大魔族『赤血のリュグナー』   作:禪院魔虚羅

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元が人間だったせいで悪意とかを理解はしているけど今世の体に引っ張られてるせいでそれらを持っているかと聞かれると「微妙」と答えるしかない転生リュグナーです。


赤血と葬送

 

 

穿血(リームシュトローア)

 

 

 原作で『魔法はイメージの世界』という言葉が出たようにこの世界の魔法使いにおいて重要視されているのは『イメージ』だ。

 俺にとって血を操る魔法(バルテーリエ)とは赤血操術とほぼイコールなので、どうしても水に弱いという弱点を克服できなかった。

 その代わり、水場でも戦えるように体内の血液操作の向上と水を使った擬似的な穿血…言ってしまえばハイドロ凡夫の習得に時間を割いた。

 

 ……とはいえ、魔族の血由来の人間に対する毒は無いし、血を操る魔法に比べれば練習の頻度も時間も少ないので威力も射程も速度も落ちたものなのだが。

 

 

 ここに来た理由は幾つかある。

 フェルンとシュタルクに明らかに人間では無い生物相手の経験を積ませたかったから。これは、のちのちこの二人が魔族相手に戦闘をすることになった時に役立つと思ったから。アウラ様?……ああ、うん……別に忠誠心とかある訳じゃないし……いつも通り魔力抑えながら穿血の練習してたら話しかけられて適当に相槌返してたらいつの間にか部下認定されててちょうど良かったからここに来ただけだから。魔族の体とは存外に面白いもので、結構な期間を共に過ごしたはずなのに仲間意識なんかが芽生えることは無かった。

 

 

「む?」

 

 

 避けられた。いや、正確には『たまたま』避けられたと言うべきか。

 元より消耗しきっていたシュタルクが水草に足を取られてずっこけた。しかも綺麗に一回転して俺の腕を蹴るおまけ付き。穿血もどきが終わる前に腕をずらされたので当然その分の被害も出る。今回はそれが伯爵の居城の一部と周りの地面だった。

 

 そこで、街の外からかなりのスピードで魔力が近付いてきた。

 

 

「来たか、フリーレン」

 

 

 俺がこの街に来た二つ目の理由、それがフリーレンに対して自分がこの魔法でどこまで通用するのか試してみたいというものだった。魔族の中には武人のような考え方をする個体もいるそうで恐らく俺もそれに分類されるのだろう。

 

 結界に関する魔法は既に見つけてある。自分だけを通り抜けられるようにして飛行魔法で正門から抜けて百斂を生成する。

 

 

 

──────────

 

 

 

 正門からこちらに突っ込んでくる魔力反応を感知した次の瞬間、フリーレンの視界が『赤』を捉えた。

 

 

 斜め上に上昇してつい先程まで自分がいたところを見ると、そこには既に赤い槍が存在していた。

 

 血の槍が自身を追尾するように上昇してくるのを確認してから、フリーレンは飛行を再開する。

 

 

(アイゼンが言った通り初速は速いけど時間が経つにつれて勢いが衰えてる…それでもこの規模は……)

 

 

 少しだけ背後に目線をやると、そこには先程の穿血によって切れ込みの入った森が広がっている。

 

 

「実体を持つ血による圧倒的貫通力の一点集中型攻撃…分かってはいたけど現代の防御魔法とは相性が悪すぎる……」

 

 

 穿血をかわしつつ飛行しているフリーレンの口からそんな言葉が漏れてきた。

 

 

魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 

 射程圏内に入るや否や、フリーレンは一つの魔法を発動した。

 射程と速度に優れ、圧縮する事でより離れた位置にいても最低限の威力を保証するそれは血の槍の出処にいるリュグナーの頭を吹き飛ばさんと襲いかかった。

 

 それに対するリュグナーの反応は身体を僅かにそらすことでかわすのみ。

 回避行動から続けて再び両の手を合わせて先程の魔法が放たれた位置と魔力感知から割り出したフリーレンの位置へ手を向ける。

 

 

穿血(バルテーリエ)

 

 

 

 

 

「……本当はフェルンの方がこういうのは得意なんだけどね」

 

 

 お見舞いされた血槍に対するフリーレンの返答は、再度の『魔族を殺す魔法』。それも今度は二つの同時発動。

 

 

「おっと」

 

 

 互いの姿が見えない遠距離からの魔法の応酬を行いつつ、互いに距離を詰めていく。

 その行動を繰り返し、ついにお互いの姿が素の身体能力でも視認できる距離まで近付いた。

 

 

「……久しぶりだな。フリーレン」

「………あの時は色々あって逃がしたけど今日、ここで殺す」

 




なお、無闇に近づくと魔力の身体強化+赫鱗躍動でとんでもないことになる上に、数で勝負すると空を飛び回って360°あらゆる方向に穿血を撃ちまくる化け物が誕生するので、少数精鋭である程度距離取りながら戦うのが最適解。
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