終わりのアスタリスク   作:鉄血

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第ニ話

「・・・・・・」

 

カチカチカチと、規則的に時計の針の音を聞きながら青年は明るくなった天井を見上げる。

少しの間天井を見上げた後、彼は時計を見た。

2029年、3月16日。

原作が始まる日。

主人公が妹と共にアリーナにあるアニメイベントへと行き、そこで一人目のヒロインと出会うのが最初のイベントである。

そしてそんな主人公は───

 

「お兄ぃ〜迎えに来たよー」

 

「兄貴、起きてるか?迎えに来たぞー?」

 

そう言って無遠慮に開けられる玄関の扉。

そんな中、青年はベッドから身体を起した。

 

「さっき起きた。ちょっと待ってろ。すぐ準備する」

 

そう言う青年に対し、彼等は部屋に遠慮なく入ると、着替えようとする青年を見て言った。

 

「うわっ、本当にさっき起きたばっかりじゃん」

 

「まあ、兄貴って遅起きだからな」

 

そんな主人公、及び妹に青年は言う。

 

「机の引き出しの中に千円入っている筈だから近くのコンビニで好きなもん買ってこい。その間に着替えてそっちに行く」

 

「え、マジ?やったやった!にいに、買いに行こ!」

 

「いいのか兄貴?兄貴って一人暮らしだろ?」

 

喜ぶ妹に対し、主人公は申し訳なさそうな顔をする。

だが、そんな主人公に青年は言った。

 

「バイトで稼いでいるから気にしなくて良い。ほら理央の奴が待ってるぞ」

 

「にいに〜!早く行こー!」

 

玄関の方で妹の結ばれた青髪と顔が見える。

 

「お、おう!兄貴は何か欲しいのあるか?」

 

「コーヒーを頼む」

 

「分かった。じゃあ、また後でな」

 

「ああ」

 

部屋から出ていく主人公に彼は部屋に取り付けられた鏡を見る。主人公や妹の理央とは違い、相変わらずパッとしない顔だ。

 

「主人公の兄貴───か」

 

本来のこのストーリーでは主人公に兄はいない。

だが、私と言うイレギュラーの存在がいるせいで少しでも動きを間違えると、グッドエンドにならなくなってしまう。

 

「後何回繰り返せば良いんだろうな“俺“は」

 

彼は自虐的にハッと笑う。そして誰もいない空間で彼は呟いた。

 

「・・・・分かっているさ。“お前も何度も付き合わせて“悪いな」

 

彼のその言葉と同時、鏡の後ろに巨大な怪物の姿が映っていた。

黒い甲殻に四本の鎌のような形状の巨大な腕。そして竜の頭部。竜の赤い目がそんな青年を見て、目を細めたような気がした。

 

「これで・・・この回で終わらせよう。俺達はもう何年も生き過ぎた。お前もそう思わないか?」

 

『──────』

 

竜は何も言わない。だが、彼のその言葉に小さく頷いた。

 

「・・・お前は本当にそればっかりだな。俺よりも優れているのにお前は───」

 

『──────』

 

「・・・・・」

 

竜の言葉に彼は小さく息を吐く。そして───

 

「悪い。そんなつもりはなかったんだ」

 

『──────』

 

竜は謝る青年に四本の腕を動かす。

 

「全く・・・本当に俺には出来すぎた弟だよ。お前は」

 

私とは違い優秀な弟だ。だが、自慢の弟でもある。

 

『──────』

 

「ああ、そうだったな。あの二人を何時までも待たせるわけにはいかないな」

 

彼がそう言うと、竜は頷いて鏡から消えていった。

 

「・・・ああ、頑張るさ。お前の為にもな」

 

大切な弟と───主人公達の幸せを願って。

さあ、私の物語を始めよう。




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