【鬱の子】   作:湯タンポ

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あけましておめでとうございます!

今年度もどうぞよろしくお願いいたします!

以上!閉廷!


※今回のお話はアニメ推しの子の第一話を既読である事を前提に作られております、ご了承ください。




生まれてきて…

 

 

 

 

 

 

覚悟していたはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

検査で3つ子だと分かり、そのうちの1人が極低体重出生児*1になるという結果がでた時、センセに未成年で小柄な私では、出産の際に母子共に危険である事を聞いた。

 

極低体重出生児で生まれた子は、生まれつき障害を抱えている可能性が高い事も。

 

でも私は「私の子だよ?きっと小顔だし、大丈夫に決まってる!」とか何とか言って、社長とセンセを言いくるめて、産む事を選んだ。

 

「3つ子ならきっと賑やかな家庭になるよね!」とか、『子供が出来て母親になれば子供を愛せると思った』とか、勝手な想像や願望で自分を誤魔化して、産む事を選んだ。

 

 

そこに産まれてくる子達の意思は存在しない。

 

私が『産みたい』と思ったから、『生まれて欲しい』と願ったから、この子達は産まれてくる。

 

世の中には『子は親を選んでくる』なんで言葉があるけど、そんなのは産んだ側の勝手な意見の押しつけだと思う。

 

だから、私の子達はきっと"ハズレ"を当ててしまったんだろう。

 

 

……もしかしたら、もしかしたら極低体重出生児じゃ無かった2人は、私の事を選んで生まれてきてくれたのかもしれないけど……。

 

でも、極低体重出生児の子……いや、『ジルコン』はきっと、とんだ貧乏くじを引かされたのだろう。

 

 

3つ子の自然分娩は危険だから、せめて帝王切開で産もうと提案してくれたセンセの言葉を、『アイドルだからお腹にキズは困る』という理由で蹴った結果が、このザマなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ジルコン……?ねぇ、息をしてっ…!ジルコン!お願いだから泣いて!…私がママだよ!貴方のお母さん!お願い、お願いだから息をして!泣いて!泣いてよっ……ジルコン!」

 

 

息もせず、泣きもしない、我が子。

 

その小さな身体を抱きしめて、私はただ叫ぶ事しか出来なかった。

 

まだお腹にもう1人残っていると言うのに、それすら気に止まらない程に、私は泣き叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピクりと、ジルコンの指先が動いた気がした。

 

「………ぉ……」

 

「…え…?」

 

 

 

 

 

「おぎゃああぁぁぁぁぁ!おぎゃああぁぁぁぁぁ!ほんぎゃあぁぁぁ!」

 

ジルコンの口が、確かに動いた。

そして次の瞬間、ジルコンは大声で泣き始めたのだ。

 

「ジルコンッ!!良かった……っ!本当に良かった……!ごめんね、痛かったよね?辛かったよね?苦しかったよね?」

 

私は泣きながら我が子を抱きしめる。

 

まだ息も絶え絶えで、目も開いてない我が子だけど、それでもこの子は生きている。

 

その事実が嬉しくて、申し訳なくて、ただただ私は泣いた。

 

「ジルコン、ママだよ。貴方のお母さんはここにいるよ……っ!」

 

 

「生まれてきてくれてありがとう…!産んでしまってごめんなさい…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子供たちが産まれて4年近くの時が経った。

 

その間に私は来週にドームライブを控えるくらいには人気のアイドルに成長した。

 

そして、一番最初に産まれた愛久愛海(アクアマリン)と、時流痕(ジルコン)の後に産まれた瑠美衣(ルビー)のふたりは、すくすくと成長して、難しい言葉や計算なんかもスラスラ出来るヤバいくらいの天才に育った。

 

 

でも……ジルコンは…ジルは、いくつもの先天性疾患を持って産まれた。

 

目があまり見えない、味が分からない、匂いが分からない、耳が聞こえづらい、身体が弱い。

 

そんな不利を持って産まれたジル。

 

 

幸い……いや、こんな言葉を使う資格なんてないけど…、ジルもアクアやルビーに負けない程に天才だった。

 

1歳の頃には喋っていたし、計算も出来た。記憶力も凄かった。でも、それでもやっぱり他の子達よりも出来る事は少なかった。

 

そんなジルは、最近手術によって視力がある程度良くなった。

 

まだぼんやりとしか見えないらしいけど、それでも今までよりずっと見えるようになったと喜んでいた。

 

それは嬉しい、嬉しいんだけど……。

 

 

私は最近、ジルを育てる事が怖くなっていた。

いずれ、ジルに「何故こんな体に産んだのか」と聞かれるのが恐ろしくて堪らない。

 

「ママ、どうしてぼくはこんなからだなの?」

そう聞かれた時、私はなんて答えれば良いんだろう?

 

「なんでぼくだけこんなによわいの?」と言われたら、私はなんて答えれば良いんだろう?

 

そう考えると、胸が締め付けられる様な痛みが走る。

 

私は、ジルを産んで良かったんだろうか?

私は、ジルを産まなければ良かったんだろうか?

 

この子に恨まれるのが怖くて……でもそれ以上に自分が許せなくなっていく。

 

 

それでも私はこの子達…アクアやルビーやジルを『愛したい』って思ってしまう。

 

人を愛した記憶も、愛された記憶もないから、私は『愛』が何なのか、どんな物なのかを知りたい。

 

 

そんな矛盾した気持ちを抱えたままジル達と接する為に、私は今日も嘘を吐く。

 

悩みや苦しみなんて無い"究極で完璧なアイドル"と言う嘘を振りまく。

 

だって、私はそれしか知らないから……嘘を吐く事でしか人と接する事が出来ないから……

 

 

だから私は今日も嘘を吐く。いつか嘘がホントになると信じて。

 

 

 

その代償がどれだけ重いものであっても、それがいつか訪れるとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな物が代償なんて……そんなの聞いてないよ…神様。」

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
出生時の体重が1500グラム以下の赤子のことを指す。
















星野アイ(鬱のすがた)

君は完璧で究極のアイドル☆(大嘘)


誰かを愛したいし誰かに愛されたいが、自分が愛する為の道具として、子供達を産んで利用している事に罪悪感で押し潰されそうになっている。

特にジルコンは産まれた時から人生ルナティックモードで、自分のエゴのせいなのも分かっているので、『産んでしまってごめんなさい』とすら思っている完全に鬱の子。

そして、もしそんなアイの考えを中身鬱のジルが知るような事があれば……

読者年代調査(恥ずかしがらず答えてね☆)

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  • 50〜59
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