智将古市 作:蠅の王
その後は、古市が魔力を探知してアランドロンで男鹿と共に乗り込み、男鹿がベル坊の魔力を引き出して「
とんでもない魔力だった。ビルの上階が消し飛んでいた。男鹿は喧嘩はしないと誓ったが、ダチを守らないやつは誓いを守らない奴よりクズだとベル坊に言い聞かせ、それがベル坊の関心をひいたのかリンクが強まり
「やっちまった………」
「やっちまったか……」
「喧嘩しねーとかさ、マジ無理じゃね」
「まあ、向こうから来るしな……」
今回はそれに加え、ヒルダにはめられたのだが。いや、アランドロンもか。アランドロンが悪魔にも人間界の薬が効くと言われ、だからヒルダが捕まったのかと思ったが実際には捕まった振り。
「今思い出してもムカつくぜ、あの女…」
「アー、ウ!」
と、ベル坊が男鹿の服を引っ張りながらたかいたかいしている親子を指差す。やってほしいようだ。
「たかいたかーい!」
「ヒョー!」
ベル坊は一気に13メートルは飛び、男鹿が慌てて追いかけていった。
「……………ゲーセンよろ」
ほのかのためにぬいぐるみをUFOキャッチャーでゲットし、射撃ゲームを行う。2位だった。
1位は「HIME001」。名前からして女だろうか?
古市は「TAKATIN」という美咲につけられたあだ名にした。
「おおっと、待った待った」
「募金に協力してくれるかな〜」
北関東制圧を終えたレディースチーム烈怒帝瑠。一年にして、幹部の谷村千秋はゲーマーだ。ハンドルネームは「HIME001」。
今日は地元のゲーセンで久し振りに遊ぶつもりだ。
「おっと……」
「あ、すいません」
「いえいえ。あ、此処結構ガラの悪い奴多いですよ? よかったら俺が守りましょーか?」
と、入口で銀髪の男にナンパされた。
「必要ない」
弱くみられているように感じ、男を睨みながら横を通り抜ける。そこまでしつこいタイプではなかったのかそのまま追ってくることなく千秋は階段を降りた。
「………っ!」
「う、ぐ………」「い、いてぇ」「格ゲーかよ……」
ボコボコにされた不良達が通行の邪魔にならないよう部屋の端に積まれていた。後一部は天井にめり込んでいる。
「…………………」
この数を、一人で? さっきの銀髪が?
何者だろう? 同い年ぐらいに見えたから、多分高校生………石矢魔? でも強いなら有名になっているはず。
男鹿が引きこもった。喧嘩をしないためだろう。古市は男鹿の取り巻きと認識されているので男鹿が来ない間狙われる可能性があるので学校をサボる。
そして1週間後。男鹿が戻ってきた。失敗したのか、或いは成功したがまた戻ったのか腕の紋様は相変わらず広がったまま。
「よし男鹿、女王見に行こうぜ!」
「…………は?」
「いや「は?」じゃねえよ! 女王だ女王! みろ、石矢魔にこんなに女子がいるんだぞ!?」
「そりゃうち共学だし………」
「そんな設定誰も知らねーよ! 何なら男子校と思われてたよ絶対!? こんな不良の巣窟で寒い灰色の高校生活を送るのも今日で最後、恋しちゃって良いかい!?」
「気持ち悪ーな。てかお前この前デートした女はどうなったんだよ?」
「………………」
男鹿の言葉に古市が固まる。男鹿が言っているのはベル坊と出会った日のことだろう。確かに古市はデートがあると言っていた。
「…………デートの約束すっぽかしてフラれたんだよ!」
「……ぶふ!」
「ダブ」
親子仲良く吹き出す男鹿とベル坊。
「笑ってんじゃねえぞ男鹿てめぇ! 良いから行くぞ! 可愛い子に出会うんだ!」
「俺行く必要ねえだろ!? てか、そいつ等も不良だろうが!」
「いいや、少なくとも邦枝ってのは大和撫子だってよ!」
「いだだだ髪引っ張んな!」
「なんでもうちのアホな男子の魔の手から女子生徒を守っているとか! それでついたあだ名が女王!」
「それお前もぶっ飛ばされるんじゃ…………」
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古市が邦枝を知ったように、邦枝達もまた男鹿の存在について知っていた。やることが派手だからだ。
特に東邦神姫を2人落としたのが大きい。今や石矢魔の勢力が乱れ男達が調子づいている。
このままでは女子に被害が出るかもしれない。なので一度締めなくてはと邦枝葵は2年の大森寧々と一年の谷村千秋を連れ男鹿を探す………実際明らかにこちらを舐めてる視線を感じる。
スライディングして、千秋のパンツを覗く馬鹿まで現れる始末。因みに何故千秋だけかと言うと寧々はロングスカートで邦枝はズボンだからだ。
キレた千秋は廊下に穴を開けるレベルの改造エアガンでぶっ殺そうとしたが邦枝に止められた。
その後グッドナイト下川という2年の幹部が絡んで来て寧々が相手しようとするが葵が止めようとして、聞かなかったので窓ガラスを木刀で切断して止めてグッドナイト下川の相手しようとしたがグッドナイトキモ川は逃げていった。
「──たく、売られた喧嘩全部買ったらきりがないでしょ!?」
「はい」
「私達の敵はたった一人よ!」
「はい」
「誰だか言ってみなさい!」
「はい、男鹿辰巳です」
「そうよ!」
校内破損13件、病院送り50名以上。このままでは石矢魔は崩壊すると言われるほどの暴れっぷり。別名暴れオーガ。
「そんな極悪非道、悪の限りを尽くす一年生に鉄槌を………千秋?」
決意を固めている邦枝の服を千秋が引っ張る。
「来た」
「
廊下の奥から2人の男子生徒が走ってくる。
「向こうから!?」
これはあれか? 神崎、姫川と来て次は自分を取りに来たということか? 舐めてくれる!
「男鹿辰巳、覚悟なさい! あんたの悪行もここまでよ!」
突然だが時間を一週間ほど前に戻す。邦枝は変装し弟の光太の世話をしに公園へ向かった時の事だ。噂話が生きがいの、真実の確認なんてしないババアに光太を実の子だと勘違いされ無責任に生むなという陰口に文句を言おうとした時、赤ん坊が飛んできた。
その赤ん坊を必死にキャッチした男は噂ババア達に笑みを向けたが凶悪すぎて逃げられ、笑っていた邦枝に近付くと付き合ってくださいと言ってきた。
まあ、公園デビューに関してだったが………。
その後失礼な警官をひっぱたこうとした邦枝より先に警官を蹴ったりゴミ箱に突っ込んだりした男が居た。名前は聞いてないが………今わかった。なぜなら目の前にいるから。
「…………あんたが男鹿辰巳?」
「? そーだけど………」
向こうは、気づいてないようだけど、とチラリと男鹿を確認する。赤ん坊がめっちゃみてくる。まさか、気付かれた!?
と思ったらはぁ、と興味をなくした。気の所為?
「!!」
今度はカッと鋭い視線を向けてくる。どっちなの!?
「どうしたベル坊?」
「アブ、ウイ、ダゥダー!」
「ふむふむ……男鹿、強そうだけどなんか違う。でも興味あるってよ」
「ああ?」
銀髪の男子が赤ん坊の思いを男鹿辰巳に翻訳した。翻訳? え、あの人赤ちゃんの言ってること解かるの?
「あ………」
「ん? ああ、ゲーセンの! へー、同じ高校だったんですね! あ、俺古市貴之って言います! 良かったらこの後一緒にゲーセン行きませんか?」
と、千秋が思わずというように声を漏らすと銀髪の男子……古市が千秋に絡みだす。ただしある程度距離を開けて………他の馬鹿な男子共とは違うらしく、千秋も警戒しながらも手を出さない。
が、妹分として千秋を可愛がっている寧々は別だったようだ。
「気安く近付くんじゃないよ!」
「どわあ!?」
寧々が振るった鎖を悲鳴を上げながら回避する古市。一見情けなく見えるが、全部……何なら死角を狙った攻撃すら回避している。
「あっぶねー………!」
ふぅー、と距離を取り息を整える古市。整えているように見えて、全然疲れてないけど。周りの男達は気づいてないのかゲラゲラ笑っている。
「ぶはははは! 古市、お前だっせー!」
「ブウィー!」
男鹿と赤ん坊も笑っている。こっちはたんに楽しんでいるだけのようだが。
「仲間がやられそうになってるのに、なにを笑ってるの?」
「あん?」
「赤ん坊を降ろしなさい。それじゃあ本気で戦えないでしょ?」
木刀を一振すると、窓が斬れた。
「オーッ!」
「おお、本当に興味持ってんのな!」
その強さにベル坊が目をキラキラさせ、その様子を見た男鹿が笑う。
「いいぜ。来いよ、このまま相手してやる」
「…………やっぱりクズ野郎ね。赤ん坊を盾にする気? それとも」
縮地……一瞬で男鹿との距離を詰める。
「私のこと、ナメてんのかしら」
放たれる突きはコンクリートすら穿ちそうだ。木刀なのに…………。まあ男鹿は普通に避けてるのだが。
「やるわね」
「でもここまでです」
「出るわ」
と、邦枝が構えを取る。
「心月流抜刀術、弐式【百華乱れ桜】!!」
うねるように振るわれた木刀は、そのまま壁を破壊する。無傷の男鹿はこえー、とヒルダを思い出しながら呟いていた。
「嘘でしょ………」
「なっ」
これで決まると思っていた相手が無傷なのをみて驚愕する烈怒帝瑠の面々。
「アー!」
「気に入ったか? よーしよしよし、やっぱ女が良かったんだな〜」
ベル坊が興奮し、男鹿も押し付けられる可能性が出たと邦枝に近づいていく。技を避けられたことに動揺していた邦枝の反応が遅れ、肩を掴まれる。
力は男鹿が圧倒的に上回っている。振りほどけ無いだろう。
「姐さん!!」
やられる、と目を瞑る邦枝。だが、攻撃は来ない。でもある意味衝撃は来た………
「此奴の母親になってください」
「…………は?」
言葉の意味を理解し真っ赤になる邦枝。古市と寧々と千秋も啞然と固まる。
「………なっ………なな! 何言ってんの!? 馬っ鹿じゃない!? 母親になれとか意味わかんないし、ていうか勝負中にふざけんじゃないわよ! アホらし! あー、今日はもうこの辺にしといてやるわ! バーカ!」
めちゃくちゃわかりやすく動揺していらっしゃる。
「また会いましょ!」
「あ、おい!」
彼女の名前は邦枝葵。
「下の名前で呼ぶなー!」
「姐さん! ちょっ、待ってくださいよ葵姐さーん!!」
邦枝はその場から走り去り、寧々達も慌てて後を追った。