主人公が曇らされてばっかりの世界に、一般通過過負荷(マイナス)が、ダイナミックエントリー!   作:霓霞霖

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4 MEMORY OF FORAY

 護廷十三隊・観測班。後に創設される技術開発局がその任務・権限を引き継ぐ、霊力的な観測を担うそのグループから、総隊長・山本元柳斎は1つの報告を受けた。

 

 藍染惣右介の霊圧が、消えた。

 

 彼の霊圧が観測できなくなったのではなく、彼の霊圧が消え去った事を観測したのだ。

 あの叫谷(きょうごく)モドキに入った瞬間、霊圧は観測できなくなっていたのだが。その霊圧が観測できるようになった上で、その霊圧が消え去った事を観測した。

 これが意味するところはつまり、藍染が死んだという事。

 

 そして、その死体をこの尸魂界(ソウル・ソサエティ)にわざわざ持ってきた存在があるという事。

 

 山本元柳斎はそれらの事を、藍染を殺した者が叫谷(きょうごく)モドキから尸魂界(ソウル・ソサエティ)に侵攻してきたと、判断した。

 

 即座に、護廷十三隊全隊長に、招集がかかる。

 

 

 

「山じい。惣右介くんがやられたって、本当なの」

 

 一番隊隊舎、隊首会と同じ会場にて。自分含めてまだ3名、一番隊隊長・山本元柳斎、三番隊隊長・鳳橋楼十郎(愛称・ローズ)、八番隊隊長・京楽春水しか居ないこの場で、暇にかまけて京楽が招集の理由について話し合おうとしていた。

 そう。『暇にかまけて』、である。

 

「黙っていよ、春水。まだ揃うておらん」

 

「いや、だって皆遅いんだもの」

 

「……さすがに、遅すぎませんか。……ボクもそんなに、準備が手早く済む方ではないんですが」

 

 ここに居る3人は、違和感を覚えている。護廷十三隊全隊長の中で一番新任のローズが、恐る恐るにそれを指摘してしまう程だ。

 他が、いくら何でも遅すぎる。ローズも京楽も、とりわけ早く来た訳でもないのに。

 だから、皆神経を研ぎ澄ませ、わずかな違和感も逃すまいと、霊圧感知を働かせていた。

 それでもなお―――

 

「僕が全員()ってきたからね」

 

―――この男の登場を、感知できなかった。

 ただ、元柳斎は手が早い。

 

「おや……/

     /これはなんとも」

 

 突如現れた男を、元柳斎は切り捨てた。

 男の頭は、切られた首から滑り落ちる。

 

「……山じい。……ボクも敵だって直感したけど」

 

「……総隊長。……事実確認をせずに殺すのはさすがに」

 

「……うむ、すまぬ。つい手が出た」

 

 京楽、ローズ、元柳斎は倒れ伏した敵を囲み、困惑していた。

 弱すぎる。現れた瞬間に感じ取った不気味さと、まるで反比例するように。

 これでは、この男が、この見知らぬ洋服を来た存在が本当に藍染も、3人以外の隊長を殺したのか、疑わざるを得ない。

 そうして疑った末に、ここに居る3人は他隊長の霊圧を探る。

 

「……春水、すぐに観測班の下へ。他の者の霊圧がいつ消えたか、調査させよ」

 

「分かったよ、山じい。すぐに―――」

 

「その必要はないよ?」

 

 元柳斎の指示の下、京楽はすぐに動こうとするが。それは、第三者の声で阻まれた。

 その声が、倒れ伏したはずの者、その声と、一緒だったから。

 首を切り落とされて倒れ伏しているはずの男が、五体満足で自分たちの目の前に立っているから。

 

 元柳斎も、京楽も、ローズも、この現状に頭が追い付かない。行動も、思考も、硬直する。

 その間に、男は好き勝手する。

 

「死体は、持参してきたから」

 

 

 

「『口寄せ・穢土転生』」

 

 

 

 隊首会、その会場の床を、いくつもの木棺が突き破る。

 最終的に出てきた木棺の数は9個。数が、ここに居ない隊長の数と合っている。

 しかも、その木棺に数字が書かれており、二、四、五、六、七、九、十一、十二、十三と、ちょうどここに居ない隊長が所属する隊番号と同じだ。

 

 その木棺が、蓋を開ける。

 

「なんてね」

 

 だが、中身と共に、崩れ落ちた。それぞれの番号に合った隊長の、その死体と共に。

 端的でメタ的な話、『口寄せ・穢土転生』という発言は嘘だ。

 その木棺は、その発言主が殺してきた者たちの死体を運んだだけにすぎない。

 崩れ落ちた死体は、丹念なまでに頭と胸に大きな釘を突き立てられた、物言わぬそれにすぎない。

 

「ちょっと読者(あっち)に向けて話をするけど。さすがの僕も『穢土転生』の再現はできなくてな。一時的とはいえ、死者を復活させるとかチートもすぎるでしょ。さすがは卑劣様って感じ」

 

 不気味な笑みを浮かべる男は、ただ実情を語った。

 でも、元柳斎たちには訳が分からない。護廷十三隊の隊長9名が、この短時間で()られている事も。この男が差す『あっち』とは、どこを差してのモノなのかも。この男の真意も。

 

「さて、『初めまして』から始めようか。僕は八倉海。君たちには是非とも『カイ』と親しみをこめて呼んでほしい少年であり、君たちが『叫谷(きょうごく)モドキ』と呼ぶ空間・『狭間空間』の主であり、惣右介くんも9名の隊長も殺した下手人であり―――」

 

 

 

「―――君たちの敵だ」

 

 

 

「卍解!『金沙羅舞踏団(きんしゃらぶとうだん)』ッ!」

 

 不気味さを溢れ出させた男・カイ。その不気味さに耐えられず、咄嗟に奥義・卍解を切ったのはローズだった。

 彼の卍解解放に呼応し、空中には指揮者の如き手、右手に指揮棒を持ち、左手は空のそれが浮かび上がり、バラの花を思わせる意匠を顔に添えた人形が数十体居並ぶ。

 ローズの指揮に合わせ、空中にある指揮者の手も指揮棒を振るい、何処からともなく音楽が響く。そうすれば、人形たちは音楽に合わせて踊りだし、舞台を創造する。まやかしの舞台を。

 

「第一の演目、『海流(シー・ドリフト)』!」

 

 最初の演目により、人形たちがカイを取り囲み、うねる海流を生み出す。

 

「わぷっ、『水のないところでこのレベルのの水遁を』、なんてね」

 

 カイは見事に海流に呑まれ、今にも溺れそうだ。発言だけだとすごく余裕そうだが。

 

(効いているっ!総隊長に切られても死んでいないのは、どんな仕掛けか分からない。だが、もはやボクの術中だ。ボクの音楽からは、もう逃げられない!)

 

 ローズは、カイに自身の能力が通用している事、音楽による幻覚にかかっている事を確認し、勝利を確信した。

 

「今回は特別に略式と行こう。キミのおかげでインスピレーションを得られた。そのお礼に聞かせてあげるよ。題して―――」

 

 

 

「―――最終演目告別(アブシヅ)

 

 

 

 カイの足元から突如として現れた棺桶が、カイを閉じ込める。

 そして、その棺桶はまさしく火葬場のような炎に取り囲まれた。

 他隊の隊長たち、その死体を棺桶に入れて持ってきたカイへの、ローズなりの意趣返しである。

 ローズはまやかしの中で、カイを火葬する。

 幻覚であるはずのそれは、間違いなくカイの心を蝕み、本当に火葬されているかのような外傷を与えていく。

 

 以って、カイは骨を残すのみとなった。

 

「自慢だが、良い音楽だったろう?」

 

 ローズは、卍解を解く。幕は下りる。

 

 ローズの幕が。

 

「悪くないけど、趣味じゃないね。僕、アニソンやボーカロイドが趣味だからさ。と言っても、最近のトレンドは追えてないんだけどね。ボカロなんて、僕の中じゃ『砂の惑星』が最新作さ」

 

「……は?」

 

 先ほど告別式もとい火葬が行われたはずの存在が、何食わぬ顔でローズの目の前で不気味に笑っている。

 ローズには、訳が分からなかった。

 手応えは確かにあったのだ。間違いなく倒せたはずなのだ。

 

「どうしたんだい?そんな、テキトーにパルブレ振ったらカウンターパイル貰ったような顔して。あれビックリするよね。真レイヴンってだけでかっこいいのに、パイル担いでしっかり当ててくるんだもん。ま、『ACⅥ』(今作)のパイルは結構当てやすいって評判だけどさ」

 

「……何故、生きてるんだ」

 

「ん?何故生きてるって?それは哲学的な話?そういう問答は()めない?『『人間は無意味に生まれて』『無関係に生きて』『無価値に死ぬに決まってるのにさ』』、なんてね」

 

「なんでボクの音楽を聴いて、死んでいないんだ!」

 

 当然、ローズは哲学の話をするために、そう問ったのではない。

 どうして死んでいないのか、ローズにはまるで訳が分からなかったのだ。

 再生したとか、幻覚だったとか、そんなレベルではない。

 

「『死んでいない』?まるで、僕が君の音楽を聴いて死んだみたいな物言いだね。()()でも見てたんじゃない?」

 

「夢……?」

 

 そう。それはまさしく、寝て見る夢のようだと、ローズは感じていた。

 確かな手応えがあって、現実感もあったのに、1つ瞬けばそんな現実なぞなかったかのような。

 

「ともかく、残念。君では、僕を殺せそうにない。という訳で、『いっぺん、死んでみる?』なんてね」

 

「か、は……」

 

 倒れ伏す他の隊長たちと同じく、ローズは頭と胸に大きな釘を突き立てられた、物言わぬ死体となった。

 

「……静観とは、随分と薄情じゃないか。なぁ、山本元柳斎重國、京楽次郎(じろう)総蔵佐(さくらのすけ)春水。……やっぱ、相手をフルネームで呼ぶと、強者感出るよね」

 

 不気味な笑みと、意味不明かつ嘲るような言葉が、元柳斎と京楽の心にチクリと刺さる。

 カイの指摘は、(もっと)もなのだ。2人は、恐怖で確かに強張っていたが、恐怖など何度も飲み込んできた。

 動く事はできた。でも、2人は動かなかった。カイの能力を推し量るために、薄情にもローズを当て馬にした。

 それが、清濁併せ呑んで隊長を長年勤めてきた、2人の考えだったのだ。

 ただ、悲しい話、ローズは犬死となった。2人は、カイの能力を推し量れなかった。

 

「……君、『僕を殺せそうにない』って言ったね」

 

 だから、京楽は会話で引き出そうとする。せめてカイが攻めてきた動機だけでも、知ろうとする。

 

「素晴らしい、さすが京楽隊長。話が早くて助かるよ、僕は冗長的な雑談も好きだけど」

 

「……その発言からすると、死に場所を探してたりするのかねぇ」

 

 相手が乗ってきた、言葉通り雑談好きと見るや否や、京楽は会話を続ける。

 

「その辺りは話しちゃって良いかもね、別に隠す程大層な野望でもないし」

 

 カイは、薄かったその目を、腹を割るように大きく広げる。

 

「僕はね、完膚なきまでの敗北がしたいんだ」

 

 見せ付けられた真っ黒な瞳。濁りのないそれを披露しながらの発言は本音であると、京楽には窺える。

 しかし、底が見えない。どこまでも真っ黒な瞳だ。どこまでも暗い野望だ。

 それは、京楽たち(プラス)には理解できない、過負荷(マイナス)だ。

 

「……誰に打ち明けても、初見じゃそういう反応されるんだよなぁ」

 

 京楽と元柳斎が唖然としている様子に、カイは理解を得られなかったと苦笑した。

 

「君たちが理解しやすいところまで要約すると、不死者のテーマだと思ってくれれば良いよ。不老不死になってみたものの、永遠の生には不幸ばっかりで、生きるのが辛くなった。だから死にたいんだけど、不老不死だから死ねない。それでも死にたいから、自分を殺せる相手を探してる、みたいな。ま、これも100年どころか1,000年以上生きる君たち死神には分かりづらいか。僕もまだまだ300代だからね、永遠の17歳だけど。若造が世を儚んでなんか言ってるよ(笑)(かっこわら)って感じ?」

 

 フィクションでよく取り扱われる、不死者のテーマ。死にたいけど、物理的に死ねない。

 カイの野望は、酷く内容を薄めると、そのテーマに似ている。あくまでも似ているだけだが。

 

「……なるほど、よく分かったよ。じゃあ、ボクが本気を出すって言ったら、君は付き合ってくれるかい?」

 

「喜んで。そのために君たちを残したんだ」

 

 何故、ローズ、京楽、元柳斎の3人を残したのか。

 カイの知る限り、その3人が自分を殺し得る可能性があるからだ。

 他の隊長にも可能性がある者は居たが、それはカイが手札を知らない相手。カイはその希望には縋らなかった。いつだって、希望に裏切られてきたから。

 

「ボクの能力、知ってるみたいだね、どうも。じゃあ、ちょっと表に出てもらえるかな。ボクの卍解、無差別だから」

 

「好きな場所を選びなよ、僕は『行けたら行くから』、なんてね。ちゃんと追いつくから、お先にどうぞ?」

 

「それじゃあ。……山じい、先に逝ってるよ」

 

「春水……っ」

 

 京楽は、死ぬ気である。

 それはそうだ。京楽の卍解は、道連れと言って良いモノ。だから味方を巻き込まないために、使う場所も使い処も選ばなければならない。そうするだけの意味があり、そうするだけの威力がある。命懸けになるとしても、敵1人は絶対に持っていけると。

 そんな京楽の考えを、元柳斎は読み取った。止めようと手を伸ばした。

 でも、京楽はこの場を後にする。消えたかのような高速移動、死神の歩法・瞬歩によって、京楽は味方を巻き込まぬように離れ、死に場所を選ぶ。

 そうして、カイの目の前から京楽が消えた時である。

 

「良い事思いついちゃった」

 

 天才だと自画自賛する発想を得たカイ。彼は、口で三日月を描いていた。元柳斎に、殺意を向けながら。

 カイの敵意に反応した元柳斎は即座に応戦、己が刃たる炎でカイを焼き尽くそうとするのだった。

 

 

 

 尸魂界(ソウル・ソサエティ)の中核都市である瀞霊廷(せいれいてい)の外。流魂街(るこんがい)の端の端。

 地名も付いていないような場所で、京楽はカイの到着を待つ。

 

「『待たせたな』、なんてね」

 

「……遅かったじゃないか。すぐに来てくれるもんかと思ってたけど、いったい何して―――……っ!」

 

 京楽が瞬いたその時に姿を表したカイ。文字通りの瞬間移動。そんないまだ底が知れない相手に対し、左程待っていなかったはずの京楽は、余裕を取り繕うべく軽口を叩こうとしたのだ。できなかったが。

 

「山、じい……?」

 

「あ、もう気付いちゃった?ま、さすがに17歳男性平均以下の体じゃあ、隠しきれなかったよね。という事で。サプライズ・プレゼントだっ、京楽次郎総蔵佐春水!プレゼントの内容はなんとっ、山本元柳斎重國の死体で~~~~~~す!先に逝けなくて残念だったね~~~~~~~~!」

 

 カイが体で隠そうとしていた、左手で引きずった人の影。それは、元柳斎の死体。他の隊長たちと同様に胸と頭に15寸の釘を打たれた、生前の覇気が一切ない亡骸。

 カイは気付かれたそれをこれ見よがしに掲げた。さも、現実を突きつけるように。

 

「総隊長の炎ならワンチャン精神やら魂やらごと燃やしてくれるかもと思ってたんだけど。ぶっちぇけケツカッチンなんだよね。君の後に元柳斎戦も書くとなると、一話が想定より長くなる。だから、()っちゃった☆」

 

「……まいったね、どうも」

 

 狂人の狂言は、京楽の耳を通り過ぎていった。

 総隊長が、戦って負けるとは、想像もできなかった。師匠が、自分より先に逝くなんて、考えも付かなかった。

 だから京楽は、そんな状況に相対して、こんな感情を抱くとは、思ってもみなかった。

 

「……卍解。……『花天(かてん)狂骨(きょうこつ)枯松心中(からまつしんじゅう)』」

 

 今、京楽の中にある感情は、弔意だ。

 せめて敵を道連れにして、師匠の、仲間たちの無念を晴らす。

 真っ暗な感情が、京楽の胸に満ちている。

 

「初手で卍解を切ってくれるとはね。サプライズをした甲斐があったよ」

 

 日没時のように暗くなった空を見上げ、カイは笑みを深めている。

 この展開を、カイは望んでいたのだ。道連れを強制する京楽の概念攻撃を、カイは誘っていたのだ。

 

「……」

 

「問うてはくれないんだね。『今のキミに世界はどう見えてる?』って」

 

 京楽は、2本セットの斬魄刀を構え、ただ佇んでいる。お約束だろう問答を楽しみにして、返す言葉も用意していたのだが、無用となった事にカイは勝手ながら寂しく感じた。

 

「仕方ない。問答に付き合ってくれないなら、戦闘に付き合うよ」

 

「……っ」

 

 突如として、京楽の右脇腹を大きな釘が穿つ。

 いつ穿たれたのか、京楽にも視認できなかった。

 だが、これで良いのだ。

 

「一段目、〝躊躇疵分合(ためらいきずのわかちあい)〟」

 

 男女の悲恋劇、あるいは女の愛憎劇が、開始する。

 一段目で、京楽が受けた傷を、相手にも与える。

 そしてここから連なって、三段目、あるいは(しめ)の段まで辿っていく。

 

 はずだった。

 

「……、……!」

 

 いつまで経っても、二段目に移行しない。この事に、享楽は目を見開いた。

 享楽の卍解には、欠点があったのだ。

 

「ねぇ、いつになったら〝慚傀(ざんき)(しとね)〟が発動するんだい?一段目じゃ傷付け合っても死なないんだろう?……まさか、僕が慚傀しなくちゃ始まらないって、オチじゃないよね?」

 

 カイがまさかと最悪の予想をするが、そのまさかなのである。

 二段目〝慚傀(ざんき)(しとね)〟は、敵が後悔しないと始まらない。京楽の術中に嵌められた事を恥じなければ、慚傀しなければ、発動しないのだ。

 最初から『花天狂骨枯松心中』の効果を知り、京楽の術中に自ら嵌まりにいった、京楽を攻撃した事になんの悪びれもないカイが、恥も悔いも抱くはずがない。

 

「……万事休す、だね」

 

「あ、そ。じゃあ、『平和の中で休んでろ(rest in peace)』、だ。ハッピーで埋め尽くせなくて、本当に残念だったね」

 

 京楽は、胸と頭に15寸の釘を穿たれた。

 呻く事もなく、酷く静かに、京楽は倒れ伏す。

 彼は、悪夢の中で、安らかに眠った。

 そんな彼の姿に、カイは溜息1つ吐いて感傷を終える。

 

「……さてと。……君たちは、期待外れじゃない事を祈ってるよ?」

 

 カイは瀞霊廷(せいれいてい)の空を見る。

 そこにあるはずの、とある宮殿に思いをはせる。

 

 

 

「それじゃあ戦おう、(ゼロ)番隊」

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