親友がTSしてるんだけど、どう接すれば・・・?   作:朋也

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「理解者が居るって大事だよなぁ」
「まひろには僕がいるのです」
「おう、頼りにしてるよ」







知らない一面(色んな意味で)

 みなとが女の子になった。認めよう。うん。

 

 信じ難いが、現実ならしょうがない。目で見た物を真実と認めよう。―――それに、みなとを信じてる。そんな事は口が裂けても言えないが、親友を信じて騙されるなら悪くない。

 

 

 

 

 

「しっかし、本当に女の子なんだなぁ」

 

 改めてみなとを見る。縮んでいる慎重に細身が増した体格。色白な肌に伸びた髪は、間違いなく女の子のそれだ。それに―――。

 

「……うん」

「何処見て頷いたの?参考までに教えて?」

「いや……うん」

 

 何とは言わないが、……うん。でかい。うん。

 

「まぁ、聞かなくても大体分かるけど」

「簡単に分かられてたまるかい」

「……これでしょ?」

 

 そう言いながら、胸部の膨らみを下から持ち上げる。

 

「……いいえ?」

「うん、でいいでしょ」

「……いいえ?」

「語彙力ゼロかよ」

 

 バレバレのしらばっくれ。みなとは溜息を吐き、自分の胸を触りながら、

 

「結構重いんだよね。これ」

「そうなの?」

「肩凝りそうだよ。おもり付けてるみたい」

「おもりて……」

 

 男として、何て夢のない事を言うのだろうか。女の子の胸を触って出てくる言葉が『おもり』て……。

 

「心まで女の子になったという事か……」

「なんだろうね。自分のだと思うと触っても、別に?って感じなんだよなぁ」

「……そういうものなのか?」

 

 半信半疑だが、表情変えずに胸を触っている様子は、確かに嬉しいとか楽しいとかはなさそうだった。

 

「……まぁ、確かに?マッサージとかも自分でやっても気持ちよくないしな。それと似た感じか?」

「あぁ、近いかも」

「誰かに触られたら、また違うのかもなー」

「そうかもね。誰かに触られたら……」

 

 そこまで言って、二人の視線が合う。

 

 因みに今の状況は、みなとのベッドに二人並んで腰かけている。

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

 

 二人同時に顔が赤くなり、これまた二人同時に顔を逸らす。

 

「わ、悪い!特に意識して言った訳じゃねーぞ!?」

「う、うん! 分かってる……」

 

 早口で言い訳する。会話の流れ的に、じゃあ触ってみようみたいなノリに持っていこうとしている様に聞こえる。本当にそんな他意はなかった。

 

 気まずい空気が流れ、耐えきれずに横を見ると、みなとと目が合ってしまう。

 

 

 

「……ねぇ、ゆうた」

 

「何?」

 

「……触って、みる?」

 

「………………へ?」

 

 

 

 頬を赤くしたみなとが、視線を彷徨わせながら、

 

 

 

「確かに、自分じゃない誰かに触られたらどんな気持ちなのか、ちょっと気になるし」

「気になるったって……お前」

 

 

 

 それはつまりあれだよな?女の子の身体を、男の俺が触るって事で……。

 

 

 

「俺は男だぞ?」

「僕も男だよ?」

「……男の身体で女の子の身体を触るのは、訳が違うだろ」

「そうだけど、でも―――」

 

 

 

 彷徨っていた目線が、しっかりと合う。

 

 

 

「ゆうたなら、いいよ?」

「……」

 

 

 

 その言葉に息を飲む。この時の俺は、相手がゆうただとか、中身は男だとか、そんな事情は一切合切抜け落ちていた。

 ただ、目の前の女の子に、そう言われているってだけの、思春期男子だった。

 

 

 

「……本当に?」

「……うん」

 

 

 

 こくりと頷く女の子。勝手に持ち上がる右腕。心臓がバクバクし過ぎて張り裂けそうだ。

 残り数センチ。後ちょっとで到達する未知の領域を目前に、俺の手は止まり―――、

 

 

 

「―――やっぱりやめ―――」

 

 

 

 

 

「みなとー。ちょっといいー?」

 

 突然入ってきたかなたさんに現場を目撃される。

 

 思わず「あ」っと声が出てしまう。

 

 

 

「……あぁ」

 

「いや、違います、これは―――」

 

 

 

 俺が言い訳をするまもなく、すっと、ドアを閉め始め、

 

「やっぱり、アンタ達ってそういう関係だったんだね」

「やっぱりって何ですか!!」

 

 今日一番のツッコミが出た所で、俺の犯行は未遂で終わった。

 本当に未遂で良かったと心から思う。かなたさんには感謝しかない。

 

 俺は必死になってかなたさんを追いかけていったので、取り残されたみなとが何をしていたかは知らないが、きっとアイツも胸を撫で下ろしていただろう。

 

 一瞬の気の迷いで、その後の人生を台無しにする事にもなりかねない。そんな教訓を学んだ俺達だった。

 

 

 

「……ゆうたの馬鹿」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?誰かに触ってもらいたかった?なら、私が触ってあげよう」

「え?いや、ちょっと姉ちゃんそれは―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ……、もうお嫁に行けない……」

「貰い手ならそこにいるじゃん」

「はは、……冗談でも止めてください」

 

 膝の上でシクシク泣いているみなとの頭を、あやす様に撫でながら、

 

(……部屋から出てたから見えてないけど、あんな声出すんだな、こいつ)

 

 親友の新たな一面を垣間見て、何とも言えない複雑な気持ちになりながら、少しだけ、頬が熱くなる。

 

「―――あー、そう言えば、言い忘れてた」

 

 部屋から出ていく前、かなたさんが振り返って何の気なしに、

 

 

 

「明日から、女の子として学校行く事になったから、準備しておいた方がいいよ」

 

「「……え?」」

 

 

 

 二人で同時に聞き返す。俺達の疑問に答えてくれる素振りもなく、ひらひらと手を振って退出するかなたさん。

 

 残された俺達は顔を見合わせ、またしても同時に、今度は首を傾げるのだった。







「おいおい、ゆうた君のメンタルが心配だよ」
「お姉さんとの描写がっ……!」
「難しいよねぇ~」
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