レプリロイドは電子狼の夢を見るか   作:きしめん陰陽師(五寸釘装備)

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日常会


残酷の泥から咲きし平和の花

 アビスプラント・スイリリーを倒した私は周囲からの称賛の中帰って来たが、頭の中は次の元隊長格級のイレギュラーを狩りたいという考えであった。

 

 次の候補は決めてある。

 元第9特殊部隊副隊長、スライサー・スラックジー。

 

 その次は第13極地部隊の二代前の隊長、デスストーン・フォッカーズ。

 此方は行方不明になっただけで、イレギュラーとなった証拠は無いが、もし生きているのなら明確な脱走行為であり、イレギュラーと判定して問題もない。

 エイリアが死地に送り込んでも、その生死の結末を確認出来なかったというが、フォッカーズならば上層部の思惑に気が付いて死を偽装するくらいは出来るという、元部下の意見もある。

 …確かあの辺りは、非政府存在地域(ロストグラウンド)であり、各国を追われた人々やレプリロイドの集落があったともデータベースにあった。

 犯罪者同士が匿い合っている可能性もある。

 真っ当な場所から追い出される様な存在など、マトモに生活を営めず、結果として生活レベルを維持するために不正を恒常化する連中が大半だろう。

 ゴミとゴミを匿うゴミ袋しかいないのなら、する事は焼却処理しかない。

 ああ、今から正義を執行するのが待ち切れない。

 

 

 

 

 そんな内心ときめいている私に対して、任務を任せた側のエックス隊長は、何とも言えない様な顔で報告を待ち受けていた。

 

「先ずは、任務達成おめでとう」

 

「ありがとうございます。当然の事ですので」

 

 

 無愛想と言われるが、私は別にエックス隊長の飼い犬でも何でもないので、事務的な対応をするのは何もおかしくはない。

 それにしても、エックス隊長は如何にも何か言いたいが言えないという歯切れの悪い表情だ。

 

 

「何か問題でもありましたか?」

 

「その、何だ…そうだな……」

 

 言いたい事は興味もないので言わなくても良いが、言わなければならない事は明確に示して欲しい。

 私は常日頃周囲にそう示しているし、エックス隊長も普段はそれが出来る方だ。

 

 

「率直に聞こう。

────今回使った武器について、詳細を教えてくれるか?」

 

「はい。

それは、武器の性能についてですか?」

 

 答え方も明瞭明確にしておきたい。

 

 

「そうだ。それと開発の経緯を知っていればそれも」

 

「開発の経緯ですか。

秘匿レベル4の情報です。

エックス隊長であれば、情報公開請求対象者に含まれておりますのでお答えします。

政府の非公開データベース内に含まれた、特A級戦闘用レプリロイドのデータから私用に合わせて作成されたと聞いています。

それ以上は私も知りませんし、秘匿レベル指定が極めて高まるとの事で、エックス隊長でも難しいと思慮します」

 

 武器の性能よりも、そちらを知りたそうにしているのは明白だったが、そこまでしか知らないのも事実なので、答えられる範囲はとても少なかった。

 

「信じて良いんだな。

…良かった」

 

「……ところで、武器の性能ですが」

 

 そう言うと、思い出したかのように「ああそうだった」とエックス隊長は答えていたあたりに、本当に聞きたかったのは武器の開発経緯だけだったのだなと感じられた。

 人が良いというものだろうか。

 ゼロであれば、その様なミスはしない。

 

 

「内部に磁性流体の独立回転機構を持つ質量兵器です。

独立回転機構により、鎖の長さを排出・収納を行う事でリーチを調節したり、軌道を操作しています」

 

 

「そうか。

どうしてそれを今まで見せて来なかったんだ?」

 

 

 やはり武器の性能よりも、その他の事ばかり聞きたがる人だ。

 私なら、相手がイレギュラー化した時に速やかに弱点を突く為に、その構造上の欠点を探るが。

 

「先ず最初に嵩張る事です。

同系統の武器を持つ同僚がいない事も理由になります。

また、現在は第0特殊部隊長から訓練を受けていますが、刀剣の遣い手から技を盗むのであれば、己も刀剣で戦いながらの方が効率的だからです。

そして最後は、これが一番大きな理由ですが、推進力と重量で敵を粉砕するという仕組み上、急に止めたり、相手に当てられる程度の速度は維持したまま威力は訓練用に落とす事が難しいからです。

周囲に巻き込む仲間が居らず、幾ら壊しても構わないイレギュラーが相手の時であれば、使い勝手はとても良い壊滅兵装です」

 

 

 エックス隊長は、最後の言葉を聞くと「周りへの配慮から使わなかっただけなんだな?」と聞いてきたが、それは質問というよりは、そう答えてくれという雰囲気があった。

 私は当然上官の意向に従う。

 

「はい。その通りです隊長」

 

 そう言うとエックス隊長は、溜息を吐いていた。

 安堵を露骨に示し過ぎるのも、管理職としてどうかとは思う。

 特にポーズでの感情表現を意識的に行えない人物であれば、尚更だ。

 

 

 私は暫く休みを貰ったので、次の戦いに備えて計画を練りながら、武器の整備をすることにした。

 

 

 

 整備をしていると、ゼロがやって来た。

 

「率直に聞こう。その武器、バイオレンのものだな?」

 

 私にセイバーを突き付けながら問うが、それで何か答える理由にもならない。

 しかしゼロはカードを取り出した。

 其処には“秘匿レベル6開示要求可能”と書かれてある。

 

「はい。

エックス隊長が倒した敵のボスの力を己のものと出来る事は周知の事実ですが、そのボスよりも強かった敵の中でありながら、エックス隊長に取り込まれていない武装も存在していました。

それを有効活用したい。

武装そのものには善悪は無いという、政府コード21XX02WILY5386/LIΣ発令によるものです」

 

 別に最後のΣ(シグマ)について、敢えてゆっくり言う必要も無かったが、やはりゼロは其処に引っ掛かった。

 

「今、シグマと言ったか?」

 

「はい。言いました」

 

 

 

 ゼロは、あっさりと正直に私が答えた事に疑問を持っているようだった。

 

「エックスとの会話では言っていなかっただろう」

 

「エックス隊長には、必要な情報開示レベルがありませんでした」

 

 事実は事実であり、ゼロ相手でもその手のカードが無ければ答える必要も無かったし、答えてはいけなかった。

 

「知っていることを答えろ」

 

「秘匿レベル6指定の最大禁止情報を公開します。

大計画コードLose Influence Σとは、シグマ元総隊長の影響力を削ぐ計画であり、余りにも隊長格・副隊長格からの離反者率が高いイレギュラーハンターの現状を極めて重く見た政府が、用意した新たな理性的かつ忠実な戦闘用レプリロイドに各級指揮官の挿げ替えを行う計画です」

 

 

 ゼロはそれを聞いて、表情を崩さなかったが、その剣先だけは震えていた。

 

 

「政府に従順な狗だけでハンターの上層部で埋めるつもりか?」

 

「はい。その通りです」

 

 

 一瞬、ゼロの眼に力が入ったが、直ぐにセイバーが降ろされた。

 

「エックスに伝えないとな」

 

「でしたら、エックス隊長の秘匿情報開示レベルを上げなければなりません。

…私の知り合いの知り合いですが、聞いて見ましょうか?」

 

 ゼロは「可能なのか」と聞いてきたが、確実ではない。

 エイリアの知り合いであるアイリスというレプリロイドは、ハンターとは別組織の司令部の親族らしい。

 その伝手であれば、レベル6なら何とかなるのかも知れない。

 ハンターよりもより公的に政府に近いからだ。

 それに、別組織からの有力者からも推薦される、組織の有力者というのは政府も無碍には出来ない。

 …絶対出来るという保障はないが。

 因みに私自身更に政府に一番近いのだが、それは表立っての事では無いので、やはり公的な立場というのは必要である。

 

 

 どちらにせよ、エイリアとお出掛けする予定は私の中であった。

 エックス隊長と同じ様に、どうでも良い事で抱え込んでいる節があるが、エックス隊長と違ってエイリアであればそれなりに回復して欲しいと思っていない訳では無いのだ。

 イレギュラー候補の奴を事前に処分した程度で、エイリアに落ち込んで欲しいとは思っていない。

 

「第0特殊部隊長、手紙を書いてください」

 

「何故だ」

 

 私にも良くわかりません。

 ですが、エイリアならそう言う筈です。

 

「その方は女性レプリロイドなのでそうするべきかと。

私の友人の受け売りですが」

 

「…それが必要ならそうしよう」

 

 その手紙の書き方の定型については、アイリスから聞かされてはいないが、日頃隊長職で電子書類を作る機会の多いゼロならば、直ぐに書けるだろう。

 相手もイレギュラーハンター勤務であれば、基本的な業務用の定型が伝わりやすい筈だ。

 そんな事はゼロも分かっているはずだが。

 

「エイリア曰く、紙媒体である必要があるらしいです。

恐らくはハッキングによる盗み見対策でしょうね」

 

「成る程、入力が終わったら印刷して渡そう」

 

 

 理解と行動が早くて助かる。

 ここで、「あれ? 今時印刷機って何処かにあるのかなあ」なんて独り言を言い出すタイプは使えないと、統計学的に決まっている。

 行政文書の定型で、エックスの情報開示レベルを上げる旨が書かれた紙を、私が受け取るのも早いだろう。

 

 

 

 次の日、『厳重注意』と書かれた紙を、職務用の透過防止封筒に入れて、待ち合わせていたエイリアと集合した。

 

 

「ごめんなさい。待った?」

 

「待ては得意だから」

 

 

 「犬みたいな事言わないの」と己より背が高い私を撫でるのは、世間的にどうなのだろうか?

 私自身は特に気にしていない。

 

 

「エイリア。これをアイリスに渡して欲しい。第0特殊部隊長から」

 

「えっ、ええ!? これってまさか」

 

 そう。

 まさかの重要任務である。

 プライベートの時間にその様な仕事を押し付けて申し訳無いと思ってはいる。

 

「…そうね。私も頑張って応援するわ!!」

 

 エックス隊長の情報開示レベルを上げる為に、それ程まで頑張ってくれるのなら、隊長も本望だろう。

 ……私は封筒の中の手紙の内容については、まだ示していなかったが、何故?…………、まあ良いか。

 

「エックス隊長も喜ぶと思う」

 

「…? ああ、そうね。

親友なんだから」

 

 何かがズレている気がするが、それはそれで気にしない事とする。

 

 

 

「さて、服を買いに行きましょう。

レトナはまた同じ服の使い回ししてるでしょう?」

 

「そう」

 

 否定はしない。

 そもそも、服が必要あるのかが分からない。

 それが必要なのは、体温調節が下手な人間だけではないのだろうか?

 …と、正直に言うとエイリアからお説教されるので、時間を浪費したくない賢い私は、素直そうに従う。

 

 

 エネルゲン水晶パフェを早く食べたいのだが、それも敢えて言わないでおくのが懸命だと、私は知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お客様達はお綺麗ですから、こっちの攻めたデザインはどうでしょうか?

美人じゃないと、服に負けちゃってそんなに売れないんですよ」

 

 服屋で店員に褒められながら、着せ替えさせられるが、私は服屋の店員は褒める事が仕事なのだと理解しているので、其処に付加的な情報価値があるとは思っていない。

 

「美人が条件なら、エイリアが買えば良い」

 

 故に、面倒な店員はエイリアに押し付けよう。

 

 

「そうやって逃げるつもりね?」

 

 残念。

 エイリアからは逃げられなかった。

 嘘でも無かったのに。

 

 

「お客様はまるでお姫様みたいですね」

 

 お姫様というのは、とても偉い人であるという理解はある。

 多くの下々の者に王を経由して命令をすることが出来るのだ。

 なる程。

 政府と繋がりがあり、政府経由である程度の要求を通せる私は、お姫様といえばお姫様だったのか。

 

 そういった事由を知らない筈の店員が、何故それを感じ取ったのかは分からないが、折角なのでお姫様らしい事をしてみよう。

 政府から渡されているものを取り出した。

 

「では、この電子カードで」

 

 

「はい………えっ、これはベンタブラックカード!!

初めて…見ました。

えっ、マジお姫様なのこの人…」

 

 最後は取り繕えていなかったが、まあ気にしない。

 私は相手がイレギュラーかどうかで差別はするが、相手の言葉遣いでは差別はしない主義だ。

 

「…あっ、そうだったね」

 

 恐らく私の情報を知っているらしいエイリアは、私の出したカードに引き攣りながら納得していた。

 

「店長!! マジモンのお姫様が!!」

 

 …エイリアの納得を、お姫様であることの肯定と捉えたのか、店員が慌てて奥に入っていった。

 誤解を生んでいる気がするが、詐欺行為に当たらないだろうか?

 姫詐称でイレギュラー判定は笑えない。

 日頃から笑わないけれども。

 

 店長が出て来た。

 女性型なのか、男性型なのか分からない時には、取り敢えず女性扱いしておけば良いと、以前エイリアから倣った。

 私は役職呼びがメインなので、性別による呼び分けは無いけれども。

 

「店長のマイマインです」

 

 ……イレギュラーのクリスター・マイマインに似た店長であったが、本物は既にエックス隊長に倒されている。

 しかし眼の前にいるのならば倒さなくてはならない。

 刀を取り出すことにした。

 

「あらん? 物騒だけど綺麗な刀ね。

少し禍々しくて怪しくて好みよ。

…誰と勘違いしているかは理解しているつもりよん。

兄ではあるけれど、倒された事は理解しているわ。

私は別の個体だから安心してねん」

 

 余りの不気味さから生じる説得力により、何故か私は納得してしまった。

 秘匿回線で政府に問い合わせるが、直ぐに事実であると返って来た。

 

「う〜ん。物騒なお姫様は私服も似合うけれど、戦闘用のドレスの方が似合いそうねえ。

特注で造りましょうか。

んん〜勿論、お値段もそれなりにするけれどねん」

 

 そう言いながら既に、仮想パッドに物凄い速度で描き込みを始めるマイマインだったが、描きながら告げて来た概算の金額にエイリアは「払えるの?」と聞いてきたので、私は指を二つの伸ばして彼女に突き出して、言ってみる事にした。

 

 

 

「大丈夫。私、お姫様だから」

 

 

 これは友人への冗談であって詐欺行為ではない。

 だから、イレギュラー判定はしないで欲しい。

 その時は取り消して謝罪するので。

 

 

 取り敢えずは頭金の支払いを終わらせて、購入した私服?を来て次の店に行くことにした。

 

「どう見ても高級ドレスだけれど、着こなせているから私服…で良いのかなあ。…ティアラ付けてるけど」

 

 とは、エイリアの談である。

 周囲の視線が気になるのなら、外に出てはいけない。

 私はそういう主義なので気にしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、レトナ?」

 

 私はある方向に視点を向けて停止した。

 エイリアは私にその意図を聞いてくるが、私と同じ方向を見れば分かる筈だ。

 

 

 

 女子会限定サービス!! スペシャルエネルゲン水晶パフェ!!

 

 とても素晴らしい文面が載ってある。

 とても、素晴らしい内容だ。

 

 

「…レトナ? ねえ、レトナ?」

 

 エイリアも前を向くが、あの素晴らしい文面が目に入らないのだろうか。

 

「…………レトナ? もしかして、食べたい?」

 

「食べたい」

 そう答えると、エイリアは笑って私の手を取って列へと並んだ。

 

 エイリアは何時もそう笑っている方が良いので、エイリアの為にも定期的にパフェに付き合ってあげるのが良いだろう。

 

 

 

 

 

 待つこと一時間。

 パフェが来るまで計算処理能力が低下していた気もするが、やっと来たパフェは見事だった。

 これは元第6艦長を打ち倒して良かった。

 優秀に生まれて、働いて成果を出せて、高い報酬と制作側に潤沢な維持予算があって本当に良かった。

 

 パフェの底にある最後のエネルゲン水晶。

 それをスプーンに乗せようとした時に、店が半分吹き飛んだ。

 エイリアは私が飛び込んで庇ったが、パフェも吹き飛んだ。

 

 イレギュラーか。

 

 

「努力しても報われない貧困層を虐げて、気にも止めず幸せと安全を謳歌する富裕層ども。

生まれ持っただけの立場と能力なんて、幸運だっただけだろう。

何故幸運を分け与えようとしない!!

その自覚も無いのか!!

ならば我々が、その幸せと安全を回収させて貰お────」

 

 

 即時に市街戦闘許可の承認を受け、同時にラーニングしたばかりの特殊武器『ロータスコープ』を展開する。

 対多数に有効な植物型独立デバイス、メタルロータスを多数配置する。

 この武器の最大の特徴は、直ぐに機能発揮出来ない代わりに、打ち出した直後はとても小さくて、消音性能も高い事だ。

 溜めると、寄生による洗脳効果も付与されるが、今回はスピード勝負なので使わない。

 

 

 

 長々と自分に酔って大声で叫ぶイレギュラーの足元タネ型の弾を転がす程度は、気が付かれずにやることは特に難しくはなかった。

 

 

 詰まらない演説が終わる前に、足元に転がった金属の睡蓮は、愚か者を絡み取って大輪の華を咲かせる。

 

 

 次いでモードを『スピード』に切り替える。

 特殊武器の性能も変わる。

 基本的には刀に効果が付与される。

 今回は合わせて、試作型属性付与機構(プロトアームドフェノメノン)から『風』を選択。

 

「鳳華乱咲斬」

 

 華のエフェクトを持つ水平方向の斬撃の数を風で増やしつつ、更に風に乗せて敵へと飛来させる。

 回りながら敵の位置を把握しつつ、そのまま斬撃を飛ばした。

 

 エフェクトは華だけでなく、自身の残像をも発生させるので、碌に狙いもしない敵の流れ弾が来たが、既にその位置に私はいない。

 

 

 

 メタルロータスの花弁と、華のエフェクトが散る事で、其々複数回発生する斬撃によって、全ての敵を一瞬で殲滅し、私は地面に降り立った。

 美しく魅せたのには、意図的なものはあった。

 私が美しければ美しい程、ビジュアルによって私に正義が映る。

 そうなれば、正義に倒される相手は、より同情の余地がない悪党として見做される。

 その為に私は美しくあるのだと思われる。

 人気者の敵はそれだけで嫌われる。

 美しき者が醜くき者に攻撃されれば、それだけで人は義憤する様に、美しい者が鮮やかに醜い者を倒せば、誰も醜い者の過去や主張等に興味も記憶も傾けなくなる。

 イレギュラーはその過去も境遇にも一切の同情無く、侮蔑されながら記憶もされず、犯罪歴だけ記録されて滅びるべきだ。

 …と、私が考えている事は、エイリアには見抜かれているだろう。

「程々にね」

 小声でそう聞こえた。

 

 

 

 

 周囲からの視線が集中していたので、敵意も害意も無いイレギュラー集団とは無抵抗な事を示す。

 スカートの裾を摘んで片足を引き腰を折る礼は、訓練に入れられる前に政府機関で学んだものであり、きっと非軍人(文民)達にも馴染み深いものだろう。

 

「酷いオーバーキルよ」

 エイリアだけが、小声で呟いていた。

 

 

 

 一瞬の沈黙の後、大歓声が沸き起こった。

 もしかしなくても私は褒められているのでしょう。

 やはり、政府機関の教えは間違っていなかった。

 こうやって市民からの好感度と知名度が高まれば、ゆくゆくは副隊長、隊長、そして総隊長や総司令官の地位も無い話では無いかも知れない。

 

「レトナって、多分今変な事を考えているけれど、見た目は絵になるというか品があるわよね」

 

 エイリアからの褒め言葉? を受け取る。

 身体も動かしたし、殺意もゴミ共に押し付けたので、気持ちも落ち着いた。

 

 

「良い!! 良いわぁ!!

残酷過ぎる程の美の格差社会の勝者をこの目に入れたからには────、さっき迄のデザインは全部ボォーーツッッ!!

あの明白に排他的な可憐さと、僅かに薫る残酷な艶やかさは、これまでのデザインではまーーったく足りていないわぁぁ!!!」

 

 マイマインが何か叫んでいるけれど、それも精神衛生上無視する事にする。

 私はエイリアとは仲良くしたいが、マイマインとはプライベートではあまり付き合いたくはない。

 

 

 

 それよりも時間は無限に近くあるが、エイリアと過ごす余暇は有限だ。

 やらねばいけない事をやろう。

 私は次に向かうべき場所へと、視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、レトナ…?

ひょっとして次は、あのエネルゲン水晶ケーキが食べたいの?」

 

 流石はオペレーターが本職なだけあって、相手の意図を理解するのが上手い。

 彼女であれば言葉にしなくても伝わるが、「ん」とだけ返答した。

 

 エイリアは溜息を付きながら私の手を取ると、私達は目指すべきケーキ屋さんへと足を進めた。

 …次は全て食べ切りたい。




レトナの特殊武器と必殺技
パワーモードとスピードモードでそれぞれ効果が変わる
また、属性付与でも一部変更される。

レトナの趣味:エレキギター
勿論引くのは、X2のカウンターハンターステージ。
自室でやっているヨーヨーは趣味ではなく訓練の枠組みらしい。
現在は『タングラー』という二つのヨーヨーの糸を絡めたまま回転させる技を練習中だが、難しいのは技そのものではなく相手にぶつけた後も技を続行させる事であるようだ。

レトナの私服
お母さんならぬエイリアが選んでくれるので、自分では選ばない。
レトナが着たい服なんてないので、服が駄目になったタイミングで、エイリアが着せたい服ばかり買うことになっている。
結果、如何にも一般人なら気後れして躊躇する服しかないが、それしか無いのでレトナは普段着として使い回している。
近くのコンビニにもイブニングドレスで行く系の女性型レプリロイド。
躊躇がないので、無難というか安牌的な発想はない。
服の数は驚く程少ない。


その後のアイリスさん
多分封筒だけ見て勘違いからソワソワしている。
後に文通相手()にイレギュラーに襲われている所を救出される。
女は弱く見せた方が得(という偏見を持てばそう見える)という発言をしたりしなかったり。
その後のカーネルさん
ソワソワした妹の様子にソワソワしてしまう。
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