許嫁幼馴染が弟に純愛寝取られたので、俺は変わることにした。   作:wakaba1890

40 / 40
朝日香る山桜。

 

次の日の朝。

 

リビングのテーブル上にはツマミの菓子や開け瓶、缶空、ツマミをよそっていた皿などで満たされていた。

 

「.....飲むだけ飲んで帰ったか」

 

リビングの飲み会の残置物がそのままだったのは大体想像はついていた。

 

「....ふぅ」

 

大体いつもそのままであったため、それよりも霧雨ママはともかくとして、カレンがここにいないという事は一応ゲストルームで寝て、体調を崩す心配がなくなったと一安心した。

 

そして、早速、ゴミの分別と掃除と皿の片付けをしていると、上から、脱ぎっぱなしでソファーに置いていたドジャースのパーカーを着たカレンが降りてきた。

 

「おはよぉ....うぅ、いつもごめんよ。」

 

ベロベロになるまで飲み明かした彼女は意識が朦朧とする中でも、済んだ皿を積み上げていたり片付けようとしていた形跡があり、半端になったのを毎度申し訳なさそうにしていた。

 

「あぁ...」

 

片付けを終わらせて昨日のプレミアの試合を見たいため、視線を向けずにテキパキと進める。

 

「私も手伝う...うぅ...」

 

「カレンはソファーに居ろ....ん?」

 

二日酔いで頭痛が痛い中、なんとか手伝おうと彼の元へ向かうが肩を掴まれ回れ右されそうになったところ、彼は見覚えのあるパーカーに目が止まった。

 

「ん...ぁ、ごめ....」

 

ソファーでダウンした時を想定して着ていたパーカーを勝手に着ていたのを注意されると思い、珍しく塩らしく身を捩る。

 

「いや、まぁ...それ謙信さんから貰ったやつだし」

 

昨夜まで自分が着ていたパーカーをカレンが着ているのは、こそばゆい感じではあったが、カレンパパからの頂き物であったため、間接的に返したみたいなものかとどうしても吸い寄せられてしまうそこから視線を逸らす。

 

「え、そうなの?でも....清澄の匂いするけど....ぁ」

言葉のあやで新品のものだと勘違いした彼女は、パーカーの袖を匂うと気まずそうにこちらを見る彼と目が合う。

 

「「....」」

 

その匂いがトリガーになってか、両者ともに霧雨ママが来る前のあの出来事がフラッシュバックし、堪らず互いに目を逸らす。

 

「そ、そうか....あ、しじみ汁作るから...飲むか?」

 

流石に飲み過ぎたようで、彼女の紫衣の目は半開き状態であると感じ、彼は丁度ふるさと納税で来ていたしじみへと話を流した。

 

「え、飲む飲むぅー」

 

冷蔵庫内で一晩砂抜きをしておいたシジミに出汁、醤油、味噌を入れて煮るだけであったため、5分経たずに召し上げる事が出来た。

 

「...ふー...スゥ....うぅ...染みるぅ...」

 

「....そかそか、てか大学はもうないのか?」

 

頭痛にもお腹にも優しいシジミ汁に頬を溶けている彼女を微笑ましく見ていた彼は気になってた事を聞く。

 

「うん、まぁ私は出席必要ない授業しか取ってないから」

 

「へぇ、じゃレポートとかで済む感じか」

 

「そうそう....ふぅ...美味しい」

 

「....(10種競技で中高6連覇したり、ちょくちょく論文で表彰されたりと相変わらず要領が良いな...)」

 

時折スーツで家に来ることもあり、学業でも彼女の優秀さは指折りであると感心していた。

 

「そういえば清澄はどこの大学にするの?」

 

「大学には行かん。」

 

「あ、そうなんだ。まぁー清澄には必要ないもんね」

 

既にFIRE独身貴族生活を叶えてしまっている彼から、彼女は半分思ってた通りだと納得していた。

 

「あぁ、それよか謙信さんの会社継がないのか?知らん内に俺が後継する流れになってるの困ってるんだが....」

 

その辺の話はぐるぐると彼女と彼でたらい回しにしており、未だ決着のついていない話であった。

 

「うーん、一応私もパパの勘に近いものは持ってるけど、私一人は嫌かなぁ」

 

「ん、カレンなら要領よく進めるだろ?」

 

初めから優秀でなんでも持っている彼女であれば、問題ないように思えたがその辺は基本原理に則った理由からなるものだった。

 

「んんーー...個人投資家っていう立場ならともかく、パパのワンマンといえども企業って生き物だから、一つの足じゃ少し躓い時のロスが大きいし、二本足でようやくテンポ良く前進できるのよね。」

 

「成程。やっぱ、カレンが後継者に適任だな。」

 

やはりその辺は謙信からの帝王学を生まれた時から学んでいるためか、彼女の考えは頷くばかりであり、そのまま彼女に任せようとした。

 

「うーん....パパは清澄の方が適任だと思ってるよ。」

 

自分の意志を抜きにして、カレンは最近...というか実家出禁になる一ヶ月前までの時点から客観的に謙信は彼を一番に見込んでいるとそう言う。

 

「....どうだろうな」

 

今の自分が健康に悠々自適に暮らせているのは謙信さんのお陰であるのは明らかであり、謙信さんから心の底からそう思われているというのに答えたい気持ちはあれども、自分自身がそれに足る器を持っているかは甚だ疑問であった。

 

「私は、清澄がやるなら良いよ。共同オーナーってことで」

 

「あー....まぁ、そうなりそうな流れか...」

 

折衷案としてもこれからの謙信の企業体を運営するにもそれが最適であるのは確かであった。

 

「そしたら、私は海道 カレンになるねー....」

 

「....あぁ...」

 

「「.....」」

 

そういう流れになるのを自然に受け入れていた互いを見つめると、またもや気まずい雰囲気がしばらく同じ屋根の下で流れていた。

 

そして、その後今年最後の登校日であるのを思い出した彼は出発の支度を始めた。

 

「...ん、行っちゃうの?」

 

「あぁ、今日が最終日だしな。」

 

もう彼女のものになってしまったドジャースのパーカーを萌え袖にしながら、カレンは彼を引き止めようとする。

 

「意外と真面目なのね。」

 

「まぁ...色々な」

 

「.....っ」

 

遅刻しないように同級生の女子に迎えに来てもらってるからとか、説明に面倒なことをはぐらかすと、カレンはそれを思い人がいる学校へ行くのをこそばゆそうにしていると思い、無意識に唇を噛み顔を伏せる。

 

「....?」

 

「じゃ、出先まで見送る」

 

「ん...わかった。」

 

玄関から出て外の門へ行く途中まで特に何をいうでもなく後をついてきたカレンを不思議に思っていたが、一瞬で別れの時が来る。

 

「....じゃ...鍵は...」

 

「あのっ!...さ」

 

外の門が開き出先へ出ると、少し早かったのか久留米やソフィアらは見当たらず一安心と浮気男みたいな心情になりながら、いつものように鍵は勝手に閉まるからと言って行こうとするが、カレンは彼の服を摘んで引き止める。

 

「鮎川....清澄でも良いかもね。」

 

何をいうかと思えば、会社を二人で継いだ場合の話の続きであり、カレンはどこか吹っ切れたように昔から変わらない明朗快活な笑顔でそう言う。

「む...婿養子かよ....」

 

毎度毎度、この手の話になるとなぜ婿養子になるのかと、個人的な都合としてはなんとしても義隆ジィちゃんの苗字を守りたい彼はそれは受け入れようがなく、空を仰ぐ。

 

「清澄...」

 

「ん?」

 

空を見上げた顔を、昔からずっと変わらない淑やかでよく通る声で自分を名を呼ぶ方へと向ける。

 

「...チュっ」

 

すると、彼女の唇が頬を伝って甘い音が朝に降る。

 

「.....ぁ」

 

「はははっ....あんまり....私から離れてかないでね。」

 

気づけば自分の身長を優に越してしまった、彼の呆けていても涼しげな顔を見上げながら、カレンは弾けるような笑顔の中で、切そうにそう呟く。

 

「....まぁ、なんだ...鮎は、清く澄んだ水でしか生きれないからな」

 

小さい頃、というか中学くらいまでは、この手の事をされた以降は微妙な顔をしていた彼であったが、昨日今日のこともあってか彼は少しこそばゆそうに顔を逸らしつつも、キリッとした彼の瞳は彼女を離さず、変わらず優しく温かい声でそう言って、その大きくて暖かい手で彼女の紫衣の頭を優しく撫でる。

 

「っ!....うんっ」

 

「っと....ふっ..」

 

確かに一歩、関係が前進したのを噛み締めた彼女は彼の首筋に腕をかけて抱きしめると、彼は少し踵をあげている彼女を愛おしく思う。

 

「行ってらっしゃい。清澄。」

 

「あぁ、行ってきます。」

 

名残惜しいのを抑えつつ彼から離れて、笑顔で彼を見送る彼女に、彼は彼女の頭を優しく撫でて朝日香る山桜へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 




ーーーーーちょこっと一間。ーーーーー

ガッツリ清澄とカレンのそれを見ていた久留米、ソフィア、青鷺らは焦り散らかしていた。

「....え?!えぇ?!!」

「....ぁ、新妻?!新妻ですか?!」

「ちょっと、みんな。静かに....っ!」

「...!」

久留米が心臓バクバクで彼女らを抑えようとするが、暫定清澄の新妻ことカレンはこちらに気づいた様子だった。

「ぁっ...あわっ...」

コミュ力お化けの久留米は動揺している中、なんとかアクションを取ろうとするが上手く繰り出せない。

「....っ...ふふっ....」

一方、カレンは話しかけるかどうか微妙な距離だったため、可愛らしい清澄のお友達である久留米らの方へ手をフリフリさせて、彼のお家に帰っていった。

「....環奈、なーち...わかったわ。2年生になるまでに、決めましょう」

「っ!」

「....えぇ、決めたりましょう!」

久留米が言っていた事の意味を真に理解したソフィアは、真剣な声音でそういうと青鷺はついにきたかと気を引き締め、久留米らは熱を帯びていた。




お知らせ
新小説。日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。をリリースしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

一般通過脳焼きクソボケ大魔王(作者:Nemusugi )(原作:崩壊:スターレイル)

人の優しさに脳を焼かれた一般通過大魔王が、周りの脳を焼いていくだけのお話▼尚、脳を焼いた魔王自身は(自責の念とか諸々で)クソボケとする。▼処女作です。誤字や脱字の凡ミス、▼強い独自解釈や設定があります。▼それらを踏まえて閲覧ください。


総合評価:2002/評価:8.65/連載:17話/更新日時:2026年04月09日(木) 13:10 小説情報

男女比3:1でも貞操逆転世界なのに「もう少し大きくなったら結婚しよう」でとうとう引き返せなくなった奴(作者:陽波ゆうい)(オリジナルファンタジー/恋愛)

男女比3:1の世界に転生した。▼って、おいこれ、男がチヤホヤされる貞操逆転世界ってやつじゃねーじゃん!?▼野郎が多くなったら、寝取りが増えるだけだろっ。▼だから俺は、女の子にモテることを諦めることにした。▼※カクヨムでも掲載しています。


総合評価:3030/評価:7.95/連載:23話/更新日時:2026年05月03日(日) 20:58 小説情報

で? どれが実在する記憶なんです?(作者:RGNGNO)(原作:ブルーアーカイブ)

先生「“彼女らの話が全部本当なら、君は同時に30人くらい存在した事になるけど”」▼主人公「そんなわけねぇだろ」


総合評価:4223/評価:8.01/連載:3話/更新日時:2026年03月13日(金) 22:19 小説情報

貞操逆転世界の退魔師(作者:青ヤギ)(オリジナル現代/冒険・バトル)

若い娘たちが退魔師として異形と戦う貞操逆転世界で唯一の男退魔師をぶち込んでみた。▼異形は男を襲うので敗北すれば即凌辱デッドエンド。▼純潔を失えば戦う力も喪失。▼生き残りたければ童貞を守り抜け。▼「……美少女だらけの貞操逆転世界で? ハードモード過ぎません?」▼


総合評価:13010/評価:8.92/連載:15話/更新日時:2026年05月10日(日) 11:08 小説情報

とある転生者の受難日記(作者:匿名)(原作:七つの大罪)

これは、ひょんなことから転生した男の、ありとあらゆる苦難が綴られた日記である。


総合評価:14860/評価:9.12/連載:23話/更新日時:2026年05月08日(金) 19:07 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>