【鬱の子】   作:湯タンポ

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13年はおよそ4745日(うるう年?知るか)。

……うん、まあ逃げ出しても仕方ないレベルの時間だね。

耐えられたのは彼らにとっては幸か不幸か……ま、それもまた人生ってやつ。



……あの、所で日間ランキング8位って何?なんでこの作品が日間とはいえTOP10入りしてたの?訳分からん。

あと密かに目標だった感想100件突破あざます。

もっとくれてもいいのよ?(強欲)





愛という呪縛、感情という病。

 

 

 

 

「すみません、どちら様ですか?」

 

 

誰もが予想出来なかった13年越しの再会は、そんな一言で始まった。

 

 

 

「……ジ、ジル〜、流石にそんなドッキリはちょっと不謹慎だよ〜?ママ達ホントにずーっと待ってたんだからね?」

 

 

「そ、そうだぞ、ジル。流石に悪趣味がすぎる……その冗談は笑えないぞ。」

 

 

アイは引きつった笑みを浮かべながら、アクアも動揺を隠しきれないままジルに声をかけるが、それでもジルの表情に変わりはなく、ただ困惑している事が見て取れた。

 

 

「……その、ご期待に添えず大変申し訳ないのですが…………自分はあなた達に関する記憶、情報を、一切合切持ち合わせておりません。」

 

 

そして、その一言で場の空気が凍りついた。

 

 

「……嘘だよ、嘘。お兄ちゃん、今嘘ついた。」

 

 

ルビーは笑ってそう問うが、その声は僅かに震えていた。

 

 

「お兄ちゃんが私達の事なんも憶えてないなんて嘘、絶対嘘だ。ねぇお兄ちゃん、そんな変な嘘つかないでよ。」

 

 

ルビーはジルの病衣にしがみつきながら、訴える。

 

 

「正直に言ってよ……お兄ちゃん。今なら起き抜けのジョークで許してあげるからさ、そんな冗談言うのやめてよ……!」

 

 

ジルにしがみついたまま言葉を紡ぐが、ルビーは俯いたまま顔を上げる事は無かった。

 

 

「お兄ちゃん呼び……つまり貴女は妹……確かに自分には妹が居た気がしますが……」

 

 

「……っ!!!そう、そうだよ!お兄ちゃんの妹の星野ルビー!もう回りくどいドッキリはおしまい!十分驚かされたから、もうおしまいでいいでしょ……」

 

 

唐突に差し込んだ一筋の光明に、ルビーは顔を上げ、期待に満ちた表情でジルの目を見る。

 

 

「……しかし、自分は妹だけではなく兄も姉も弟も居たと思うのですが……それに、私の兄弟はあなた達のように派手な金髪では絶対になかった気がするんですが…」

 

 

ルビーの淡い希望はあっさりと打ち砕かれた。

 

 

「……っお兄ちゃん、私の事……本当に、覚えてないの……?」

 

 

「そうみたいですね……申し訳ございません……」

 

 

ジルは申し訳なさそうに言う。

 

 

「……っ!ねぇ、ママ……!これ、どういう事なの!?お兄ちゃんがこんな事になってるなんて聞いてないよ……!」

 

 

ルビーはアイに詰め寄り、説明を求める。

 

 

「……こんなのって…ないじゃん…っ……そりゃあ聞いてたよ、こうなるかもしれないって。……でも、あんまりにも、あんまりだよ……私は、私達は…どうしたら、どうやったら、いつになったら報われるのさ……」

 

 

しかしアイはルビーの問いに答えず…いや、答えられずに頭を抱える。

 

 

無意識に溢れ出る涙を拭う仕草すら見せずに、その場にへたり込む。

 

 

13年という長い月日の中で、ジルがいつか目覚めるかもしれないという希望だけを頼りに過ごしてきた彼女達にとって、目の前に居座る現実は残酷すぎた。

 

 

 

「……もう、なんなんだよ…ふざけんなよ……夢を見てた地獄の方が、まだマシじゃねぇか……また一から始める元気も、気力も体力も精神力も、もう残ってるわけねぇだろ……っ」

 

 

アクアは、そう吐き捨てて病室を飛び出す。

 

 

「お兄ちゃんが……私たちの事を忘れるわけ……そんなの、違う」

 

 

ルビーも、そんなアクアに釣られて駆け出す。

 

 

「待って!二人とも!!」

 

 

アイは咄嗟に二人を呼び止めようとするが、もう既に二人は居なくなっていた。

 

 

「こんな事になるなら、いっそ……ホントにあの時…っ」

 

 

そしてアイはその場にへたり込み、嗚咽を漏らすことしか出来なかった。

 

 

「……っ……もうやだ…もうやだよ……もう、無理だよ……アクアとルビーとジルと、みんなで一緒にくらしたいだけなのに……そんなささやかな望みさえ、私にはゆるされないの?そんな、そんなの……ひどすぎるよぉ……!」

 

 

彼女の言葉の節々は幼子のようであり、その瞳は絶望に染まりきっていた。

 

 

13年という長い月日は、彼女の精神を摩耗させ過ぎた。

 

 

(もういやだ…きっと私は呪われてるんだ……っ、沢山頑張って頑張って…その結果がこれだよ……私の願いって、そんなに頑張っても許されないくらい大それた事だったの?家族と一緒に普通に過ごしたいだけなのに。)

 

 

アイが絶望に心を侵され、意味の無い思考と涙が溢れ出る中、彼女の背中を優しくさするものがあった。

 

 

「…大丈夫ですか」

 

 

それは、ジルだった。

 

 

「触らないでよっ…ジルじゃないのに…!…………あ…」

 

 

アイはジルの手を思い切り払いのけてしまうが、それがただの八つ当たりでしか無いのを自覚すると共に、自分がしてしまった事を激しく後悔する。

 

 

「……あ、ご、ごめ……ちがくて……私……」

 

 

「…いえ、こちらこそ不躾に触れてしまってすみません。」

 

 

「そ、そうじゃなくて……っ!」

 

 

アイは自分がジルに手を上げてしまったこと、そして不安や混乱などの気持ちが混じり合い、上手く言葉を紡ぐことが出来ず、再び泣き出してしまう。

 

 

「……いえ、大丈夫ですよ、期待以下の事しか出来ないのはいつも通りなので。

 

…今回自分が目を覚ましたのも、あなた達の期待を裏切ってしまう結果だったのでしょう。記憶は全くありませんが……あなた達の反応を見ていれば否応が無く理解させられます。

 

……だから、気にしなくても大丈夫です。」

 

 

ジルはどこか遠くを見つめるような目でアイを見つめ、語りかける。

 

 

「ちがっ、ちがうよ……ジルは何も悪くないのに……っ!なんで、なんでこんな事になっちゃうの……」

 

 

13年の眠りから覚めたばかりのジルに気を遣わせてしまった事に、また罪悪感を覚えながら、アイは泣きじゃくる事しか出来ないでいた。

 

 

そんなやり取りがしばらく続いていると、病室のドアがノックで鳴り響く。

 

 

「……アイ、さっきそこでアクアとルビーと会って、ジルが記憶喪失になってるって聞いたんだが……その様子だとホントみたいだな。」

 

 

「……アイさん……ジル、やっと目が覚めたのに……」

 

 

来客の正体はアイが所属する事務所の社長 斎藤壱護と、その妻ミヤコだった。

 

 

彼らも、アイの様子やアクアとルビーの話によって、ジルが本当に記憶が無くなっているのだと確信し、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、社長とミヤコさんじゃん。ようやく状況説明聞けそうな感じ?―てか社長めちゃ老けてて草、ミヤコさんは相変わらず美人だね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、我が耳を疑った。

 

 

 

 

 

 






ロリ神「なんか早速想定外の動きしてるんだけど何コイツ」


生き地獄一丁目。





もう開き直って毎回宣伝しますね。

わたくしオリジルも書いてます。可愛い幼女や女の子が人をぶすって殺る感じのお話だよ。……ヤンデレとかあるよ(小声)

『殺し屋してます、幼女拾いました。』
https://syosetu.org/novel/342818/#
良かったら待てやってくだちい。

読者年代調査(恥ずかしがらず答えてね☆)

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