まほ「プラウダ高校、西住まほ。短期転校手続きは済ませてきた」 作:ゼブラーの野郎
――・・・・・・
―朝
まほ「Zzz・・・Zzz・・・うーん・・・太陽さんあっちいって・・・」ムニャムニャ
まほ「・・・!・・・しまった!寝過ごし・・・・・・ていない・・・フッ」キリッ
エリカ「ぐー・・・ぐー・・・」
まほ「エリカ、朝だぞ。起きろ」
エリカ「ぐー・・・ぐー・・・指を・・・口に近づけてくれたら・・・起きるかも・・・ぐー」
まほ「うーむ、さすがに疲労がたまっていたか。なかなか起きないな。どうすればいいのだろう」
エリカ「ぐー・・・ゆびを・・・指を口にください・・・ぐー」ソワソワ
まほ「?・・・寝言か」
エリカ「ぐー・・・ぐー・・・起きますから・・・」ソワソワ
まほ「エリカ、早く起きないと」ユサユサ
エリカ「・・・ぐ、ぐー・・・指ください・・・」
まほ「仕方ない。寝かせておいてやるか。少しぐらい遅刻するのもいい経験になるだろう」
エリカ「ッ・・・~~っ・・・」ムクリ
まほ「む、起きたかエリカ」
エリカ「・・・はい」ショボーン
まほ「エリカ?泣いているのか?」
・ ・ ・ ・ ・ ・
バッ!
カチューシャ「隊長のカチューシャよ!みんな揃ってるわね!」
\ウラーーー!/
カチューシャ「今日は私はちょっと別件があるから自主練習してなさい!ノンナに指揮を任せてあるわ!いっとくけど怠けてたら承知しないんだからね!」
\ウーーーララーーー!/
カチューシャ「それからマホーシャ!ちょっと来なさい!」
まほ「えっ」
ニーナ「あー、怒られるやつだべー」
アリーナ「おーこられるっ、おら知らねー」
まほ「エリカ、ついてきて」ギュ
エリカ「一人で行ってくださいよ」
カチューシャ「ほらっ!別に噛みついたりしないからさっさと来なさい!」
まほ「フシン・・・」
エリカ「冗談で言ってるつもりだろうけどホントに噛むんだもんなぁ」
ノンナ「ではカチューシャとまほさんを除いた皆さん、これより戦車道訓練を開始します。まずは準備運動からはじめましょう」
アリーナ「ノンナさん、指に包帯まいてケガでもしたべか?」
ニーナ「それも全部の指にケガなんて、何があったんだべ」
ノンナ「なんでもありません」
カチューシャ「ほら、行くわよ。乗って乗って」
まほ「カチューシャ、なぜKV-2に乗るんだ?しかも二人だけで」
カチューシャ「いいから!ちょっとお出かけするの!早く乗りなさい!」
まほ「・・・一体何が目的なのだろう」ドッコイセ
カチューシャ「じゃ、運転してね」
まほ「えっ」
カチューシャ「なによ。できるでしょ?戦車の操縦」
まほ「うん」
カチューシャ「じゃ、やって」
まほ「・・・」
KV-2<キャラキャラキャラ・・・・・・
まほ「で、どこに向かうんだ?わざわざ戦車を引っ張り出して」
カチューシャ「私がいいって言うまで走らせて」
まほ「・・・・・・(なんか怖い)」
・ ・ ・ ・ ・ ・
IS-2<ドワ!
ドォーン!
アリーナ「ひゃ~っ・・・エリカさん、砲手の腕もすっげえな~」
エリカ「ふうっ・・・どう?私の実力」ドヤ!
クラーラ「お見事です。全弾標的を的確に撃ち抜き、動きに乱れがありません。流石は黒森峰を背負って立つであろうお方です」
エリカ「まあねっ。天才エリカとでも呼んでちょうだい」フフーン
クラーラ「天才エリカ」
エリカ「ほんとに呼ぶんじゃないわよ!」カア~ッ
ニーナ「なあノンナさん、カチューシャ隊長とまほさんはどこさ行っちまっただ?」
ノンナ「・・・そろそろお話してもいいでしょう。エリカさんにも聞いていただきたいことです」
エリカ「?・・・なによ改まって・・・」
ノンナ「我々がまほさんとエリカさんをプラウダに招いたのには理由があります。今まで秘密にしていましたが、極秘の計画が進んでいたのです」
エリカ「な、なんですって!ほらみなさい!やっぱり罠だったんだわ!私達にたくさん食べさせてまるまる太らせて食べる気なんでしょう!」
ノンナ「その計画とは、『カチューシャと西住まほを仲良くさせちゃおう大作戦』です」
エリカ「謝るわ!疑ってごめん!」
ノンナ「カチューシャは悩んでいました。まほさんが自分に対して冷たい、睨むし、と」
エリカ「私が言うのもなんだけど無愛想なところがあるからね隊長」
ノンナ「そこでカチューシャは考えました。まほさんをプラウダに招待し、カチューシャの偉大さや優しさを目の当たりにすれば、まほさんはカチューシャのことを認め、仲良くなれるのではないかと」
ノンナ「というわけであの手この手でカチューシャ優しいでしょどうよフフーンドクトリンで攻めてみたのですが、効果はナシのツブテ」
ノンナ「カチューシャは最後の一手として、一緒にドライブに出かけて一気に距離を縮めちゃうわどうよフフーンドクトリンで攻めることにしたのです」
ノンナ「今頃KV-2に二人で乗り、学園艦内をあてもなくドライブしている頃でしょう。きっと帰ってくる頃にはまほさんがカチューシャを肩車しているかもしれませんね」
アリーナ「なるほど完璧な作戦ですべー!」
エリカ「・・・そうだったの。ていうか、隊長はカチューシャのことを十分認めてるけど」
ノンナ「それと、もう一つ重大な秘密作戦があります。それはまほさんにサプライズパーティーを開催すること」
エリカ「なんですって!」ガタッ
ノンナ「校舎から離れた所にあるあの倉庫・・・あの中で既に準備は進んでいます。まほさんには近づかないようにと前もって言っておきました。エリカさん、あなたもパーティーの準備を手伝ってくれますか?」
エリカ「もちろんよ!あの倉庫、脱走兵を閉じ込めてるんだと思ってたけどパーティー会場にしてたのね」
エリカ(それにしても何を祝うパーティーなのかしら?まあサプライズってくらいだから理由なんかなくてもいいのかもね)
ノンナ「では、皆で倉庫に向かいましょう。まほさんを驚かせてあげるために」
・ ・ ・ ・ ・ ・
KV-2<キャラキャラキャラ・・・・・・
まほ「・・・・・・」
カチューシャ「・・・」
まほ「・・・・・・」
カチューシャ(マズったわ!)
カチューシャ(戦車の中で二人っきりになれれば一気に距離が近づくと思ってたけど、この子じぇんじぇん喋らないじゃない!)
カチューシャ(このままじゃだめだわ・・・なんとかしておしゃべりしないと・・・このまま引き下がるなんて私のコケンにかかわるわ!私が強くて優しくてカッコよくて人柄もよくておしゃべりしやすい最高の指導者だってことを思い知らせてあげる!)
カチューシャ(私はカチューシャよ!いつだってカチューシャなんだから!)
カチューシャ「マ――」
まほ「カチューシャ」
カチューシャ「ひゃいっ!?」ビクッ
まほ「すまん。かぶったな」
カチューシャ「べ、別に気しないわよ!なに!?お先にドーゾ!」
まほ「いつまで走ればいいんだ?」
カチューシャ「そ、それは・・・流れよ流れ!風のふくまま着の身着のままよ!」
まほ「それに天気も悪くなってきたようだ。どうやら一降りきそうだぞ」
カチューシャ「べ、別に構わないわ!雨の中をドライブするのもオツなものよ!オトナの嗜みってやつ!マホーシャにはまだわからないでしょうけどね!このクソガキ!」
まほ「えっ、急に悪口」
・ ・ ・ ・ ・ ・
ワイワイガヤガヤ
ニーナ「こったらでっけぇケーキを作るなんてわたすたち女子力たっけぇ~なぁ~」ウキウキ
アリーナ「んだな~。チョーイケイケでバリバリにナウいヤングなガールズだべさ~」ルンルン
クラーラ「逸見さん、見てください。西住まほさんへのプレゼントです」
エリカ「なにこれ?本?やけに手作り感があるわね」
クラーラ「日本で覚えた、カッコイイ日本の言葉集です。私の手作りです。カチューシャ様にも同じものを用意しました」
ニーナ「カッコイイ日本語だっぺ?どんなのだべどんなのだべ?」 アリーナ「教えてくんろ~」
クラーラ「ではお披露目いたしましょう。一つ目は・・・・・・カクテイシンコク!」バーン!
ニーナ&アリーナ『革帝神国~~~!?』ガーン!
クラーラ「チョウジュウギガ!」バーン!
ニーナ&アリーナ『超獣ギガ~~~!?』ガーン!
クラーラ「ビルトインスタビライザァー!」バーン!
ニーナ&アリーナ『ビルトインスタビライザ~~~!?』ガーン!
エリカ「もうツッコむ気にもならないわ」
クラーラ「他にもありますよ。キングサーモンのサイキョウヅケ、シュウキュウカンゼンフツカセイ、イノキボンバイエ・・・」
エリカ「・・・聖グロの隊長にでもあげた方がいいんじゃないの?」
~~~
ダージリン「ダァッ!」クシャミー!
ローズヒップ「ダージリン様のくしゃみウルトラマンみたいですの!」
~~~
ノンナ「さて、パーティーの飾りつけはこのくらいでいいですかね」フー
アリーナ「あんれま~、外を見てくんろ。雪が降り出してるべー」
ニーナ「風も出てきたっぺや。こりゃあ荒れるかもしんねぇな~」
ノンナ「今の内に耐寒性の低い戦車を雪仕様へ換装しておいた方がいいかもしれませんね」
エリカ「プラウダの戦車ってもとから雪の中でもへっちゃらじゃないの?」
ノンナ「除雪用の外装パーツだったり、戦車内の温度を下げないための部品だったり、車内で身体を温めるためのカイロや毛布など、色々と準備するものはあります」
プラウダ生徒「それがノンナさん、戦車倉庫に片づけておいた冬期用の戦車パーツが色々無くなってまして・・・」
ノンナ「なんと」
プラウダ生徒「こんな謎のメモが残されていました」スッ
『人という字はね、互いに支えあって立っているんだよ (∪v∪)♪』
ノンナ「おのれっ、またしてもっ」グヌヌ
エリカ「ザッルザルじゃないのプラウダ!」
・ ・ ・ ・ ・ ・
ビュオオオォォォ・・・
KV-2<キャラキャラキャラ・・・
カチューシャ「吹雪いてきたわね」
まほ「劇中の時期設定的にまだ冬ではないんだがな」
カチューシャ「そういうこと言わないの」
KV-2<キャラキャラ・・・キャラ・・・
まほ「む、燃料がもう少ないぞ」
カチューシャ「仕方ないわね。ちょっとその辺で止めて、迎えに来てもらいましょ。あっ、そこの倉庫。そこの倉庫に入れて」
まほ「ん」
KV-2<キャラ・・・キャラ・・・キャラ・・・
まほ「ここは?」
カチューシャ「プラウダの戦車供給所よ。学園艦にいくつか点在してるの。燃料補給できるし非常用の保存食が置いてある、言ってみれば小型の無人サービスエリアね。外もだいぶ荒れてきたし、止むまでここで待機しましょう」
ビュオオオォォォ・・・
まほ「うぶるるる・・・寒いな・・・」
カチューシャ「このくらいでヘコたれてるんじゃまだまだね!私なんかこんなの慣れっこなんだから!」フンス
まほ「かなりの猛吹雪だな・・・外部と連絡はとれるのか?」
カチューシャ「えっ、あなた携帯とかないの?」
まほ「ない。カチューシャは?」
カチューシャ「いつもノンナがやってくれてるから・・・」
まほ「・・・」
カチューシャ「・・・ま、まあ雪が止むまで待ってればいいわ」
まほ「何か暖をとれるものはないか?このままでは・・・ハブショ!」クシャミ!
カチューシャ「あーあーもー仕方ないわね。あったかいスープかなんか作ってあげるわ。ここポットもあるし」
まほ「すまん」
カチューシャ「かーべーたんの中にも防寒用のものが色々あるからなんか探して使うといいわ。カイロとか乗せておいたはずだから。てきとーに見つけて使いなさい」
まほ「助かる。いつも乗せているのか?」ガサコソ
カチューシャ「いいえ、皆それぞれ自分用の暖房用の物をまとめてて、自分が乗る戦車に持ち込んでるの。私、試合の時にかーべーたん乗ってないし」
まほ「なるほど・・・おっ、毛布を見つけたぞ。かなりボロボロで年季ものだが」バッ
まほ「うーむ・・・いい生地を使っている毛布だ」ホッコリ
カチューシャ「はいマホーシャ、スープ作ってあげた・・・・・・ってちょっと待った!」
まほ「?」
カチューシャ「それは私のよ!」グイッ!
まほ「わっ、なんだ。なにをする」
カチューシャ「その毛布は私が・・・チームの皆からもらったプレゼントなのよ!初めて仲間からもらった大事なものなの!私以外は誰もつかっちゃだめー!」グイグイ
まほ「わかったよ。そう興奮するな。ほら、返すよ。返すから」スッ
カチューシャ「もうっ!使い込んで破れちゃいそうだから大事にしてるの!ぜーったいに私以外の人に触らせないんだから!」バッ
まほ「知らなかったんだ。すまない。他に暖をとれる物を探すよ・・・仕方ない」ブルル・・・
カチューシャ「!」
カチューシャ「・・・・・・」
カチューシャ「・・・いや、私のじゃなかったわ」
まほ「えっ?」
カチューシャ「ほら、使いなさい」スッ
まほ「でもさっき・・・」
カチューシャ「いいから、使って」ファサ
まほ「・・・・・・そうさせてもらうか」
・ ・ ・ ・ ・ ・
ニーナ「隊長達・・・けぇってこねぇな・・・」
エリカ「・・・ねえ、電話してみてくれない?この吹雪の中を何の音沙汰もないなんて、さすがに心配になるわ」
ノンナ「・・・カチューシャは携帯を持っていません。まほさんの携帯に連絡を」
エリカ「隊長に携帯なんて持たせてる訳ないじゃない」
ノンナ「・・・」
エリカ「・・・ちょっと」
ニーナ「それってもしかして、隊長達はこの嵐の中で音信不通で行方知れずってこったか?」
エリカ「まずいじゃない!探しに行かないと!」
ノンナ「落ち着いてください。この中に飛び出すなんて無茶です。こういう時こそ冷静でいなければなりません」
エリカ「落ち着けですって!?極寒の学園艦で雪の台風の中に大事な人がほっぽりだされてるのよ!?宇宙人の艦隊がやってくるほうがまだマシよ!」
ノンナ「あなたまで遭難させるわけにはいきません。カチューシャとまほさんは賢い方達です。きっと無事なはず」
エリカ「うちの隊長をなんでもソツなくこなす完璧超人だと思ってるのかもしれないけど、全然そうじゃないの!そうじゃない・・・全然・・・ポンコツなのよ・・・」
クラーラ「ミンナシットルワ」
・ ・ ・ ・ ・ ・
カチューシャ「・・・さすがに・・・寒くなってきたわね・・・扉も窓も全部閉めてあるけど・・・」ブルル
まほ「カチューシャ、一緒に毛布にくるまるといい。ほら」バサ
カチューシャ「・・・うん」ソッ・・・
まほ「まさかこんなことになるとはな。これで遭難は二度目だ。こんな短期間で続けて遭難するなんて、お母様が知ったら飛び上がるな」フッ
カチューシャ「えっ、なにあなた前にも遭難したの?」
まほ「そうなんだ」
カチューシャ「・・・」
まほ「笑うとこだぞ」
カチューシャ「・・・マホーシャ・・・マホーシャはカチューシャのことが嫌いなの?」
まほ「えっ、どうしてそうなる」
カチューシャ「だって私が何か言うとすぐ怒るし、睨むし、去年の大会でのミホーシャのことも・・・」
まほ「怒ったことあるか?私が」
カチューシャ「大学選抜の時、信じるのと崇拝するのは違うって怒ったじゃない。あと会議の時睨んだし」
まほ「あれは怒った訳ではない。それに睨んだのは・・・あれはまあ、うん、すまん」
カチューシャ「去年の大会で、人助けしてるミホーシャの車輛を撃破したのもずっこいって思ってるんでしょ。そのせいでミホーシャは黒森峰を追いだされててんてこまいになっちゃって・・・」
まほ「立場が逆であの状況なら私も撃っていた。それに、みほが選んだ選択の結果だ」
カチューシャ「でもそのせいで西住流から追放されたんでしょ」
まほ「決められた道をただ歩くよりも、選んだ自由に傷つく方がいい。みほは変わった。結果論ではあるが、あの子は今・・・楽しくやっているさ」
カチューシャ「じゃあ・・・私のことを嫌ってるわけじゃないのね?」
まほ「ああ。・・・・・・もしかしてだが、それを気にしてたのか?」
カチューシャ「ち、違・・・いや違わない!そうよ!悪い!?アナタに嫌われてるって思ったから仲良くなりたかったの!私が偉くて優しくてカッコよくて天才ですごいカチューシャだって認めさせたかったの!」
まほ「ハハハ・・・そんなことだったのか」
カチューシャ「あー!笑うんじゃないわよ!こっちは大まじめだったのに!カチューシャは偉大で寛大で斬新で完璧で優秀で器が大きくてカッコよくて憧れの的で立派な隊長だって認めさせたかったの!」
まほ「認めているさ。十分にな。それどころか尊敬しているよ。カチューシャ、お前ほど人を率いるに相応しい人間はそうはいない」
カチューシャ「・・・本当?」
まほ「状況を正確に見極め、的確に判断し、確実な一手を即座に指示できる。お前はすごいよカチューシャ。本当にそう思う」
カチューシャ「・・・・・・てへ・・・てへへへへへ!もー!そうなの!?マホーシャったら私のことそんな風に思ってたの!?なーんだ!そうならそうと早くいいなさいよ!カーチュカチュカチュ!」
まほ「それ笑い声?」
ビュオオオオオ・・・・・・
カチューシャ「・・・しかし・・・一向に止まないわね・・・」
まほ「・・・」ガチガチブルブル・・・
カチューシャ「マホーシャ、大丈夫?震えてるわよ」
まほ「・・・寒い。ウォッカか何かはないか?身体を温めたい」ブルブル・・・
カチューシャ「ダメよ。アルコールを飲むと脳の体温調節機能が働かなくなるわ。寒さ対策にいいって思われがちだけど身体が火照るだけなの。それに私達未成年」
まほ「そうだったな・・・」ブルブル・・・
カチューシャ「かーべーたんの中に入りましょう。どこかから隙間風が入ってるのかもしれないから、車内の方が幾分マシよ」スック
まほ「ああ・・・」ドッコイセ
まほ「本当だ・・・戦車の中の方がこころなしか・・・あったか――」ガクン
カチューシャ「マホーシャ!?ちょっと!大丈夫!?」
まほ「・・・・・・さむい・・・」ガチ・・・ガチ・・・
カチューシャ「!・・・さっきより震えが少ない・・・ま、まずいわ!ど、どうしよう!」
・ ・ ・ ・ ・ ・
エリカ「あなた達が行かないなら私一人で行くわ!その戦車使うわよ!」
ニーナ「無茶ですだエリカさん!やめてくんろ!」
エリカ「あなた達と違って私は隊長を大事に思ってるの!あなた達はさんざんいじめられてたからどうでもいいかもしれないけど、私は見捨てたりできないわよ!」
ノンナ「・・・」
アリーナ「エリカさん・・・そりゃ言いすぎだべ」
エリカ「っ・・・あ・・・」
ノンナ「エリカさん・・・私達がカチューシャの身を案じていないと思っているのですか」
ノンナ「本当なら全校生徒を総動員してでも捜索に向かいたいものです。ですがその結果、被害が広がるようなことになればカチューシャは悲しみます。自分のために誰かが傷つくことを良しとしない方なのです」
エリカ「ごめんなさい・・・言いすぎたわ・・・」
アリーナ「わたすたつ、カチューシャ隊長にイビられてはいたけど嫌ってんじゃないべ。皆、隊長が隊長らしくなろうと思って厳しくしてたことを知ってるんだべ。だって、まだ隊長が隊長になって間もないころ――」
~~~
―ちょっと昔・プラウダ高校(夜)
アリーナ「ふわぁ~・・・夜中の2時半に目が覚めちまって喉が渇いたべ・・・飲み物切らしてて買いに行くなんてめんどうだな~」ポテポテ
アリーナ「おんや?こんな時間に会議室の明かりが・・・」ソッ
カチューシャ「よし!これで対聖グロ用の作戦がまとまったわ!これでダージリンをコテンパンのパンパンにしてやるんだから!」
カチューシャ「さ、この作戦を確実にこなせるようになるための練習法を整理しないと。相手の動きを遮るための陣形を作るためには・・・ふわぁ~・・・眠いけどがんばるわよ」カキカキ
アリーナ「あんれま・・・こったら夜中まで起きて・・・がんばってるんだなぁ隊長・・・」
~~~
アリーナ「――ってな具合で、カチューシャ隊長は誰より努力してがんばってるんだべや」
クラーラ「隠れて頑張るカチューシャ様最高かよ」
ニーナ「わたすだってマル秘エピソードあるべ。カチューシャ様になまらしごかれた後――」
~~~
―ちょっと昔・プラウダ高校(戦車倉庫)
ニーナ「うう・・・今日の隊長もめったら厳しかったなぁ・・・準備運動に腕立て腹筋スクワット300回ずつ・・・練習でちょっとミスしたらがなり散らすし・・・怒鳴ってストレス発散したいだけなんじゃねえべかな・・・」
ニーナ「あ!やっべ!筆記用具を倉庫に忘れてきちまっただ!・・・やだな~・・・まだ隊長達いるかな~・・・忘れ物するなんてたるんでる!って怒られっかな~・・・」ソ~
カチューシャ「・・・ノンナ・・・私ってひどい隊長かしら」
ノンナ「いいえ、あなたは立派に務めをこなしています」
カチューシャ「私って小さいでしょ・・・ちっこくて頼りない隊長だなんて思われたらダメでしょ。だから強い隊長にならないといけないって思ってつい厳しくなっちゃうの・・・」
カチューシャ「それにこの方が皆も気が引き締まるだろうし、練習にも身が入るかなって・・・プラウダを強くするためにやってるんだけど・・・これでいいのか不安になって・・・」
ノンナ「皆、カチューシャの崇高な志に賛同してくれたから厳しい訓練にもついてこれているのです。あなたはあなたの道を歩いてください。我々はその後ろをついていきます、カチューシャ」
カチューシャ「・・・うん。ありがとうノンナ」
ニーナ「あわわわ・・・おら、見ちゃいけねぇもんを見ちまっただ~」
~~~
ニーナ「――ってな具合で、私達に厳しくあたってることを気にしてくれてたんだな~ってわかったんだべ。そっからは隊長のためならおっかない戦車を相手にしたって怖くなくなったんだべ」
クラーラ「鬼隊長として頑張りながら皆を気遣ってるカチューシャ様ヤベェ」
エリカ「ちょっとそっち黙ってて」
ノンナ「エリカさん、誰もが皆、カチューシャとまほさんを心配しています。その気持ちをなんとか押し留めているのです」
エリカ「でも・・・」
ノンナ「カチューシャはきっとこの状況でも切り抜ける方法を思いつくはずです。私はカチューシャを信じています」
エリカ「・・・・・・そうね・・・ごめんなさい。私が悪かったわ。私達はここでできることを考えましょう。警察か何かに連絡したほうがいいんじゃない」
クラーラ「消防にも連絡をしましたが、キャンユースピークジャパニーズ?としか返事されませんでした」
エリカ「それあなたがロシア語で電話してるからでしょ!日本語話せるなら日本語で言いなさいよ!」
ノンナ「私が代わって電話したのですが、吹雪の勢いが止むまで出動は難しいと・・・」
エリカ「くっ・・・天候が回復するまで隊長とカチューシャが耐え抜くのを信じるしかないか・・・」
・ ・ ・ ・ ・ ・
まほ「・・・・・・あったかいかれーがたべたい」
カチューシャ「しっかりしなさいマホーシャ!私達はまだ10代よ!これから人生で楽しいことがたっくさんあるっていうのに、こんなとこで力尽きちゃダメよ!」
まほ「・・・・・・いんどでかれーたべてみたかったなぁ・・・」
カチューシャ「っ・・・落ち着きなさい、落ち着くのよカチューシャ・・・マホーシャを助けられるのはカチューシャだけ・・・私がやらなきゃ誰がやるの!プラウダの隊長として、友達として、マホーシャを助けるのよ!」
カチューシャ「私はカチューシャよ!いつだってカチューシャなんだから!」
まほ「・・・・・・またそうなんしたんですか?そうなんです・・・ふふふ・・・おもしろっ」
カチューシャ「気をしっかり持つのよマホーシャ。これを食べなさい。ロシアお菓子のプリャーニキよ。チョコ味。こういう状況では物を食べ続けることで身体の中でエネルギーを作るのが大事なのよ」スッ
まほ「・・・」モグ・・・
カチューシャ「少しでも食べ続けなさい。それからこの帽子を貸してあげる。頭から熱を逃がさないためにかぶるの」ボフ
カチューシャ「それから横になって、膝を抱えて丸くして。回復姿勢で熱を逃がさないように」グイ
まほ「・・・・・・すまん・・・迷惑を・・・」
カチューシャ「無駄に喋って体力を使わないこと。ほら、ありったけ毛布と防寒着かぶせてあげるから」バサァ
カチューシャ「うぶるるる・・・扉も窓もじょっぴんかったのに(鍵を閉めたのに)なまらしばれるっしょ(とても冷え込む)・・・このままじゃ二人とも危険だわ・・・」
カチューシャ「それから他にできることは・・・たしか前にノンナが――」
~~~
ノンナ「カチューシャ、もし雪山で遭難した時は、お互いに服を脱いで裸で身体を温めあうのがいいですよ」
ノンナ「急激に温度を上げると身体がビックリしてしまいます。だから少しずつ体温を上げていくために、人肌で温め合うのがちょうどいいのです」
ノンナ「では、もしもの時のために練習をしておきましょう。まず服を脱ぎます――」
~~~
カチューシャ「――って言ってたっけ・・・あの時は恥ずかしくって逃げちゃったけど、今はそんなことも言ってられないわ」
カチューシャ「マホーシャ、今から服を脱がすけど・・・我慢してね」
<・・・・・・
カチューシャ「!」ピク
<・・・・・・ドド・・・
カチューシャ「・・・外から音が・・・・・・エンジン音が聞こえる!」バッ
<・・・・・・ドドドドドド・・・
カチューシャ「窓の向こうにライトの光が見える!近くを車か何かが走ってるんだわ!」タタタ
カチューシャ「う~ん!扉があかない!外の雪がふさいじゃってる!」グググ
<・・・ドドドドド・・・・・・
カチューシャ「急がないと通り過ぎちゃう!お~い!ここにいるわよ~!」ドンドン
カチューシャ「聞こえやしないわ!私達がここにいることを知らせないと・・・でも扉があかないし・・・」
カチューシャ「・・・やるしかないわ!私一人じゃ無理かもしれないけど・・・他に手はないもの!がんばれカチューシャ!やるならやらねば!」バッ
カチューシャ「うんんん~~~!おもった よりも おもい!」グググ・・・
まほ「・・・・・・カチューシャ?・・・なにをしている?・・・」ボ~
カチューシャ「見てわからない!?かーべーたんの砲弾を・・・装填してんのよ!」グググ・・・
まほ「・・・できるのか?・・・一人で・・・」ボ~
カチューシャ「ニーナやアリーナみたいに力持ちじゃないけど、私だって戦車女子なんだから!っ~~~!だーっ!なんでこんなに重いのよ!よくこんなのをホイホイ装填できるわねあの子達!」
<・・・ドドド・・・
カチューシャ「外の車が行っちゃう前に・・・根性みせるのよカチューシャ!口だけじゃないって証明するの!」グググ
カチューシャ「プラウダの隊長に相応しいってことを証明するのよ!私自身の誇りにかけて・・・やってみせるの!」グググ
カチューシャ「絶対に・・・諦めるな!!!」グイィ!
ガコン!
カチューシャ「はあ・・・はあ・・・これからは装填手の子達に特別手当を与えるわ・・・」
<・・・・・・ドドド・・・
カチューシャ「かーべーたん・・・準備はいいわね。あなたのそのすんごい大砲で壁をぶっこわすわよ・・・」
KV-2<キリキリキリ・・・
カチューシャ「人の英知が生み出した物なら・・・人を救ってみせなさい!」
KV-2<ドッ!
ド ワ !!!
まほ「・・・超スーパーすげえどすばい・・・」ボ~
カチューシャ「これで・・・こっちに気付くはずよ・・・こんな爆音と爆発があったんだから・・・」コテン
まほ「カチューシャ・・・!」ボ~
カチューシャ「はあ・・・はあ・・・こういう環境で・・・身体を動かすと・・・冷たい血液が身体を巡るから良くないの・・・」ボ~
まほ「カチューシャ・・・お前は本当にすごい奴だ・・・本当に・・・心からそう思うよ・・・」
カチューシャ「・・・・・・ありがとうマホーシャ・・・」
<・・・ドドド・・・
<・・・ドドドドドド
<ドドドドドドドドドドド!
カチューシャ「・・・どうやら・・・ただの車じゃなかったみたいね・・・」
BT-42冬将軍カスタム<ドドドドドドド
(∪v∪)「おやおや、こんなところに迷子がいるね」ポロロン♪
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
まほ「・・・・・・ん・・・」
エリカ「隊長!気が付きましたか!」
まほ「・・・ここは・・・プラウダの保健室?」
エリカ「よかった・・・偶然通りがかった継続高校の戦車が見つけてくれて、学校まで運んでくれたんです」
まほ「継続高校?・・・」
エリカ「プラウダから盗んだパーツで完全武装してたおかげで、あの吹雪の中でもへっちゃらだったそうです。非正規の改造仕様だそうで、プラウダの副隊長も『その発想はなかった』と言ってました」
まほ「偶然にも継続の戦車が吹雪の中を走っていたというのか?なぜ?ここはプラウダの学園艦だろう」
エリカ「継続の隊長が言うには『誰にだって秘密の一つや二つはあるものさ』とのことです。後で知ったのですが、またプラウダの食糧庫からごっそりイカれてたそうです」
まほ「・・・嵐に紛れて学園艦から脱走する気だったのか」
エリカ「隊長達をここまで運んでくれた後、そそくさと帰ってしまいました。プラウダの副隊長が礼をしたいと言っても『人は支え合うものだからね』と言って何も施しを受けずに」
まほ「ふっ・・・盗んでおいて偉そうに。カチューシャは?」
ガチャ
カチューシャ「それじゃその手筈でね。いい?私が最初に台詞を言って、せーのって言ったら皆で一斉に鳴らすのよ」
ノンナ「はい。ケーキを切り分けるのはどのタイミングで?」
カチューシャ「それは・・・!・・・マホーシャ!目が覚めたのね!」
まほ「ああ。おかげで助かったよ。ありがとう、カチューシャ」
ノンナ「ご無事で何よりです。保健の先生によるとすぐに良くなるとのことです。もう平気ですか?」
まほ「スパシーバ(ありがとう)、もう平気さ」
カチューシャ「あなたロシア語話せるの!?どうしてナイショにしてたのよ!」
まほ「秘密にしてたわけじゃない。クラーラの会話を聞いていて自然と覚えたのだ」
エリカ「あれで?」
カチューシャ「ぐぬぬ・・・やるわねマホーシャ!」
エリカ「・・・カチューシャ、隊長を救ってくれてありがとう。本当に感謝してるわ」
カチューシャ「当然よ!私はカチューシャなんだからね!」
エリカ「私・・・今までプラウダのこと少し誤解してたかもしれないわ。恐怖政治で締め上げられてブルブル震えてる弱虫のカッペどもかと思ってたけど・・・」
ノンナ「言い過ぎです」
エリカ「でも皆、カチューシャのことを信じてる。ただの独裁じゃない、仲間のことを想う立派な隊長だからこそ、部下も隊長のことを支えようって思えるのよね」
エリカ「カチューシャも・・・隊長に負けないくらい“上に立つ者”の器なのね。正直、プラウダのこと見直したわ。私も見習わなきゃ。ロシア語の勉強もする。便利そうだし」
ノンナ「それは何よりです。まほさん、具合がよくなったらご案内したい所があるのですが、一緒に来ていただけますか?」
まほ「ほう?」
・ ・ ・ ・ ・ ・
まほ「ノンナ、どこへ向かっているんだ?こっちはたしか脱走しようとした生徒を閉じ込めてるとかいう倉庫の方じゃ・・・」
ノンナ「そうです」
まほ「・・・もしかして私達を黒森峰に帰さないように閉じ込めるのでは・・・」
ノンナ「その通り」
まほ「・・・」クルッ ダッ!
エリカ「隊長!逃げないでください!大丈夫ですから!嘘うそ!」
ノンナ「冗談ですよまほさん。あの倉庫は幽閉場所でもなんでもありません」
まほ「フシン・・・」
カチューシャ「フフフ!そうフシンがらないで大丈ビよ!それどころかびっくりして泣いてもしらないからね!さあ、準備はいいかしら~?」
まほ「・・・」ゴクリ・・・ スッ・・・
エリカ「ファイティングポーズとらなくていいですから。そんなに警戒しないでください」
ガチャ
まほ「!」
クラッカー<パンパンパーン!
カチューシャ「せーのっ!」
「「「お誕生日おめでとうごぜーますだー!!!」」」
\ワーワー!ドンドンパフパフー!/
まほ「・・・こ、これは・・・」
カチューシャ「驚いたかしら!こっそり準備をすすめてたドッキリサプライズお誕生日パーティーよ!マホーシャにバレないように皆でコソコソがんばったのよ!・・・って誰がコソコソするもんですか!カチューシャは逃げも隠れもしないわ!」
エリカ「えっ・・・サプライズパーティーって・・・誕生日パーティーのことだったの・・・?」
\テーテーテーテーテーテテテーテー♪テーッテテーッテ テテテテー♪/ ガラガラガラー
ノンナ「歌のカチューシャに合わせてケーキのご入場です」パチパチパチ
カチューシャ「どぅよこのおっきなケーキ!飴細工でカチューシャを肩車してるマホーシャも作ったのよ!すごいでしょ!食べるのがもったいないわ!食べちゃダメ!」
ノンナ「おめでとうございます、まほさん」パチパチパチ
ニーナ&アリーナ&プラウダ生徒『おめでとーだべー』パチパチパチ
クラーラ「ヤダモー」パチパチ
カチューシャ「お誕生日おめでとう!マホーシャ!」パチパチ
まほ「っ・・・・・・みんな・・・っ・・・」
カチューシャ(泣くわよ。すぐ泣くわよ。絶対泣くわよ。ほら、泣くわよ)ソワソワ
ノンナ(あの西住まほさんに落涙させられるなんて、極秘で計画を進めたかいがありましたね)ソワソワ
まほ「・・・・・・みんな・・・」
まほ「今日・・・・・・誕生日じゃないんだが・・・・・・」
カチューシャ「!」
ノンナ「!」
ニーナ&アリーナ&プラウダ生徒『!?』
エリカ「隊長の誕生日は7月よ!」
クラーラ「キムモー(※勝手にやってました)」
Ende
~おまけ~
小梅「まほさんとエリカさんがプラウダから戻って一週間・・・」
小梅「二人ともなんだか優しくなった気がします。特にエリカさんは今までのツンツンした態度が、まるで氷が溶けたみたいに丸くなりました」
小梅「まほさんはもとより、あんなに周りにも自分にも厳しかったエリカさんまで変わって、後輩からの人気も集まってます。皆に慕われてチームの絆もより固くなってる気がするんですけど・・・でも・・・」
まほ「モンガー」
エリカ「テケレッツノパー!」
まほ「シャバドゥビタッチ タトバタトバ ポルポルピー」
エリカ「アッタマテッカテーカ!オーノホ ティムサコ タラーキー!チーキュノニッポンポン!」
まほ「クププ・・・」
小梅「ロシア語で会話するのやめてほしいんです!」ワ~ン!
小梅「っていうかたぶんロシア語じゃないですし!まほさんに続いてエリカさんまでポンコツみたいに!」ワ~ン!
みほ「あはは・・・それで喫茶店に呼び出したんですね。黒森峰も大変ですね」
小梅「これじゃクールでカッコイイ黒森峰のイメージがズタボロなんです!みほさんからもなんとか言ってあげてください!」ワ~ン!
みほ「きっと大丈夫ですよ。私からもしっかりしてねって言っておくから」
小梅「わーん!ありがとうございますみほさーん!」ダキッ
小梅「ぐへへ」スリスリ
みほ「小梅さん?」
~おわり~