何時になったら私は報われるのだろう、この地獄のような世界で。
何時になったら私は救われるのだろう、この果てなき荒野の苦しみから。
何時になったら私は開放されるのだろう、この呪われた運命から。
この気持ちは、この望みは、許されるざる
ー
※今話の補足として、お医者さんは最初ジルの事を中身3歳半だと思っています。
「…初めまして、星野ジルコン君。担当医の黒咲です、よろしくね。」
「よろしくおねがいします」
「………」
「………」
ジルの病室にて、軽く自己紹介を終えた2人の間には妙な沈黙が流れていた。
なにせ黒咲は神経内科医であり子供と話す事は余り多くない、かつ、黒咲自身あまり人との会話を得意としていなく、ジルも初対面の人とは何を話せばいいか分からない派閥なので、お互い何を話せばいいのか分からないためである。
そんな状況を打ち破ったのは、黒咲の方だった。
「……先ず、君の体の状況なんだけど、下半身不随に加えて記憶の欠落が見られます。……自覚はありますか?」
「はい。」
黒咲の言葉に、ジルは間髪入れずにそう返す。
「……うん、じゃあ症状の程度の確認をしていきます。……日本語や数字は分かる?数字の1から10は分かりますか?」
手に持つホワイトボード『あ』から『ん』までのひらがなや数字を書き、指し示す。
「はい、読めますし意味も分かります。」
(すご……この子が植物状態になったのって三歳半くらいの時でしょ?めっちゃ流暢に喋るじゃん……私28だけど、少し年下の子と話してる気分……)
黒咲はそんなジルに感心と、僅かな興味を抱く。
「じゃあ、りんごが3つ、みかんが2つあります、合わせていくつかな?」
(どれくらいの学力とか知識があるか気になるし、もうしばらく問題出してみよ。)
「5です。」
「うん、正解。じゃあ8×7は?」
「56」
「うん、正解だね。……じゃあ次、28×34は?」
(…流石に三歳児半に2桁の掛け算は意地悪――)
「952」
「……え…?……あ、うん、せ、正解だよ」
(今この子私より計算早くなかった?)
黒咲は呆気にとられながらも、次の問題を出す。
「じゃ、じゃあ、150×279は幾つかな?このホワイトボード使っても」
「41850」
「…………1800÷40は?」
「45」
「………△ABCにおいて、B=60° C=75° b=2√6の時、aはいくつ?」
「ちょっとホワイトボード借りますね…………a=4です。」
「…………うん、はい、合ってます……」
(もう怖いんだけどこの子……なんで三歳児半が正弦定理使えるの?)
三歳児半程度の知識しか無いはずのジルが、掛け算割り算どころか正弦定理を普通に使って計算していることに彼女はもはや恐怖すら覚え始めていた。
「……じゃあ問題の趣向をちょっと変えようか。……小説『 羅生門』を書いた作家はだれかな?」
「芥川龍之介です」
「………慶應義塾大学の創設者である、福沢諭吉の啓蒙書『学問のすゝめ』の有名な一説は?」
「『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと云えり。』ですね」
「うん、正解。」
(……ホントにこの子三歳半から13年も寝たきりだったの?肉体年齢とほとんど相違ない高校生レベルの知識と知能じゃん。)
黒咲はジルの凄まじい知能に舌を巻くしか無かった。
(これで中身は三歳半とかマジで詐欺でしょ……天才とかギフテッドとかそういうレベルじゃないよ?……脳の構造が根本から違うんじゃないの……?……医者としてちょっと解剖したくなっちゃうな)
「……うーん、一般常識や認知機能、知能、知識とかに問題は無いみたいだね。」
あれから30分ほどジルに対して質問を行った黒咲は、そう結論づける。
(『知識面』は……ね。)
「で、これからが本題なんだけど……記憶の喪失について、ね。……実際の所、君はどれくらい記憶があるのかな?
自分の名前、生年月日、家族、友人などだね。」
黒咲がジルにそう尋ねると、彼は少し困ったように首を傾げ、こう答えた。
「えーっと……その事なんですけど、一晩寝て昨日よりはある程度記憶が戻ったんですけど……なんか、その記憶と現状が全然一致してないんですよね。」
「………?えと、どういうことかな?」
黒咲は彼のいまいち要領を得ない言葉に、ノートPCに文字を打ち込んでいた手を止め、首をこてんと傾げながら彼に説明を促す。
「なんて言ったらいいのかな……自分の記憶に自信が持てないって言うか、自分の知ってる現実と今現在の現実の時系列やらが噛み合って無いんですよ。」
黒咲はその言葉に若干の違和感を感じ、さらに詳しく彼から情報を得ようと質問する。
「えーっと、具体的にどんなところが噛み合って無いの?」
ジルは昨日の出来事を思い起こすかのように目を閉じ、顎に手を当てて暫く考え込む。
「……そうっすね…まず、今って何年ですか?あ、西暦の方です。」
「今は2028年の12月〇日だよ。」
「…はい、昨日テレビでも見ましたけど……やっぱ2028年なんですね。……で、これの何が問題かって言うと、自分は"2024年"の記憶が最後なんですよ。……で、最後に覚えてる記憶が、俺が17歳の頃で」
「……え?」
ジルの言葉を聞き、黒咲は思わずノートPCから目を離して彼の方を向き、頭に疑問符を浮かべる。
「2024年…?……いやいやいや、それはおかしいよ。君は戸籍上今17歳、来年で18歳だ。……つまり君は2010年生まれになる。」
黒咲は混乱しながらも冷静に計算し、そう答える。
「……ええ、でも、記憶上の自分は2006年生まれなんです。……だから、記憶があってもそれが正しいかどうかの確証が持てなくて……」
ジルは困ったように眉根を寄せてそう答える。
(……あまりにも突拍子もなく荒唐無稽な話だね……だけど、今の話が本当なら、さっきのテストで彼が高校生レベルの知識と知能があったのも辻褄が合う……)
黒咲は困惑しながらも、ジルの言う事を信じるしか無かった。
(……とは言え、そうすると原因が分からないね……ま、それは追追考えるしかないか)
「……うーん…ひとまず日常生活に問題はなさそうだね。あ、でも激しい運動はダメだよ?まぁダメと言うか物理的にもう走ったりは出来ないと思うけど……長距離移動は出来るだけ車椅子とか使ってね。」
「分かりました。」
黒咲は真剣な表情でそう告げ、ジルもそれに応じ頷く。
「…うん、それで、後はご家族の記憶についてなんだけど、ひとまずは―――」
続けて彼女がジルに今後の方針などを話そうとしたその時、ガラガラと病室のドアが開く音がした。
音の方向を2人が見てみると、そこには立っていたのはアイであった。
「……星野さん、気持ちは御察ししますが、今は診察中なのでまた後程――」
黒咲はそんなアイに少し棘のある口調で退室を促そうとするが、彼女は聞く耳を持たず病室へ入ってくる。
その足取りは確かで、一切の迷いが見られない……がしかし、その端正な顔には亡霊のような表情が貼りついていた。
「星野さん、申し訳ありませんが今はお引き取りを――」
黒咲は再度退室を促すも、アイはそれを無視してジルの元へと歩み寄ってくる。
……彼女はジルの目の前で歩みを止めると、彼の目をじっと見つめた。
そして、彼に向けて満面の笑みで言った。
「君、ジルじゃないでしょ?」…と。
祈りを込めるような声音で。
不知火フリルのメス顔……うーん、なかなか難しいね。
そもそもフリルのキャラがいまいち分かりきって無いんだよね。原作でもそこまで登場シーンは多くないし……。まあ案はあるので頑張るね。
……所で話は変わるんだが、アビ子先生…可愛くない?あれは絶対悪い男にそのうち引っかかるし、絶対その男に入れ込む性格だとみたね。(クソカス考察)
そういえばロリ神の姿が先程から見えないが……あのロリはどこだ!どこへ行った!
読者年代調査(恥ずかしがらず答えてね☆)
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30〜39
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