智将古市   作:蠅の王

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智将誕生

「拙者、男鹿の隣で歩く古市概念大好き侍。義によって推参いたす」

 

 そう名乗った不審者の幽霊に連れ去られ無理やり修行と幾つかの言語の勉強をさせられた古市貴之。

 

 満足して成仏したのか消えて、中学三年の頃に開放された。悪霊憑きとかいう何時か必要になるという妙な技も伝授して。

 

「………ただいま」

「貴之!? あんた、今まで何処に行ってたの!?」

「心配したんだぞ! 突然『自分探しに行ってきます』なんて書き置き残して!」

 

 覚えがない。恐らくあの幽霊の仕業だろう。

 こってり叱られ、妹に泣きつかれた。

 家族の温もりに涙した。

 

 親友のはずの男鹿はおう、と呟くだけだった。姉の美咲は心配したよたかち〜んと抱き締めて撫でてくれた。いい匂いがした。美人って、いい匂いがするよね。

 

「どーしたたかちん、なんかキモいこと考えてる?」

 

 すいませんでした。

 

 

 

 

 

「お〜………見事なめり込み」

「見事なめり込み、じゃねえよ。どうすんだこれ………高校に知られたら俺合格取り消しになるかもしんねえんだけど」

 

 何時ものように男鹿に絡む不良が現れた。しかもたまにある大量発生………まあ要するに仲間を連れてのお礼参りだ。

 

 そこに巻き込まれた古市は不審者悪霊に鍛えられた強さそのまま不良達をめり込ませた。普段なら適当に逃げ回って済ませるのだが、戦えるとなるとつい………。

 

「まあ、悪い気分じゃねえけどさ…………」

 

 あの不審者悪霊、隣で歩く古市概念がどうこう言っていたがそれは古市としても望んでいたことだ。というか別に、今までだって後ろに隠れていたが後ろについて歩いていたつもりはない。自分なりに男鹿の隣を歩いていたつもりだが…………。

 

「ど、どうなってんだ! こいつ、アバレオーガの腰巾着だろ!?」

「金魚のフンの雑魚じゃ………」

「ただのモブかと」

「おれは背景だと思ってた……」

「男鹿の名前使って女を無理やり囲ってるって聞いたぜ……」

「おい最後の! 巫山戯んなよ! 此奴使って女にもてるわけねーだろ! 名前聞いた瞬間逃げ出すわ! デートまでこぎつけた女子も此奴のせいで逃げられた挙げ句連絡取れなくなったんだぞ!」

 

 と、涙目になりながら叫ぶ古市。そう、男鹿の悪名のせいで、関わりがあるだけで女子に怖がられる。他校の女の子とせっかく仲良くなったのに……。

 

 その子に噂を広められ、その中学の女の子は全員古市を避けるようになった……。

 

「いっそ烈怒帝瑠のお姉様方に………いや、弟扱いしかされてねえなあ」

 

 男鹿経由で知り合った美咲の作ったレディースチームの烈怒帝瑠のお姉さん達を思い出す古市。結構可愛がられていた……。まあ、完全に子供扱いだったが……。

 糸井雫が特にその傾向が強かった。なんか、えっちな雰囲気だったけど実際告白した所で大きくなって〜と頭を撫でられるだけだろう。

 

「おらぁ! なに気持ち悪い顔でニヤケてやが──ぶふぅ!!」

 

 それはそれでありかも、と思っているとバットを持った不良が迫ってきたがバットを蹴りで圧し折り顔面に靴裏をめり込ませる。吹っ飛んだ不良はそのまま屏にめり込んだ。

 

「はぁ……男鹿」

「あん?」

「背中は任せたぞ」

「………はっ。てめぇこそ、背中預けてやるんだ。何時の間にか負けてたらぶっ飛ばすぞ」

 

 不良は現代アートのようにめり込んだ。因みに古市は男鹿と違ってめり込みに美学を見出してないのでめり込んだのは咄嗟に動いた最初の数人だけだ。

 

「めり込みが甘いぞ」

「街に迷惑だからあんまめり込ませんなよ…………」

 

 

 

 

 そして、合格取り消しの連絡が届いた。まあ、そりゃそうだ。当然他の高校も受け入れるはずがなく……しょっちゅう喧嘩が起きてる不良高校である石矢魔高校にしか入学できなかった………。

 

「畜生これも全部男鹿のせいだ!」

「お前だって手ぇ出しただろ」

「あの状況じゃ手ぇ出さなくても結果は変わんねえよ!」

 

 せっかく可愛い子が多い共学を選んだのに………いや、石矢魔も一応は共学だけど………。

 

「不良しかいねえ、喧嘩ばかりの高校に……!」

「良いじゃねえか、折角強くなったんだろ。喧嘩売ってきた奴等全員ぶっ殺せば済む話だ」

「すまねえよ! 大学のキャンパスライフすら送れなくなるわ!」

 

 というか石矢魔高校出身とか大学行けるのか? 絶対前例ないだろ。

 

「俺は絶対、もう喧嘩はしないからなー!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……あんな事言ってますよ?」

「わはは。まあ、それでもダチから離れないなら、どうせ喧嘩に巻き込まれるだろ。悪魔にもな」

 

 その様子を見つめる2つの影。一つは黒スーツを来た優男。一つは………なんか変なぬいぐるみ。

 

「ていうかなんです、あの巫山戯た名前」

「昔、契約した未来を知る下級悪魔の自称だ」

「下級悪魔が未来を?」

「ちょっと特別なやつだったからな。未来の知識を受け取る代わりに、あの悪魔の願いを叶える契約をしたんだ。俺にとっても得があった」

 

 ぬいぐるみっぽいのはニヤリと笑う。

 

「あのまま死んだら消える予定だったが、未来にあんな逸材が生まれるってんなら話は別だ。何千年も待ったかいがあるってもんだ………てか、彼奴俺より凄くね?」

「はあ、それは何よりです」

「多少壊しても、治すなら何をしてもいい。器にするから、殺すなよ」

「はい。貴方様が復活なされた日には、今度こそ七大罪を完全に手中に収め、真なる理想郷が生まれることでしょう」

 

 背中を向けるぬいぐるみに、男は恭しく跪く。

 

「お前達も、一応は手元に置き続けてるらしいじゃねえか………俺を裏切り、名と威光だけ掠め取り金を集めることに躍起になってる屑どもの分際で」

「あはは。まあ実際サタンとか目覚めさせられない奴とかも居ますけどね〜」

「精々うまく使え。いずれ、全て俺のものになる力なんだからな」

「ええ、我等が王よ」

 

 パタリとぬいぐるみが倒れた。先程まで存在した異質な気配は消えている。

 

「さて、我等が王の器よ………蠅の王の父となるものよ、精々頑張ってくださいね」

 

 


 

 

男鹿の隣で歩く古市概念大好き侍

過去に存在した未来を知る下級悪魔とその悪魔の名を借りていた何者かを指す言葉。古市を鍛えた。

 

 

古市貴之

超強くなったが無敵ではない。強くなった雰囲気のおかげか、イケメン度は増してる。悪魔ホイホイ。

基本的には喧嘩を避ける戦闘力未知数二枚目キャラ。なんな夏目っぽいな

 

 

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