許嫁幼馴染が弟に純愛寝取られたので、俺は変わることにした。   作:wakaba1890

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白木 春

 

 

土日明けの月曜日。掲示板には中間試験の結果が貼られていた。

 

 

一位 海道 清澄

 

二位 海道 芝春

 

三位 白木 春

 

四位 久留米 環奈

 

五位 虎野 京奈

 

六位 青鷺 奈緒子

 

七位 天堂 飛鳥

.

.

.

 

掲示板には成績上位50位までの順位が掲載されていた。

 

「.....」

 

朝、教室へ向かう途中にちらっと見ても、特に俗物らしい何かを感じる事はなかった。

 

「あっ...あのっ。海道くんっ」

 

掲示板を通り過ぎると、透き通るような綺麗な声がやけに耳に浸透した。

 

「...何だ?」

 

彼は顔だけ声の方へ向け、流し目でその人を捉えると、そこには暗い青めのジャージを着た、少し気恥ずかしそうに頬を赤らめている、白髪で赫い光を放つ瞳を持ったボーイッシュな女性がいた。

 

彼女は、身近に同じような空気感を持つ、おとぎ話のプリンセスのようなソフィアとはまた違った、本能的に人を惑わす何かが香っていた。

 

そして、俺は何故かその人から目を離せず、紛れもなく見惚れてしまっていた。

 

「...ぁ」

 

「?...海道くん。すごいね、前期では名前載らなかったのに、いきなり学年一位だなんて...」

 

いきなり無言になった彼に、その人は顔をコテンっとしながらも、初対面にしては割と近くに駆け寄り話を続けた。

 

「それはどうも」

 

今一度、掲示板に貼られている順位を見て、そういえば初めて弟に勝った事を認識したが、特に何も思わず、ついそっけない相槌になってしまった。

 

「あっ!...あの、嫌な意味じゃないよっ...その、相当頑張ったんだなぁって意味だよっ」

 

先の言ったことを反芻したのか嫌味に聞こえてしまったと思い、手を振りながらあわあわと弁明していた。

 

「ふっ....実際、前期では下から数えた方が早かったしな。」

 

その様子が可愛らしくて笑みが溢れ、もう少しからかってやろうとしたが、フォローするところはフォローした。

 

「うぅ...ごめんなさい...」

 

そして、彼女はこちらを知っているらしかったが自分は彼女のことを知らず、そういえばと名前を尋ねた。

 

「てか...名前は?」

 

「え...そっか、あんまり関わりないもんね...僕は白木 春。よろしくね海道くん。」ニコッ

ショックさを隠しきれていない中、彼女はにこやかに答えながら友好の握手を差し出した。

 

「あぁ、よろしく白木。」

 

白木の握手に応じた。

 

総じて白木への印象としては、妙に無防備というか、無邪気な感じがかなり好印象だった。

 

などと考えていると、彼女はもじもじし始めていた。

 

 

「...ぁ//..もう、良いかな?」

 

「あ、あぁ...悪い。」

 

 彼女を思うあまり、手を離すことを忘れており、彼女は気恥ずかしそうに彼を見つめていた。

 

 

「...あの、ところでさ...今日、お昼空いてる?」

 

取り直した彼女は、恥ずかしそうに赫く綺麗な目を時より逸らしながら、お昼の約束を取り付けた。

 

「あぁ、空いてる。」

 

正直いって、かなりど真ん中タイプな人に誘われ、気持ち前のめりに了承した。

 

それに、いつもの屋上では女子会が開かれているだろうし、ちょうど良かった面もあった。

 

「ほんと?やったぁ..へへっ。」

 

 思ったよりすんなり了承され、白木は隠さず素直に喜んでいた。

 

(....可愛いな。)

 

今までにない、心惹かれる雰囲気の白木さんに新鮮で純粋なかわいさを感じた。

 

 

そうして、程なくしてチャイムが鳴り教室に向かうと、どうやら彼女は一緒のクラスだった。

 

灯台下暗しとはよくいったもので、案外近くにいい人はいるのだと実感した。

 

また、俺の席の丁度、対角線上の奥のところが彼女の席で、それを確認していると彼女と目が合い、ニコニコした表情で手を振ってきた。

 

「...!」ニコッ

 

「....。」フイッ

 

(....うん、可愛いな。)

 

なんかそれが、やけに気恥ずかしくて顔を逸らしてしまいながらも、心の中で想いを呟いた。

 

 

 

 

昼休みを迎え、女子会が開かれている屋上ではなく、少し離れた特別棟の屋上で昼食をとっていた。

 

すると、おもむろに白木は真剣な面持ちで、改まった様子でこちらに向き合ってきた。

 

 

「ーー・・あのさ、海道くんに聞きたいことがあるんだけど...」

 

「...なんだ?」

 

 

「...あのっ!どうやったら、そんな...カッコよくなれるの!?」

 

「....?」

 

しばらくの間、疑問符が消えぬ中思考が逡巡しある仮説を導かれた結果、頭を抑えながら検証することにした。

 

 

「...あー...もしかして...白木って男なのか?」

 

「え...ぁ..うん。そう..なるね。」

 

こういった流れは慣れているようだったが、後ろめたさというか、どこか複雑そうな表情が垣間見られた。

 

(Oh...)

 

目の前の本人に確かめたとはいえ、俺はその事実が信じられなかった。

 

白木は一見、白髪のボーイッシュな女にしか見えず、ぱっちりした赫く綺麗な瞳、女子が羨むほどの透明度の高い白い肌、男とわかっていても艶かしさを感じてしまう柔そうな唇、そして、頭に来るほど甘く甘美な匂い。

 

正直、どこをとっても、ド真ん中タイプの女性?だった。

 

 

「...そ、そうだったのか。信じられん。」

 

驚きが隠せず、やはり現実を受け入れられなかった。

 

「ははっ..そうだよね。自分でも...そう思うよ..」

彼女改め、彼は半ば自虐気味に顧みていた。

 

そういった彼を見て、さりげなく話の流れを修正するにあたった。

 

「あーとりあえず....質問に戻るが、そのままでいいだろ。...海外ならともかく、日本だったら白木みたいな可愛い系の方が異性にモテるだろ。」

 

最近の傾向から、アスリートみたいなかっこよさより、アイドル系の方がウケがいいらしい、実際、芝春みたいな可愛い系の方が大衆ウケが良いように思えた。

 

「うぅ..違うんだよぉ...僕は強くて、かっこいい男になりたいんだ..」

 

どうやらモテるどうこうの話ではなく、心の底からの彼の悲痛な叫びが聞こえた。

 

「お、おぉ...そうか...」

 

本人は結構悩んでいるのだろうが、絵画から切り取ったような、スッと引かれた綺麗な横顔から、やはり直すところとかない様に見えた。

 

「っ?!」

 

すると、白木はいきなりジャージの上着を脱ぎ始め、半袖から露わになる色白で健康的な肌に意識が吸い込まれてしまう。

 

「...僕、見ての通りあんまり筋肉もつかないし...」

 

「っ...そうか」フイッ

 

女性のうなじのように、微妙に見てはいけないものを見てしまった気がして、反射的に目を逸らしてしまった。

 

「むっ..ほら、ちゃんとみて」

 

 それが、白木の変なスイッチを押させてしまい、彼のか細くか弱い二の腕に海道の手を添えさせようとした。

「おいっ...っ..」

 

むにゅっ

 

咄嗟に手を振り解いた先は、白木の胸元で女性ほどの質量はないが、確かな柔らかさと温もりを持ったソレだった。

 

「んっ...なっ//...ちょ...海道...くん」

 

顔を紅潮させた白木は彼の腕を弱々しく掴むが、彼の名を呼ぶだけで抗おうとはしなかった。

 

「っ!?」

 

 その、うるうるとしている赫く輝く、全てを飲み込むような瞳に魅られてしまう。

 

 そして、白木の柔らかそうな血色の良い唇が目に入ってしまい、吸い込まれるよう引力に引き寄せられ、白木の顔が近くなる。

 

「...白木...」

 

「...あっ//...の、海道..く..ん」

 

すると、寸前のところで白木の僅かに震えた手が彼の服をちょこんと摘み、彼を正気に戻してくれた。

 

「っ!...すまん。なんでもない。」

 

 我に返った彼は、顔を逸らしながら口を押さえ白木から離れた。

 

「..っ...あ。」

 

白木は摘んでいた手は空に切り、居どころをなくし心に重石を残した。

 

「「.....。」」

 

案の上、しばらく気まずい沈黙が流れた。

 

 

「ーー・・こ、これでわかった、でしょ?...その、僕ちゃんと男の子だから...」

 

白木は彼に触られてしまった胸を確かめながら、沈黙を破った。

 

「..あ、あぁ。わかった。」

 

女の胸など触ったことはなかったが、それでも白木の柔く、異様に魅惑的なそれは女のものではなかった。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

いつものようにタイミングよくチャイムが鳴ってくれた。

 

「あっ..僕、先行ってるね...っと、海道くん。その...ごめんね。」

 

白木は足早に教室へ帰ろうとしたが、先のアクシデントに対してか何かを謝っていた。

 

「あ、あぁ...」

 

その時、垣間見えた表情はどこか寂しそうで、彼をさらに困らせていた。

 

バタンっ

 

非情に屋上の扉が閉まり、いつもの様に彼だけが一人屋上に残されてしまった。

 

「....」

 

先まで、白木のあれを触っていた右手を手鏡し、折角できた友達への劣情に困惑しながら、その手で目元を押さえた。

 

(何考えてんだよ...俺...)

 

 

ビューーーー

 

 

「..ふぅ...」

 

いつだって、やはり彼を無用意に癒してくれるのは、昼下がりの陽に暖められた気分の良い風だけだった。

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

終業のチャイムが鳴り、 教室内のクラスメイトたちは部活やバイト、委員会など各々の場所へ向かっていった。

 

「....。」フリフリっ

 

今日最後の授業に少しだけ出た彼は、読んでいた本にくたびれた栞を挟み、カバンに入れていると久留米と目が合うが、こちらに手を振り何か用事があるのか、どこかへ行ってしまった。

 

 

「ーー・・おうっ上等だ。今日は負けねぇぞッ!!」

 

 そして、篠蔵も早々に、他の男子生徒との放課後の用へと向かっていった。

 

 

やはり昼のこともあってか、未だわだかまっている嫌な寂しさが心に沈んでいる中、それを緩和させてくれそうな人が、離れていってしまったのが、さらにそれを深く蝕んでいた。

 

(前みたいに、端から一人だったらこんな情なんかに振り回されねぇのに...)

 

誰に届くでもなく、自覚してしまった寂しさを呟いた。

 

 

そうしていると、チラチラとこちらを見ながら、何かを伺っていたかのような白木と目が合った。

 

「...ぁ//..っ」フイッ

 

 昼の事案のせいで、せっかく出来た数少ない男友達と気まずくなるというのは、わずかでも心を空くのに十分だった。

 

「...ふぅ」

 

(とりあえず帰るか...)

 

これ以上ここにいても仕方ないので、大した量じゃない荷物をまとめ教室を出ようとしたが、頭に響く甘い声が彼を呼び止める。

 

 

「ーー・・あ..のっ、海道くん。」

 

「...なんだ?」

 

 そんな綺麗な声で俺の名を呼ばないでくれ、本当なぜか、今日初めて関わったばかりなのに、その声が忘れられない。

 

「...よかったら、その...一緒に..帰ろ?」

 

「わかった。」

 

 無意識にも、彼は心の空く思いを埋めてくれる白木からの誘いに、少し食い気味に了承した。

 

「ほんと?へへ...じゃあ行こ。」

 

いい返事をもらえた白木は、隠す事なく喜んでいた。

 

「あぁ。」

 

 顔色は殆ど変えずとも、白木から変に避けられずに済んだため、彼もまた内心嬉しかった。

 

 

 

 

 他愛もない話をしながら、一緒に歩いていると白木の白くしなやかな手が、一部黒く着色しているのに気がついた。

 

「ーー・・白木は部活かやってるのか?」

 

「あ、うん。美術部だよ!」

 

 思った通り、彼はよく絵を書くようだった。

 

「手、ついてるぞ。」

 

「あっ本当だ、へへ、なんか見落としちゃうんだよね〜」ニコッ

 

 彼が指を指して指摘すると、少し恥ずかしそうに手を押さえていた

 

(...可愛いかよ。)

 

 あまりに素直な反応に、思わず心の中でそう呟いた。

 

そして、そのままっていうのも何だったので、ポケットからウェットティッシュを取り出し、白木の柔く、やはり華奢で綺麗な手を取った。

 

「..貸してみろ。」

 

「えっ..ぁ」

 

 白木は少し困惑していたものの、抵抗するわけでもなくされるがままだった。

 

「あ、の..もう、大丈夫だから..」

 

「もう少し...よし綺麗になった。」

 

「?..どうした」

 

「..っむぅ//」

 

拭いても、若干着色が残っていたため、彼は続けて綺麗にして手を離すと、白木は拭かれていた手を掴みながら、耳を真っ赤にさせ顔を覆っていた。

 

「...何でもないです。」

 

「?....あ、悪い。」

 

「いえ...大丈夫です//」

 

同性同士とはいえ、無頓着過ぎたのを自覚し不躾だったことを謝ったが、白木さんはしばらくの間、敬語で話すようになってしまった。

 

 その後、何とか気を取り直し始めたところ、ファストフード店が目に入った。

「ーー・・あっ、マクナルだ。」

 

 学校終わりの帰宅途中といった、男子高校生からしたら最もお腹がなる時間帯で、健康に悪い良い匂いを撒き散らしているファストフード店をスルーする事はなかった。

 

「...入るか。」

 

「うんっ!」

 

 そうして、定番のメニューを選択し品を受け取って、仕切りの高いテーブル席に着いた。

 

「ーー・・うぅーんっ...美味しいね!」

 

「あぁ。そうだな。」

 

 白木はリスみたいにお口いっぱいにバーガーを頬張り、美味しそうに味わっていた。

 

 

(...まじで変わらないな。)

 

実は、この世界に来てマクナルなる物を食べたのは初めてであり、前の世界と味は遜色なく美味いものだった。

 

「へへへ...」

 

「どうした?楽しそうだな。」

 

早々に、バーガーを平らげ、ポテトを食べている白木はどこか楽しげだった。

 

「うん。実はこういうの初めてなんだ。友達と放課後マクナルに行くとか...」

 

「...美術部の奴らとかと行かないのか?」

 

 部活に入っていればそういう事もあるだろうという予想でそう聞いた。

 

「うーん。仲は悪くはないけど、女の子ばっかりだからこういうのはないかな...」

 

「男友達とかもか?」

 

彼は海道くんとは違い、周囲からの人気も厚いように見えたため、そのようには見えなかった。

 

「うん。こういうのは海道くんが初めて」パァァ

 

「ぐっ...そ、そうか。」

 

 天使の羽が満開に展開したかのような笑顔で、ややこしいことを言われ飲み物を吹き出しそうになった。

 

「俺も初めてだ。」

 

前の世界でも女友達はおろか、男友達も一人もいなかったので、もちろん友達と放課後遊ぶという経験は初めてだった。

 

「ふふっ..一緒だね。」ニコッ

 

「あぁ。そうだな。」 

 

 白木さんの全てを包み込む無垢な笑顔は、面倒な彼すらも寵愛していた。

 

 

(....しら可愛い。)

 

 

 

 

 








白木 春 168cm 58kg
男の娘。白髪 赤い目、アルビノ。いつもジャージ。
美術部、華奢、めっちゃいい匂いする。

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