いないんだよ」

 

「いない?何が?」

 

俺は聞き取れた部分を聞き返す。

すると、コウタはキレ気味に俺に言ってくる。

 

「そんなに、ポケモンがいないんだよ!しかも、一部を除いてみんな、強そうじゃんか!くそぅ、俺は新しいポケモンを捕まえる間も惜しんで、ポケモンを鍛えたのに!」

 

「お前、まさかさっきの2体しか手持ちいないのか?」

 

「そうだよ!チクショー!」

 

コウタのまさかの回答に俺は驚く。

 

まあ、俺もそんなにガッツリ育成している訳では無いが、それでも俺と共に厳しい修行や特訓、ニアを襲ったポケモンたちとの死闘、カイトや他のライバルたちとの闘いを得て、俺の仲間たちは今の強さを得た。

 

俺より旅立つのが遅かったコウタが、俺のポケモンたちと同レベルになるには、そのぐらいしなければいけなかったのかもしれない。

 

俺は、じゃあ、2vs2でバトルするかと聞くと、情をかけられてたまるか!と言って、

 

「今日のところは、負けを認めてやる!バトルはブルーがやってくれたし、もういい!次会う時は、お前もブルーも、そこの2人もみんな纏めてボコボコにしてやるから、覚悟しとけよ!」

 

俺達に全員に宣戦布告してきた。

 

唐突に、振られたニアはワタワタしていたが、バトルと聞いて、キリッとした表情になっていた。

 

なお、カイトは振られたその時から、不敵な笑みを浮かべている。

 

そうだなぁ。どうせならガッツリやりたいし、それでいいか。

 

そう思った俺はコウタに、

 

「分かった。じゃあ、次会う時の楽しみにさせてもらうわ。その時に、あらためて挑ませてもらう。」

 

そのように伝えた。

 

その後は、ブルーもニアもカイトも、俺とコウタが再会したばかりの時には出来ていなかった、軽めの自己紹介を終え、俺達はコウタと別れた。

 

なお、別れ際にコウタから、あの『かげぶんしん』の方法も聞き、また『ふしぎなアメ』を貰った。

 

『ふしぎなアメ』に至っては、俺達全員にくれた。

 

お前なんで、そんなに持ってんだよと思い、聞いたのだが、本人曰く、なんか妙に縁があって、景品で貰ったり、なんかのイベントでよく当たったりするらしい。

 

更には、拾ったものも含めるも、まだ5個ぐらいはあったとのことだった。

 

まあ、拾ったものに関しては、どう考えても汚そうで自分は勿論、ポケモンにも上げずに捨てたそうだが。

 

俺は、コウタとふしぎなアメには、なにか運命的なものがあるようにしか感じられなかった。

 

==========

 

コウタと別れ、あらためてフィオレ地方に向かうまでの道中で、俺はブルーに話しかけられた。

 

「…アイツ、強かったわね。アタシ、全部出し切るつもりで行ったのに負けちゃった。」

 

そう言う彼女の顔は、バトルが終わった直後と同じ、悪いものではないが、複雑そうなものだった。

 

バトルが終わって、しばらくたったからだろうか。

少し、彼女は振り返って、色々あらためて考えているようだった。

 

「ブルーの想いや熱量が負けていたわけじゃない。ただ、アイツだって、俺に勝つために今日までずっと努力してきたんだ。今回はコウタに、賽の目でいい目が振られたってだけだろ。」

 

「…そうね。アイツとのバトルは、凄く熱くなれて、アイツの純粋な気持ち・感情みたいなものが伝わって来た。バトル自体は、凄くいいものだった。運…か。なら、そんなものに左右されないくらい、もっと力を付けなきゃね。ありがと、リュウキ。」

 

ブルーは、俺の言葉に笑顔でお礼の返事をしてくれたが、その顔は少しぎこちないものだった。

 

…なんて言葉をかけるのが正解なんだろうな。

 

俺は、ポケスペの彼女については、なんとなく知っているが、このブルーが実際、ポケスペと同じように拉致された後に、どう過ごしていたのかが分からない。

 

バトルの実力が足りなかったんじゃない?とか、知識で負けたんだ!なんて言葉を吐くわけには行かない。

 

例え、本当にそうだったとしても、それは彼女のこれまでを否定することになる。

 

だからといって、頑張ったけど負けちゃったね、でも、次頑張ればいいよ!なんてことも軽々しく言うわけにも行かない。

 

だから、時の運だったと答えたのは間違っていない筈だ。

 

俺は、その後も歩きながらも自問自答したが、答えは浮かばなかった。

 

▶TO BE CONTINUED...

突然ですが、これまで主人公のリュウキくんの戦績はなんとなくで決めておりましたが、これもルーレットにしたほうがよろしいでしょうか?ご意見くれると嬉しいです。(現地民よりは理解してる設定で、負け過ぎるのはマズイので比率的には勝利7:敗北3ぐらいで設定したものを回すつもりです。)

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