「作楽冷泉。気軽に冷泉と呼んでくれ」
発する者によっては無愛想と取られるような自己紹介だったが、幸いにも好意的な態度の人間ばかりであった。
一クラス、三十人程度。男女比は半々。関心を向けてくる人間が多数だが、これも編入生の宿命である。担任の案内に従って席に座ると、ホームルームが始まった。連絡事項やテストの予定などが周知されるが、これらは学生サイトからでも閲覧可能な情報であるがゆえ、右から左に聞き流す。
回ってくるプリントの束を後ろに渡しながら、冷泉は考えていた。
プレイメイカー、ソウルバーナー。高度な人工知能『イグニス』と共に在る、
デンシティの──おそらくこの高校に通う学生であることは確定的だ。リンクヴレインズにログインできるのは、この街に住まう者だけ。そして性別も、双方男であろう。風、闇、炎。冷泉が目にしたイグニスは全て男性であり、そのオリジナルも恐らくは男性。仮想世界とはいえ、女性にあそこまで身体のラインが出る装いをする者はなかなかいまい。
それから、デッキを弱いものに偽装しているデュエリスト。正体を悟られぬようにするためだろうが、冷泉からすれば悪手だ。舐められる、面倒な人間に絡まれる、逆に勘づかれる。愚行もいいところである。
旧式のデュエルディスクを使用している者もそうだ。大抵の人間は、AIによるアシストの為に、一定以上のバージョンのOSに対応したディスクを所持している。しかし、保有者は、そのソフト──もちろんイグニスのことだ──に対応するためか、旧式のディスクを使用している。
これらの事象から導き出される条件は、大まかに三つ。
・一つ、この学校の男子生徒。
・二つ、デュエリストであるがデッキは弱い。
・三つ、旧式のデュエルディスクを愛用している。
この全てに当てはまれば、高確率でプレイメイカーかソウルバーナーのリアルであろう。否、特定したところで、メリットがなければ接触する気などないため、早期の特定に意味などないのだが。
しかしそれでも、情報というのは──
「作楽。ちょっといいかい?」
思想にふける冷泉を、一人の声が引き戻した。どうやら、ホームルームが終わり次の準備時間のようだ。もっとも、次はロングホームルーム──所謂総合、などと呼ばれる授業のため、用意するものは無い。
「……ああ。君は?」
「俺は田中。気軽に田中って呼んでくれよ」
「それはおれの自己紹介を揶揄してるのかい? 田中。あと、さっきも言ったが冷泉でいい。苗字は変わったせいで慣れねえんだ」
「なるほど……じゃあ、冷泉って呼ばせてもらうわ。よろしくな。早速だが一つ質問を。君、デュエルやるだろ?」
その質問が何を意図しているのか、冷泉は図りかねた。刈り上げた髪にフチなしの眼鏡、その奥には細い目がある。
──こいつがあの二人のどちらかだと?
「……なぜ?」
有り得ない。そう断言しつつも、冷泉の口から出たのは短い問いだった。
「プリントの触り方とか、指の使い方とかだな。結構分かりやすいぜ?」
「……へえ。なかなか鋭い目をお持ちのようだ。当たり。おれはデュエリストだ。ただし、紙限定のな」
「紙のカードが好きなのか! なあ、この学校ってデュエル部があるんだけど、興味ないか?」
「部活動ねぇ……」
「毎週放課後に集まってるんだ。今日は午前で授業が終わるから活動があるし、良かったら来てくれよ」
なるほど、打算的──言い方が悪いが──ではあるが、冷泉の想定していたようなものではなかった。同時に、これも好機と言えるのではないか、と考える。
大袈裟な言い方になるが、身分というものは重要だ。住所や年齢だけでなく、学校内であれば部活動だとか委員会だとか。この時期からやって来た冷泉に委員会への所属は望めないし、自由な時間が減りすぎるためやる気もない。だが、部活動なら話は別である。田中曰く『毎週放課後』とのことであるし、活動自体は頻繁では無い。編入してきたばかりの冷泉を誘うあたり、規模自体もさほど大きいわけではなさそうである。
幽霊部員にならない程度に顔を出し、関係を持つ。それに、紙でもデュエルモンスターズをプレイする人間は現代には少なく、関わる人間も多くなりすぎないであろう。
冷泉は逆に、この状況を利用できると考えていた。得体の知れない編入生。しかし、社交的な面もあり部活動にも所属している……そういった印象を持ってくれるのではなかろうか。それに、交友関係を持つことで得られる情報もある。いずれは彼らにたどり着けるかもしれない。
極めて軽い調子で、冷泉は肯いた。
「いいぜ。それじゃあ、案内してくれよ」
「勿論! また後でな」
そう言って離れていったしばらく後に、チャイムが鳴る。今日もデッキは持ってきている。昨日使ったものも、『見せる用』のものも含めて。
案内されたのは、校舎の隅にある教室だった。既に集まっているようで、入ってきた田中に「遅いぞ」と声がかかる。
「すみませんって。部長、入部希望者を連れてきました」
「入部希望者? 九月に?」
「転校してきたんですよ。──こちら、2-Cの作楽冷泉。で、この人が部長の細田先輩」
細身に大きめの眼鏡をかけた生徒が、握手を求めてくる。拒否する理由もないため、冷泉も手を伸ばした。
「作楽冷泉です。ここには転校してきたばかりですが、よろしくお願いします」
「部長の細田だ。入部希望者は大歓迎だよ」
入るように案内され、二人は教室へと足を踏み入れる。女子が一人と、男子が部長を含めた四人。意外と規模は小さいのだろうか。
男子生徒の一人が手を挙げた。
「せんぱーい、今日は藤木いないんですか?」
「藤木は来ないらしいぞ、メールが来てた。というか島、同じクラスなのに把握してないのか?」
教室に居なかっただけで知らないんですよ、と『島』と呼ばれた男子は返す。どうやらもう一人部員がいるらしい。
「じゃ、揃ったところで新入部員の紹介だ。作楽くん、自己紹介をお願いしてもいいかな」
「はい。……二年の作楽冷泉。苗字は呼ばれ慣れていないので、気軽に冷泉と呼んでくれたら嬉しいです」
微笑んだ冷泉に、一際強く視線を向ける者がいた。唯一の女子生徒であるが、名前も知らなければ顔も覚えがない。着席した冷泉に、各々が自己紹介を始める。そこで漸く、彼は女生徒の名前を知ったのだ。
「一年の財前葵です。よろしくお願いします」
容姿に反して、やや幼いものだった。しかし、その声は強い意志に裏打ちされたもの。
特に波風もなく終わったこの時間だったが、冷泉の中にはひとつの確信があった。──この女、何かしらの理由でこちらを探ろうとしているな、と。
「今日は新学期の節目で集まっただけだから、特に活動は無い。気が向いた人だけでフリーでもやろうかと思っているんだが……」
「冷泉、デッキ持ってる? 良ければ貸すけど」
「その必要は無い、ちゃあんと
鞄をつついて示すと、好きなデッキについての話に移り変わる。
「そうだな、コントロール系のデッキをよく使うよ。単純なビートダウンも嫌いじゃあねえが、対面の動きを操るのが好みでな」
「爽やかなのに戦術がやらしいの。腹黒ってやつ〜?」
「掌で転がる相手を見るのは誰だって好きだろ?」
「うわっ、ドS〜。そんじゃ、一戦やろうぜ!」
田中の提案に冷泉は頷いた。葵は未だ、こちらをじっと見ているまま。
──気付かれていないと思ってるのか? お子様らしく、腹の探り合いには向いてないね。心中で呟いて、冷泉は鞄からデッキケースを取り出した。
並べたのは個別に収納できる小型のケースだ。余剰スペースにも入れやすいため重宝している。青、水色、緑。三種類のそれを示して、冷泉は言った。
「大会用、フリー用、ビルダー寄り。好きなのを選んでくれよ」
「じゃあビルダーで! 俺も
「ほぉう? そいつは楽しめそうだ」
田中もデッキを取り出し、寄せられている机に置く。センターマーカーを置いて、手早くシャッフルしたデッキを相手に渡す。
「お互いのデッキを」
「カット&シャッフル」
「運命の」
「ダイスロール」
デュエリストであれば、知らない者はいない動画投稿者の台詞。冷泉も知っていたらしく、淀みなく返ってきた言葉と共に先行後攻が決まった。
「息ぴったりだな」
「それほどでも。では、おれが先行を貰うぜ」
冷泉は五枚の手札を見遣って、滑らかなハンドシャッフルをすると──
「メインフェイズ、モンスターをセット。カードを二枚伏せるぜ」
それだけ告げて、ターンを渡した。
「──えっ」
思わず零したのは、葵か。背中で手札が見えなかったらしい彼女に振り向いて、微笑む。
「先攻から展開するだけがデュエルじゃあないさ」
「そ、それはそうですね」
ぎこちない返答。そんな態度を取られる理由が分からず、冷泉は僅かに眉をひそめた。
一方で、田中のターンである。彼は《天威龍-ナハタ》を自身の効果で特殊召喚、《
「まずは様子見だからな。ランク4、《クロノダイバー・リダン》を
「オーケー。様子見じゃあ済まなさそうだがな」
《クロノダイバー・リダン/Time Thief Redoer》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/サイキック族/攻2400/守2000
レベル4モンスター×2
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:自分・相手のスタンバイフェイズに発動できる。相手のデッキの一番上のカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。
②:自分・相手ターンに発動できる。このカードのX素材を3種類(モンスター・魔法・罠)まで取り除く。その後、以下を適用する。
●モンスター:このカードをエンドフェイズまで除外する。
●魔法:自分はデッキから1枚ドローする。
●罠:相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで持ち主のデッキの一番上に戻す。
「それじゃ、メインフェイズを終了してバトルフェイズ。《リダン》でセットモンスターに攻撃」
セットモンスターは《
《破械童子ラキア/Unchained Twins - Rakea》
効果モンスター
星3/水属性/悪魔族/攻1500/守1500
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。 ①:自分フィールドのカード1枚を対象として発動できる。 そのカードを破壊する。 この効果の発動後、ターン終了時まで自分は悪魔族モンスターしか特殊召喚できない。 この効果は相手ターンでも発動できる。②:フィールドのこのカードが戦闘または 「破械童子ラキア」以外のカードの効果で破壊された場合に発動できる。 手札・デッキから「破械童子ラキア」以外の「破械」モンスター1体を特殊召喚する。
「おれは《破械童子アルハ》をデッキから特殊召喚するぜ」
「チェーンなし。じゃあ、バトルフェイズを終了して、メインフェイズ2。カードを一枚セットして、エンドフェイズに入る」
「どうぞ」
「そのままターンを終了」
ターンが切り替わり、冷泉がドローする。スタンバイフェイズに田中が《クロノダイバー・リダン》の効果を発動した。
「あっ」
貴重な《
「いただき」
「取られちまったか。まあ仕方ねえな。スタンバイ、メインフェイズに移行したい」
冷泉は《破械童子サラマ》を召喚。そのまま効果を使用し、墓地の《破械童子ラキア》をセットして破壊した。
《破械童子サラマ/Unchained Twins - Sarama》
効果モンスター 星3/闇属性/悪魔族/攻1500/守1500
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:「破械童子サラマ」以外の自分の墓地の「破械」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。その後、自分フィールドのカード1枚を選んで破壊する。
②:フィールドのこのカードが戦闘または「破械童子サラマ」以外のカードの効果で破壊された場合に発動できる。手札・デッキから「破械童子サラマ」以外の「破械」モンスター1体を特殊召喚する。
「破壊されたラキアの効果を発動したい」
「チェーンなし」
「ではデッキから《
《破械神の禍霊/Unchained Soul of Disaster》
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻 0/守3000
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードの攻撃力は、自分の墓地の「破械」カードの数×300アップする。 ②:相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。 その相手モンスターと自分フィールドのこのカードのみを素材として闇属性リンクモンスター1体をリンク召喚する。
③:フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、「破械神の禍霊」以外の自分の墓地の「破械」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターを特殊召喚する。
「どうぞ〜」
「じゃあ、おれは禍霊の効果を発動。リダンを対象に」
①:このカードの攻撃力は、自分の墓地の「破械」カードの数×300アップする。 ②:相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。 その相手モンスターと自分フィールドのこのカードのみを素材として闇属性リンクモンスター1体をリンク召喚する。
「それは駄目かな。リダンの効果を発動」
②:自分・相手ターンに発動できる。このカードのX素材を3種類(モンスター・魔法・罠)まで取り除く。その後、以下を適用する。
●モンスター:このカードをエンドフェイズまで除外する。
●魔法:自分はデッキから1枚ドローする。
●罠:相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで持ち主のデッキの一番上に戻す。
今回素材になっているのは、モンスター二枚と冷泉から回収した魔法カードである。ドローと除外が適用されるだろうが、冷泉のほうも似た反応を示した。
「ならばこちらも駄目だね。おれはトラップカード、《ブレイクスルー・スキル》をチェーンする」
《ブレイクスルー・スキル/Breakthrough Skill》
通常罠
①:相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。②:自分ターンに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手の効果モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
「ひぃ〜……チェーンないぜ。中々やるなぁ……」
「お褒めにあずかり光栄、光栄。それじゃ、《禍霊》と《リダン》でリンク召喚。リンク二、《破械神ラギア》」
《破械神ラギア/Unchained Soul of Rage》
リンク・効果モンスター
リンク2/闇属性/悪魔族/攻1800 【リンクマーカー:上/下】
「破械神」モンスターを含むモンスター2体
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:相手メインフェイズに、相手フィールドの特殊召喚された 表側表示モンスター1体を対象として発動できる。 その相手モンスターと自分フィールドのこのカードのみを素材として 「破械神ラギア」以外の闇属性リンクモンスター1体をリンク召喚する。
②:フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、 「破械神ラギア」以外の自分の墓地の悪魔族モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターを手札に加える。
「それじゃ、メインフェイズを終了して、バトルフェイズ。まずはラキアで攻撃」
「攻撃宣言時、罠カード《戦線復帰》を発動。リダンが対象だ」
《戦線復帰/Back to the Front》
通常罠
①:自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
リダンの攻撃力は2000。アルハとサラマは攻撃力1500、ラギアは1800だ。いずれもリダンを戦闘破壊することはできず、冷泉はバトルフェイズを終了する。
「それじゃあ、メインフェイズ2に入ろうかね。おれは《破械神ラギア》と《破械童子アルハ》で《破械神アルバ》をリンク召喚する」
《破械神アルバ/Unchained Soul of Anguish》
リンク・効果モンスター
リンク3/闇属性/悪魔族/攻2400
「破械神」モンスターを含むモンスター2体以上
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターと自分フィールドのこのカードのみを素材として「破械神アルバ」以外の闇属性リンクモンスター1体をリンク召喚する。
②:フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、「破械神アルバ」以外の自分の墓地の悪魔族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
うわあ……と田中が声を漏らす。アルバの①の効果で、蘇生したリダンを再度食われるのが分かったのだろう。その読み通りに、冷泉はアルバの効果でリダンを素材にし、《
《破械雙王神ライゴウ/Unchained Abomination》
リンク・効果モンスター リンク4/闇属性/悪魔族/攻3000 【リンクマーカー:上/左下/下/右下】 リンクモンスターを含むモンスター2体以上
リンクモンスターを含むモンスター2体以上
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:「破械雙王神ライゴウ」以外のカードの効果でフィールドのカードが破壊された場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
②:このカード以外のモンスターが戦闘で破壊された時、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
③:自分・相手のエンドフェイズにフィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
「それじゃあ、カードをセットしてメインフェイズを終了。何も無いなら、ターンエンド」
ライフこそ守り切ったものの、手札の引きは芳しくないようだ。田中は何とも言えない表情をしつつ、モンスターセットしてターンを渡してきた。
「じゃあ、おれのターン。スタンバイフェイズ、メインフェイズに入るぜ。《破械童子サラマ》の効果」
前のターンにも行われた挙動である。墓地に存在するラキアをセットして、そのまま破壊した。そして、その動きによって発動する効果は、破壊されたラキアの物だけではなく。
「サラマの効果がチェーン1、《破械雙王神ライゴウ》の効果がチェーン2だ。対象はセットモンスター。チェーンはあるかい?」
①:「破械雙王神ライゴウ」以外のカードの効果でフィールドのカードが破壊された場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
チェーンはなく、破壊されたのは、意味をなさない通常モンスターであった。先程の動き通り、彼の状況はよろしくないのだろう。
冷泉はサラマの効果で、少々もったいなくはあるが《
《雙極の破械神/Abominable Unchained Soul》
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守1500
自分は「雙極の破械神」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
①:自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
②:このカードが特殊召喚した場合、手札を1枚捨てて発動できる。フィールドのカード1枚を破壊する。
③:フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合にデッキの一番下に戻る。
本来は攻守兼備のモンスターであるが、今回は畳みかけるべきだと判断したのだ。それに、多少の妨害があったとしても、次の自分のターンには仕留められる、と。
「手札から《
《破械神シャバラ/Unchained Soul of Sharvara》
効果モンスター
星6/炎属性/悪魔族/攻2000/守1500
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが手札に存在する場合、自分・相手のメインフェイズに、自分フィールドの、悪魔族モンスター1体か裏側表示カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードがモンスターゾーンに表側表示で存在する限り、自分は悪魔族モンスターしか特殊召喚できない。
②:このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「破械」魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットする。
「成功時には何もなし。このままバトルフェイズに入ろうかな」
「チェーン無し。スタートステップにも何もないぜ」
「まずは、《破械神シャバラ》で直接攻撃。2000だ」
そちらにも何もないようで、次は《破械雙王神ライゴウ》で3000、《雙極の破械神》と8000ライフぴったりでデュエルは終了した。
「ひ~、負けたぜ。コントロール系好きって言葉はマジだったんだな、上手いわ」
「いやいや、勝負にゃ勝ったがデュエルには負けたな。デッキの色見せられなかったわけだし」
お互いに謙遜し合いながら、もう一戦やろうかという話になる。ただ、冷泉としてはこの後に用事があるため、もう一度だけの勝負になってしまったが。
そちらでは同じマッチングであるものの、お互いのデッキのコンセプトを発揮できた。どちらが勝ってもおかしくない中で、ぎりぎりの状況ながらも冷泉の勝利に終わる。挨拶と次の定例会、それから部活の加入届の出し方を教わって、教室を出た。
ぱたぱたと足音を立てながら、冷泉は思案する。
「結局、わからないまま……か」
財前葵という少女に妙な見方をされていたことも、イグニスの持ち主も。
そうなれば、取る手は一つなのである。
警告が暴れる谷のグリッチ
ふたつの視線が、謎多き風の姿をとらえる
問いも警告も、空気のようにすれ違う
次回、〝紡がれる導火線〟
火花を散らすのは、言葉が視線か