許嫁幼馴染が弟に純愛寝取られたので、俺は変わることにした。   作:wakaba1890

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二度目の修学旅行。〜1日目。part 2

 

 そうして、初日は清水寺と周辺のお寺や錦市場を回り、初日の割にはかなり京都を満喫できた。

 

「ーー・・うぅーん...結構回れましたねー」

 

「えぇ、市場で沢山おみあげ買っちゃたわ。」

 

「ふふっ..」

 

「....。」

 

青鷺もソフィアも満足のいく一日だったようで、その様子を久留米と彼が微笑ましく眺めていた。

 

「..久留米は楽しかったか?」

 

 清水から彼女が楽しめているか気にかけていた彼は、それとなく聞いた。

 

「っ!..えぇ、また違った京都旅行でした。」

 

 彼女は彼からの不器用な気遣いを、どこか嬉しさを滲ませながら笑顔でそう答えた。

 

「..そうか。」

 

「...ぁ。」

 

 図らずとも彼女らだけの空気に触れた白木は、胸の辺りに手持ち無沙汰な手を当てていた。

 

「...白木?」

 

「ぁ..っ!ごめん。」

 

 そんな白木の機微を感じたのか、彼は後ろで立ち止まっている白木に声をかけると、我に帰ったように白木はいつものテンションで彼に駆け寄った。

 

「体調悪いのか?」

 

「え、大丈夫ですか?」

 

 彼に呼応して、久留米も心配そうに白木に駆け寄った。

 

「ううん、大丈夫!」

 

「...何かあったら何でも言ってくれ。」

 

 体調が悪くないというのは本当そうだったが、他に何か隠しているような雰囲気があった。 しかし、今は深くは聞かずに頭の片隅に留めておいた。

 

「っ..うん。わかった。」

 

「?」

 

白木は口元を手の甲で抑えながらそう言いったため、彼からは表情がよく見えなかったた。

 

(...優しいなぁ..もぅ)

 

一方で、未だ気に掛けてくれている彼の視線を逸らしながら、白木は近いようで遠い彫刻のような彼の綺麗な横顔に見惚れていた。

 

 

そうして、彼らは旅館へと到着すると、教師から班長へと伝達された指示を受けた。

 

「ーー・・夕食までは自由時間だそうです。どうしても旅館の外に用がある方は先生に呼びかけしてくださいとのことです。では、一旦は解散にします。」

 

 班長である久留米が、そう伝達するとそれぞれ男女別に旅館の居室へと向かっていった

 

「..楽しみだね!」

 

「あぁ。」

 

 この学校はかなり羽振りが良く、金の使い所が適切なため、特にこういったイベントではもってのほからしい。

 

「班ごとの部屋っぽいな....って..」

 

居室の扉を開き、中を覗くと本来であれば他の班の奴らと同部屋の四人部屋の筈が、なぜか海道らだけ二人部屋で、一瞬思考が休止した。

 

「ん...海道くん?....ぁっ..」

 

居室の扉を開き、ぴたりと立ち止まっている彼を不思議に思った白木は、彼の大きな体からひょこっと居室を覗き見すると、なんとなく事態を察した。

 

「...行こ...っか。」

 

そして、白木は何か意を決するかのように彼の腕を掴み、二人部屋の居室へと入っていった。

 

「あ...あぁ。」

 

バタンっ

 

 鼓動が早くなるのを感じ、ドアが閉まる音が妙に耳に響いた。

 

 

 

 

「ーー・・うわぁーぁ...もう一年遅く生まれていればぁー」

 

一方、久留米たちは学年違いのため、修学旅行に帯同できず、シクシクと悲しそうにしている楢崎とビデオ通話をしていた。

 

「まぁまぁ、今度みんなで温泉旅行でも行きましょー」

 

「うぅ...ありがとう...環奈くん。」

 

「うんうんっ!なーちゃんおみあげもたくさん買ってくるからねっ!」

 

「...ほんとぉ?」

 

(((可愛い。)))

 

 普段の楢崎は毅然とした態度で、皆の手本となるようにクールに振る舞っているが、今の彼女からはそれは微塵も感じず、少しくたびれた熊のぬいぐるみを抱き寄せており、まるでいじけた小さな女の子のような調子だった。

 

「ホントよっ!八橋に漬物、茶菓子とかねっ!」

 

「京都とコラボしてる、しぃかわの茶飲みとかも買っていきますよー」

 

 段々と寂しさを解消しつつあった楢崎を畳み掛けるかのように、ソフィアたちは彼女を慰めていた。

 

「うん..みんなありがとう...元気出てきたよぉ..」

 

 コラボ商品がクリティカルヒットしたようで、落ち込み具合はかなり回復したようだった。

 

 

 

 

一方その頃、海道くんの理性は機能不全に陥りかけていた。

 

「・・凄いね!海道くん。」

 

いつの間にか浴衣に着替えていた白木が、無邪気に部屋の設備の充実さに感嘆していた。

 

「そうだな...」

 

浴衣から見え隠れする目が眩むような、透明感を極めた白い肌が、理性で制御しているはずの視線を奪う。

 

「?」

 

無防備な白木の綺麗な顔がコテンっと傾げて、不思議そうにこちらを見つめる。

 

ピキッ

 

「....白木...」

 

 何かが壊れる音がして、体が勝手に白木ににじり寄っていた。

 

「ぁ...か、かいどう、くん?」

 

 肌が触れるくらい近くなったところで、白木は頬を赤らめ、ちょこんと彼の服をつまんで彼の名を、そのか細い声で呼んだ。

 

(...やば..)

 

白木の否応なしに人を惑わす甘い匂いが頭に響き、正常な判断が出来なくなる。

 

「ぁ..の、その..」

 

彼の大きな手が、白木の綺麗な頬に近づく。

 

「....白木。」

 

今はただ、目の前の甘美な果実を喰らいたかった。

 

ジャーーーー

 

「・・ん?」

 

 すると、プライベート露天風呂の方から水が流れる音が聞こえ、それが気付けのように彼を正気に戻させた。。

 

「あ...お風呂の方、からだね。」

 

彼が離れて、少し寂しそうな表情をしていた白木であったが、先までの色々と危なかった流れを変えるように、音の正体を知りに風呂の方へと小走りしていった。

 

(...何しようとしてたんだ..俺。)

 

海道は先まで白木の柔い頬に触っていた手を手鏡し、未だ劣情に似た行き場のない感情を心の中で吐露していた。

 

「・・うわぁ...すごいなぁ!」

 

そうしていると、風呂の方から白木が驚いた様子の声が聞こえ、そちらへ向かうと、途端に檜の香りが漂っており、京都の街が一望できるプライベート露天風呂があり、やはり一学生にはかなり贅沢な設備が揃っていた。

「あ、そういえば、しおりに源泉掛け流しだけど一定時間で入れ替えてるって書いてあったね。」

 

源泉掛け流しといえど、メンテナンスのために入れ替えているらしいようだった。

 

「あー、そうだっけか...?」

 

しおりなんて見ないから知らんかったなと、思っていると白木がどこかよそよそしい様子で、赫く輝く宝石のような眼をこちらに向けてきた。

 

「...まだ、夕食まで時間あるし...入ろっか。」

 

 何をいうかと思えば、早速この露天風呂に浸かりたいようで、なぜか此方に報告してきた。

 

「ん?あぁ。」

 

白木が言った意味をイマイチ察しきれていない彼が、言葉のの真意を知るのは案外早かった。

 

 

 

(・・そういうことかぁーー)

 

先に入っててーと言われ、言われるがままに服を着脱し体を洗っている最中、彼の言ってたことを反芻的に思い返してみると、それが一緒に入ろうという意味にようやく気づいた。

 

(..いや、男同士だし、別におかしくはないよな?)

 

(...ん、でも白木は本当に男なのか?...白木は白木だよな?...ん?..どういうことだ...)

 

自分で考えていながら思考が迷子になっていると、ドアが開いた。

 

「...檜のいい香りがするねー」

 

「っ?!」

 

 見てはいけないものだと、白木の透き通った綺麗な声が聞こえても向かないように覚悟していたが、それは叶わなかった。

 

「?」

 

白木は胸とアレがタオルで丁度隠れるようにしており、無警戒で純粋な顔で、思わず顔を逸らしていた彼を不思議そうに見ていた。

 

「...あ..へへ、恥ずかしいね..」

 

彼のそれに気づいたのか、白木は頬を紅く染めながら気恥ずかしそうにしていた。

 

(...持ってくれ、俺の理性...)

 

 着々と彼の理性は削られており、これから二回は夜を越さなくてはならないことから先が思いやられた。

 

そうして、なるべく白木の綺麗な...って、とにかくあまり見ないようにして体を洗っていると、視界の端から白木がチラチラと此方を見ているのに気が付いた。

 

「・・あー、顔になんかついてるか?」

 

「え、ぁっ...いや違っ...ごめん、その...すごいなぁって...」

 

申し訳なさそうにしながら、湯気に温められ頬が少し紅く発色している顔を覆いながらも、指の間から、白木の綺麗な赫い瞳がチラチラと垣間見えていた。

 

 白木は見まいとしようとしているものの、有名な彫刻にも劣らぬ彼の鍛え抜かれた芸術的な肉体に目を奪われていた。

 

「あー...そうか。」

 

確かに、夏の間、日に日に体が引き締まっていくのを感じていた時は自分でも感心していたが、すでに最適化された体になってしまった今では、浴室の鏡越しでも何か思うことはなかった。

 

「ふう...先いいか?」

 

 先に体を洗い終わった彼は一応、白木に一番風呂の断りを入れた。

 

「え、あ..うん。」

 

 そもそも男同士であるから、特に咎められるわけでもなく済み白木は安堵していた。

 

「?...サンキュ」

 

「...ふぅ。」

 

 一番風呂を先にもらい、源泉掛け流しの湯に浸かると、脊髄反射のようにおっさんみたいに声が漏れた。

 

程よく熱く、地下深くから地熱で温められた湯は、普段の湯とはまた違った心地良さだった。

 

しばらく、最高の湯と夕焼けに溶ける京都の街並みを眺め、そして、時折丁度泡で絶妙に、大事なところが隠れている白木を見ながら、最高の時を堪能していた。

 

すると、泡を洗い流し体を洗い終え、今一度タオルで前を隠した白木が、京都の夕焼けに照らされ白く輝いた美しい髪を、小さく可愛いらしい耳にかけながら、天使の福音を滴らした。

 

「..僕も、入っていい?」

 

「....ん、あ、あぁ。」

 

一瞬、頭がくらっとしたが、露天風呂のせいもあってか考えるよりも先に了承してしまった。

 

「ふふ、ありがと。」

 

 そういった白木はどこか余裕さというか、まさに天使のような全てを受け入れてくれる包容力さえ感じられた。

 

「...く、んぅ..気持ち良いね」

 

そんな彼の気も知らずに、白木はタオルを前にかけながらゆっくりと湯に入り、彼の隣に浸かった。そして、おおよそ同性のものとは思えないほどの、艶かしく、色っぽい息を吐いていた。

 

「...あぁ」

 

白木さんはサラッとすぐ隣に寄ってきており、近くないかっ?!っと言いそうになったが、男友達などいなかった俺は、こういうものなのかと、無理やり流すことした。

 

「ふぅ...」

 

白木の温かい吐息が、間近に聞こえる。

 

 湯に温められ、白木の透明感のある白い頬が、ほのかに火照り、左目の涙ほくろが彼の色っぽさを更に際立たせる。

 

ピキッ

 

 何かにヒビが入ったような音がして、無防備に見せつけられた彼の清く純白の首筋に吸い込まれる。

 

「...白木..」

 

「..?」

 

 思わず彼の名を呟くと、俺が本当にこのまま白木を喰らっても、全てを許し、受け入れてくれる女神のような微笑みを此方に向けてきた。

 

と、その時居室のドアの向こうからよく通る声が通った。

 

「・・失礼します。そろそろお食事の用意が整いましたので、入ってもよろしいでしょうか?」

 

「っ?!...あぁ、今行くっ!」

 

 白木の純白の首筋に噛みつく寸前で、正気に戻った彼は急いで風呂から出て、素早く水気を取って急いで着替えて応対しに行った。

 

「ぁ..っ...」

 

 一人にしては広い露天風呂に一人とり残された白木は、ほんのさっきまで彼がいた湯に顔を伏せて、息を吐きながら、か細く綺麗な手で顔を覆っていた。

 

「ぶくぶくぶく...うぅ...もたないなぁ...」

 

もし、あのまま...などと考えてしまい、どうしても胸の中で渦巻く行き場のないモヤモヤが取り止めもなかった。

 

 

 

「ーー・・美味しいねっ!」

 

「あぁ、うまいな。」

 

 先までの動乱は一旦は一過され、彼らは旅館の夕食を楽しんでいた。

 

目の前には、浴衣を着たド真ん中ストライクの人が此方に笑いかけてくれており、お焦げのついた炊き立てのご飯に、澄み切った吸い物、煮付けや焼き直しができるサイコロステーキなどを一緒に食べ、まさに最高の時間を共有していた。

 

「...二人で温泉旅行に来たみたいだな。」

 

 そして、思わずそういった感想を呟いてしまった。

 

「っぅ...はは、そう...かもね...」

 

彼のそれを聞いて初めは鼻でも摘まれた様に、目を見開いていたが、程なくして表情豊かに、どこか気恥ずかしくとも、彼と過ごす時間を慈しむような表情が漏れていた。

 

あぁ...そう素直な反応を見てしまうと、勘違いしてしまう。

 

 抑えようのない劣情に駆られそうになり、それを誤魔化すかのように少し残っていた白米とオカズを素早くかき込んだ。

 

「....ふぅ、ごっそさん。」

 

「ふふ、いい食べっぷりだね」

 

 幸いにも彼のそれは伝わってはいなさそうで、白木の目に映る彼はいつも好く見えていた。

 

「..ふっ、俺は少し体動かしてくる。ゆっくりでいいからな。」

 

 白木はゆっくりと味わって食べていたので、彼が先に食事を終えた事で変に焦らせたくなかった。

 

「あ...う、うんっ。」

 

(...優しいなぁ。海道くんは..)

 

 さらりと思っていた事を気遣われ、白木は彼の優しさがとにかく嬉しく、花開くような笑顔で彼を見送った。

 

バタンっ

 

「....ふぅ。」

 

 ドアを閉めると同時に、張っていた理性の緒が弛み、彼はドアに寄っかかりながら床に腰をついた。

「...やばい、持たない。」

 

 目元を抑えながら、何とか前頭葉が持った事へ労いつつも、明日まで持つかは定かではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

近くのゴールディングジムで体を漫然に動かし、ある程度別のベクトルで色々と解消できた彼は、白木が待つ居室へと向かっていた。

 

「・・あ、なんかアイスでも買ってくか...」

 

 すると、丁度、旅館の一階受付近くにアイスの自販機があったため、幾つか見繕う事にした。

 

「....。」

 

 千円札を入れ、しばらく何を買おうかと、白木はどんなのが好きなのだろうかと考えていると、後ろから手が伸び適当なボタンが押された。

 

ガタンっ!

 

無情にも商品は決済されてしまい、バニラアイスバーが落ちてきた。

 

「...篠蔵、一つ貸しだな。」

 

彼は振り返らずとも何となく気配から、その手の正体を察していた。

 

「げっ、悪い悪い代金は返すって...お前に借り作っちまったら、あとが怖えよ」

 

彼が冗談半分で言った落とし前は、篠蔵にはかなり効果的なようだった。

 

「...いや、もう出ちまったもんだ。取っとけ」

 

 物事は不可逆で、起こってしまった事へは取り返しがつかないため、彼はそう言ってバニラアイスバーを篠蔵に渡した。

 

「...ぐっ、味わって食わねぇと..」

軽い悪戯のつもりが、アイス一個の割には高くついていた。

 

ピッ

 

ガタンっ!

 

 存外にも篠蔵が食べているバニラアイスバーが美味しそうだったので、彼も同じの食うことにした。

 

「..そういえば、お前らは4人部屋だよな?」

 

アイスを食べながら、そういえばと少し気になっていたことを聞いた。

 

「ん?あぁ、うぅ..歯覚過敏がっ...っか..そうだぜ。」

 

歯覚過敏に当たりながらも、彼は何とか答えていた。

 

(...うーむ、学年の生徒数が半端なせいか...)

 

彼は既に食べ終え、木の棒だけになったアイスバーをくわえながら、他に考えられる事を頭に浮かべていた。

「....。」

 

 ぼんやりとそう考えていると、篠蔵が神妙な面持ちでこちらを見てきていた。

 

「..なんだ?」

 

 男から見つめられても何も嬉しくないので、少し鬱陶しそうにそう言った。

 

まぁ、白木は白木だから比べるまでもないが...って、何言ってんだ俺....

 

「...いや、海道。お前、ほんと変わったよな。」

 

「..なんだ、そんな事か」

 

 珍しく真剣そうな顔でこちらを見ていたので、何かと思えば今更の事であった。

 

「そんなことかって...側から見れば一大事だろ..」

 

確かに、わかりやすく目に見えるようなステータスや、見た目は変わったのは事実であった。

 

 しかし、根っこの面倒な偏見に満ちた思想や、考え方、独自の価値観は何ら変わっていなかった。

まぁ、変えるフリくらいならできるようになったが、やはり自分でも自分自身をかなり気に入っているため、わざわざ変えようとは思ってないので特に問題ないか。

 

世の中の人間は良い人でありたがるが、そんなものは俺に取ってはどうでも良いものだった。

 

結局、人が何を考えているとか、人からどう思われているとかはキリがないのである。

 

だから、そんな事よりも一人一人が出来る事へ先ずは専念して、自分の道を進み続ける。そうすれば、小手先の価値よりも、より真意に近づける。

 

「・・まぁ、何でも良いが..」

 

「お前、小学校の時からずっとそうだよな。」

 

「?」

 

 そういえばと、夏明けの初日に、小学校から同じみたいな事を言っていたのがフラッシュバックした。

 

「なんか、達観してるっつーか、変に大人臭いけど、それでいて自分の時間を楽しんでるつぅーか...」

 

「....。」

 

彼の文言からは、どこか真実に達しそうな思考回路が垣間見えると、実際効果はない嫌な予感が的中した。

 

「ほんと、中身人生上がったおっさんみたいだよな!ははははっ!」

 

「っ!...ふぅ...やれやれ。」

 

 時折、彼の野生?の嗅覚なのだろうか、兎に角それの切り味は鋭すぎて心臓に悪かったので、アイスの棒をゴミ箱に投げ捨てると同時に、早々と彼との会話を切り上げた。

 

 

 

(...まぁ、大丈夫か。)

 

白木が待つ居室の前につき、一応やばそうな情欲は筋肉で解消できた筈だと自分でも妙に納得してからドアを開けた。

 

「・・あ、おかえり!海道くん!」

 

ドアを開けると、先まで本を読んでいたようだった白木が、立ち上がってテクテクとこちらに駆け寄りながらそう言った。

 

「...あぁ。ただいま」

 

あまりの天使度数に思わず目元を抑え、何とか腹に落とし込めた彼は、白木の華奢な肩に手を置き何とかソレだけで情動がおさまった。

 

「っ..ぁ...ん?」

 

白木は彼に触れられ、一瞬ビクンっと肩を震わせていが、どうしたの?と言った様子で可愛らしいお顔をこてんと傾げていた。

 

「...ほい、アイス買ってきた。」

 

 解消したはずの情欲はむしろ、せきとめる間もなく溢れ続けていた中、何とかアイスで気を逸らした。

 

「うわ!これ、京都限定のアイスだ!ありがと、海道くんっ」

 

「...あぁ、喜んでくれて良かった。」

 

 白木を制するには、白木の笑顔が最も効果的だったようで、自然と先までの劣情が白木との心地の良い空間に澄み渡っていた。

 

 

 

「...ふぅ。」

 

白木が入れてくれたお茶を飲みながら一息ついていると、自分の鞄が目に入り、あることを思い出した。

 

「あ、そういや、スイッチ持ってきたんだが、なんかやるか?」

 

「ほんと?!良いねっ!やろやろー」

 

 昨日の夜のこともあった中であったが、白木は変わらずどことなく距離が近かった。

 

「...お、おう。どれがいいか..」

 

「うーん、そうだね..二人で出来るゲームなら..」

 

 勢いそのまま、白木が背中に密着しており、白木は甘えるように、彼の肩に顎を乗せながら、スイッチの画面を見て、一緒にセレクションしていた、

 

(...近いっ!良い匂いっ!..可愛いっ!!)

 

 涼しい顔をなんとか保っていたものの、かなり危ぶまれるものだった。

 

 すると、白木は目星のゲームが見つかったようだった。

 

「...あっ!ウマブラやろーよ。」

 

「あー、そうだな。」

 

 正直、そのゲームは彼が前世から相当やり込んでいたゲームであり、正直フェアでは無いため少し躊躇した。

 

「やった、じゃあ、どうせなら何か罰ゲームが欲しいなー」

 

しかし、彼の想定は杞憂に終わりそうで、白木はどこか自信満々にすでに勝気でいるようだった。

 

「へぇ、勝つ前提か..」

 

「うん!僕ウマブラで負けたことないからねっ!!」

 

 どうやら白木もかなりやるそうで、それは彼の強さを裏付けていた。

 

「ほぅ、その勝負、乗った。」

 

「じゃあ、罰ゲームは、負けた方が勝った方の願いを一つ叶える事でっ!」

 

「シェンロンかよ...」

 

「ふふっ、できる限りでいいよっ!」

 

「わかった・・ーー」

 

 白木はヨッシィーを選択し、俺は使い慣れた格ゲーのキャラを選択した。

 

「・・じゃあ、3先でやるか。・・ーー」

 

3先で勝負した結果、2−1で彼が勝った。結構やりこんでいたゲームであったものの、かなり接戦で、次も勝てる保証は少なくともなかった位、白木はかなりの歴戦猛者だった。

 

「うわー負けこしちゃった...初めて負けたかも..」

 

「次やったら、勝てるかわからん..」

 

「ふふっ、称賛だと受け止めとくよ。」

 

「いや、本当だって.」

 

正直、今回のマッチアアップは運も絡んだ勝利だったため、まだまだ白木の強さの底が見えなかった。

 

「..じゃあ、罰ゲームをしないとだね...」

 

良い試合をした後の、心地の良い余韻に浸っていると、白木は思い出したかのようにモジモジとしながら、罰ゲームをどうするかと聞いてきた。

 

「..あー」

 

 久しぶりに好敵手と戦ったため、そのことを失念していた。

 

「...そうだな。」ちらっ

 

 何か一つお願いを叶えるとかだったなと、思い出しつつ、なぜか身を捩らせている白木を一瞥した。

 

「っ!....」

 

 すると、こちらの視線に気付いたのか、肩をビクッとさせ、目が合いそうになるとフイッと顔を逸らしていた。

 

(ちょっと、傷つくな..)

 

嫌に思っているような意図はないのはわかっているが、いざ顔を逸らされると、嫌に傷つくものだった。

 

「....あんま無いな。」

 

 とはいえ、特に思い当たる願いはなかった。

 

「え..でも、その罰ゲームだから...」

 

白木の真面目な性格ゆえか、言わば成すといったように、たとえ勝者の言葉といえども、それは帳消しにはならなそうだった。

 

「....うむ...そうだな...」

 

「..じゃあ、もう一戦やろうぜ。」

 

しばらく考えていると、これだけで終わらせるのも勝ち逃げのようでずるいと思い、そう思い立った。 

 

「ぁ...うんっ!!」

 

 その後、結局、寝落ちするまでウマブラで戦った。

 

正確には覚えていないが累計で44勝32敗で、なんとか勝ち越したがもう100戦やったら、マジで負け越しかねなかった。

 

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