この作品のイメージ曲は『メフィスト』と『Lemon』。
アイは、『アイドル』と『サウダージ』
ルビーは『深愛』
アクアは『メフィスト』
ジルコンは『ギラギラ』
ですかね?
―――復讐ほど高価で不毛なものはない。
―――英国 元首相 ウィンストン・チャーチル
拝啓 ジルコン。
早いもので、ジルが死んでからもう13、4年が経とうとしている。
……お前を殺した黒幕への復讐は、まだ終わっていない。
だけど最近、異母兄弟の存在とか、様々な手掛かりによって、正体はやはり俺達の血縁上の父親である"カミキヒカル"と言う男であることがわかった。
今は復讐に向けて、社長や色んな協力者の手を借りて着々と準備をしている。
……ルビーは、一応立ち直ったよ。
芸能高校に入学して暫くして、アイドルとしてデビューした。
…お前の遺言通り、ルビーは夢を追ってるよ。
アイみたいな伝説的なアイドルを目指してる。
……でも時々、疲れたり嫌な事が合った時、ルビーは決まって自分の部屋にこもり、お前が使ってた枕を抱えながらベットで蹲って泣いてるよ。
『……お兄ちゃん…またお兄ちゃんの作ったごはん、食べたいよ……』
そして、決まってそう呟くんだ。
……俺も、お前との記憶が薄れていくのが怖いよ。
勿論、お前があの日人生で初めて……そして唯一作った朝飯の味は、今でも覚えてる。
だけど、毎日少しずつ忘れていってる気がするんだ。
覚えてる内に、何度もあの時の味を再現しようと、何度も試行錯誤してる。
最近できた"再現"が得意な彼女のあかねにも何度も作って貰ったりしたんだ。
……だけど、やっぱりあの味は再現出来ないんだ。
多分、入ってる成分の分量とか、味の濃さとか、そう言うのは多分ほぼ一緒なんだ。
……でも、決定的に"なにか"が違うんだよ。……だけど、その"なにか"がわからないんだ。
……なぁジル。
ここ最近、もしお前が生きて居たらって、俺はそればかり考えている様な気がする。
お前がもし生きていたら、どれだけ賑やかで、どれだけ騒がしくて、どれだけドタバタして、そして……どれだけ、楽しかっただろう…って。
……いや、分かってるさ。
誰かの幸福は誰かの不幸で、時は止まらないし、ましてや遡ることなど有り得ないって。
でも、俺はお前に彼女を自慢したかったし、お前がどんな女を連れて来て、どんな風に俺やルビーと過ごしたのかを知りたかった。
……は、今更兄貴面すんなって話だよな。
……話が脱線した。
…正直、これが現状一番の問題なんだが……
アイが壊れた。
もっと言うならアイの心が、だな。
…今のアイは、昔ジルが良く抱えてたペンギンの人形を、ジルだと思って話し掛けてる。
『ジル、今日も良い天気だね』
『ジル、今日は何して遊ぼっか?』
『ジル、愛してるよ』
って。
……正直、見てられないよ。
あの明るくて優しいアイが、その人形と話してる時は、まるで死んだ魚の様な目をしてる。
……そして、そんなアイを支える為に、俺やルビーは出来るだけアイに寄り添った。
だけどやっぱり駄目だった。
俺やルビーが何をしても、何を言っても、今のアイには届かないんだ。
だから俺はもう諦めた。
もういっその事、アイが俺やルビーの事も忘れてくれたらどれだけ楽だったか。
だが、アイは人形をジルとして認識してる以外は普通だ。今でも大女優として活躍してるし、俺やルビーをちゃんと自分の子供だと認識してるし、冗談を行ったり雑談をしたりとか、会話も成立する。
……だけど、月に一度、アイは発作の様なものを起こす。
その発作が起きるのは、決まってお前の月命日だ。
その日になると、アイは人形を抱き締めながらずっと泣き続けるんだ。
お前の名前と、お前への謝罪をずっと叫びながら。
その状態になると、アイは会話が成立しなくなる。だから、俺達はアイの発作が収まるまで、ただ黙って隣で背中を撫でながら見守るしか出来ないんだ。
……あの疫病神のせいだ。あいつがアイにお前が死んだ原因を教えたからそうなったんだ。ホントあの疫病神地獄に落ちろ。
話は変わるがジル、俺は今お前に助けて欲しい。
お前が生きてた時、何時ぞや前世での女絡みの失敗談を幾つか話したよな。
今俺はそれ以上の危機に陥ってるかもしれん。
複数の女から好意を寄せられているんだ。いや、お前ならハーレム野郎とか言って鼻で笑うかもしれんが、これは笑い事じゃない。
……いや、笑えない。
1人目は黒川あかね。オレの今の正式な彼女だ。じゃあ問題無いじゃんって思うだろ? ……いや、それがそうもいかないんだ。
実は、あかねは俺がお前を殺した黒幕に復讐する為に協力してくれてる協力者の1人なんだ。
だから俺はあかねと付き合ってるし、あかねは俺に協力してくれる代わりに俺の彼女になってるって訳だ。まぁ元々ビジネスカップルだったから…な。
でも最近になって、あかねが割と本業俺に好意を寄せてる事がわかってな……まぁ、それはいいんだ。あかねは一番問題が無い。一応ちゃんと付き合ってるから。
2人目は有馬かな。まぁぶっちゃけ、"オレ"自身の中では一番好きかもしれん。
だが、ここの2人の折り合いが滅茶苦茶悪いので、非常にややこしい。
……ま、まぁここまでは良いんだよ、良くないけど。正直俺が決めきれないのが問題なんだ。つまりオレの問題。
しかし3人目、ルビー……つまり、妹。これが一番の問題だ。
ジル、お前はあの感じなら、生きてた頃に既にルビーが俺に好意を寄せてた事に気づいてたんだろ?
……なんであの時対策してくれなかった?何が『ルビーとヤルつもりならゴムつけろよ、近親相姦になるし…』だ!
もっとマシな助言しとけよ!……まぁ、それはいい。いや良くは無いが、もう過ぎた事だ。
問題はその後だ。
『お兄ちゃんが誰を好きでも、私はお兄ちゃんが好き』とか抜かしてな。
…………オレさ、これどうしたらいいの?どのルート選んでも、バッドエンドしか見えないんだけど。
……ま、お前なら多分これ聞いても、助走つけてから笑顔で俺を殴りそうだが。
…………ジルコン、アイが意図して付けたかは知らないし、お前が知ってたかも分からんが、お前のその名前には、"安らぎ"や"永遠"、"無限"って意味が込められてるんだ。
…お前は、安らかに眠れているか?
由来の通り、俺やルビー、アイは、永遠にお前の事を思って、無限の苦しみに苛まれている。
どれだけ時が流れてもお前が居た痕は残ってる。
お前は、"星野
……俺は、お前が今もこの世界の何処かに居るだろうって、確信してるよ。
だから、お前も何処かで見ていてくれ。
【推しの子】達の輝きで照らされたこの世界で始める、黒い復讐の物語を。
―――完―――
ロリ「……アニマルセラピーでも検討しようかな…」
これにて本編は一応完結という事になります。お付き合いいただきありがとうございました。
読者年代調査(恥ずかしがらず答えてね☆)
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15〜19
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20〜29
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30〜39
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40〜49
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50〜59
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60〜以上