ガンダムビルドダイバーズ─フォース   作:けんき

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人生初のガンダム小説ですので、いろいろ気になる部分はあると思いますが、読んでもらえると幸いです


小さな翼

「オラオラ!」

「くたばれー!」

 

岩肌が目立つ渓谷のフィールド

緑色のザク2機が左手に構える機関銃を連射して弾幕の雨がガンダムアスタロトに似たガンプラに降り注ぐ

 

「ッ……」

 

ガンダムアスタロトに似たガンプラに乗り、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる黒髪ポニーテールの女性ダイバー。藍色ワンピースの上から水色の半袖のベストを羽織っており、端から見たらイケメン男性に見間違えてもおかしくない容姿をしている

そんな彼女が操るアスタロトのコックピットが赤く染まり限界を表していた

 

「アスタロトバトラーにはシールドは積んでないのに……」

 

彼女が動かすガンプラ、ガンダムアスタロトバトラーはガンダムアスタロトリナシメントをベースにした超近接特化のガンプラ。腕にハーフカウルTを武装しているため、シールドなんかは付いておらず、ハーフカウルTの巨大な腕でひたすら攻撃を耐えるしか無かった

しかし、武装しているハーフカウルにも限界がある……バトラーの関節が限界を超え、小さな爆発を繰り返していた

 

「ッ……もう限界……」

 

少女が諦めの言葉を吐いた瞬間、緑の閃光がザク1機の頭部を吹き飛ばした

 

「何!?」

 

仲間の機体の頭が吹き飛び、隣にいたザクは思わず放射をやめて閃光が飛んできた方に頭を動かす

目線の先には赤いユニコーンガンダムのデストロイモードにインパルスガンダムのウイングを広げた赤い機体がジェット音と共に近づいて来るのがわかった

ザクのダイバーは仲間の仇と言わんばかりにガトリングを放つ。しかし、機体の目の前に赤く塗装した巨大なシールド立ちはだかり全ての弾を防いでいく

 

「何だと!?」

 

思わず言葉が漏れてしまう。シールドが機体を完全に隠せるほど大きいため、本体のガンプラに全く当たらない

赤いガンプラに目を奪われている間にアスタロトバトラーが横からザクをデモリッションナイフで一刀両断した

 

「そんなバカな!?」

 

ザクはそのまま爆発。大きな爆風が起き、岩肌がポロポロと剥がれ落ちる

ボロボロのアスタロトバトラーは爆風に耐え、少女は一安心したのか軽く息を吐き、ハーフカウルTを背中にバックパック状にマウントする

そんな少女に近づく赤いガンプラ。インフィニットジャスティスガンダムの両肩、下半身、胴体に、ガンダムアストレアTYPE-Fの腕、赤く塗装したユニコーンガンダムの頭部、インパルスガンダムのフォースシルエットを背にしたキメラ機体。左手にはビームキャリーシールドをベースにラミネートアンチビームシールドを合体させた、機体並に大きな盾を持つガンプラから「おつかれー」と清々しい青年の声が労いの言葉をかけた

そんな青年に少女はため息をつき

 

「遅い!もう少し早く来れたでしょ!」

「仕方ないだろ!同じザクを7機も相手してたんだぞ!逆に労ってほしいわ!!」

「それはそれ!これはこれよ!こっちは結構ギリギリだったのよ!」

「それはお前がシールド無しの接近特化なのが悪いんだろ!脳筋!」

「はぁ〜!今、脳筋って言ったわね!」

 

兄妹喧嘩のような喧嘩を繰り広げる2人。すると、喧嘩を止めるように赤いガンプラの腕がスパークをして軽い爆発を起こす

爆発音に反応するように2人の喧嘩が終わり、赤い機体の方に彼女は視線を向ける

 

「またなの?」

「ああ」

 

少女の言葉に返事をする青年

 

「とりあえず、すぐ近くにある草原まで移動しよう」

「わかった」

 

青年の言葉に2つ返事をすると最後の余力を使い近くの草原まで移動する

 

────

 

渓谷を離れてすぐにある緑が広がる草原

そこに着陸する赤い機体とアスタロトバトラー。赤い機体から黄土色の瞳に赤髪に肩まであり、服装は白いマントの下に青いTシャツを着ており、腰に剣を携えている青年が現れ、アスタロトバトラーに乗っていた少女も降り、赤い機体の下に行く

 

「どう?ベース基地に戻らないとクエストクリアならないんだけど?」

「うーん。ベース基地に戻るくらいなら大丈夫だけど、もしさっきみたいに初心者狩りが居たら……」

 

青年達が受けている初心者ミッション。数体出てくるNPCガンプラを破壊することが目的のミッションで、ベース基地に戻ればミッションクリアとなる

この2人は特に初心者というわけではないが、青年の新しいガンプラの能力と機動性の確認で受注した。そしてミッションクリア後すぐにさっきのザク部隊のような初心者狩りに遭遇し今に至る感じだ

ザク軍団に関しては機体が万全の状態だったので戦えたのだが、似たような初心者狩りに会ったら、関節がスパークを起こしている状態で戦うため間違いなくやられるのは目に見えている

青年はメニュー画面を開き自分の機体の状態を確認する

 

「あちこちガタが来てるな……」

「やっぱりオーバーヒート?」

 

関節あたりが主に煙を出していることから、熱くなっていると過程して2人はオーバーヒートと呼んでいる

青年の画面にはERROAで埋め尽くされていた

青年は何も見なかったように画面を閉じ、仰向けに倒れて、雲一つ無い青空を見つめる。そして少女も青年の隣に力が抜けるようにストンと女の子座りをする

 

「はぁ~俺のイージスガンダムが無事だったらな〜」

「それは、兄さんが悪い……地震でパニックって床に落ちたイージスガンダムを思っきり踏むだから……」

「あれは……」

 

青年の事を兄さんと呼ぶ少女の言葉に何も言えなくなった

妹の言葉通り少し前に起きた地震で愛機と言っても過言ではないイージスガンダムを壊してしまった

そのため、緊急で作り上げたキメラみたいなガンダムを使用している

 

「マジで改修も出来ないくらいボロボロになったからな……」

「新しくイージスを作れば……と思ったけど兄さんマジで不器用だからな。私が新しいイージスを作ろうか?」

 

妹の言葉に特に反応はせず口を噤む。妹はそんな兄が面白くなかったのか、赤いガンプラに経歴の説明を始めた

 

「……インフィニットジャスティスガンダムは組み立ての時にボールジョイントとパーツを破壊、丁寧に赤く塗装したユニコーンガンダムはお母さんが間違えて捨てられ、インパルスガンダムとアストレアはショップで組み立てトイレ行ってる瞬間に取られたんだっけ?」

「インパルスとアストレアの本体を持っていった奴マジで許さねぇ……イージス以来……久しぶりに何も破壊せずに組み上げたのに……」

 

思い出すだけで怒りがふつふつと湧き上がってきた。そんな兄の姿に呆れた表情を浮かべる

 

「でも今のガンプラもカッコいいじゃない」

「まあ、顔がユニコーンだしな」

「ねぇねぇ、この子の名前はなんて言うの!!」

 

兄妹の楽しい会話に白髪に左に結んだサイドテールをしているシンプルな白いドレスを身に包んだ、青年と同じくらいの年齢くらいの少女が2人の話を割り込むように元気な声で割り込んできた

2人は急に現れた少女に驚いた表情で視線を向ける。そんな2人とは裏腹に少女は不思議そうにしている2人にきょとんとした表情で小首を傾げた

 

「どうしたの?」

「いや、いつの間に居たの?」

「ついさっき来たんだよ。それよりもこの子の名前はなんて言うの!」

 

少女は赤い機体に指を差し、NPCのように似たような内容を繰り返していた

 

「えーと、兄さん。あのキメラガンプラの名前を決めてるの?」

 

妹の言葉に青年は起き上がり自分の機体を眺める

昨日、あるもので作り上げたこの世で1つしか無い機体。青年は口を開き

 

「……アイギスガンダム」

「え?」

「うん。昨日からずっと名前を考えていたけど、巨大なシールドを持っているからアイギスガンダムって名前にしよう!」

 

ゼウスの娘、女神アテナに授けた盾。ありとあらゆる邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持つと言われている。まさにザクのガトリング全てを防いだ盾を持つ機体に相応しい名前だ

 

「へぇ~アイギスガンダムかぁ」

 

少女はペットに触れるようにアイギスガンダムの足をに触れる

そして、うんうんと頷いている。まるでアイギスガンダムの言葉がわかるかのように

 

「この子も名前を気に入ったみたいだよ!」

「え、ガンプラが喋るのか?」

 

青年の言葉に頷く少女

 

「この子、結構無理しているみたい。戦いの後にいつもこんな感じじゃない?」

 

少女の言葉に青年は目を丸くする。少女の言葉通り連戦や無理した戦闘後はこのようなオーバーヒートが多発している

 

「だけど、この子はまだ空を飛びたがっているよ」

 

淡々と話す少女に青年は思わず

 

「君はなんなんだ……」

 

青年の質問に、少女はアイギスガンダムから手を離し、青年の方に向くとにこやかな笑みを浮かべた

 

「ロア。私の名前はロア」

 

ロアの自己紹介と共に爽やかな風が草原に吹き、ロアの白髪のサイドテールが揺れた。青年は名画のような彼女の美しさに思わず見惚れていた

 

「ねぇねぇ、君たちの名前は?」

 

ロアの言葉に現実に引き戻された

 

「お、俺はツバサ。こっちは妹の……」

「ミライです」

「ツバサとミライだね。2人はここに何をしにきたの?」

 

ツバサとミライは今回のミッションの内容とこれまでの経緯を話した。ロアは納得するように頷くと

 

「なら、ベース基地に戻らないとね」

「君はここで何をしているの?」

「私?私は……」

「兄さん。ロアさんが困っているわよ」

「いや、別に俺は……」

 

ツバサはミライに視線を移す。そして、すぐにロアに視線を戻し、話の続きをしようとした瞬間に元いた場所にはロアの姿は無く目線には膝をついたアイギスガンダムのみだった

 

「え、ミライ!ロアさんがいなくなるの見たか?」

「ごめん。私も兄さんの方を向いてたからロアさんがいついなくなったかわからない……」

 

2人が目を離したのは本当に数秒、どこかに立ち去れば横目でも気づく。さらにここは丘すらないだだっ広い草原、辺りを見渡せば簡単に人が見つかる環境。ガンプラに乗ってどこかに行ったとしても音ですぐに気づくはず

 

「とりあえず探そう。あまり、離れた場所には行ってないと思うし」

 

蜃気楼のように消えたロアを探し出そうとツバサが足を進めた瞬間、ミライが「待った!」と止めた

「何だよ!」と焦りのあまり強い返しをするツバサ

 

「こんな地平線すら見える草原で見つからないのは異常だよ。ロビーに1回戻ってマギーさんに相談したほうがいいかも。それにキメ……アイギスガンダムを修理したほうがいいし」

「……そうだな」

 

いつ動かなくなってもおかしくないアイギス。ミライの言葉にツバサは納得をして、1度ミッションを終わらせてロビーに戻ることにした

 

────

 

「あら~そうなのね。そのロアちゃんは運営の方に捜索願いを出してみるわね。それに私も探してみる」

「お願いします。マギーさん」

 

ムキムキな筋肉を見せつけるように下腹部までファスナーを下ろしたツナギのスーツにボレロを羽織った強烈なファッションスタイルの男性アバター、マギーに話しかけるツバサ達

 

「それと、その初心者狩りのザクのフォースにも後でキツく言っておくわ」

「ありがとうございます!」

 

ツバサが頭を下げて俺を言っていると「いいのよ〜いいのよ〜」と腰をクネクネさせながらツバサとミライを思いっきり抱きしめる

 

「こういった初心者狩りを叱りつけるのも私達、先輩ダイバーの仕事だらね」

「「あ、ありがとうございます……」」

 

少し引き気味の2人。そして、マギーは2人を優しく離し

 

「それにしても、2人共RANK D昇格おめでとう!!これでフォースに所属出来るようになったわね!」

 

フォースとはチームのことであり、RANK D以上にならなければ組むことや、入ることが出来ない

そして2人はさっき行ったミッションをクリアし、無事に RANK E→Dに昇格した

 

「ツバサくんはやっと夢が叶うわね」

 

ツバサはアイギスの性能確認以外にも、とあるフォースに入るため、RANKを上げる必要があった

マギーの言葉に目をキラキラさせて「はい!!」と答え、嬉しそうにガッツポーズをするツバサに、隣にいたミライも笑みを浮かべ

 

「兄さんの夢だったもんね。“ビルドダイバーズ”に入るの」

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