我ら、モンスターニャンターxx イニシャル「I」 作:汐見坂
-モンスター-
古の時代より存在する生命。時にその強靭な翼で空を翔け、時にその巨大な四肢で大地を揺るがし、時にその咆哮で領域の主となる。
そんな大自然の脅威とも言える存在が蔓延る大陸において、人間とはちっぽけな存在である。モンスターの爪や牙にかかれば、人間の肉体なんて風前の灯のように消えてしまう。何十年かけて作った国や村だって、一夜にして廃墟と化してしまう。
だが、人間とてモンスターに蹂躙されるままではなかった。
「ベルナ村に一人のハンター有り」
大陸にポツリと存在するベルナ村。ある時、この村に一人のハンターがやってきた。
次々に村の脅威を退ける彼女のことを村人は口を揃えてこう言った。
「変わり者の英雄」と。
始め彼女が村にやってきた時、その手に持つのは片手剣だった。その相棒を片手にクエストをこなしていく中で、彼女とその手の剣は成長していった。しかし、彼女にある依頼が舞い込んできたときのことである。
それは森丘に出現した-電竜-ライゼクスの狩猟依頼であった。ココット村からの出張となるものの、ハンターとしての信頼をより確固なものにし、村の発展に寄与する機会だ。もちろん、彼女もこの依頼をすぐに受けた。しかし、「準備をする」と言って自身の家に入ってから少し。出てきた彼女の姿をみて見送る皆は唖然とした。
全身を包むのは紫色の棘が特徴的なガルルガシリーズ。だが問題はそこではない。背中に背負うのは飛甲虫の甲殻や羽を使った、アルクセロブラン。「弓」だ。
驚く皆の視線に気づいた彼女は相棒を手に素晴らしい笑顔でこう言った。
「ずっと使ってみたかったんだよね」
程なくして、森丘のライゼクスは彼女に討伐された。
それからというもの、彼女は目まぐるしい活躍でその名を大陸中へ轟かせた。モンスターの情報があるならばそこへ駆けつけ、依頼をこなす。ギルドだけでなく、村人からも依頼だって数えきれないほど受けてきた。
彼女の姿は西へ東へ伝えられ、まさに英雄として名を馳せたのであった。
そうしていく内に、
彼女は飽きたのだ。
最後に彼女が残した言葉はこうだ。
「ちょっと別の自分になってみるよ」
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マスター「というのが世間一般で言われている通説ですね。」
地上の遥か上空。モンスターとけ簡単には飛ぶのことのできない空を龍識船は進む。そんな中にポツンとある酒場のマスターは、こんな話を今日の客にした。
身長は自信の腰ほどしかなく、床に届かない短い足には肉球が付いている。黒い毛で覆われた体には、細い尻尾がピシッと立っている。
何より目を引くのは、後頭部に付けられた一つ縛りの髪の毛。「付けられた」というのは、これがカツラだからである。
アイラ「てことは、真実は違うのかニャ?」
人語を話すこの猫型モンスターはアイルーと言われている。人間にとってモンスターとは恐ろしいものだが、中には共生の道を辿った種もある。アイルーもその一つであり、中でもハンターと共に狩猟をサポートするのは「オトモアイルー」と呼ばれているのであった。
ここに座っている「アイラ」もその1匹だ。
まあ少しだけ違うのは
彼女は人間のハンターなしで依頼を受けてしまう「ニャンター」なのである。
マスター「いえ。crolia様と人柄そのものが正しく伝わってますよ。まぁ、これだと本当にただの変わり者なのですが…」
アイラ「なるほどニャ…」
しばらくうんうんと唸った後、アイラはふと思いついたように席を飛び降りた。
マスター「もういいんですか?」
アイラは振り返って笑うのだった。
アイラ「とりあえずこのくらいでいいニャ。やっぱり、私たちのご主人様はかっこいいってことがわかったからニャ」